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確定申告のリアルな謎に税理士が解答!

個人事業主やフリーランスの方は、毎年さまざまな悩みや疑問を抱えながら確定申告の作業をしているのではないでしょうか。確定申告には用語がたくさんあり、理解するのもたいへん。自分が適用すべきケースも多様で、謎は深まるばかりです。

本記事では実際に個人事業主やフリーランスの方々が直面したリアルな謎を31個集め、税理士の渋田貴正先生に解答していただきました。

お知らせ

※2022年(令和4年)度の雇用保険は、2段階更新です。詳細は、「【2022年度の雇用保険は2段階更新!】労働保険とは?制度と年度更新について解説」を参照ください。

目次

渋田貴正先生

スモビバ!でおなじみの渋田貴正先生。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント(R)。1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。
V-Spirits

青色申告の謎。本当にメリットある?

個人事業主やフリーランスの所得税の確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告にすれば、節税効果が高いことをなんとなく知ってはいても、「そもそも青色申告ってメリットある?」「青色申告はたいへんそうだし、白色申告で……」「売上が少ないしなぁ」などといった疑問や不安もあるでしょう。

渋田先生に青色申告のメリットに答えていただき、青色申告に対する不安も解消していただきましょう!

Q1:そもそも青色申告のメリットって何ですか?

青色申告のメリットとしてまず挙げられるのが、青色申告特別控除です。経費とは別に青色申告をしたこと自体に対して、最大で65万円の控除が受けられます。お金を使っていなくても青色申告をするだけで支払う税金を減らすことができるということです。

青色申告特別控除のほかには、赤字を3年間繰り越して黒字と相殺できる「純損失の繰越控除」や、取得価額が30万円未満の固定資産をその年に経費化できる「少額減価償却資産の特例」なども活用できます。

青色申告は白色申告に比べれば、経理処理の手間がかかりますが、その苦労に見合ったメリットもあるということです。

Q2:「売上が少ない」「事業規模が小さい」……それでも青色申告がオススメですか?

青色申告は、規模が小さい個人事業主にもぜひ活用してほしい制度です。というのも、規模が小さければ会計処理もそれほど複雑ではないはずで、青色申告もやりやすいからです。しかも、売上規模が小さくても、青色申告特別控除は適用できます。

また開業したてなど事業で何かとお金が必要で赤字になっても、青色申告なら赤字を3年繰り越して、翌年以降以降の黒字と相殺できるので節税にもなり、安心して事業を継続できるのです。

青色申告を行うには、簿記のルールに沿って行わなければいけませんが、実は、一般に思われている青色申告=複式簿記だけではなく、簡易簿記で行える青色申告もあります。簡易簿記の方法であれば、特別控除は最大10万円になりますが、白色申告とやるべきことはそれほど変わらないです。

むしろ事業が拡大したときにいきなり青色申告に移行するよりも、事業規模が小さいうちに青色申告に慣れておいたほうがのちのちのためにもよいのではないでしょうか。

Q3:青色申告にすると税務調査が来るんじゃないかとこわいのですが……。

そんなことはないでしょう。青色申告と白色申告の違いは、経理をしっかり行っているかどうかという点です。

同じような業種で500万円の利益の確定申告書が提出されたとして、青色申告か白色申告かどちらに信ぴょう性があるでしょうか?答えはもちろん青色申告です。では、税務調査に入るならどちらでしょうか?それは、数字が正確なのか確かめる意味でも白色申告のほうですよね。

税務調査に関しては、そもそも青色申告を行っている事業者の方が白色申告事業者に比べて母数が大きく、結果的に税務調査の対象となるケースが多いということです。青色申告にすると税務調査が来やすいというのではありません。

Q4:まずは作業負担が少なそうな「青色申告の簡易帳簿(簡易簿記)」から始めようかと思います。その場合、白色申告と比較してメリットはどちらが大きいのでしょう?

