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売掛金とは?仕訳方法や売掛金回収における注意点も解説

監修者 : 田中卓也(田中卓也税理士事務所)

売掛金(うりかけきん)とは、商品やサービスの代金を後払いによる取引で回収する権利のことです。商品やサービスを提供するとその時点で売上はあがります。しかし、月単位で請求書を作成して決済を行う場合は、すぐに代金を受け取れません。このような取引のことを信用取引(掛取引)といい、後日入金を管理したり、回収ミスを防ぐためにも注意が必要です。

ここでは、そもそも売掛金とはどういうものか、仕訳処理の流れ、管理・回収の重要性、注意点について解説します。

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※2022年(令和4年)度の雇用保険は、2段階更新です。詳細は、「【2022年度の雇用保険は2段階更新!】労働保険とは?制度と年度更新について解説」を参照ください。

「売掛金」は将来的に金銭を受け取る権利のこと

売掛金とは、売掛債権のことで、商品・サービスの対価として将来的に金銭を受け取る権利をいいます。信用取引(掛取引)を帳簿に記録する際に用いる勘定科目です。

ビジネス上の取引では、商品やサービスの代金をその場で受け取るのではなく、一定期間分をまとめて受け取る方法をとることが少なくありません。毎回支払いを受けていたのでは、やりとりが煩雑になってしまいますし、振込手数料などのコストがかかってしまうからです。

このように、商品・サービスの引き渡し時には決済を行わず、後でまとめて精算する取引方法を、信用取引または掛取引といいます。特に、卸売業、サービス業、製造業、建設業などは、信用取引がなされることが多いです。

信用取引では、売り手は商品やサービスを提供した際、売掛金として計上します。その後、入金が確認できたら「入金消込(売掛金消込)」作業を行います。万が一、売掛金が回収不能になった場合は「貸倒損失」として処理します。

売掛金の仕訳処理の流れ

信用取引で商品・サービスを販売した場合の売掛金の仕訳処理は、下記のような流れになります。

1.掛け売上を計上する

売上の計上は、商品の引き渡しやサービスの提供が完了したタイミングで行うのが原則です。実務では、取引先に納品書を送付したタイミングまたは請求書を送付したタイミングで行われる場合が多くなっています。

どのタイミングで行うのが適切かは、業種や企業の経理状況によって異なります。

【仕訳例】
・取引先に10万円の商品を掛け取引で販売した場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売掛金 100,000円 売上高 100,000円

2.入金予定日に入金を確認する

入金予定日(売掛金が支払われる日)になったら、取引先からの入金がなされているかを確認します。

期間中の数件分がまとめて入金される場合は、どの案件に対応するのかについての確認が必要です。もし、請求金額と入金金額にずれがあるなら、納品書や請求書をチェックし、また値引きや返品の有無、振込手数料の金額を差し引かれていないか?取引によっては源泉徴収税額が差し引かれてないかなどを確かめるなどの原因調査が必要です。

自社内で調査しても問題が見つからないようなら、取引先に問い合わせましょう。なお、期日を過ぎても入金がない場合は、請求書の送付漏れ、複数口座がある場合は別口座での入金など、自社内で確認したうえで、取引先に営業担当者から取引先に対して確認をしてもらいましょう。

3.売掛金の消込みを行う

入金が確認できた時点で、借方の売掛金を貸方に仕訳して消去する「入金消込(売掛金消込)」の作業を行います。

【仕訳例】
・取引先から10万円が普通預金口座に振り込まれたことを確認した場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 100,000円 売掛金 100,000円

4.定期的に売掛金の残高確認を行う

売掛金の回収ミスを防ぐため、売掛金の残高は1か月などの期限を決めて、定期的に残高確認を行うのがおすすめです。また、月末締めの翌月末入金といったように先方との売掛金を入金するまでの期間を決めておくことも重要です。売掛金の残高一覧表を使って、期日を過ぎても入金がないものがないか、請求金額と入金金額がずれているものがないかをチェックします。

取引先ごとに補助科目(勘定科目の中身を細かく分類するためにつけるもの)を設定しておくと、チェックが楽になるでしょう。

売掛金の仕訳は、手作業で行う場合は、売上が立った時点で振替伝票に仕訳を記入して売掛金元帳に転記します。入金を確認したときに、入金伝票に仕訳を記入したうえで、売掛金元帳に転記するという形になります。

