確定申告で家族のマイナンバーも記載すべきか?

マイナンバーは個人情報なため、管理が大変という印象を持っている方も多いはずです。それでは例えば、家庭内で主導権を握る人に家族全員分のマイナンバーの管理を任せてもよいのでしょうか。また、事業に家族がかかわっている場合はどうでしょうか。
そこで今回は家族のマイナンバーについて解説します。
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目次
- POINT
-
- 通知カードは1世帯分がまとめて届く
- 確定申告では、専従者のマイナンバーも必要
- 従業員の扶養家族については本人確認までしなくてもOK
家族のマイナンバーを世帯主が保管してもよいの?
2015年(平成27)10月以降、住民票を持つ国民に12桁のマイナンバー(個人番号)が割り当てられ、通知カードが郵送されます。そのこと自体はようやく理解が進んできましたが、個人宛に送付されると誤解している人もかなり見受けられます。
マイナンバーは個人に割り振られる番号ですが、それを知らせる「通知カード」は個人個人に送られてくるものではありません。世帯主宛に一世帯分がまとめて送られてくることになります。例えば、両親と子供3人の世帯の場合は、世帯主宛に5名分の通知カードが送られてくるということです。
(※)2020年5月25日をもって、通知カードの新規発行が廃止となりました。詳しくはこちらの記事で説明しています。(スモビバ!編集部追記)
・マイナンバー通知カードが廃止に。もう使えなくなる?確定申告への影響は?
そのため、同一世帯内でのマイナンバーの提供は差し支えありません。社会保険の手続きでは扶養家族のマイナンバーも必要になりますし、小さな子どもの場合は自分でマイナンバーを管理することはできませんからね。
便宜上、世帯主が家族のマイナンバーを保管することは、情報の漏洩を防ぐ意味でも、適した管理方法の一つだと言えそうです。
確定申告では家族のマイナンバーも記載すべき?
個人事業者のなかには、自分の妻や子どもを青色事業専従者にして、事業をサポートしてもらっている人もいることでしょう。その節税効果については、「しらぬが損!奥さんに給料払って節税できる?専従者控除を活用しよう!」で述べられている通りです。
それでは、確定申告を行うにあたって、専従者のマイナンバーも記載しなければならなくなるのでしょうか。
答えは、イエスです。
「所得税の確定申告書B」には、納税者本人のマイナンバーを記載する欄が追加されているだけでなく、控除対象配偶者や扶養親族、事業専従者の「個人番号」欄も追加されています。
納税者本人については、本人確認のために「個人番号カードの写し」もしくは「納税者本人の通知カードの写し及び免許証などの写真付身分証明書の写し」の書類添付を行う必要があります。ただし、控除対象配偶者や扶養親族、事業専従者についてはこれらの書類は不要です。
その代わりに、納税者本人が控除対象配偶者や扶養親族、事業専従者のマイナンバーを確認しなければなりません。この点でも、世帯主は家族のマイナンバーを管理しておいたほうが、効率的に確認することができそうです。
従業員の扶養家族のマイナンバーはどうやって確認する?
個人事業主であっても、従業員を雇用している場合はそのマイナンバーを取得して適切に管理していくことになります。
取得の際には、事業主が従業員の本人確認を行わなければならず、「個人番号カード」か「通知カードと運転免許証など」、もしくは「個人番号の記載された住民票の写しなどと運転免許証など」を提示してもらうことになります。
しかし、給与所得の源泉徴収票や退職所得の源泉徴収票などを税務署に提出する場合、従業員の扶養親族のマイナンバーを記載しなければなりません。
その場合、扶養親族の本人確認も事業者が行わなければならないのでしょうか。
答えはノーです。
従業員の扶養家族の場合、基本的には従業員が本人確認をすることが認められています。この場合は、従業員が「個人番号関係事務実施者」として、扶養家族の本人確認を行うという理屈になります。
ただし、国民年金の第3号被保険者の届出の場合は、従業員の配偶者(第3号被保険者)本人が事業主に対して届出を行うため、事業主がその配偶者の本人確認を行わなければなりません。
しかしそのケースでも、配偶者からマイナンバーの提供を受けて、本人確認を行う事務を事業者が従業員に委託する方法があります。実質的に、従業員の扶養家族のマイナンバーについては事業者が本人確認まではしなくてもよいといえるでしょう。
以上、家族のマイナンバーにまつわる疑問について、調べてみました。
マイナンバー制度の実施にあたって、これからもさまざまな疑問が出てくることでしょう。今後も、マイナンバーについての「こういう場合はどうするの?」を確認していきたいと思います。
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photo:Thinkstock / Getty Images