添付不要!? 確定申告でマイナンバー本人確認しなくていい条件
今ではすっかり社会に浸透したマイナンバー。確定申告書にも、マイナンバーを記載する欄があり、原則的に“毎回”マイナンバーの記載と本人確認書類の提示か写しの添付が必要です。しかし、一定の場合には確認書類の添付を省略できます。どのような場合に省略できるのか、詳しく見てみましょう。
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目次
- マイナンバーの本人確認書類は、番号確認書類と身元確認書類の2つがあり、添付の省略ができるのは番号確認書類だけである
- 番号確認書類の提出を省略できるのは、税務署に一度番号確認書類の提出をしたことがある場合であるが、還付申告の場合は省略できない
- e-Taxなら、番号確認書類だけでなく、身元確認書類の添付も省略できる
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確定申告ではマイナンバーの記入・本人確認が必要
各種税金の手続きではマイナンバーを記載する欄が設けられています。もちろん確定申告書にも記入欄が設けられていて、マイナンバーを確定申告書に記入することは法律で義務付けられています。確定申告する個人の判断で記入を省略することは認められません。
そして、「確定申告書に記載したマイナンバーが間違っていないこと」「マイナンバーを提供したのが間違いなく本人であること」の2点を確認するために、確定申告書には「番号確認書類」と「身元確認書類」の2点を添付することになっています。この番号確認書類と身元確認書類の2つを合わせて、「本人確認書類」と呼ばれます。
しかし、番号法施行規則の改正により、2018年1月以降は、一部の手続きでは、本人確認書類のうち、番号確認書類の提示か写し(コピー)の添付が省略できるようになりました。マイナンバーは、氏名や住所と違って、一度付与されるとよほどの事情がない限り一生変わらないものです。
そのため、一度税務署に番号確認書類の提示か写し(コピー)を提出しているなどのケースでは、番号確認書類の提示か写し(コピー)の添付が省略できるようになっています。
マイナンバー制度の本人確認に必要な書類
マイナンバー制度では本人確認書類として、番号確認書類と身元確認書類の2種類が必要です。まず、マイナンバーの番号確認書類として提示もしくは、写し(コピー)を提出できる書類は以下の通りです。
【番号確認書類として有効なもの】
・マイナンバーカード
・マイナンバーが記載された住民票の写しまたは住民票記載事項証
・マイナンバーの通知カード(通知カードに記載された氏名や住所が住民票の記載と一致している場合のみ有効)
番号確認書類は、書類のマイナンバー記載欄に記載されたマイナンバーが正確に記入されているかどうかを確認するための書類です。マイナンバーは12桁ありますので、一定数は記載間違いも発生する可能性があります。そのため、公的に発行された番号確認書類のコピーと照合して、マイナンバーの番号記載に間違いがないかを確認するということです。
身元確認書類は、本人が手続きをする場合、書類に記載されたマイナンバーの持ち主であることを確認するための書類で、次のものが有効です。
【身元確認書類として有効なもの】
・顔写真付きの身分証明書(いずれか1種類)
マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、運転経歴証明書、在留カード、写真付きの学生証や社員証、写真付きの各資格の証明書など
・写真のない身分証明書(いずれか2種類の組み合わせ)
医療保険の被保険者証(健康保険被保険者証、国民健康保険被保険者証、後期高齢者医療保険者証)、印鑑証明書、年金手帳、写真のない学生証や社員証、写真のない各資格の証明書、公共料金の領収書など
他人がマイナンバーを不正に取得して、成りすましで書類提出するといったことを防止するために、書類が本人の意思に基づいて提出されるものだということを身元確認書類によって証明します。
写真付きのマイナンバーカードであれば、本人確認書類として、番号確認書類と身元確認書類の両方の書類を兼ねていますので、持っておくと非常に便利です。
確定申告時にマイナンバーの本人確認書類が添付不要になる場合
これまで説明してきた通り、確定申告書には、マイナンバーの本人確認書類として、番号確認書類と身元確認書類の2種類が必要となります。しかし、毎年確定申告書を提出する人にとって、毎回同じ書類のコピーを添付するのは手間がかかります。