会計ソフトを使う場合は、データを入力すれば自動で関連帳簿に転記してくれるので、かなり手間を省くことが可能です。転記ミス防止にもなるのでおすすめです。

さまざまな売掛金の仕訳処理のパターン

売掛金を用いて記帳すべき信用取引には、いろいろなパターンが存在します。先に解説した、「商品・サービスの代金を、後で銀行口座への振込によって受け取った」以外のパターンをいくつかご紹介しましょう。

クレジットカードで支払いを受けた場合

クレジットカードで支払いがあった場合は、支払手数料を計上する必要があります。

【仕訳例】
・クレジットカードで10万円の売上があり、その後クレジットカード会社より手数料4,000円を差し引いた9万6,000円が普通預金口座に振り込まれた場合

<売上時>

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売掛金 100,000円 売上高 100,000円

<入金時>

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 96,000円 売掛金 100,000円
支払手数料 4,000円    

通常の売掛金、売上と区別するために、摘要欄に「クレジットカード売上」などと記載する場合もあります。

売掛金の一部のみ支払われた場合

売掛金の一部のみが入金された場合の仕訳は、売掛金の全額が入金された場合の仕訳と同じです。どの売掛金に対するものなのかわからなくなりがちなので、摘要欄に取引先名や1回目/3回目といったように総入金回数のうち何回目にあたるのかといったことを記載しておきましょう。

【仕訳例】
・売掛金10万円のうち、5万円が普通預金口座に振り込まれた場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 50,000円 売掛金 50,000円

商品代金の入金前に商品が返品された場合

代金の入金前に返品を受けた場合は、売掛金から差し引く処理を行います。売掛金を計上する際の逆の処理になります。

【仕訳例】
・商品(2万円分相当)の返品を受けた場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売上高 20,000円 売掛金 20,000円

売掛金を値引きした場合

売掛金を値引きした場合は、「売上値引」の勘定科目を用いて処理します。

【仕訳例】
・売掛金10万円に対して、1万円値引きし、9万円が普通預金に振り込まれた場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 90,000円 売掛金 100,000円
売上値引 10,000円    

買掛金と相殺した場合

商品・サービスを販売した取引先から仕入れも行っており、買掛金がある場合は相殺することができます。民法上は当事者どちらかの一方的な意思表示によっておこなうことできる旨が規定されていますが、ビジネス上のトラブルを避けるためにも双方の合意のもとで行うほうがいいでしょう。

【仕訳例】
・取引先の承諾を得て、売掛金10万円と買掛金10万円を相殺した場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
買掛金 100,000円 売掛金 100,000円

売掛金が回収できなくなった場合

売掛金が回収不能になった場合は、「貸倒損失」の勘定科目を使って処理します。

ただし、貸倒損失の計上が認められるケースは、破産手続きなど法的な手続きにより債権が消滅した場合、債務者の状況から債権の全額が回収できないことが明らかになった場合など限定されており、一定期間の取引停止後に弁済がない場合や回収費用が債権の額を上回る場合に限定されます。

【仕訳例】
・売掛金20万円が回収できなくなった場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
貸倒損失 200,000円 売掛金 200,000円

なお、貸倒引当金(貸倒損失によるリスクに備え、あらかじめ計上している引当金)が設定されている場合は、貸倒引当金を減少させる処理を行います。

貸倒引当金を設定するのは決算期において行う場合が通常です。したがって、前期の売掛金に対して発生した貸倒損失に対しては貸倒引当金で対応しますが、当期の売掛金に対して発生した貸倒損失に関しては上記と同様貸倒損失で対応することになります。

【仕訳例】
・A社に対し20万円の貸倒引当金を設定していたところ、A社の前期の売掛金20万円が貸し倒れた場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
貸倒引当金 200,000円 売掛金 200,000円

売掛金の管理・回収のポイント

商品・サービスを販売した時点で、帳簿には売上が計上されます。売上が計上されることは、すなわち会社や事業主の利益が増えることを意味し、その分支払うべき税金の額は大きくなります。

また、売掛金の回収ができる・できないにかかわらず、仕入代金の支払いなどは発生するため、売掛金の回収が滞ると、会社や事業の資金繰りは悪化します。最悪の場合、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、支払いに必要な資金不足で倒産する黒字倒産の可能性もありますので、売掛金を管理し期日どおりに回収するのは非常に大切なことです。

ここでは、売掛金の管理・回収におけるポイントについて見ていきましょう。

売上債権回転率を把握する

売上債権回転率とは、売掛金などの売上債権を回収する速さを表す指標で、単位は「回転」です。

売上債権回転率が高ければ高いほど、売上債権の現金化が早い=効率的に回収されているということになります。そのため、掛売りではなく、現金販売をメインとしているようなビジネスの場合、売上債権回転率は、当然高くなりますので、資金的には効率的であるという事になります。

