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所得税の確定申告のやり方とは?5ステップでわかりやすく解説

監修者 : Gemstone税理士法人

所得税の確定申告は、1年間の所得や所得税額を確定し、申告するために行います。しかし、年末調整をしている会社員にとっては、あまり馴染みがないものでしょう。初めて確定申告を行う人や久しぶりに行う人の中には、「何から手をつけていいかわからない」「難しそうで憂鬱」という人もいるかもしれません。

そこで本記事では初心者向けに、所得税の確定申告のやり方をわかりやすく解説していきます。所得税の確定申告をする際の進め方を5ステップに分けて解説しますので、順番に見ていきましょう。

確定申告とはいったい何か?

日本には、所得税と住民税という年間の所得金額に応じてかかる税金があります。このうち、所得税の申告のために行うのが、所得税の確定申告です。所得税以外にもさまざまな税の確定申告がありますが、一般的に「確定申告」という場合は、この「所得税の確定申告(以下、確定申告)」を指すことが多いです。

所得税の確定申告では、該当の年の1月1日~12月31日の所得とそれに応じた所得税額を計算して申告・納税します。なお、住民税は所得税の確定申告の申告内容にもとづいて、各自治体が計算・通知してくれます。所得税の確定申告をすれば、住民税の申告は不要です。

確定申告のスケジュール

所得税の確定申告期間は、原則的に例年2月16日~3月15日です。この期間に、前年の所得と所得税についての申告を行います。

【2021年分の所得税の確定申告期間】
2022年2月16日(水) ~ 2022年3月15日(火)

確定申告期間の開始日や終了日が土日祝日に該当する場合は、翌平日に日にちが繰り下がります。

確定申告書を提出する義務のない人でも、すでに納めた所得税の還付(税金を返してもらうこと)のために行う確定申告は、上記の期間以外とは関係なく、翌年1月1日から5年間申告が可能です。

還付申告は主に、会社員が行う医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)の申告などが該当します。

確定申告と年末調整の違い

確定申告と似た手続きに、年末調整があります。年末調整は、会社勤めをしている会社員のうち、年収が2,000万円以下の人が対象の制度です。

会社勤めをしている人は、月々の給与や賞与から源泉所得税が引かれています。しかし、実際の所得税は1年間の所得が確定しないとわかりません。源泉所得税は、年間所得を想定して仮に算出された税額でしかないのです。そこで、会社は年末調整を行って、年間の所得と所得税額を確定し、あらかじめ差し引いていた源泉所得税額との調整を行います。

年末調整を受ける際は、年末調整に必要な情報を記入した書類や添付書類を用意して、会社に提出します。その情報をもとに、個人の事情を確認して、会社側が所得や所得税の計算と申告を行うのです。

なお、年末調整をした会社員は、基本的に所得税の確定申告をする必要がありません(副業収入があるなど、一部の例外を除く)。年末調整をした人でも、所得税の確定申告をすると税金が戻ってくるケースもあります。

確定申告の進め方

確定申告の実際の進め方を、5つのステップに分けて紹介します。難度や作業量は申告内容によって異なりますが、必要書類を集めたり帳簿を作成したりといった準備が必要ですから、早めに取りかかりましょう。

1. 確定申告が必要か確認する

まずは、所得税の確定申告をする必要があるかどうかを確認しましょう。前述のとおり、年末調整をしている会社員(派遣社員や契約社員含む)であれば、基本的に所得税の確定申告の必要はありません。また、アルバイトやパートなどで働いている人も、勤務先で年末調整をしていて、それ以外の収入がなければ所得税の確定申告は不要です。

ただし、本業以外の会社から20万円を超える給与収入を得ている人や、年間20万円を超える副業所得があった人は、所得税の確定申告をしなくてはなりません。個人事業主の場合は、原則的に所得税の確定申告が必要です。しかし、所得が48万円以下の人は、確定申告は不要です。