そこで、一定の場合には確定申告書に添付する本人確認書類のうち、番号確認書類の添付が省略できることになっています。身元確認書類は、省略できません。
本人が申告する場合
【添付が省略できる手続き】
・青色申告による所得税の確定申告や修正申告
・個人事業主の消費税の確定申告や修正申告、中間申告
【番号確認書類の添付が省略できる条件】
以下の1と2のいずれかに該当する場合で、以下の対象手続で還付申告以外の手続
1.個人事業の開業届出書、消費税の課税事業者届出書、消費税の課税事業者選択届出書のいずれかの提出の際に、本人確認(番号確認書類と身元確認書類の提示か写しの提出)が行われている場合
2.2016年1月1日より前に1.の届出書を提出しており、その後、所得税の確定申告書、消費税の中間申告書や確定申告書の提出の際に、本人確認(番号確認書類と身元確認書類の提示か写しの提出)が行われている場合
つまり、マイナンバーを記載する届け出や申告の際に、一度税務署に番号確認書類を提出しておけば、2回目以降は省略できるということです。マイナンバーは一度付与されれば基本的には一生同じ番号なので、毎回証明する必要はないということです。
ただし、もし不正利用などの疑いからマイナンバーの変更が行われた場合には、改めて番号確認書類の提出が必要となります。なお、身元確認書類については、住所や氏名、性別などの本人情報が変わる場合があるので、毎回提出が必要です。変更がなくても、その旨を証するために提出が必要です。
【例外的に番号確認書類の添付が省略できないケース】
・所得税や消費税の還付を受けるための申告である場合(還付申告)
・相続人から、準確定申告書を提出する場合
なお、e-Taxで確定申告する場合には、番号確認書類だけでなく、身元確認書類も写しの添付を省略できます。e-Taxに使用する電子証明書の中にすでに氏名や住所、生年月日などの身元確認書類の内容が含まれているためです。
代理人(未成年者の法定代理人など)が本人の代わりに申告する場合
基本的には、本人のケースと同じですが、代理人の権限を確認する書類(親族であれば戸籍、その他であれば委任状など)の添付が必要となります。
税理士が代理で申告する場合
税理士が代理で申告する場合でも、番号確認書類については、本人が申告する場合と変わりありません。この場合は、税理士に対して身元確認書類を渡すことになります。
確定申告でマイナンバーの確認書類を添付省略するための準備
確定申告で番号確認書類の添付を省略できるケースは、2つのパターンがあります。一つは、一度でも税務署で番号法上の本人確認(本人確認書類の提示か写し(コピー)を提出)が行われていることです。そしてもう一つがe-Taxで確定申告を行うことです。
一つ目の方法は、税務署に本人確認書類として、番号確認書類の提示か写し(コピー)を提出しているかどうかということだけが判断基準なので準備といっても、過去に番号確認書類を提示か 写し(コピー) うぃ提出済みかどうかについて、過去の届出書や申告書の控えを見て確認しておくことだけです。
もう一つのe-Taxについては利用するための準備が必要です。e-Taxを利用するために必要な準備について見てみましょう。
準備1:マイナンバーカードを取得しておく
自分で確定申告書を作成する場合で、e-Taxを利用するための必須アイテムの一つがマイナンバーカードです。マイナンバーカードに格納されている電子証明書で、確定申告書のデータに電子署名をすることで、税務署にデータを送信することが可能となります。
マイナンバーカードの取得方法については、次の記事もご覧ください。
準備2:e-Taxを利用するための環境を整える
所得税の確定申告は、スマホからでもe-Taxができるようになっています。しかし、個人事業主の場合は、スマホでは、e-Taxで確定申告をすることはできません。パソコンからの申告になります。そのため、e-Taxを利用するためには、マイナンバーカードのほかにカードを読み取るためのリーダーが必要となります。リーダーといっても特殊な機械ではなく、家電量販店などで数千円ほどあれば購入できます。マイナンバーカードを入手したら、リーダーも早めに購入しておきましょう。
また、給与所得や雑所得、一時所得のみの人については、スマートフォンを利用してe-Taxの確定申告をすることも可能です。スマートフォンであれば、別途リーダーを用意しなくても国税庁のアプリからマイナンバーカードの読み取りが可能です。