青色申告をするには、簿記のルールに従って記帳する必要があります。忙しい個人事業主にとっては会計ソフトの導入は必須だと思ってよいでしょう。会計ソフトの導入には年間で1万円ほどはかかります。

一方、簡易簿記の方法でも10万円の青色申告特別控除は受けられます。青色申告特別控除を引いた後も黒字なのであれば、ソフトの利用コストを引いても簡易簿記の方法で青色申告を行ったほうがお得になるでしょう。

青色申告なら赤字で特別控除が適用にならなくても、翌年から3年間赤字を繰越しができるので、翌年以降の黒字と相殺することで結果的に節税になります。

ちなみに簡易簿記の青色申告の場合、青色申告決算書の貸借対照表の提出は不要なので、白色申告の収支内訳書とほぼ変わりはなくても10万円の特別控除をはじめ、青色申告の特典は使えるのです。

それでも、白色申告のほうにメリットがあるとすれば、青色申告よりも帳簿の作成が簡単なので、確定申告に充てる時間が少なくなるということでしょうか。

Q5:青色申告の複式簿記での帳簿の付け方を勉強する自信がありません。この先もずっと「青色申告の簡易帳簿(簡易簿記)」のままでも問題はないでしょうか?

青色申告で、特別控除55万円(もしくは65万円)の控除を受けるには、いわゆる複式簿記によって記帳をしなければいけません。

しかし、おっしゃる通り、無理に55万円(もしくは65万円)の控除を受けようとしなくても、簿記の知識が必要な複式簿記が難しいというケースでは、そのまま簡易簿記でもよいかと思います。

本業が忙しい中で、経理を複雑にしようとすれば、どんどん後回しになってしまって、申告期限に間に合わないということにもなりかねません。

いずれ税理士に依頼すれば、55万円(もしくは65万円)の控除が適用になるでしょうし、ご自身でやっている間はできる範囲で記帳を行えばよいと思います。

どうして忘れちゃうか謎!確定申告で抜けがち、忘れがちなポイントって?

所得税の確定申告では、「うっかり記載漏れをしてしまった」「控除の対象になるなんて知らなかった」ということも。ただ、事前に知っておくことで、抜け漏れを防ぐことができるはず。渋田先生におさえるべきポイントを教えてもらいましょう。

Q6:個人事業主が確定申告の際につい忘れがちなことは?

最も多いのは所得控除関係でしょう。例えば、国民年金保険料や医療費で家族分も負担しているのに、自分の分しか含めないといったことや、両親も扶養しているのに扶養控除に含めていない場合です。

忘れているときもあれば、そもそもそうしたことができると知らないというケースもあります。税金を払いすぎないためにも、活用できる制度はしっかりと活用していきたいですね。

Q7:渋田先生が確定申告の対応をするときに、よく見る抜け漏れは?

最も多いのは所得控除の抜け漏れですが、源泉徴収されているのに、その分を引かずに申告してしまうケースがよくあります。

源泉徴収となると、自ら気づくしかありません。1月に取引先から送付される支払調書で確認することもできますが、すべての取引先から支払調書が来ているとは限りません。支払調書は支払先への発行は義務ではないため、発行しない企業もあります。請求額と入金額の差額を確認するなど、日々の経理業務が重要ということです。

請求書や振込金額などから、源泉徴収されている取引であったかを確認して、源泉徴収税額を計算しましょう。そして、忘れずに申告に含めましょう。詳しくは次の記事をチェックしましょう。

その他には、予定納税をしているケースで、予定納税が抜けている場合ですね。予定納税であれば、漏れてしまったとしても、税務署側で把握できるので、後日その分の還付が行われます。

謎だらけの家事按分。計算方法は?計上できるケースは?

自宅兼事務所のように、プライベートと事業の経費が混在している場合に、費用を合理的な基準で分けることを家事按分といいます。その計算方法に自信がなかったり、家事按分として計上していいのかわからなかったりする方もいるでしょう。また、自宅で仕事をする機会が増えた場合、家事按分の計上を増やしていいのか……。

渋田先生に回答していただきます。

Q8:自分の家事按分の方法に自信がありません。もしかしたらもっと家事按分できるのではと不安です。はっきりした按分の基準について教えてください。

家事按分は、実態に即していれば、按分の割合に上限などがあるわけではありません。例えば50㎡の部屋に住んでいて、生活スペースは15㎡で、あとは仕事で使っているという場合は、7割が事業使用割合となります。

割合に基準はありませんが、分割の方法は「合理的」である必要があります。家賃や光熱費であれば床面積、Wi-Fiなどの通信費であれば利用割合など、自分で按分基準を決めて、その通りに行えば、事業に偏ったとしても実態に即している限り問題ありません。

Q9:自宅での仕事が増えた場合、光熱費にネット利用料など、家事按分も増やしていいのでしょうか?