なぜなら、所得が48万の場合、基礎控除額48万円を差し引くことで、課税所得が0円になりますので、所得税が発生しないからです。そのため、所得税の確定申告をしなくてもいいのです。

2. 必要書類をそろえる

所得税の確定申告をするために必要な主な書類は、下記のとおりです。

  • 確定申告書
  • 本人確認書類
  • 各種控除証明書、控除を受けるために必要な書類
  • 収入がわかる書類
  • 口座番号がわかる通帳等(税金の還付を受ける場合)

それぞれ、どのようなものか見ていきましょう。

確定申告書

確定申告書には「A」と「B」の2種類があり、申告できる所得の種類が異なります。

所得は全部で10種類あります。確定申告書Aは、そのうちの一部がピックアップされており、確定申告書Bに比べて簡略化されているため、該当する所得を申告する人にとっては使いやすくなっています。

例えば、給与をもらっている会社員が医療費控除などの申告をしたい場合は「確定申告書A」、個人事業主が確定申告をする場合は「確定申告書B」を使います。 給与所得しかない人が確定申告書Bを使って申告をしても問題ありません。

  • 確定申告書A:「給与所得」「雑所得(公的年金等)」「配当所得」「一時所得」の4種類で使用可
  • 確定申告書B:すべての所得で使用可(退職所得および山林所得の申告は、確定申告書Bに加えて確定申告書 第三表の提出が必要)

なお、確定申告書Aは2023年1月から廃止され、確定申告書Bに様式が統一されます。

本人確認書類

所得税の確定申告書には、マイナンバーを記載します。マイナンバーを証明するものとして本人確認書類を添付または提示します。

本人確認書類は、マイナンバーの番号を確認できる番号確認書類とマイナンバーの持ち主であると身元を証明できる書類の2種類が必要です。マイナンバーカードがあれば両方を兼ねることができます。

マイナンバーカードがない場合、マイナンバー記載の住民票や通知カード(※)などマイナンバーがわかるものと、運転免許証やパスポートなどといった身分証明書で本人確認ができます。

(※)マイナンバーの「通知カード」は2020年(令和2年)5月25日に廃止されていますが、通知カードに記載された氏名、住所などが住民票に記載されている内容と一致している場合に限り、引き続き番号確認書類として利用できます。

各種控除証明書、控除を受けるために必要な書類

所得税の確定申告では、所得をもとに所得税額を計算しますが、その際、所得から差し引ける「所得控除」や、税額から差し引ける「税額控除」などを利用できます。下記のような場合は控除を利用できますから、それぞれに該当する書類が必要です。

【扶養している人がいる】
扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除などが利用できる可能性があります。該当する場合、被扶養者のマイナンバーを記入する必要があるため、マイナンバーのわかる住民票や通知カード、マイナンバーカードを用意しましょう。

年間の医療費が10万円を超えたか、指定の医薬品などを12,000円超購入した
年間の医療費が10万円(総所得金額200万円未満なら総所得金額×5%)を超えると医療費控除が利用できます。

所得税の確定申告では添付書類として、医療費控除の明細書(医療費通知で代用可)を用意します。2021年分の確定申告から、添付書類として使用できる書類の種類が増えました。医療保険者(社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会)の発行する医療費通知なども医療費の明細書の代わりになります。

また、納税者本人が予防接種や定期健康診断など一定の取組みをしている人が薬局で指定の医薬品を12,000円超購入した場合は、セルフメディケーション税制が利用できます。この場合も、明細書を添付します。

医療費控除やセルフメディケーション税制の明細書は、支払先や支払い金額などをまとめて、自分で作成します。テンプレートなども配布されているため、適宜活用しましょう。

なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は、生計を一にする家族の分もまとめて申告できますが、どちらか一方しか利用できません。両方に該当する人は、より控除額の大きい方を選択してください。

