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パーソナルトレーナー、スポーツインストラクターの確定申告のポイント

健康志向の高まりなどによって需要が拡大したパーソナルトレーニング。それとともに、パーソナルトレーナーとして働く人も増えてきています。

今回は、パーソナルトレーナーとして働く場合に経費にできるものできないもの、売上計上時の注意、税金の取り扱い、特に所得税の確定申告でのポイントをまとめました。

お知らせ

※2022年(令和4年)度の雇用保険は、2段階更新です。詳細は、「【2022年度の雇用保険は2段階更新!】労働保険とは?制度と年度更新について解説」を参照ください。

  • パーソナルトレーナーの経費として認められるものを確認しておく
  • 個人事業主の場合、小規模企業共済やiDeCo、倒産防止共済などでの節税も検討する
  • 売上の仕訳方法、計上タイミングに注意する

確定申告が必要な場合と不必要な場合

パーソナルトレーナーやスポーツインストラクターとしての働き方には、3パターンあります。どれに当てはまるかによって、確定申告が必要かどうかは大きく異なってきます。

  • 1つのジムに専任で従業員として雇用されている場合
  • 個人事業主の場合
  • 複数のジムに勤務している場合、副業の場合

ジムなどにパーソナルトレーナーとして勤務して、給与をもらう場合

まずは、雇用されているパターンです。

例えば大手のパーソナルトレーニングジムやスポーツクラブの会社に、専任で雇用されているトレーナーの方は、会社員として給料をもらって働いています。従業員として勤務している場合、基本的には年末調整で所得税が精算されるので、確定申告は不要です。

ただし、普段は別の会社で勤務していてパーソナルトレーナーは副業、もしくは複数のジムから給料を受け取っているという場合は、年末調整をしていない給与分の所得税の精算が済んでいないため、所得税の確定申告が必要となります。

なお、年末調整を受けていない副業分の給与(通勤手当を除く)の年間額面合計が20万円以下であれば、少額所得として所得税の確定申告はしなくてもよいという扱いになります。

個人事業主として働く場合

個人事業主の場合は、所得税の確定申告が必要です。

個人でジムを開いたり、どこにも所属せず、自らトレーナーやインストラクターとして、指導を行っている場合もあるでしょう。それ以外にも大手ジムや会社と契約をしている場合(業務委託、外部パートナーなど呼び方はいろいろあります)など、雇用されていないケースはこのパターンに当てはまります。

パーソナルトレーナーの経費として認められるものは?

所得税の確定申告をする場合、どのようなものが必要経費として計上できるのでしょうか。

代表的な科目について、パーソナルトレーナーの必要経費に認められるものの例と仕訳例を記載します(購入はすべて現金で行ったものとします)。

経費にできるもの(一例) 科目
ウェア、シューズ、オンラインレッスンのためのカメラ 消耗品費
通勤のための交通費、ジムやレッスン会場への交通費、ガソリン代、タクシー代 交通費
お客様用雑誌や技術向上を目的とする書籍、資料 新聞図書費
セミナー参加費やコーチングを受けた費用 研修費
ホームページ作成、名刺やチラシの印刷費 広告宣伝費
インターネット使用料 通信費
仕事や打ち合わせなどの飲食代 会議費
事務所の賃貸料 地代家賃
事務所の電気代 水道光熱費
一時的にスタジオやレンタルルームなどを借りた費用 賃借料・施設利用費
トレーニングに利用する機器などのリース代 リース料
外部トレーナーへの報酬 外注費

パーソナルトレーナーが経費にできるものと仕訳例

ウェア、シューズ、オンラインレッスンのためのカメラは「消耗品費」

仕事中のみ利用するウェア、シューズ、オンラインレッスンのためのカメラ購入費用などは「消耗品費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 50,000 現金 50,000

ウェアやシューズはあくまでお客様へのトレーニング時に着用するものだけが認められます。

また、カメラはものによっては10万円以上のものもあります。そうしたものは、消耗品費ではなく、「工具器具備品」で固定資産として計上します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
工具器具備品 100,000 現金 100,000

通勤のための交通費、ジムやレッスン会場への交通費、ガソリン代、タクシー代は「交通費」

通勤のための交通費、ジムやレッスン会場への交通費、ガソリン代、タクシー代などは「通通費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
旅費交通費 400 現金 400

ICカードなどにチャージして、そこから支払っている場合は、本来はICカードを利用するたびに経費に計上しますが、すべて事業用として使うことを前提に、チャージした際の領収書で必要経費に計上することも可能です。

お客様用雑誌や技術向上を目的とする書籍、資料は「新聞図書費」

トレーニングスペースや受付に置く雑誌やマンガのほか、技術向上を目的とする書籍、資料などは「新聞図書費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
新聞図書費 500 現金 500

セミナー参加費やコーチングを受けた費用は「研修費」

仕事に関係するセミナー参加費やコーチングを受けたときの費用などは「研修費」とします。仕事と関係なく、個人的な趣味で受けるレッスンなどは経費にはなりません。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
研修費 10,000 現金 10,000

