さぁ!おうちからe-Taxで確定申告!……え?マイナンバーカードが必要ってどういうこと?
国税電子申告・納税システム「e-Tax」を使えば、税務署に出向くことなく、確定申告書や一部の添付書類の郵送さえ不要です。家にいたまま確定申告が完了します。
しかも、2020年分の申告からは、電子帳簿保存かe-Taxでの申告を利用しなければ、青色申告特別控除65万円控除を受けることができません。
節税を考える個人事業主にとっては必須とも言える「e-Tax」でe-Taxで確定申告するには、個人で準備しなければならないものがあります。そのうちのひとつが「マイナンバーカード」です。
厳密に言えばマイナンバーカードがなくてもe-Tax は可能です。しかし、今後のことを考えるとマイナンバーカードを申請しておいたほうがなにかと便利です。この記事では、その理由についてご説明します。
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目次
- POINT
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- e-Taxを行うには事前にモノを揃える必要がある
- e-Taxに必要な利用者証明用の電子証明書と署名用の電子証明書はマイナンバーカードに格納されている
- マイナンバーカードは市町村の役所に申請して作成できる
e-Taxに必要なものって?
まず、e-Taxで確定申告をするために必要なものを押さえておきましょう。以下の4点です。
- 利用者識別番号
- 電子証明書
- インターネット環境、推奨環境を満たすPC、ブラウザ、PDF閲覧ソフト
- ICカードリーダ(カードライタ)
それぞれについて、みてきましょう。
1.利用者識別番号
e-Tax利用時に必要となる、「電子申告をする人を個別に認識するための番号」です。これは確定申告をする前に取得しておく必要があります。
利用者識別番号の取得方法は次の通りです。
- マイナンバーカードを使い、WEBでアカウントを登録(利用者識別番号の入力が省略できる)
- マイナポータル経由で取得する
- WEBでID・パスワード方式の届出を作成・送信して取得する
- WEBで利用者識別番号を取得する(マイナンバーカード不要)
- 税務署でID・パスワード方式の届出を作成・送信して取得する(マイナンバーカード不要)
- 国税庁HPから「[手続名]電子申告・納税等開始(変更等)の届出」をダウンロードして記入し、税務署に送付、あるいは持参して提出する
- 過去に確定申告をしていて利用者識別番号を税務署からもらった
- 税理士に依頼する
利用者識別番号の取得方法は上記の通り、たくさんありますが、マイナンバーカードがあれば、利用者識別番号の入力が省略できるので簡単です。
なお、ID・パスワード方式でe-Taxをする場合、マイナンバーカードは必要ありません。
ただしこれは「マイナンバーカード及びICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応」とされています。
行政手続きだけでなく、2021年(令和3年)3月から健康保険証として利用できる予定など、利用範囲の拡大も検討・予定されているので、マイナンバーカードを用意しておいた方がよさそうです。
2.電子証明書
電子証明書は、マイナンバーカードに格納されています。利用者識別番号の取得も同時に可能なことを考えるとマイナンバーカードを用意するのが最も効率的といえるでしょう。
20歳以上の場合、マイナンバーカードの有効期限は、取得から10回目の誕生日ですが、e-Taxで使用するマイナンバーカードに格納されている電子証明書の有効期限は、取得から5回目の誕生日までです。
マイナンバーカードと電子証明書の有効期限が異なるので注意しましょう。期限の3か月前には通知が来ます。
3.インターネット環境、推奨環境を満たすPC・ブラウザ・PDF閲覧ソフト
e-Taxで確定申告する際、インターネット環境、推奨環境を満たすPC・ブラウザ・PDF閲覧ソフトかどうかということも事前にチェックしておくと、安心です。OSは、WindowsかMacintoshか確認した上でブラウザなどをチェックしましょう。
国税庁の確定申告書コーナーのページ最下部に推奨環境があるので最新情報をご確認ください。
4.ICカードリーダ(カードライタ)