社会保険料を支払っている
社会保険料とは、厚生年金保険料や健康保険料、労働保険料などのことです。

会社員は、原則的に給与から社会保険料が天引きされていて、年末調整をすることで所得税額が確定しています。会社員が所得税の確定申告をする場合は、社会保険料は源泉徴収票に記載されているため、別途証明書を用意する必要はありません。

国民年金保険料を自分で支払っている個人事業主などの場合は、「国民年金保険料控除証明書」が必要です。また、無収入の子供や配偶者の国民年金保険料を支払った場合も、証明書を添付することで控除を受けられます。

なお、健康保険料や介護保険料については、証明書の添付は不要です。ただし、支払った金額を申告しなければいけませんから、その金額がわかる書類を用意しておきましょう。

また、扶養している家族の年金から介護保険料や健康保険料などが差し引かれることがありますが、このような保険料は扶養されている家族本人が支払ったものであるため、控除対象にはなりません。

iDeCoや小規模企業共済などに加入している
iDeCoや小規模企業共済などに加入している場合は、小規模企業共済等掛金控除が利用できますから、控除証明書を添付しましょう。控除証明書は郵送で届くため、所得税の確定申告をするときまで無くさないように保管してください。

寄附をした(ふるさと納税を含む)
寄附金控除の対象になる団体等に寄附をした人は、寄附金の受領証を添付します。受領証は、寄附をした先から郵送されてきますから、大切に保管しておいてください。

なお、ふるさと納税も「寄附金控除」に含まれますが、会社員などの場合、ワンストップ特例制度を選択した人は、通常、所得税の確定申告をする必要はありません。自動的に、翌年の住民税から控除されることになります。

ただし、医療費控除を受けるなど、ふるさと納税以外の理由で所得税の確定申告をする場合は、ワンストップ特例制度が適用されません。また、6団体以上にふるさと納税をした場合も、ワンストップ特例制度を利用することができません。

「ワンストップ特例制度を申し込んだけれど、確定申告をすることになった」という場合は、寄附金受領証明書が必要になります。手元にない場合は、寄附をした自治体や「さとふる」「ふるさとチョイス」「楽天ふるさと納税」などのふるさと納税サイト運営会社に連絡して送ってもらってください。

住宅ローンを組んで、自分が住むための家を買った(増改築した)
住宅ローンを組んだ人は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)または、特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象になる可能性が高いでしょう。

住宅ローン控除の1年目のみ、銀行から送られてくる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(原本)」のほか「土地・建物の登記事項証明書」、そして「工事請負契約書か売買契約書(コピー)」を添付して確定申告を行います。

ただし、住宅ローン控除を利用するのに必要な書類は、どのような住宅を購入したのか、補助金や贈与を受けたかといったさまざまな条件によって変わります。書類の不備などでやり直しにならないよう、事前に税務署で確認しておくのがおすすめです。

なお、会社員の場合、住宅ローン控除の2年目以降は、銀行から送られてくる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(原本)と、住宅ローン控除1年目の確定申告後に税務署から送られてくる「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」および「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」(共に原本。申告書と証明書がセットで1枚の用紙になっています)を会社に提出すれば、年末調整で住宅ローン控除を受けられます。

自営業者は、銀行からの「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(原本)と「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(各自で作成)を所得税の確定申告時に添付します。

収入がわかる書類

確定申告書には、1年間の所得金額を記入しなくてはなりません。そのため、収入や所得がわかる書類を用意します。

会社員は、申告する年の「給与所得の源泉徴収票」を用意しましょう。なお、源泉徴収票の添付は必須ではありません。内容を転記する必要があるだけですから、PDFデータなどを利用することもできます。公的年金を受け取っている人は、「公的年金等の源泉徴収票」を用意してください。

個人事業主が所得税の確定申告をする場合は、収入や経費を申告するための「青色申告決算書」(青色申告事業者の場合)もしくは「収支内訳書」(白色申告の場合)の作成が必要です。

口座番号がわかる通帳等

所得税の確定申告をすることで税金が返ってくる場合、指定の口座に振り込みで入金されます。どの口座に振り込んでもらうか決めておきましょう。なお、指定できる振込先は、本人名義の口座だけです。

