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医療費控除とは?対象や書類の作成方法や申請手順、対象などのポイント

「医療費控除」とはどのような制度なのでしょうか。本記事では、所得税の確定申告で節税にもなる医療費控除とは何か、医療費控除を受ける方法、医療費控除の対象となる項目など、医療費控除に関連する情報をまとめました。

また、医療費控除の特例である「セルフメディケーション制度」を利用するための方法や、新型コロナウイルス感染症対策に関する医療費はどう処理するかについても解説しています。医療費控除にまつわる疑問を抱いている方は、ぜひご一読ください。

医療費控除とは?どんな費用が対象になる?

まず、「医療費控除」とはどんな制度なのか詳しく確認していきましょう。

(1)医療費控除とは?計算式は?

医療費控除とは、税制上の「所得控除」のひとつです。「一定額以上医療費に使った場合、課税所得から差し引ける制度」です。医療費の負担を「所得税を軽減すること」で軽くするわけです。所得税が下がれば、結果的には住民税も節税できますので、大きな節税効果を見込むことができます。

なお、控除される金額は次の通りです。

【医療費控除額の計算式】
医療費控除額 = 年間の医療費 - 保険金等で補填される金額 - 10万円※
※ただし、所得金額が200万円以下の場合は、所得金額×5%にて計算。所得に応じてより控除額が大きくなる仕組みです。

上記の計算による金額が、課税所得から差し引かれます。医療費控除額が所得税となる税金の額から差し引かれるわけではないためご注意ください。

(2)医療費控除を受けるには確定申告を行う必要がある

医療費控除を受けるには、所得税の確定申告が必要となります。これはあくまでも所得税を減らしたい人が行うもので、「必ず確定申告をしなければならない」というわけではありません。ですが、かかった医療費が高額な場合の節税効果は非常に大きいため、可能な限り実施することをおすすめします。

医療費控除の申請には、病院や店舗などの領収書やレシートをもとに作成した「医療費控除の明細書」が必要です。領収書やレシートは大切に保管しておきましょう。

なお、医療費控除は5年遡って実施することができます。もちろん、根拠となる医療費の領収証やレシートが必要となりますので、もし年内に申告しないとしても、期間分は念のために保管しておくことをおすすめします。後ほど登場する「医療費通知書」(組合や協会によっては「医療費のお知らせ」)についても同様です。

(3)どんなものが医療費控除の対象となる?

医療費控除の対象となるのは、次のようなものです。

  • 病院での一般的な治療費
    (健康診断、予防接種などは「治療」でないため除く。)
  • 歯の治療や歯科矯正
    (不正咬合の歯列矯正などが対象。「美容」に属するものは除く。)
  • 治療のための処方薬、市販薬
    (痒み止めや目薬、花粉症等で使用する点鼻薬は対象。健康増進目的のサプリや栄養剤、虫よけ、酔い止めなどは除く。)
  • 治療のための医療器具
    (松葉杖や補聴器、コルセット、医師が指示した器具などが対象。)
  • 通院のための本人と付き添い人の交通費
    (公共機関が対象。ただしタクシーなどを使わざるを得ない場合はこの限りでない。自家用車のガソリン代は対象外。)
  • 治療のためのマッサージ、はりなどにかかった費用
    (リラクゼーション目的など、治療のためでない場合は除く。)
  • 病人の付き添いを第三者に依頼した場合の謝礼
    (家族や親戚は除く。)
  • オンライン診療を受診した場合の診察料、システム利用料や、処方された医薬品費用
    (ただし、処方された医薬品の配送料は対象外。)

「治療目的」であることがポイントです。例えば、普段視力矯正のために使っているコンタクトレンズの購入代金は医療費控除の対象となりませんが、コンタクトレンズを利用した視力回復のための治療である「オルソケラトロジー(角膜矯正療法)」や、視力回復のための手術である「レーシック手術(視力回復レーザー手術)」は医療費控除の対象となります。

支払いを済ませた時に「これは医療費控除の対象になるのだろうか?」と疑問に思うものも、念のため保管しておきましょう。意外と対象になるものが多く、時間をかけて調べる価値があります。

また、税務署はこの件についての電話問い合わせも受け付けているため、金額が大きいものについては思い切って尋ねてみるのが得策です。最寄りの税務署に電話してみましょう。

その他、下記の関連記事でも細かな説明がありますのでご確認ください。

医療費控除の申請方法

先ほどもご説明したように、医療費控除を受けるためには、所得税の確定申告が必要です。給与所得者の場合でも、年末調整のみでは医療費控除を受けることはできないので注意しましょう。

(1)医療費控除を受ける際の必要書類

医療費控除を受ける際には、以下の書類が必要です。

①所得税の確定申告書(医療費控除に関する事項を記入して作成)
②源泉徴収票の原本(給与所得者の場合)※添付は、2019年4月以後の申告から不要
③医療費を確認できるもの(以下のどちらか1点)

  • 健康保険組合などが作成する「医療費通知書」(組合や協会によっては「医療費のお知らせ」)
  • 自分で作成した医療費の明細書(支払った医療費を一覧表にしたもの)

医療費の明細書

これらの書類を作成し、税務署に提出します。詳しくは下記の記事を参照してください。

(2)会社員の場合はスマホで医療費控除の申告ができる

「事業所得」がない場合は、スマホでも医療費控除の申告が可能です。会社員の方で、副業などで事業所得が発生しない場合は利用してみましょう。「雑所得」や2カ所から給与を受け取っている場合などの場合もスマホから医療費控除の申告で問題ありません。スマホからの確定申告は、下記の記事を参考にしてください。