青色申告であれば、自分で基準を作って、その通りに家事按分をしておけばよいでしょう。

例えば光熱費なら自宅面積のうち仕事に使っている割合を、ネット利用料なら1日のうち自宅で仕事をしている時間に応じて、といった感じです。ただし、ネット利用料などで、仕事以外には一切使っていないということであれば、全額経費計上しても問題ありません。

さらに按分基準自体が変わることもあります。例えばオンラインレッスンを始めた場合、床面積で按分していたなら、オンラインレッスンのためのスペース確保で事業用床面積が増えるかもしれません。あるいは家での仕事時間で按分していれば、当然自宅ワークが多くなることで増加するでしょう。家事按分の割合については、状況に応じて随時見直して問題ありません。

また、白色申告の場合は、事業割合が50%を超えないと家事按分を認めないという規定が所得税法上で存在します。しかし、いわゆる通達という国税庁のお達しで、50%に満たなくても、しっかりと区分できるのであれば経費計上して構わないということがいわれています。結局のところ、青色申告でも白色申告でも家事関連費の扱いは変わらないということですね。

Q10:自宅兼事務所を2カ所設けています。どちらも家事按分して経費計上できますか?

生活拠点が2カ所あって、どちらでも仕事を行っているということでしょうか。その場合は、いずれの場所でも、経費計上可能です。実態に応じて、家事按分の比率をそれぞれ別に設定することも問題ありません。

Q11:車を購入し、プライベートと仕事の使用割合が3:1くらいです。この場合の家事按分の考え方や計上方法について教えてください。

車の場合は、ガソリンなどの維持費と本体の2つの視点で考えましょう。

まず維持費に関しては、使った金額をそのまま使用割合で按分すればよいでしょう。3:1で使っているなら、ガソリンも3:1で消費することになりますので、実態とも合っています。コインパーキングのように目的があって利用するものは、そのときの目的が仕事であれば、経費計上するかたちです。

また、車の本体部分は固定資産となります。取得価額が10万円未満であれば消耗品費となりますが、通常は10万円以上だと思うので固定資産となります。

このとき注意するのが、取得価額です。取得価額は家事按分する前の金額で計上します。200万円で買った車であれば200万円です。按分した50万円ではありません。そして減価償却費の計上の際に、3:1で按分することになります。

このケースでは取得価額を按分して減価償却を計上しても、按分前で計上してから減価償却費を按分しても、経費計上する減価償却費の金額には影響がありません。しかし、少額減価償却資産の特例を利用する際など、取得価額で判定する制度を使う際に問題になります。30万円未満などの金額の判定は按分前のもともとの取得価額をベースに判定しますので、注意が必要です。

この減価償却どうやるの?本当に節税できている?

効果的な節税を行うには欠かせない「減価償却」。ただ、資産の内容によって異なり、方法も一通りではないため、「この場合はどうするの?」「本当に節税になっているの?」という謎も……。渋田先生に解答していただきましょう。

Q12:減価償却中の資産(30万円未満)を、白色申告から青色申告へ変更したタイミングで一括償却に変更しても問題ありませんか?

30万円未満の少額減価償却資産の特例は、その固定資産を取得した年に全額を減価償却する必要があります。青色申告に切り替えるタイミングで未償却の残額を全額償却できるわけではありません。

一旦、白色申告の年に通常の減価償却を行った以上、そのあとで青色申告に切り替えても、通常の償却方法のままということになります。

Q13:「どうせ税金で取られるなら、売上が多い年はパソコンなど仕事で使うものを買い替える」は本当にお得な方法なのでしょうか?

