個人事業主は体が資本!定期的に健康診断を受けるためのポイント

会社員時代は毎年、当たり前のように受診していた健康診断ですが、個人事業主の皆さんは、会社員とは異なり自発的に、自己負担で受診しなければなりません。ついつい目の前の忙しさに先延ばしにしがちですが、自分の健康を守り、長く仕事を続けていくためにも定期的に健康診断を受けたいものです。
そこで、個人事業主が受けられる健診にはどんなものがあり、どのように受けることができるのか、負担した費用は経費になるのかどうかといったポイントをご紹介します。
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目次
- POINT
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- 健康診断は、病気の危険因子があるかどうかを検査する目的で行われる
- 個人事業主は、3つの方法で受診できる
- 健康診断の受診は義務ではなく、費用は経費にならない
そもそも健康診断とはどういうもの?
健康診断は、文字どおり、健康であるかどうかを確かめることで、検査によって病気の危険因子があるかどうかを確認するためのものです。予防医学における、「一次予防」(病気の発生そのものを予防する)の目的で行われるものなので、特定の病気の早期発見、早期治療を目的とした「検診」とは目的が異なります。なお、人間ドックも健康診断に含まれます。
個人事業主が健康診断を受ける方法は3つある
個人事業主が健康診断を受けるためには、主に以下の3つの方法があります。
(1)加入している健康保険組合で手続きをする
個人事業主の方は国民健康保険に加入する義務がありますが、業種によって独自の組合保険があり、条件が合えば、加入することができます。組合に加入している個人事業主は、必要な手続きをすれば指定の保険医療機関で健康診断が受けられます。
組合によって、健診費用の補助が受けられたり、人間ドックを割引料金で受診できたり、各種がん検査を無料で受けられたりするところがあります。個人事業主が加入できる健康保険組合についてはこちらの記事も参考にしてください。
(2)地方自治体の健康診断を受診する
地方自治体が行う健康診断を受けることもできます。内容や料金については、お住まいの自治体によって異なりますが、安価で受診できるところや、自治体によっては無料で受診できるところもあるので、ホームページや保健課に問い合わせるとよいでしょう。
一般的な健康診断では、診察(問診)や尿検査、血液を採取しての検査、胸や胃のレントゲン検査などの全般的な検査を行います。このような一般健診に加え、40〜74歳の公的医療保険加入者は、高齢者医療確保法に基づく「特定健康診査」(通称:メタボ健診)を受けることができます。これは、生活習慣病を予防するための健診で、腹囲、中性脂肪、コレステロール、空腹時血糖、血圧測定などの検査を行います。特定健診の対象者には、自治体等の医療保険者から、受診表と利用券が送付されてきます。内容を確認し、必ず受診するようにしましょう。
(3)病院や健診センターで受診する
病院や健診センターで健康診断を受けることや、身体各部位の検査を受けて、臓器の異常や病気の有無を調べる「人間ドック」を受けることができます。任意で行う健康診断のため、費用は自己負担となり、金額や検査内容、サービスなどは医療施設によって異なりますが、健康診断は数千円から1万円程度、人間ドックは数万円程度かかります。事前に費用や内容について調べ、問い合せてみるとよいでしょう。
費用は経費になるの?
個人事業主が一人で仕事をしている場合、健康診断の受診は義務ではなく、たとえ受診しなくても法律上、罰せられるということはありません。また、事業主が健康診断を受診した場合に負担した費用は、経費にすることも医療費控除の対象にすることもできません。青色事業専従者(家族従業員)が負担した費用も、事業主同様に経費にも医療費控除の対象にもなりません。ただし、健康診断で重大な疾病が発見され、かつ、その診断等に引き続きその疾病の治療を行った場合は、健康診断の費用を医療費控除の対象にすることができます。
一方、常勤の従業員がいるなど、従業員を雇用している個人事業主は、労働安全衛生法に基づき、雇い入れ時と年1度の健康診断の実施が義務づけられており、違反すると50万円以下の罰金が科される場合がありますので注意しましょう。なお、従業員の健康診断費用については、福利厚生費として経費にすることができますので、計上しましょう。
健康診断は「リスクマネジメント」
個人事業主には健康診断を受ける義務はありません。しかし、個人事業主はいわば「体が資本」。心身ともに健康でなければ質の高い仕事をすることはできません。
健康診断の費用は、自治体等による補助があったとしても、基本的に自己負担です。しかし、健康診断を怠ったために、重大な病気のリスクを見落としてしまうかもしれません。そうすると、結果として高い費用を払うことになりかねませんし、個人事業主は、自分が倒れてしまったら事業を継続することができないのです。
こうしたリスクマネジメントの観点からも、健康診断だけでなく、日頃から健康に留意した生活を送ることが個人事業主には欠かせないのです。
photo:Thinkstock / Getty Images