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税金を滞納したらどうなる?すぐに差し押さえされる?税理士が解説

どんな税金にも納期限があります。決められた納期限をしっかりと守って納税することは当然といえば当然です。

しかし、さまざまな事情から税金を納期限までに納められない、つまり「滞納」の状態になってしまうこともあるでしょう。

今回は、個人事業主や法人企業が税金を滞納したらどうなるのかについて、詳しく見ていきます。

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  • 税金の納期限は法律で定められていて、1日でも過ぎると滞納になる
  • 税金を滞納すると、督促の手続きがあった後、差押の手続きに移行する
  • 税金を納期限までに支払えない場合、まずは管轄の役所に相談し、納税の意思があることを伝えるのが重要

税金を滞納するとどうなる?

法人にしても個人にしても、納めるべき税金にはいろいろな種類があります。法人税や所得税、住民税や事業税のように所得(利益)をベースに計算されるものもあれば、固定資産税や自動車税のように所有にかかる税金もあります。また、消費税の課税事業者であれば消費税も納める義務があります。

そして、これらの税金にはいずれも納期限が法律で定められています。例えば、所得税であれば毎年3月15日ですし、法人税であれば事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です

それでは、このように定められた納期限までに税金を納めることができなかった場合、どうなるのでしょうか?

税金を納期限までに納めないことを「滞納」といいます。納期限は、納税者の納税準備の期間も考慮した上で、ある程度の余裕をもって法律で厳格に定められています。そのように定められた納期限を1日でも過ぎてしまえば、滞納ということになります。そして、税金を滞納してしまうと、その納税義務者は滞納者となります。

滞納者は、場合によっては滞納処分の対象となります。滞納処分とは、税金を納めない者に対して、行政が強制的に税金の徴収を図る手続きのことをいいます。滞納処分が行われる場合、本来は裁判所が決定する差押など(強制執行といいます)の手続きを、課税している役所が自ら行うことができるなど、課税する側に強力な権限が与えられています。

また、税金を滞納すると、ペナルティが発生することがあります。その一つが「延滞税」です。延滞税とは、納期限を過ぎて税金を納付した場合に、その遅れた日数に応じて課税される国の税金です。地方税の場合は延滞金という名称を使っていますが、内容は延滞税と同じです。

延滞税については、延滞した税額に、延滞した日数と、あらかじめ定められた割合を乗じて計算します。国税庁のホームページでも延滞税の計算方法が載っていますので、そちらを利用するとよいでしょう。

実際には、延滞税や延滞金が発生する場合には、税務署や各自治体にて、金額を計算して納付書が送られてきますので、納税者自身で延滞税の金額を計算して申告するといったことは必要ありません。

滞納処分の流れ

税金を納めることなく1日でも納期限を過ぎれば滞納となります。とはいえ、滞納したからといって、即座に差押などの滞納処分が行われるわけではありません。納期限を過ぎても納付の確認ができない場合、まずは「督促」という手続きが行われます。

督促を出して10日が経過しても納税がなければ、財産の差押の手続きが可能となります。実際には、督促と差押の間に「催告」というプロセスが入ることが多いです。

財産の差押が行われると、あとはその財産を「換金(換価処分)」して、その代金をもって納税に充てられるという流れになります。

それぞれのプロセスの細かい内容については、以下で説明していきます。

督促

「督促」とは、税金を滞納している事実を通知し、納付を促す手続きです。この督促のプロセスを踏まなければ、財産を差し押さえられないことになっています。

督促は、納期限から50日以内に発送することになっています。課税する役所によって差がありますが、実際は、納期限が過ぎてから2週間~1ヶ月ほど様子を見て、その後督促状が発送されるというケースが多いようです。

督促状が発送された日から10日間経過した日までに税金が完納されない場合、法的に差押が可能な状態になります。つまり、督促状を1日に発送したら、11日までに税金が完納されなかった場合には12日から差押が可能になります。

督促状を受け取った日ではなく発送された日が基準であることに注意しましょう。「督促状に気づかなかった」ということは理由になりません。

催告

「催告」とは、差押をする前に、最後に納税する意思などを確認するプロセスです。督促は法律で定められた手続きなのに対して、催告は課税する役所がサービスとして行っているものを言います。催告を行わなくても督促後の期間を過ぎていれば差押できるのですが、最後に意思を確認する段階を設けてくれているということです。

財産調査・捜索

いよいよ差押を行う段階になると、まず必要になるのが滞納者の財産の把握です。そのため、税務署など税の滞納を受けている役所は滞納者の財産を把握するための権限が与えられています。

その一つである「質問検査権」は、どのような財産を持っているのかを徴収側が確認できる権利です。質問内容が記載された文書の郵送や、場合によっては口頭で行われる場合もあります。任意の調査なので拒むこともできますが、理由もなく拒むと罰金が科されるなど、間接的に強制力がある調査です。

