もしも仕事ができなくなったら……個人事業主の保険・補償制度
もしも大病や大ケガに見舞われて、仕事ができなくなってしまったら……。個人事業主にとって、それが最大のリスクといえます。そのリスク対策のためにも、国民健康保険はもちろん、傷病時に手当金を受け取れる民間保険や共済プランも検討したいところです。今回は、個人事業主の保険・補償制度についてまとめてみました。
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目次
- POINT
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- 国民健康保険には傷病手当がない!
- 医療保険や共済プランも検討しよう
- 国保組合に加入するという選択肢もある
国民健康保険の傷病手当金は”任意給付”
世界保健機構(WHO)の調査によれば、最新の日本人平均寿命は「83.7歳」だそうです。少子高齢化もどんどん加速していくなか、個人事業主がいつまでも現役バリバリで仕事をこなしていくには健康管理が欠かせません。病気・ケガで長期間仕事ができなくなる不安と戦うのも、個人事業主の宿命とも言えます。
個人事業主には、国民健康保険に加入されている方が多いと思いますが、国民健康保険において傷病手当金の給付は「法定必須給付」ではなく「任意給付」として扱われます。そのため、傷病手当金や見舞金などの給付は、残念ながらほとんど期待できません。
これが会社員であれば、会社で加入する健康保険の制度より傷病手当金の給付を受けられます。「労務不能なとき」「4日以上仕事を休んでいるとき」など、最長1年6ヵ月のあいだ「標準報酬月額の3分の2」の給付を受けることができる制度です。しかも保険料は会社と従業員の折半で、保険料の負担も抑えられます。なんともうらやましいかぎりですが、こればかりはどうすることもできません。
月額2,000円で加入できる共済プランもある
となれば、国保だけで健康管理をしていくことにはいささか不安が残りますよね。国民健康保険でカバーすることができない分、個人事業主は何か別の方策で、病気やケガに見舞われたときのリスク対策をしなければいけないといえるでしょう。
その1つとして、医療補償・入院補償の受けられる民間保険、もしくは、個人事業主が加入できる共済プランへ加入しておく、という方法があります。
共済プランとしては、たとえば「一般財団法人あんしん財団」があります。月額2,000円の会費で万が一の「ケガの補償」が受けられるプランです。病気は補償の対象外となりますが、ケガによる死亡で2,000万円(80歳未満)、入院保険金として1日につき6,000円、通院保険金として1日につき2,000円、往診保険金として1日につき4,000円の補償が受けられます。「災害防止」「福利厚生」のサービスも付帯しています。
業界・業種ごとに組織された国保組合
このように国保のほかに医療保険、労災補償、そして生命保険なども含めていけば、個人事業主の健康管理にはお金がかかるものです。なんとか保険料を抑える方法はないのでしょうか。そこで検討したいのが「国保組合」への加入です。
国保組合とは、業界・業種ごとに組織された互助会的な国民健康保険組合のこと。例えば、筆者のようなライターならば「文芸美術国民健康保険組合」という国保組合が存在します。著作活動に携わっている人のための国保組合です。
文芸美術国保組合の場合、保険料は一律1万7,200円(平成28年度)。さらに家族も1人あたり9,000円で加入できます(介護保険該当者はプラス3,700円)。特定の施設で人間ドック割引を受けられるなどの特典もあります。
国保組合の数は160以上にのぼり、なかには傷病手当金や見舞金の給付制度が整っているところもあります。もちろん、国保は国や市町村が管理している健康保険ですし、収入条件や家族構成によって、保険料の負担額は変わってきますから一概に比較することはできませんが、一度シミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
ともあれ、健康にまつわる保険・補償制度の組み合わせは人によってさまざま。大事な点は、自分にあった健康管理のプランを、あらためてご家族とともに考えてみることだといえるでしょう。
photo:Thinkstock / Getty Images