逆に売上債権回転率が低いという事は、それだけ資金不足のリスクが高まるのです。

売上債権回転率=売上高÷売上債権額

売上高は、1年間を通じて獲得した売上高の金額を用い、売上債権額は、期首の売上債権残高と期末の売上債権残高の平均額を用います。

売上債権回転期間を把握する

売上債権回転期間とは、売掛金や受取手形などの売上債権を回収するまでにかかる期間を表した指標です。期間が短いほど、売上債権を短期間で回収できていることを表します。

売上債権回転期間(日)=365÷売上債権回転率

財務省の財務総合政策研究所によるレポート「法人企業統計調査からみる日本企業の特徴」によれば、2018 年度の売上債権回転期間(全産業・全規模)は 1.85 月です。資本金1000万円未満の非製造業の場合、売上債権回転期間は、1.07月ですので中小企業は2か月以内を目安に考えましょう。

取引先の与信管理をしっかり行う

取引先の資金繰り悪化などで売掛債権を回収できない事態を防ぐためには、与信管理が重要です。「この相手と取引をしても大丈夫なのか?」そして、取引を開始した後もそのままではなく、「この相手とはどれくらいの金額まで取引をしても回収できるか?」などを取引相手ごとに定期的に確認して判断しましょう。

売掛金保証サービスを利用する

取引先の状況は常に変化しているため、正確な与信管理を行うのは簡単なことではありません。そこで、与信管理と併せて、下記のような保証サービスや制度を利用するのもおすすめです。

売掛保証サービス(保証ファクタリング)

売掛保証サービス(保証ファクタリング)とは、保証会社や金融機関が提供しているもので、売掛金の支払いを保証してくれるサービスです。取引先の倒産などで支払いが行われない場合、保証会社や金融機関が保証の範囲内で売掛金を支払ってくれます。

弥生の見積書・納品書・請求書発行サービス「Misoca」には、Misocaで発行した請求書に売掛金の回収保証を付与することができるサービスがあります。Misoca回収保証が付与された請求書に対して、支払いの遅延やお取引先の倒産などによって売掛金の回収ができなくなった際に、損害を補填します。

取引信用保険制度

取引信用保険制度とは、保険会社が提供するもので、取引先から支払いを受けられない場合に保険金が受け取れる制度です。海外と取引する企業向けに、海外取引先の破産や取引先国の為替取引制限などに特化した保険もあります。

売掛金を利用する方法を考える

取引先から売掛金を回収することは難しくても、下記のような方法で現金化できる場合があります。

売掛金担保ローン

売掛金担保ローンとは、売掛金を担保に貸付けを受けるものです。売掛金の回収が難しくなってしまった場合でも、売掛金担保ローンを利用することで、売掛金を換価できる場合があります。

ファクタリング

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた代金を受け取る資金調達方法です。手にできる金額は、額面より手数料の分だけ少なくなりますが、売掛金を換価できます。

売掛金に関する注意点

売掛金の扱いについては、注意すべきポイントがあります。いくつか、代表的なものをご紹介しましょう。

会計年度をまたぐ場合の処理は要注意

売上の計上は、商品の引き渡しやサービスの提供が完了したタイミングで行うのが原則なので、請求書発行のタイミングなどで売上を計上している場合、会計年度の変わり目には注意が必要です。

例えば、会計年度が1月始まり12月末日締めで、毎月20日が請求書の締め日の場合、通常実務では12月20日までの取引を12月分として取引先に請求すると共に、売上を計上。21日以降の取引の請求・売上の計上は、翌月の扱いとするのが通常です。

しかし、12月は決算月なので、21日から31日までの取引についても今年度の売上として計上する必要があるのです。このような取引がある場合を通常「締め後の売上」といって、税務調査などにおいてもポイントとなる箇所ですので注意しましょう。

5年で消滅時効にかかる

売掛金は、債権者が権利を行使できることを知ったときから、5年経過すると消滅時効にかかります。つまり、支払いの督促などをせず滞納を放置したまま5年間が過ぎると、相手方は消滅時効を援用して、請求を断れるようになってしまうので注意しましょう。

例えば、2022年4月に商品を納品し、代金は末締めの翌月末日払いという場合は、売掛金の支払期限は2022年5月末日になります。そこから数えて5年たった、2027年5月末日に売掛金の時効期間が経過します。

なお、買い主に対し、裁判所を通じた支払督促、民事調停の申し立て、債務残高確認書による債務の承認といった手続きをとれば、それまでに経過した時効期間をリセットすることができ、また最初から時効が始まります。