(3) ふるさと納税のワンストップ特例は利用できないので注意

最近は多くの方々が「ふるさと納税」を利用しています。ふるさと納税の控除と医療費控除を併用する場合には、所得税の確定申告を行わなければならないので注意してください。

サラリーマンなどが利用できるふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を選択した場合でも、医療費控除で確定申告を行うと、ワンストップ特例制度による申請は「無効」となります。忘れずにふるさと納税の寄附金控除も一緒に所得税の確定申告を行ってください。

医療費控除とセルフメディケーション制度の違い

医療費控除の特例として設けられた「セルフメディケーション制度」(特定の医薬品購入額の所得控除制度)についてご説明します。

※なお、現時点ではあくまでも特例であるため、期間は2021年12月31日までと限定されています。「令和3年度与党税制改正大綱」においては制度を見直した上での5年間延長が盛り込まれており、情報は変更される可能性があるためご注意ください。

(1)自分はセルフメディケーション制度を使える?

セルフメディケーション制度を使うためには、下記の3つの条件を満たしている必要があります。

①申告者本人と生計を一にする家族で、年間合計1万2,000円を超えるOTC医薬品(薬局・薬店・ドラッグストアなどで処方せん無しに購入できる医薬品)を購入している
②「健康の保持増進及び疾病の予防への取組」を行っている
③医療費控除を利用していない(医療費控除との併用は不可)

セルフメディケーション制度は、特定のOTC医薬品購入額が世帯の合計で1万2,000円を超える場合、超えた金額を上限8万8,000円として所得控除できる制度です。「医療費はそんなに使っていない」という人も、ぜひ対象医薬品の支払金額を確認してみましょう。

また、セルフメディケーション制度を利用するには、②「健康の保持増進及び疾病の予防への取組」を行っている必要があります。定期健康診断やがん検診、予防接種などのことです。その証拠として「結果通知書」の提出が必要となりますので、ご注意ください。(この取り組みで生じた費用は控除計算に含むことができず、あくまでも特定のOTC医薬品購入に関する費用のみが対象です。)

(2)対象となる医薬品の品目は?

対象となる医療品については、厚生労働省のホームページで確認することができます。

対象品目一覧は比較的頻繁に更新されるため、対象でない医薬品のレシートも確定申告直前まで保管しておき、申請準備の際に確認すると「その時点での最大限の金額」で申請することができます。PDFデータやExcelデータでダウンロードできますので、検索してみましょう。

場合によっては、医療費控除よりもセルフメディケーション制度による控除のほうが、控除額が大きくなる可能性があります。ぜひ実際に控除額を算出し、比較してみてください。

新型コロナウイルス感染症関連の医療費について(2021年2月時点)

以降は、新型コロナウイルス感染症に関連して発生する医療費や、事業経費についてご説明します。

(1)医師などの判断によるPCR検査の費用は公費

新型コロナウイルス感染症の感染確認のために行われる「PCR検査」(Polymerase Chain Reaction=ポリメラーゼ連鎖反応)ですが、「医師などの判断により実施されるもの」については、現在のところ公費でまかなわれています。つまり、自己負担はありません。

(2)自己判断によるPCR検査の費用は自費

ただし、「自己判断」でPCR検査を受けた場合、自費での支払いになる点はご注意ください。その結果により、医療費控除の対象となるかどうかは異なります。

  • 陰性だった場合
    医療費控除の対象となりません。健康診断と同じ考え方で、治療の一環ではないからです。
  • 陽性だった場合
    治療の一環となるため、医療費控除の対象となります。

仕事の上でPCR検査をしなければならない場合は……?

業務上、PCR検査が必要と認められる場合も自己負担(医療控除の対象外)となりますが、所得税の確定申告の際には経費として計上することが可能です。「陰性証明書発行」の費用についても同様と考えましょう。なお、「入院中発生する事業関連経費」は事業継続中であるため当然経費となります。ポイントは「仕事を行うために利用したかどうか」です。

(3)事業経費になる新型コロナウイルス感染症対策

事業を行う上で新型コロナウイルス感染症対策を行った場合、その費用は確定申告の際に経費として計上することができます。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • マスク、フェイスガード
  • 店舗入場者が利用する体温計、サーモカメラなど
  • アルコールなどの消毒液、消毒液の入れ物、消毒液拭き取りに使うペーパーなど
  • 飛沫感染防止のためのアクリル板や透明フィルム、ビニルカーテンなど
  • 新型コロナウイルス感染症対策について告知するちらしや冊子の印刷費など

明確に「事業を行う上で必要なものである」と言える出費であれば、経費にできると考えましょう。

まとめ

医療にはお金がかかり、健康を維持しようと思う場合にもやはり一定のお金がかかります。2020年からは新型コロナウイルス感染症対策が必要となり、より多くの負担を強いられるようにもなりました。

「自分は健康だから問題ない」と思っていても、医療費や医薬品はどのようなタイミングでどれだけかかるかは誰にもわかりません。控除額を大きくするためには「医療費や医薬品購入額の合算」が大きいほうが有利ですので、日頃から「自分や家族の治療」に関する領収書・レシートは、基本的に「すべて」を保存しておく習慣をつけましょう。

なお、医療費控除以外の控除もたくさんありますので、この際に併せて確認してみてください。節税はまず「どんな制度があるかを知ること」から始まります。

photo:Getty Images

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