所得税は、所得が高いほどに税率が上がる累進課税制度を採っています。そのため、売上が多く事業所得も多く出そうな年に、パソコンの買い替えなどを行って必要経費に計上できれば、事業所得が少ない年に同じことを行うよりも税金面でお得になります。

ただし、10万円以上の固定資産であれば、青色申告による30万円未満の少額減価償却資産の特例などを活用できる場合などに限って有効な方法です。それ以外の固定資産だと通常の減価償却になりますので、年末に急いで固定資産を購入しても、購入した代金のほとんどは、その次の年以降に減価償却費として計上されるため、思ったような効果は得られないこともあります。

Q14:「中古で購入した固定資産は、金額を問わず最短1年で減価償却できる」は本当ですか?

こちら、本当です。中古の固定資産については、残りの耐用年数の見積もりが困難であれば、(法定耐用年数-経過年数×0.8)(ただし最低2年)で耐用年数を計算します。

耐用年数が、計算の結果2年になった場合、定率法では償却率が100%になりますので、購入した年に一括で経費計上ができるようになります。一方、定額法では2年に分けて償却をすることになります。

ちなみに個人事業主の場合は、定額法が所得税で定められた償却方法です。税務署に届け出を行うことで個人事業主でも、定率法での償却ができます。定率法を使うことで購入した年に全額減価償却ということも可能になります。減価償却方法の選択の届け出を行わなければ、中古資産でも最低2年間に分けて減価償却することになります。

定率法を選択する場合は、その年分の確定申告期限までに管轄の税務署に、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出します。選択は車両や工具器具備品といった資産のカテゴリ単位で選択できます。一度選択すると、改めて届け出しない限りはその償却方法を適用する必要があります。

ワーケーションにクラウドファンディング……経費や所得のニューノーマル

ワーケーションにクラウドファンディング......経費や所得のニューノーマル

コロナ禍で、個人事業主やフリーランスの中には、業務委託先での仕事が在宅になり、光熱費にネット利用料の家事按分について気になる方もいるでしょう。その場合、この記事の「Q9:自宅での仕事が増えた場合、光熱費にネット利用料など、家事按分も増やしていいのでしょうか?」にて詳しく説明していますので、ご覧ください。

ワーケーションやオンライン飲み会、リモートワークに関連する個人事業主の経費、クラウドファンディングといった新しい資金調達方々で集まったお金の計上方法について、渋田先生に聞いてみましょう。

Q15:ワーケーションの費用は経費計上できるのでしょうか?

コロナ下でワーケーションは注目を浴びていますね。個人事業主の中にも利用している方は多いのではないでしょうか? ワーケーションにかかる費用についても交通費や滞在費のようにさまざまです。家事関連費のように、按分計算を行うことになるでしょう。

例えば7泊の滞在のうちずっと仕事をしているわけではなく、半分仕事、半分レジャーという場合には、滞在費や交通費のうち、半分だけを経費として計上することになります。また、家族同伴で行った場合は、家族分まで経費で落とすことはできないということは当然です。

Q16:仕事上の付き合いのある方とのオンライン飲み会。購入したお酒やおつまみは経費計上できますか?

この場合、お店で飲食したのと変わらないですし、仕事上の付き合いの人とのオンライン飲み会の費用は経費計上しても差し支えないです。ただ、オンライン飲み会とは関係ない食材などと合わせて購入した場合は、その分を除いて計上することに注意しておきましょう。

Q17:クラウドファンディングでお金を集めました。これは事業所得の扱いでOKでしょうか?

クラウドファンディングには、お金を受け取る対価としてモノやサービスを提供する購入型や、対価として配当や利子の支払いを行う投資型があります。今回は購入型を前提に回答します。

クラウドファンディングで得たお金については、事業の一環として行ったのであれば事業所得、そうではなく単発のイベントなど一時的なものであれば雑所得として、確定申告を行う必要があります。

ただ、購入型の場合、そのあとにモノやサービスを提供する必要があるので、お金が集まった時点では、単に商品代金を前もって受け取っただけということ。そのため、収益として確定申告するのは、対価であるモノやサービスを提供したタイミングになります。