「ICカードリーダ」は、電子情報をPCで読み込むための機器です。「ICカードリーダ」があれば、マイナンバーカードを利用して手続きができます。Windows対応のものとMac対応のものがありますので、注意して選ぶようにしましょう。
「ICカードリーダ」は読み込みのみ可能、「カードライタ」は読み取りと書き込みが可能です。e-Taxのために準備する場合は「カードライタ」であっても構いません。
それから、「ICカードリーダ」が、公的個人認証サービスに対応しているものか確認しましょう。「住民基本台帳カード」で利用していたものであっても、マイナンバーカードに対応していない場合があります。
念のため、マイナンバーカードに対応したICカードリーダ、カードリーダライタであるかどうかを事前に調べておきましょう。マイナンバーカードに対応したICカードリーダライタかどうかは、下記で確認ができます。
なお、スマートフォンをICカードリーダライタとして利用することは可能ですが、Android限定となります。
ここまで、e-Taxで確定申告をするために必要なものについて見てきました。
とくに、e-Taxで確定申告をするために必要な利用者識別番号と電子証明書について、マイナンバーカードがひとつあれば、取得できることがわかったと思います。
次に、マイナンバーカードを作成・利用する上で、「マイナンバーカードはどんなものか」をさらに理解しておきましょう。
「2種類の電子証明書」であるマイナンバーカード
マイナンバーカードとは、以下2種類の電子証明書を含むカードです。
①利用者証明用の電子証明書
「利用者がマイナンバーカードの持ち主である自分本人だ」と証明するものです。一般に運転免許証や保険証も個人を証明するものになり得ますが、行政により発行・管理される「電子証明書」ではない点が異なります。
この電子証明書によって、行政のWEBや民間のサイト、コンビニ交付といったオンラインサービスなどを利用することができます。
②署名用の電子証明書
上記「利用者証明用の電子証明書」が主に「ログイン」に利用されるものであるのに対し、署名用の電子証明書は「電子文書」への電子署名に用いられるとともに「電子文書」に付属することで、その文書は自分自身が作成したものに相違ないことを証明します。
マイナンバーカード取得時には、これらの証明書にそれぞれ「暗証番号」を設定することになります。暗証番号を忘れると確定申告もできませんので、しっかり管理しておきましょう。
もしかすると、「マイナンバー通知カードや個人番号通知書があればマイナンバーカードは不要では?」と思う方もいるかもしれません。
「マイナンバー通知カード(2020年5月25日廃止)」や「個人番号通知書」だけでも個人番号はわかりますが、お手持ちのものをご確認いただければわかるように、通知書はICチップなどがついたカードではありません。
電子証明書の機能などを含むことができないため、e-Taxでは利用できないのです。
マイナンバーカードってどう作るの?
マイナンバーカードは市町村の役所に申請して作成します。こちらの「マイナンバーカードの作り方を解説!パソコンやスマホから簡単申請」をご確認ください。
なお、申請から交付通知書の交付までは1ヶ月程かかります。そのうえで、市町村の役所で本人が交付を受けます。余裕を持って申請しましょう。
スマホでe-Taxする方法もある?
また、「スマホで確定申告が可能」といったことを耳にしたことがあるかと思います。
これは間違いではありませんが、スマホで可能な所得税の確定申告は、2020年12月現在、「給与所得」や「雑所得」、「一時所得」などに限られており、「事業所得」は除外されています。
医療費控除をしたり、雑所得の副業を持つサラリーマンなどが該当するものと考えましょう。
個人事業主の場合、申請する所得は「事業所得」であるため、現在スマホでのe-Taxは不可能ということになります。
一部の会計ソフトを利用すると「申告書の作成」のみは可能ですが、申告そのものはPCから行います。スマホでできる確定申告の範囲は徐々に増えていますので、将来的には可能になるかもしれません。
まとめ
e-Taxにより電子申告を行う際には、現在のところマイナンバーカードが「必須」というわけではありません。マイナンバーカードがなくても、e-Taxする方法はあります。
ただし、手元に他の電子証明書がない場合には、マイナンバーカードを用意したほうが、便利ですし、今後を考えても、ぜひこの機会に申請しましょう。
photo:Getty Images