研修の内容によっては、複数回分をまとめて支払うことがあります。その場合は、「前払金」で処理して、研修を受けるたびにその分を研修費に振り替えます。

ホームページ作成、名刺やチラシの印刷費などは「広告宣伝費」

ホームページ作成、名刺やチラシの印刷費などは「広告宣伝費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
広告宣伝費 500 現金 500

インターネット使用料は「通信費」

仕事に関する電話代、インターネット使用料、レッスン中のBGMのためのダウンロードコンテンツなどは「通信費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
通信費 10,000 現金 10,000

仕事の打ち合わせなどの飲食代は「会議費」

取引先の接待や仕事の打ち合わせなどの飲食代などは「会議費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
会議費 400 現金 400

仕事の合間に一人で昼食をとった場合は、単なる食事なので必要経費に計上することはできません。

事務所の賃借料などは「地代家賃」

パーソナルトレーニングに使用している物件の賃借料などは「地代家賃」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 20,000 現金 20,000

自宅をパーソナルトレーニングのために使用している場合は、賃貸物件であれば床面積の割合などで家賃を按分して経費計上できます。トレーニングスペースについて、お客様が使用していない時間に自分が使用するとしても、業務用にスペースを割いていることには変わりないので、床面積で按分すれば問題ないでしょう。

オンライン配信でレッスン動画を配信する場合でも、スタジオ代わりになるスペースの床面積で按分すれば問題ありません。

ただし、自己所有の物件を仕事で使っている場合は、自分で自分に家賃を支払うことはできないので経費計上することはできません。

事務所の電気代などは「水道光熱費」

パーソナルトレーニングに使用している物件の水道代、電気代などは「水道光熱費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
水道光熱費 5,000 現金 5,000

地代家賃と同様に、自宅をパーソナルトレーニングに使用している場合は、事業で使用している床面積の割合などで按分して経費計上できます。

水道光熱費は地代家賃とは異なり、自己所有の物件であっても按分して必要経費に計上することが可能です。水道光熱費の支払先は自分ではなく外部だからです。

一時的にスタジオやレンタルルームなどを借りた場合は「賃借料」「施設利用費」

一時的にスタジオやレンタルルームなどを借りた場合の費用は「賃借料」もしくは「施設利用費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
賃借料 5,000 現金 5,000

予約制の場合、必要経費に計上するのは実際に借りて使用したときです。予約時ではありません。

なお、予約時に代金を支払った場合は、前払金で処理します。

【予約時】

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
前払金 5,000 現金 5,000

【利用時】

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
賃借料 5,000 前払金 5,000

トレーニングに利用する機器などのリース代は「リース料」

トレーニングに利用する機器などのリース代は「リース料」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
リース料 5,000 現金 5,000

外部トレーナーへの報酬は「外注費」

外部トレーナーへの報酬は「外注費」とします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
外注費 100,000 現金 100,000

パーソナルトレーナーが経費にできないもの

それでは、逆に必要経費にできないと思われるものを考えてみましょう。

まずは、自己が使うスポーツ用品や健康器具です。仕事のために体を維持しなければいけないとは言っても、プライベートで使うトレーニング用品を経費で落とすことは難しいでしょう。

筋トレをするのは、何もパーソナルトレーナーだけではありません。これを経費で計上できたら、「仕事のための体力づくりのため」ということでどのような業種でも経費で計上できてしまいます。

ただ、お客様のための器具やオンライン配信するための器具で、空いた時間に自分も使用することがあるといった場合には、もともとが事業のためのものなので、経費計上できます。結局、売上に結びつかないような完全にプライベートの器具が経費計上できないということです。

同様に、整体やエステ、自己が通うスポーツクラブの会費も経費計上できないと考えられます。

こんなケースは経費計上できる?

次に、必要経費で計上できるかどうか、目的によってわかれそうなものを見てみます。

プロテイン代の4つのケース

トレーニングと言えばプロテイン。どのようなケースであればプロテイン代を経費計上できるのか考えてみます。

1.トレーニング指導で販売するために仕入れる
これは、仕入れて販売するということで、まさに必要経費になる代表例です。

2.プロテインの効果を説明する動画作成のために購入する
その作成した動画が、直接的(動画収益)または間接的(動画を見た人からの仕事の依頼)に売上に結びつくのであれば、動画を撮影のためのプロテインは経費で計上して差し支えないでしょう。

3.契約先のジムに必ず「このプロテインを飲むこと」と言われて購入している
このケースは、交際費として必要経費に算入できます。結局自分で飲むなら下の4と変わらないのでは、とも思われますが、自ら銘柄を選んで購入するというわけではなく、売上を上げるために購入という側面が強いため、必要経費で計上しても差し支えないでしょう。

4.自分の体の維持のためにプロテインを飲む
これは、先ほど説明した自己が使うスポーツ用品と同じ話で必要経費として計上できません。

ジム利用時に宣伝用動画を撮影する

個人的にジムを利用したついでに、宣伝用の動画や画像撮影をする場合、撮影に使った時間の割合に応じて、ジム利用費を必要経費として経費計上することは問題ないでしょう。

ボディメンテナンスのために購入した商品を顧客向けに販売する

自己が使っているサプリメントやグッズを顧客に紹介することがあるかもしれません。そうした商品を仕入れて販売する場合、その仕入れについては、問題なく必要経費に計上できます。