ただし、モノやサービスの提供と伴わないケース(寄付型)の場合は、お金をもらったことになるので、所得税ではなく贈与税の対象となります。

まだまだ謎だらけ!確定申告の気になるあれこれ

「本当に節税になっているの?」「そもそも確定申告をもっと楽にできないんだろうか」などなど、個人事業主やフリーランスの確定申告への謎はまだまだたくさんあります。引き続き、渋田先生に解答していただきましょう。

Q18:確定申告時に知っておくといい節税対策はありますか?ふるさと納税などの節税対策をしているつもりなのに節税の実感がありません……。

個人事業主の節税といえば、まず検討するのが小規模企業共済や個人型確定拠出年金、いわゆるiDeCo(イデコ)ですね。これらは所得控除の一種で、外部に拠出した金額が全額所得控除の対象となります。外部にお金を積み立てることで、所得税や住民税の納税額を減らすことができ、オススメの制度です。

また、ふるさと納税自体は節税ではありません。基本的には、寄付した金額から2,000円を差し引いた金額を所得税や住民税の納税額から引くことができるのが、ふるさと納税の制度です。返礼品を選択した場合は手元に品物などが残りますが、払ったトータルのお金はほぼ変わらないことになります。

Q19:確定申告書の控えなどは何年分を保管しておくべき?

個人事業主が所得税の確定申告書の作成のために作った書類は、所得税法で保存期間が決まっています。

1)7年間保管するもの

  • 確定申告関係書類(確定申告書、決算書など)
  • 請求書、領収書、レシート、通帳などの口座取引履歴といった会計処理の直接の証憑となる書類
  • その他作成した会計帳簿(総勘定元帳、仕訳帳など)

2)5年間保管するもの

  • 納品書、見積書、注文書など
  • 直接会計処理に使うわけではないが、付属書類として相手先とやり取りした書類

青色申告

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 7年(※)
その他の書類 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

※前々年分所得が300万円以下の方は、5年

白色申告

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法廷帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年
書類 決算に関係して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

Q20:夫婦ふたりとも個人事業主で青色申告をしていました。でも、不景気などで自分の収入がほとんど消滅した年、夫と事業を統合して連名で確定申告することはできますか?

確定申告は個人単位で行いますので、連名ということはできません。今回のケースでは、ご主人がいずれの事業においても個人事業主としての経営者となって、奥様がご主人の事業を手伝う青色事業専従者として税務署に届け出を行って給与を受け取るかたちであれば可能です。

この場合は、奥様が受け取る青色事業専従者給与は給与所得となって、年末調整が必要になります。それまで奥様が行っていた確定申告の代わりに、ご主人が奥様の年末調整を行って、確定申告の代わりにするということです。

ただし、奥様が青色事業専従者である間は、ご主人の事業所得の見込み額次第ですが、青色事業専従者給与を取るか、配偶者控除を取るかを選択することになります。基本的にはご主人の事業所得が多くなるほどに、配偶者控除を受けずに青色事業専従者給与を取ったほうが有利になっていきます。

Q21:これまで「現金主義」でやってきたのですが、帳簿付けは「発生主義」が原則だと最近初めて知りました。2020年分の青色申告から発生主義に変えても問題ないでしょうか。

現金主義とは現金や預金の動きに合わせて記帳を行うものです。お金の入金をもって売上、支払いをもって費用で計上するということですね。一方の発生主義は、モノの納品を受けたり、サービスの提供を受けたりしたときに計上することをいいます。発生主義が原則なので、むしろ今すぐにでも発生主義の記帳方法に変えましょう。

現金主義は例外的で、2年前の事業所得と不動産所得の合計額が300万円以下であって、かつ税務署に届け出を出した場合のみ選択可能となります。この手続きを取っていない場合は、原則の発生主義で記帳を行うことが必須です。

Q22:イラストの代理販売サイトでイラストを販売しています。「事業収益(営業費)」と「雑所得」の基準は何でしょう?また、海外企業のサイトで販売し、海外から送金された場合も、収益として申告する必要がありますか。