3. 確定申告書を作成する

確定申告書に必要な書類や情報がそろったら、いよいよ所得税の確定申告書の作成を行います。確定申告書を自分で作成する方法は、「確定申告書等作成コーナー」「確定申告ソフト」「手書き」の3種類です。

確定申告書等作成コーナー

確定申告書等作成コーナーとは、国税庁が用意している確定申告のためのシステムです。パソコン・スマートフォンの両方からアクセスできますが、スマートフォンで申告できるのは給与所得、雑所得、一時所得、上場株式の譲渡所得や損失・配当所得等のみです。事業所得の申告はできませんから、個人事業主はパソコンから利用しましょう。

確定申告書等作成コーナーでは、「作成開始」ボタンを押して指示に従って数字を入力していくだけで確定申告書を作成できます。e-Tax(国税電子申告・納税システム)なら提出までワンストップで行えるため、便利なシステムだといえるでしょう。

確定申告ソフト

市販の確定申告ソフトを使って確定申告書を作ることもできます。個人事業主の所得税の確定申告では、申告期限までに青色申告決算書、または収支内訳書を作成しなければいけません。確定申告書等作成コーナーでは、青色申告決算書等を作成するための日々の取引入力等はできませんから、事前に会計ソフトや確定申告ソフトなどで数字を確定させておく必要があります。

なお、確定申告ソフトの中には、書類の作成だけでなく、e-Taxを使った申告手続きまで行えるものもあります。「やよいの白色申告 オンライン」「やよいの青色申告 オンライン」では、簡単に確定申告書類を作成できて、e-Taxも可能ですからすぐに確定申告を完了できます。

手書き

手書きで所得税の確定申告書を作成するのは、容易ではありません。手書きに慣れていて、何年もミスなく申告している人であれば問題ないかもしれませんが、誤字や記入欄のずれなどが起こるリスクは、ソフトを使う場合より高いでしょう。

特別な事情がないのであれば、確定申告書等作成コーナーや確定申告ソフトを利用するのがおすすめです。なお、手書き用の所得税の確定申告書は、国税庁のウェブサイトでダウンロードできるほか、税務署や確定申告会場等でも配布されています。

4. 確定申告書を提出する

確定申告書が完成したら、税務署に提出しましょう。提出方法は下記の3種類です。

e-Tax

確定申告書等作成コーナーや確定申告ソフトを利用するのであれば、e-Taxでの申告が便利です。また、55万円の青色申告特別控除を利用している個人事業主は、e-Taxで申告することで青色申告特別控除額を55万円から65万円にアップできます。なお、e-Taxの利用には、利用者識別番号の取得が必要です。

郵送

所得税の確定申告を郵送で提出する場合、締め切りが当日消印有効になるため、期限をすぎてしまわないように注意してください。また、収受日付印のある確定申告書の控えが必要な人は切手を貼り、返送先の住所を記入した返信用封筒と、所得税の確定申告書の控えを同封するのを忘れないようにしましょう。

なお、2021年(令和3年)7月以降、内部事務のセンター化の対象となっている税務署(対象署)に、申告書、申請書等を提出する場合は、郵送でセンターへ送付協力が求められています。

書面により提出する場合は、郵送による提出先となるセンターの所在地は、下記を確認ください。e-Tax(データ)により提出する場合は、従来どおり所轄税務署へ送信します。

税務署へ持ち込み

確定申告書類を印刷して、税務署や確定申告会場に持ち込むこともできます。現地まで出向かなければいけない分、手間がかかりますが、その場で所得税の確定申告書の控えを受け取れるというメリットがあります。なお、税務署が開いていない時間は「時間外文書収受箱」に投函することで提出できますが、控えをその場で受け取ることはできません。

所得税の確定申告書を税務署へ持ちこむ場合は、入場整理券が必要です。入場整理券は当日、会場にて配布されるほか、国税庁LINE公式アカウントから事前に取得することもできます。