また、その商品を撮影のために使った場合も、前述のプロテインの話と同じく経費計上しても差し支えないでしょう。

集客のためにSNSや動画投稿を活用する

SNSや動画投稿にかかる費用、例えば動画制作費などについては、その投稿が仕事に結びつく内容であれば、かかった費用は必要経費として計上できます。結果として集客ができたかどうかは関係なく、作成した目的に応じて必要経費に計上して問題ありません。

パーソナルトレーナーの売上項目の仕訳例

売上は、所得税の確定申告書上で「売上高」として集計されますが、日々の記帳においては商品とサービスなど、売上の種類ごとに勘定科目を分けることをおすすめします。その理由としては、次の2つが挙げられます。

  1. 小売業かサービス業かなど、どの事業でどのくらいの売上が上がっているかが一目でわかる
  2. 消費税の課税事業者で簡易課税の選択をしている場合、売上の種類ごとに事業区分を分けることができる

パーソナルトレーナーの売上種類別の勘定科目例

売上の種類ごとの勘定科目の例を挙げます。すべて現金での売上にしてありますが、実態に合わせて、相手科目は「売掛金」などの勘定科目を使います。

施術料、指名料(簡易課税の事業区分:第五種事業 サービス業)

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 100,000 施術売上高 100,000

商品販売による売上(簡易課税の事業区分:第二種事業 小売業

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 100,000 商品売上高 100,000

セミナー、ワークショップ等による売上(簡易課税の事業区分:第五種事業 サービス業)

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 100,000 セミナー売上高 100,000

上記の仕訳例で使用した売上の勘定科目名は一例です。このほかに会計ソフトの補助科目の機能を使って、「売上高」の勘定科目の中で細分化する方法もあります。やりやすい方法で区分しましょう。

また、最終的には確定申告書の売上の欄に集計されるように、会計ソフトの設定をしておきましょう。

個人事業主のパーソナルトレーナーにできる節税方法

プラスアルファで所得税を抑える方法をいくつか紹介します。ここで紹介するのはパーソナルトレーナーというよりも、個人事業主のための節税方法です。

節税法1:小規模企業共済

個人事業主や会社経営者が事業を廃止したあとの生活のために、現役時代に積み立てておける制度です。毎月最大で7万円を積み立てることができ、その全額が所得控除の対象になるため、所得税や住民税を抑えることができます。

節税法2:個人型確定拠出年金(iDeCo)

iDeCoは個人事業主のための制度というわけではありませんが、小規模企業共済と同じく掛金全額が所得控除の対象となります。

節税法3:倒産防止共済

小規模企業共済と似たような名前で倒産防止共済という制度があります。これは年間240万円を上限に、拠出額を必要経費に計上できます。小規模企業共済が所得控除なのに対して、倒産防止共済は必要経費となりますので、所得税や住民税のほかに、国民健康保険料も少なくできるのが特徴です。

これまで挙げた節税は支払段階で税金を少なくできる反面、解約する段階で課税が行われます。そうした「出口の税金」も意識しておくことが重要です。

パーソナルトレーナーの確定申告で注意すべきポイント

パーソナルトレーナーの確定申告で注意すべきポイントを、個人事業主と副業の場合で見ていきましょう。

個人事業主(開業している)の場合

パーソナルトレーナーに限らずですが、所得税の確定申告では、売上や必要経費、所得控除などは漏れなく計上する、申告期限内に申告を行うといった点は、当然ながら注意すべきポイントです。

特にパーソナルトレーナーの所得税の確定申告で注意すべきポイントとして挙げられるのが、売上計上のタイミングです。数回に分けてトレーニングを行うようなコースで、前金でお金を預かることがあります。こうしたケースではお金を預かったときは「前受金」などの科目で仕訳して、トレーニングを行う都度売上に振り替えることが必要です。

確定申告で正確な売上を計上するには、お金の動きにとらわれすぎないようにすることが重要です。

副業の場合

個人事業主の場合に守るべきポイントは副業にも当てはまります。そのほかには、所得税の確定申告では、他の給与所得なども含めて、漏れなく申告することが必要です。

給与については年末調整が済んでいるものについても、確定申告のときに副業であるパーソナルトレーニングの所得と合算して確定申告をする必要があります。

事業とプライベートの境目を明確にして適切な確定申告を

パーソナルトレーナーとして確定申告するには、売上の計上タイミングや、どこまでを必要経費で計上できるのかなど、注意すべきポイントがたくさんあります。

特に、パーソナルトレーナーのように個人を相手にする仕事では、現金でやり取りすることによる売上の計上が漏れたり、必要経費の範囲が曖昧になったりすることがあります。事業とプライベートの境目をしっかりと持つことで、正しい確定申告ができるように常日ごろから心がけましょう。

photo:Getty Images

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