イラストの代理販売サイトでイラストを販売している場合、それを本業として継続的に行っていれば「事業所得」として申告することになります。ほかに会社員などで本業があって、副業としてあいた時間にやっているようなケースでは、「雑所得」として申告しておけばよいでしょう。

本業の基準は明確ではありませんが、単発的ではなく、継続してその業務から収入を得ているのであれば、本業ととらえてよいでしょう。

もちろんダブルワークも当たり前の時代ですので、会社員の傍ら、それと同じレベルで継続的にコンテンツ配信もやっていて、それだけでも食べていけるというのであれば、事業所得に該当してくると考えられます。

海外のサイトからの入金であっても、配信を国内から行っていれば日本で得た所得として確定申告が必要です。

Q23:個人事業主が外注した場合の税務処理はどのように行いますか?気をつけるポイントについて教えてください。

個人事業主が別の人に仕事を依頼した場合には、単純に「外注費」として経費計上すれば問題ありません。相手が個人事業主であれば、依頼した仕事の内容によっては、源泉徴収をする必要があります。(デザイン業務や原稿の作成業務など)

ただし、もし自分一人で仕事を行っていて従業員の雇用がなければ、依頼先が個人事業主だったとしても、源泉徴収の必要はありません。

Q24:取引先の企業から「支払調書の発行義務はない」ので送付しないと聞きました。これから支払調書はどんどん発行されなくなるのでしょうか。

支払調書はそもそも税務署に提出するための書類なので、支払先の個人事業主に交付する義務は企業側にはありません。

いくら源泉徴収されているのかということ自体は、しっかりと帳簿付けしていれば請求額と振り込まれた金額の差額から判断できます。源泉徴収の計算式自体も単純なので、差額があれば源泉徴収された金額かどうか容易に判断できるはずです。

支払調書の発行は企業側にとってもサービスの一環なので、もし交付が行われなかったとしても源泉徴収された金額を自分で集計できるように、記帳をしっかりと行っておきましょう。

Q25:親が経営を行っていた不動産(アパート賃借)を昨年相続しました。確定申告する場合の注意点について教えてください。

まずは相続が発生した年の準確定申告を済ませましょう。その上で、準確定申告の情報をもとに自分の確定申告を行います。

事業所得と不動産所得の決算書は別々の用紙になっているので、個別に作成していくことになります。事業所得については例年通り決算書を作成すれば問題ありません。不動産所得については、特に減価償却に注意しましょう。相続の場合は、不動産の取得価額を引き継ぐことになります。準確定申告書に載っている取得価額や耐用年数を引き継いで、確定申告書を作成することになります。

Q26:事務所を移転して届出を出しましたが、元の税務署から「今年は確定申告されていないので、全額収入として計算する」といった内容の手紙が届きました。何がいけなかったのかでしょうか。

もともと事務所を納税地としていて、事務所移転に伴って、納税地の異動の届け出を行ったということでしょうか。

その場合は、通常は提出した日以後に納税地が変わりますので、ご質問のようなことは起こらないはずです。もしかしたら、事務所ではなく、ご自宅が納税地となっていることなどが原因として考えられます。

いずれにしても、管轄違いとはいえ、確定申告書を提出していれば税務署間での転送もしてくれます。もしお手元に提出した届出書の控えがあれば、まずはそれをもって、税務署に電話などで確認を取ってみるのがよいでしょう。

Q27:「年収が1,000万円を超えなければ税務調査は入らない」という話を聞いたことがありますが、本当でしょうか?

そうとは言い切れません。税務調査にはいろいろなパターンがありますが、中でも多いのが仕事場や自宅に税務署職員が来て調査を行う実地調査です。確かに、このパターンはそれなりの規模がある事業所に入ることが多いです。

ただし、例えばある会社に実地調査で入って、ある個人事業主との取引を見つけた場合、その個人事業主が所得税の確定申告していなさそうであれば、その個人事業主に文書などで照会が行われることはあります。これを反面調査といいます。文書での照会であれば、簡単に行えますので、税務署としても規模を問わず行えます。

また、毎年税務署に提出される法定調書という書類の情報からも、申告状況の確認が行われることがあります。実地に来ないとしても、規模を問わず文書などでの調査は行われるケースがあるということです。この場合は、場合によっては税務署ではなくお住まいの自治体の住民税課から連絡が来ることもあります。

Q28:確定申告の作業量が多くて負担です。もっと楽に簡略化できないでしょうか?