なお、書面の申告書や申請書等をセンターへ直接持ち込むことはできません。

5. 税金を納付する(または還付を受ける)

最後に、所得税の納付を行います。源泉徴収された所得税額が本来納めるべき所得税額を上回っていた場合は、還付が受けられます。

納付する場合

納付期限は、3月15日まで(確定申告期限と同じ)です。選択できる納付方法とは下記のとおりです。

ダイレクト納付(e-Taxで納付)
e-Taxを利用して確定申告する場合、e-Taxのシステムからの電子納税が可能です。e-Taxを利用して、インターネットバンキング等から納付することができます。

振替納税
指定口座から自動振り替えで納税します。申請が必要ですが、所得税の振替納税の場合、振替日は、申告期限の約1か月後の4月20日前後となります。資金繰りに余裕が持てるのでお勧めです。

コンビニエンスストアで納付
納税額が30万円以下なら、国税庁のウェブサイトのシステムからQRコード(※)やバーコードを作成することでコンビニ支払いが可能です。手数料はかかりません。

(※)QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

クレジットカードで納付
指定のサイトから手続きを行います。納税額に応じて決済手数料がかかります。

窓口で納付
金融機関や税務署などの窓口で、現金で納税することも可能です。窓口が開いている時間を確認して、期限内に支払いましょう。

還付される場合

還付される場合は、確定申告時に指定した金融機関の口座に振り込みで入金されます。還付金が入金までにかかる期間の目安は、およそ1か月~1か月半程度です。

確定申告はどのような人に必要?

個人事業主など、事業を行っている人は、確定申告をしなければいけない可能性が高いでしょう。そのほか、会社を退職して再就職していないなど、会社で年末調整を受けていない人も、所得税の確定申告をする必要があります。

一方で、医療費控除や寄附金控除等を受けたい年末調整済の会社員は、確定申告をしなくても問題ありません。しかし、所得税の確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。

確定申告をしなければいけない人と、することでメリットがある人について、それぞれ見ていきましょう。

確定申告をしなければいけない人

下記に当てはまる人は、確定申告をしなければいけません。なお、ここでいう会社員とは、パートやアルバイトなどを含む「会社に雇用されて働いている人」です。また、個人事業主とは、開業届の提出の有無にかかわらず、事業を営んで収入を得ている人です。

収入から経費を引いた金額が48万円を超える個人事業主

個人事業主やフリーランスという肩書でなくても、事業所得として、自分でハンドメイド作品を販売している人やアフィリエイト収入がある人などの場合、収入から経費を引いた所得の金額が48万円を超えると確定申告が必要です(会社員が副業で行っているのであれば、副業の所得が20万円を超えた場合)。

400万円を超える公的年金を受け取っている年金受給者

年金受給者は基本的に確定申告が不要ですが、400万円を超える年金を受け取っている場合は確定申告をしなければいけません。

会社で年末調整されていない会社員

年収2,000万円を超える給与収入がある会社員など、年末調整の対象外となった人は所得税の確定申告が必要です。なお、社員の側から年末調整を拒むことは基本的にできません。

副業の給与収入+その他の所得額の合計が20万円を超える会社員

会社員の年末調整は、主な収入源である1社でしか行うことができません。それ以外の会社の給与収入が20万円を超えた場合(あるいは、その他の雑所得や譲渡所得などと副業の給与収入の合計が20万円を超えた場合)は、確定申告を行います。

所得税を源泉徴収されていない会社員

災害減免法による源泉徴収税の徴収猶予等を受けている場合や、在日の外国公館勤務の場合など、何らかの事情で給与や退職金から所得税が源泉徴収されていない場合、確定申告が必要です。

上記に該当する人は、所得税の確定申告をしないと脱税になってしまう可能性があります。必ず確定申告期間中に申告を行いましょう。

確定申告をすると得をする可能性がある人

確定申告をしなければいけない人に該当しなくても、所得税を払いすぎている場合があります。その可能性がある人は、所得税の確定申告をすることで払いすぎている所得税の還付を受けられます。