給与所得のみの会社員が医療費控除で所得税の還付を受けるなど、シンプルな内容の確定申告であれば、スマートフォンからe-Taxを利用するとリーダーを購入する必要もないので、やりやすいかもしれません。
準備3:e-Taxによる確定申告の方法を確認しておく
e-Taxの利用方法は、国税庁の確定申告書作成コーナーを利用する方法や、e-Taxの専用ソフトをインストールして利用する方法があります。
個人事業主で、会計ソフトで入力した数字をそのまま取り込んで確定申告したいといった場合は、e-Taxの専用ソフトを利用することになります。会社員などで、確定申告書に入力する数字がそれほど多くないといった場合には、確定申告書作成コーナーのほうが便利でしょう。
自分の確定申告の内容に応じてe-Taxを行う方法を確認しておきましょう。
確定申告でマイナンバーを記入・確認する際の注意点
確定申告でマイナンバーに関して注意すべき点は次の通りです。
注意点1:マイナンバーの記入を忘れた場合
もしマイナンバーの記入を忘れてしまった場合、確定申告の申告期限内であれば確定申告書の再提出ができます。最後に提出した確定申告書が優先されますので、改めて提出すればよいでしょう。
確定申告書の申告期限後にマイナンバーの記載漏れに気づいた場合は、そのままにしておくケースがやむをえませんので通常です。マイナンバーの記入は義務ですが、記入漏れに罰則があるわけではありません。
また、税額が変わるわけではないので、修正申告にも該当しません。よほど心配であれば、税務署に問い合わせるしかありません。ただし問い合わせるのは提出してから2週間ほど経ってからのほうがよいでしょう。あまりに早いと税務署のシステムにまだ反映されていないことがあり、税務署も対応できない場合があります。
e-Taxの利用や会計ソフトでの確定申告書の作成をしていれば、マイナンバーの記載漏れについてエラーメッセージを出してくれますので、チェックしましょう。
注意点2:番号確認書類の添付が省略できない場合
前述の通り、相続人から準確定申告書を提出する場合と、所得税や消費税の還付を受けるための申告である場合には、番号確認書類の添付が省略できません。
準確定申告の場合は、記載するマイナンバーは被相続人ではなく、相続人のマイナンバーです。準確定申告は相続人の連署で行いますので、相続人の人数分の本人確認書類が必要となります。
また、還付については省略できないのは所得税の予定納税や消費税の中間納付がない場合に還付が発生する場合です。予定納税額や中間納付額が大きかったため、確定申告時に予定納税額や中間納付額の還付を受けられる場合は、添付が省略できるケースに該当します。
注意点3:本人確認書類が手元にない場合
番号確認書類が手元にない場合、少なくとも役所に行けばマイナンバー入りの住民票の写しを発行してもらえます。それを使って番号確認書類にするのが最も簡単です。窓口でも郵送でも発行してもらえます。マイナンバー(個人番号)入りの住民票の写しの発行について詳しい手続きは、自治体の窓口に確認しましょう。
身元確認書類については、運転免許証などの公的なもの以外にも、学生証や社員証、公共料金の領収書など幅広く認められています。
何かしらの書類は揃えられると思いますので、今一度身元確認書類として認められる書類の一覧を確認してみましょう。
確定申告書には原則“毎回”マイナンバーの記載と本人確認書類の提示か写しの添付が必要
マイナンバーは重要な個人情報であるため、その確認書類も細かく揃える必要があります。番号確認書類の提出を省略できるだけでも、多少は手間が省けます。
以下の対象手続に該当している場合は、番号確認書類の提示や郵送提出時の写しの添付が省略可能とされています。
しかし、原則的に税務署へ申告書を提出する際は、“毎回”マイナンバーの記載と本人確認書類の提示か写し(コピー)の添付が必要です。 自分が番号確認書類の提出を省略できるのか分からないというケースもあります。そうした場合は、とりあえずマイナンバーの番号確認書類の提示か写し(コピー)を添付をするというのも一つの手です。
また、e-Taxを利用して、本人確認書類のことを意識しなくても済むようにするのもよいでしょう。本人確認書類の省略のためだけにe-Taxを使うということはないかもしれませんが、本人確認書類以外にe-Taxでは多くの添付書類の省略が可能です。
いずれにしても、マイナンバーの本人確認書類は番号確認書類と身元確認書類の2つがあるということを理解して、漏れなく提出するようにしましょう。
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