忙しい個人事業主にとって、確定申告の作業は一苦労です。特に日々忙しくしていれば、どうしても記帳作業は後回しになって、1月や2月になってから慌てて行うということもあり得ます。

できる限りこうした負担は減らしていきたいものですね。今では会計ソフトも便利になって、銀行の取引情報を自動で取り込んだり、レシート類をスキャンで取り込んだりと、作業負担を減らすための機能が付加されているものもあります。

確定申告の手間を考えれば、会計ソフトの導入は必須といえます。会計ソフトは、常日頃から利用しておくと便利なだけでなく、所得税の確定申告シーズンにまとめて作業を行う場合でも省力化できるように考慮されています。あとは、その機能を活用して、できる限り作業時間を減らしていく工夫を行いましょう。

ほかに、手間の軽減という意味であれば、税理士にお願いすることも検討しましょう。事務所によりますが、レシートや請求書などを送れば入力を行ってくれるサービス(記帳代行サービス)を行っている事務所もあります。正確な納税額の計算や時間の節約にもつながります。自分でやるより、費用は掛かりますので、まずは見積もりを取ってみるのもよいでしょう。

2020年分の確定申告ならでは?新型コロナウイルス関連の謎

新型コロナウイルス感染症対応のため、2020年分の所得税の確定申告について、これまでとは異なる疑問やお悩みがある方も多いでしょう。渋田先生に2020年分の確定申告でコロナ期間に関係する経費や税金・申告の疑問を聞いてみました。

Q29:2020年分の確定申告ならではの気をつけておくべきポイントは?

まずは、確定申告期限の延長が行われています。2019年分もそうでしたが、所得税の確定申告期限が3月15日から一か月延びて、2021年4月15日(木)になっています。

また、持続化給付金や家賃支援給付金を受給している場合は、忘れずに雑収入として申告を行いましょう。課税事業者の場合、いずれも課税処理は不要です。ちなみに、10万円の定額給付金は申告の必要はありません。

Q30:青色申告を始めたいのですが、「新型コロナウイルスの影響で2020年3月中に青色申告承認申請書が出せなかった」という経緯であれば、申請は認められるのでしょうか。

本来は、青色申告承認申請書は、受けようとする年の3月15日、つまり2020年分であれば、2020年3月15日までに管轄の税務署に提出しておく必要があります。

やむをえない事情があればこの期間のあとでも申請が認められます。やむをえない事情には新型コロナウイルスの影響も含まれます。

ただし、例えば2019年分の確定申告書はすでに提出しているにもかかわらず、青色申告承認申請書をそのあとに提出するというようなことは、やむをえない事情があったとは認められません。確定申告書を提出できたということは、同時に青色申告承認申請書も提出できたはずだ、ということです。

Q31:コロナ禍の影響で税金を延納したいです。延納や分割納付するにはどういう手続きを取ればいいのでしょうか。

所得税は、納期限までに半分以上を納付することで、残額の納期限を5月末まで延長する延納という制度があります。もし、これ以上に分割で納付したい場合は、税務署に個別に相談しましょう。正式な手続きではないので、応じてくれるかどうか含めて税務署に任せることになります。もちろん、その分延滞税なども取られます。

また、納税を先延ばしする方法として、振替納税(自動引き落とし)や、クレジットカード払いという選択肢もあります。振替納税であれば、税目にもよりますが、およそ40日~1か月半くらいは納税を先延ばしにできます。

クレジットカードも、カード決済をしてから引き落としされるまでの期間を先延ばしできます。ただし、クレジットカードで税金を納付する場合は決済手数料として、税金本体以外にもお金がかかります。

ちなみに、新型コロナウイルスの影響で認められていた2019年分の税金の納税猶予は2021年2月1日で終了しています。

いかがだったでしょうか。確定申告に関する謎について答えてきました。ぜひ確定申告の際に参考にしてみてください。

photo:Getty Images

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