「確定申告をしなければいけない人」の条件に該当していなくても、下記に当てはまるのであれば確定申告を検討しましょう。

  • 年末調整で申告をしていない(または年末調整で申告できない)控除の対象がある会社員
  • 年の途中で退職して再就職しておらず、年末調整をしていない会社員
  • 確定申告の必要がない所得でも報酬から所得税が差し引かれている人
  • 青色申告をする個人事業主(青色申告特別控除を受けるには確定申告が必要なため)
  • 赤字が出ている青色申告事業者(赤字の繰越しが可能なため)
  • 投資で赤字が出ている人(赤字の繰り越しが可能・ただしNISA口座は対象外)
  • 「退職所得の受給に関する申告書」を提出せずに退職金を受け取った人

実際に還付が受けられるかどうかは、確定申告書等作成コーナーで金額を入力してみるとわかります。計算結果が表示されるので、確認してみましょう。

個人事業主の確定申告のポイント

個人事業主が所得税の確定申告をするには、事業に必要なものを購入した際や売上があった際などに、その都度取引の記録をつけていく必要があります。確定申告の際は、この記録を集計して、青色申告決算書(青色申告の場合)、または収支内訳書(白色申告の場合)を作成します。

事業内容にもよりますが、1年分の取引をまとめて確定申告直前にまとめるのは困難です。日頃から、こまめに取引を記録していきましょう。

青色申告をするメリット

個人事業主の確定申告には、青色申告と白色申告の2種類あります。青色申告を利用することで、下記のようなメリットがあります。

ただし、青色申告を利用するためには、原則として申告する年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出しなければいけません。

青色申告特別控除

青色申告をすると、青色申告特別控除を受けることができます。

青色申告特別控除は、複式簿記での記帳や確定申告期限を守ることといった一定の要件を満たせば、所得額から最大55万円(e-Tax利用か対象の帳簿を電子帳簿保存(※)している人は最大65万円)の控除が受けられるというものです。要件を満たさない場合は、最大10万円の控除となります。

(※)2022年分からは、優良な電子帳簿保存が要件

青色事業専従者給与

個人事業主が青色申告をすることで、事業を手伝っている家族に支払った給与を経費にできます。この場合、一定の要件あります。

貸倒引当金

青色申告をすると、貸倒による損失の見込み額を経費として計上できます。

純損失の繰越しと繰戻し

個人事業主が青色申告をすると、赤字が出た際に翌年に繰り越したり、前年に繰り戻したりできます。

30万円未満の少額減価償却資産の特例

青色申告をすることで、30万円未満の減価償却資産を購入した際、減価償却せず一括で経費計上できます。

個人事業主が節税のためにできること

たとえ売上が同じでも、節税対策をしている個人事業主としていない個人事業主では、課税される税金の額が異なる可能性があります。節税のためにできることを知り、積極的に行っていきましょう。

経費を漏れなく計上する

経費の計上漏れがあると、税金を計算するベースとなる「所得金額」が高くなってしまいます。この金額は、健康保険料などを算出する際にも利用されるため、経費の計上漏れがないようにしましょう。

青色申告事業者が利用できる貸倒引当金や、自宅を事務所にしている人の家賃、光熱費、通信費なども忘れずに計上するようにしてください。プライベートと共用のスマートフォンやパソコンなども、プライベート使用分と事業使用分で按分することで、事業に使っている部分を経費計上できます。

各種控除を積極的に活用する

生命保険料控除や寄附金控除、扶養控除といった所得控除は、自分から申告しないと利用できません。利用できる控除はすべて申告しましょう。

なお、配偶者も収入を得ている場合、子供をどちらの扶養に入れるのか、誰が生命保険料控除の申告をするのかといったことで、最終的に支払う税金の総額が変わる可能性があります。制度を理解した上で、無駄なく控除を活用してください。