売掛金がマイナスになった場合は、帳簿のミスまたは過剰入金がある

売掛金は、売上と同額が計上されるものなので、帳簿記載の金額がマイナスになることはありえません。万が一、マイナスになった場合は、売上の計上漏れや取引先からの前受金を売上金として処理しているといった帳簿のミスがないか、仕訳帳や総勘定元帳でしっかりチェックすることが必要です。

帳簿をチェックしても問題が見当たらない場合は、取引先からの過剰入金が考えられます。その場合、翌月請求予定分の支払いが含まれているか?などを確認し、必要があれば取引先に確認して、もし過剰入金があった場合は、過剰に入金された部分をどのようにするのか決定しましょう。

回収できない場合に備えておく

売掛金の回収不能リスクへの備えとしては、取引先の与信管理をしっかり行うと共に、保証サービスなどを利用するのがおすすめです。前項で紹介したように、請求書作成サービス「Misoca」のMisoca回収保証サービスを使用して請求書発行を行う。

また、取引先が倒産した際に連鎖倒産しないように無担保・無保証人で掛金の10倍まで借り入れができる、独立行政法人中小企業基盤整備機構の「経営セーフティ共済」に加入しておくこともあります。

必要な場合は弁護士に相談する

売掛金の回収は、まずは相手方への問い合わせを行い、話し合いによって進めていくのが一般的ですが、それでも支払われないようなら督促状や内容証明郵便の送付という方法があります。それでも回収が難しい場合は、弁護士に相談するのも1つの方法です。

売掛金と間違いやすい勘定科目

信用取引でも取引の内容によっては、売掛金以外の勘定科目を用いて記帳しなければいけない場合があります。取引の記録に使われるその他の勘定科目について、売掛金との違いを確認しておきましょう。

買掛金

買掛金とは、仕入れなどにかかった代金のうち、商品が納品された、あるいはサービスの提供を受けて、まだ代金を支払っていない取引です。信用取引によって生じるのは売掛金と同じですが、売掛金は債権であるのに対し、買掛金は債務である点が異なります。

例えば、A社がB社から信用取引で商品を仕入れた場合、A社は買掛金を計上し、B社は売掛金を計上することになります。

未収入金

未収入金とは、営業活動以外の取引に関して、金銭の回収ができていないものを指す言葉です。既に終了した取引の代金が未回収である点は売掛金と同じですが、売掛金は営業活動における取引で発生したものであるのに対し、未収入金は営業活動以外の取引で発生したものである点が異なります。

例えば、本業以外で発生した不動産や有価証券の売却代金のうち未回収分は、未収入金の勘定科目を用いて記録します。

前受金

前受金とは、商品などの受け渡し前に手付金として受け取った金銭を指します。

なお、一時的な金銭の預かりや社会保険料などの第三者に支払うための金銭を預かった場合は、「預り金」という勘定科目を用います。

立替金

立替金は、取引先、役員、従業員、子会社など他者が負担すべき費用を一時的に支払った場合や従業員が負担すべき社会保険料を立替払いした場合に使用する勘定科目です。

将来、代金を受け取る権利がある点では売掛金と同じですが、一時的な立て替えである点が異なります。例えば、本来は取引先が負担するべき送料を立て替えたときなどに使います。

仮払金

仮払金は、支払いは済んでいるが、支出の用途が確定していないものを指す言葉です。例えば、従業員が立替払いをしなくて済むように、出張前にまとまった金額を支給するようなときに用います。この場合、出張から戻ったら正しい勘定科目に振り替える作業を行わなければなりません。

なお反対に、金銭の受取りは済んでいるが、用途がわからないものを処理する際は「仮受金」という勘定科目を使います。

会計ソフトを利用して売掛金を管理しよう

売掛金は、信用取引を記帳する際に用いる勘定科目です。売上はたくさん上がっていても、売掛金の回収がうまくいっていないと黒字倒産してしまうおそれもありますので、取り扱いは非常に重要となります。

やよいの青色申告 オンライン」や「弥生会計 オンライン」といったクラウド申告・会計ソフトを使えば、売掛金に関する仕訳を簡単に行えますし、記帳ミスの軽減や売上債権の回転率・回転期間といった指標を把握するのにも役立ちます。デスクトップ会計ソフト「弥生会計 プロフェッショナル」では、キャッシュ・フロー計算書も作成できるので資金繰り計画にも役立ちます。ぜひ、ご活用ください。

photo:PIXTA

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