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トライアル雇用とは? 制度の概要やメリット・デメリット、助成金についても解説

求人内容と求職者のスキルや経験が合っていないことは、昨今の人材不足の原因の一つと言われています。そこで活用できるのが、主にハローワークからの紹介で行うトライアル雇用の制度です。いわゆるお試し採用をすることで、求人をする企業も、雇用される側もミスマッチが減ります。さらに、トライアル雇用を行った事業者には、トライアル雇用助成金を受給できる可能性もあります。

今回は、トライアル雇用や、それに伴うトライアル雇用助成金について、詳しく見ていきます。

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目次

  • トライアル雇用とは、スキルや経験などが原因で就職が困難な人を、まずは期間を定めて雇用し、正規雇用を目指す制度である
  • トライアル雇用助成金は、一定期間のトライアル雇用を行った事業者に対して、トライアル雇用の終了後に支給される助成金である
  • トライアル雇用助成金の受給にあたっては、決められた書類の提出期限を厳守しなければならない

トライアル雇用とは?

「トライアル雇用」とは、ハローワークが紹介するスキルや経験、または置かれている生活の状況から就職が難しい人について、原則として3か月の有期雇用契約を締結して、その後、常用雇用に移行することを目指す制度です。

具体的には以下のように就職が難しい人を雇用するケースが該当します。

① 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上、離職や転職を繰り返している
② 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている
③ 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない 期間が1年を超えている
④ 55歳未満で、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている
⑤ 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する(生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、 中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者など)

ただし、あまりに短い労働時間だと常用雇用への移行期間とは考えられないので、最低でも30時間(日雇労働者やホームレス、住居喪失不安定就労者などについては20時間)以上の労働時間が必要です。

有期労働契約と試用期間との違い

ここで、有期労働契約と試用期間の違いについて確認をしておきましょう。

期間の長さ

試用期間の長さに制限はありませんが、一般的に多いのは1~6か月といったケースです。一方、有期労働契約についても、1回あたりの労働契約の契約期間に制限はありません。ただし、通算した契約期間が5年を超える場合には、無期労働契約への転換請求権が従業員に発生します。

期間満了時の扱い

試用期間と言っても正規雇用であることには変わりありません。試用期間が終わるタイミングで事業者から雇用契約を続けるかどうかを選択できるわけではなく、解雇など特殊事情がなければ、そのまま雇用を継続する義務があります。また、期間満了時に試用期間を延長することも、試用期間中に長期の休暇があったなど特殊事情がない限りできません。

対して、有期雇用契約の場合、期間の満了時には、雇用契約を更新するか雇用契約を終了する、いわゆる雇止めの選択を事業者が行うことができます。

【雇用する側】トライアル雇用のメリット・デメリット

雇用する側から見たとき、トライアル雇用のメリットとデメリットは次のことが挙げられます。

メリット1.採用コストを抑えられる

トライアル雇用は、ハローワークからの紹介がメインなので、採用のためのコストはかかりません。

メリット2.スキルが合わないときに雇用の見直しができる

トライアル雇用の期間は原則3か月です。もし、その間にスキルを見極めて、やはり雇用の継続は難しいといった場合には3か月で雇用契約を終了(雇止め)することも可能です。

メリット3.助成金を受給できる可能性がある

トライアル雇用を行う場合、要件を満たせばトライアル雇用助成金の受給ができます。もしかしたらトライアル雇用以外で雇用した人よりもトレーニングなどに割く時間が多くなるかもしれませんが、その分助成金を受給できるというインセンティブがあります。

デメリット1.書類の提出が必要である

トライアル雇用を行う場合は、ハローワークに実施計画書などの書類を提出する必要があります。

デメリット2.トレーニングに時間がかかる

トライアル雇用は就職が困難な人が対象の制度です。その分、仕事に慣れるまでのトレーニングに時間を要することがあります。トライアル雇用を行うにあたっては、丁寧に教えられる体制を作っておくことが重要です。

デメリット3.有期労働契約の途中解除はできない

雇用は会社が責任をもって行うものです。デメリットというより当然の義務ではありますが、3か月の有期労働契約の期間で契約した以上、不正行為など解雇に該当するような、よほどの事情がない限り、中途解約はできません。「思った以上にトレーニングが大変だから1か月で雇用契約を解除しよう」といったことは認められないということです。