青色申告をする

青色申告をすることで、青色申告特別控除や青色事業専従者給与、貸倒引当金などを利用できるようになります。節税対策として非常に効果的ですから、積極的に行いましょう。

「帳簿づけが大変そう」と思う人もいるかもしれませんが、白色申告でも収入にかかわらず記帳が義務づけられたことから、青色申告でも白色申告でも、かかる手間はそれほど変わりません。会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても帳簿づけや申告書の作成ができますから、活用しましょう。

帳簿を作成する

個人事業主が所得税の確定申告をするためには、まず、日々の取引を帳簿につけなければいけません。帳簿の作成方法は、「手書きやExcel」「会計ソフト」「税理士に依頼する」の3種類です。それぞれメリットとデメリットがあるため、自分に合った方法を選択してください。

手書きやExcel

手書きで帳簿をつけたり、Excelで管理したりする方法は、昔ながらの帳簿のつけ方といえるでしょう。コストがかからず、誰でも手軽に始められるというメリットがあります。その反面、数字や計算を間違えるリスクが高い、青色申告に必要な複式簿記を作るのは困難、専門的な簿記の知識が必要といったデメリットもあります。

白色申告をしている人であれば、手書きやExcelでも対応できるかもしれませんが、青色申告の場合はよほど知識がある人でないと難しいでしょう。

前述のとおり、青色申告には多くのメリットがあります。現在、手書きやExcelで帳簿をつけている人は、別の方法を検討することをおすすめします。

会計ソフト

会計ソフトを使った記帳は、簿記の知識がない人でもスムーズに取引の記録をつけられることがメリットです。集計や転記もソフトが自動で行ってくれますし、日々の取引を入力していけば、確定申告書類を作成できます。なお、会計ソフトにもいろいろな種類がありますが、個人事業主が確定申告のために利用するのであれば、確定申告に特化したソフトを利用するのがおすすめです。

デメリットは、会計ソフトの利用にコストがかかるという点です。また、取引記録を自分で入力する必要があるため、パソコンを使ったことがない人や細かい入力作業に強いストレスを感じる人は、慣れるまでに時間がかかる可能性があります。しかし、会計ソフトの利用コストは、事業のためのものなので経費として計上できます。

「会計ソフトが気になるけれど、使いこなせるか不安」という場合や「会計ソフトにコストをかけたくない」という場合は、弥生のソフトをご活用ください。「やよいの青色申告 オンライン」は初年度無料、「やよいの白色申告 オンライン」は永年無料でご利用いただけます。まずは試してみたいという方にもぴったりです。

税理士に依頼する

見積書や請求書といった売上に関する書類や、レシート類、クレジットカードの明細書などを定期的に税理士に送り、記帳を代行してもらうこともできます。また、確定申告のタイミングで1年分の取引記録をまとめて入力してもらうことも可能です。

確実性が高く安心感があるというメリットがありますが、必要書類などをまとめて郵送しなければいけないため、手間はそれほど削減できない可能性があるでしょう。また、税理士への依頼にはまとまった費用がかかります。事業規模がある程度大きい場合におすすめです。

青色申告をして青色申告特別控除を受ける

個人事業主が青色申告をすることで、最大で65万円の青色申告特別控除を受けることができます。ただし、青色申告特別控除で55万円(もしくは65万円)の控除を受けるためには、期日内の提出が要件の一つであるという点には注意してください。

万一期限を過ぎると、控除額が10万円になってしまいます。余裕を持って準備を進めることが大切です。

確定申告は先延ばしせず、早めに取り掛かろう

確定申告では、1年間の収入や1年以内に支払った控除対象となる支出額等を取りまとめなければいけません。証明書類をなくしてしまった場合は再発行を依頼しなければいけませんから、ぎりぎりに作業を始めると期限に間に合わなくなってしまう可能性もあるでしょう。

早めに準備をスタートして、スムーズな確定申告を目指しましょう。

photo:PIXTA

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