【雇用される側】トライアル雇用のメリット・デメリット

雇用される側から見たとき、トライアル雇用のメリットとデメリットは次のことが挙げられます。

メリット1.雇用がされやすい

就職が難しい場合でもトライアル雇用で就業のチャンスが巡ってきます。

メリット2.働きながらスキルアップができる

トライアル雇用は、雇用する側も、事前に就職が難しい人であることを認識したうえで雇用を行いますので、トレーニングを受けながら働くことができます。

デメリット1.希望の業種でトライアル雇用を行っているとは限らない

トライアル雇用は、どのような業種でも行っているわけではありません。希望の業種につけない場合もあります。

デメリット2.雇止めとなる場合もある

働きの内容によっては、3か月で雇止めとなることもあります。

トライアル雇用の申請・手続き方法

トライアル雇用の申請・手続き方法について見ていきましょう。

手順1.トライアル雇用の求人から雇用

トライアル雇用は、ハローワークや職業紹介事業者が出している紹介により雇用を行う必要があります。

手順2.トライアル雇用実施計画書を提出

トライアル雇用開始から2週間以内に、ハローワークにトライアル雇用実施計画書を提出します。様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

手順3.有期雇用契約の満了後、正規雇用に転換するか雇用契約の終了

トライアル雇用の有期雇用契約期間は、原則として3か月です。この期間満了後に、正規雇用に転換するか、雇用契約を終了させるかを決定します。

トライアル雇用助成金について

「トライアル雇用助成金」とは、トライアル雇用後に事業者が受給することができる助成金です。ただし、要件を満たせば自動的に支給されるものではなく、支給申請手続きが必要です。

対象となる(申請できる)事業者

トライアル雇用助成金は、トライアル雇用を行った事業者に対して支給されます。トライアル雇用をしたこと自体に対して支給される助成金なので、その後、正規雇用として雇ったかどうかについては問われません。

トライアル雇用の助成金一覧

トライアル雇用の助成金には次のようなコースがあります。中でも最も活用されているのが、対象範囲が広い一般トライアルコースで、受給例も最も多いです。トライアル雇用助成金を受給する場合は、まずは一般トライアルコースを検討すればよいでしょう。その他のコースは、一般トライアルコースよりも対象者を絞ることで助成額を優遇したり、一般トライアルコースの対象から外れる者も対象にできたりするコースです。

一般トライアルコース

トライアル雇用助成金と言えば、まずこちらのコースを指すことが多いです。

受給要件

1)ハローワークや職業紹介事業者を経由して雇用した者に対して、トライアル雇用を1か月以上(最長3か月)実施したこと。
2)トライアル雇用を行った人を、トライアル雇用期間中、雇用保険に加入させること。

この要件が最も重要なものですが、他にも細かい要件がありますので、厚生労働省のトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のホームページで確認しておきましょう。

支給額

トライアル雇用期間1か月につき、4万円(最大3か月分で12万円)
トライアル雇用の対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1か月につき、5万円(最大3か月で15万円)

ただし、トライアル雇用の途中で自己都合による離職があったり、トライアル雇用期間中に正規雇用に転換したりした場合には、支給額の減額が行われる場合があります。詳しくはハローワークのホームページを確認しましょう。

支給対象期間

トライアル雇用による雇用日から3か月間です。

障害者トライアルコース

就職が困難な障害者をトライアル雇用した場合に利用できるコースです。

受給要件

1)ハローワークや職業紹介事業者を経由して雇用した者に対して、トライアル雇用を1か月以上(最長3か月)実施したこと。ただし、テレワークの場合は、最長6か月までトライアル雇用期間を延長できます。また、精神障害者が対象労働者の場合は、最長12か月までトライアル雇用を実施することができます。
2)トライアル雇用を行った人を、トライアル雇用期間中、雇用保険に加入させること

障害者雇用促進法に規定する障害者であり、かつ以下の4つのいずれかに該当する者
1)紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
2)紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者
3)紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者
4)重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者

支給額

対象者が精神障害者の場合、最初の3か月はトライアル雇用期間1か月につき8万円。その後3か月は1か月につき4円(最大6か月分で36万円)

上記以外の場合はトライアル雇用期間1か月につき4万円(最大3か月分で12万円)

支給対象期間

トライアル雇用による雇用日から3か月間(精神障害者の場合は6か月)です。精神障害者などでトライアル雇用期間が12か月あるような場合でも、トライアル雇用助成金の対象となるのは6か月といったこともあり得ます。

障害者短時間トライアルコース

短時間のトライアル雇用を通じて、障害者の正規雇用を目指す制度です。

受給要件

1)ハローワークや職業紹介事業者を経由して雇用した者に対して、短時間トライアル雇用を3か月以上(最長12か月)実施したこと
2)対象者は精神障害者または発達障害者で、短時間トライアル雇用を希望している者を対象とすること

支給額

支給対象者1人につき月額4万円(最長12か月間で48万円)

支給対象期間

短時間トライアル雇用による雇用日から3か月間から12か月間です。

若年・女性建設労働者トライアルコース

建設現場の人手不足を解消するために、建設現場で働く者を増やすために、トライアル雇用を行う事業者に対して助成を行う制度です。

受給要件

ハローワークや職業紹介事業者を経由して雇用した者に対して、短時間トライアル雇用を3か月以上実施したこと。
対象者は、トライアル雇用の開始日時点で35歳未満の者又は女性、かつ主として建設工事現場での現場作業(左官、大工、鉄筋工、配管工など)に従事する者や施工管理を行う者

支給額

支給対象者1人につき月額4万円(最長3か月間で12万円)

支給対象期間

トライアル雇用による雇用日から3か月間です。

新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース

新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコースは、新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた方で、離職期間が3か月を超え、かつ就労経験のない職業に就くことを希望する求職者を無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用(トライアル雇用)を行う事業主に対して助成することにより、離職者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることが目的です。

受給要件

1)ハローワークや職業紹介事業者を経由して雇用した者に対して、短時間トライアル雇用を3か月以上(最長12か月)実施したこと。
2)対象者は新型コロナウイルスの影響で離職し、離職期間が3か月を超えていること
3)短時間トライアルコースについては、1週間の所定労働時間が20時間以上、30時間未満の無期雇用による雇い入れを希望している者であること

支給額

支給対象者1人につき月額4万円(最長3か月間で12万円)
ただし、短時間トライアルコースは月額2.5万円(最長3か月間で7.5万円)

支給対象期間

トライアル雇用による雇用日から3か月間です。

ここに書いた受給要件は主なものです。さらに細かい要件がいくつかありますので、ハローワークの助成金窓口や、厚生労働省のホームページで要件を確認しておきましょう。

トライアル雇用助成金の受給方法

トライアル雇用助成金の受給方法について見ていきましょう。

手順1.トライアル雇用の実施

ハローワークや職業紹介事業者を経由して、トライアル雇用を行います。

手順2.トライアル雇用実施計画書の提出

対象者を紹介したハローワークに、実施計画書を提出します。

厚生労働省「トライアル雇用助成金の申請様式ダウンロード トライアル雇用実施計画書様式
提出期限は、トライアル雇用の開始から2週間以内です。

手順3.支給申請書の提出

トライアル雇用の期間終了後、3か月以内に事業所を管轄するハローワークに支給申請書を提出します。

トライアル雇用を利用するにあたっての注意点

トライアル雇用を利用するにあたっての注意点は以下の通りです。

トライアル雇用の途中に事業主都合で退職した場合には助成金は受給できない

トライアル雇用をしてはみたものの、うまくトレーニングできず、事業主から働きかけてトライアル雇用期間の途中で退職になったようなケースでは助成金の受給はできません。

トライアル雇用実施計画書や支給申請書の提出期限は厳守

トライアル雇用のためにハローワークに提出する書類には提出期限が定められています。提出期限を過ぎてしまった場合はどれだけトライアル雇用をしっかり行ったとしても助成金の受給ができなくなります。提出期限は厳守しましょう。

まずは会社の体制づくりから

トライアル雇用を活用して人材育成を図る場合は、まずトレーニングをどのように行うかについて事前にしっかりと決めておきましょう。未経験の人も多いので、根気強くトレーニングすることが大切です。まずはトライアル雇用で人を受け入れるための体制づくりを事前に行っておきましょう。

制度の活用はトライアル雇用を通じての人材の定着を目的に

トライアル雇用助成金は、トライアル雇用を行う事業者への助成金です。助成金が出るくらいなので、それだけトライアル雇用は受け入れる事業者にとっても、ある程度の負荷がかかります。トライアル雇用助成金に目が行きがちですが、まずはトライアル雇用を通じての人材の定着という趣旨を理解したうえで制度を活用しましょう。

トライアル雇用は、就職が困難な人について就職を少しでもしやすくするための制度です。トライアル雇用を検討する際には、まずはそうした社会的な側面をしっかりと把握したうえで、助成金の要件である3か月などの期間にとらわれることなく、長期的な視点で求職者を受け入れる姿勢が大切です。

photo:Getty Images

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