また質問の相手は、滞納者はもちろんのこと、滞納者の債権者や債務者、例えば取引先や金融機関、勤め先などの関連先も対象になります。滞納者本人に納税への誠実な意思がないと判断されれば、関連先に照会が行われます。当然、金融機関や取引先に財産の照会が入ると信用面で大きなマイナスとなり、事業活動にも支障を起こしかねません。

任意の調査だからといって対応しないでおくと、第三者への調査や罰金を通して、さらなるマイナスを生み出してしまいます。無視しても滞納の事実が消えるわけではありません。財産調査には誠実に対応する必要があります。

もう一つの権限が「捜索」です。ニュースなどでよく見られる家宅捜索のことです。滞納者のオフィスや自宅に、職員がやってきて、財産の内容を直に確認することになります。この段階になると、強制調査になりますので、滞納者の事情で拒否することはできません。捜索をしながら財産を差押することも可能です。

財産差押

「差押(財産差押)」とは、滞納者が所有する財産について、売却や廃棄などの処分を禁止する手続きです。差押は財産ごとに行われます。どの財産を差し押さえるかということは、職員の裁量になります。

差押は、その後換金して税金の納税に充てることになりますので、換価が容易な財産で、なるべく事業活動や生活への影響の少ないものが優先的に差し押さえられます。

例えば、滞納額が100万円で、100万円の価値がある腕時計と自家用車があれば、腕時計のほうが差し押さえられる可能性が高いでしょう。高級腕時計は換価しやすく、なくても生活に困らないからです。

インターネットでも、役所が出品者となって、差し押さえた財産を落札できるオークションサイトや、不動産であればどのような物件が競売にかけられるのかを確認できるサイトなどもあります。一般的にどのような資産が差し押さえられているか見ることができます。

このような基準に基づき、どのような財産を差し押さえるのかということは現場の裁量になりますが、換価性があれば基本的にはどのような財産も差押の対象になります。現預金はもちろんのこと、売掛債権や不動産、動産など幅広く差押の対象となります。場合によっては生命保険を強制的に解約して、解約返戻金の請求権を差し押さえることも可能です。

こうした差押のプロセスや対象となる財産の範囲については、個人事業主も法人も変わりません。ただし法人の場合は、オフィスにあるものが法人のものか個人所有のものか判別がつかないケースもありますし、そもそも個人に比べて換金性があるものが少ないというケースもあります。

そのため、結果的に現預金や売掛債権など、事業性の資産を中心に差押が行われることが多いです。その点、個人事業主であれば、滞納したのが事業から生じる所得税だったとしても、滞納者は個人です。事業関係の資産以外にも個人資産を幅広く差し押さえることが可能です。

例外的に差押が禁止されている財産は、生活に欠かせない衣服や家具、生活に必要な食料、お金を稼ぐために必要な機械や器具などです。

また、会社員や年金生活者であれば、給与や年金の支払額の内、一定額については滞納者の承諾がない限り差押が禁止されています。

換価(かんか)処分

差押のあとは、「換価処分」に移ります。税金は金銭での徴収が必要です。そのため、金銭以外の財産を差し押さえた場合は、金銭に変える必要があります。これを換価処分といいます。

具体的に換価について見ていきましょう。現金であれば、捜索のときなどに差し押さえて、そのまま滞納している税額に充当されます。不動産であれば差押の登記がされます。動産であれば捜索のときに取り上げられることもありますし、大きなものであれば差押のシールが貼られて自由な使用ができなくなります。不動産や動産についてはいずれもオークションなどの競売手続きを通じて換金されることになります。

差し押さえられたものであるということは、購入する側にもわかります。そのため、特に動産などは通常のものよりも安く売却される傾向があるようです。

ここまでくると、滞納者にできることはほとんどありません。換価の猶予といって、換価を1年以内の期間で猶予する手続きもありますが、担保の提供などハードルは高いです。

滞納していた税として充当

差押財産を換金したら、あとは滞納している税金に充当して、一連のプロセスは完了となります。もともと滞納者の所有していた財産を売却した代金なので、充当後に余ったお金は滞納者に返金されます。

滞納処分を受けた場合の悪影響

滞納処分を受けて、金融機関や取引先に財産調査の書類が送られると、滞納者の信用に響きます。税金の納付状況自体が個人信用情報に載るということはありませんが、金融機関の新規の融資審査にも大きくマイナスの影響を与えます。つまり、将来、融資(事業融資、住宅ローンなど)を受けることが難しくなると認識をしておくべきでしょう。

さらに取引先も不安から別の仕入先や業者に切り替えるということもあるかもしれません。

もちろん差押により、資産を手放さなければならないという直接的な影響もありますが、財産調査を通して、信用不安を引き起こすという点でも、税金の滞納は大きなマイナスです。

ちなみに、自己破産すれば税金の支払いも免除されるのでは、と思う人もいるかもしれませんが、個人の場合、税金は自己破産しても免責されません。

ただし、会社などの法人の場合は、納税すべき法人が消滅してしまうため、滞納している税金の支払義務も消滅することになります。例外的に、無限責任社員の場合などは、法人が消滅しても、その社員が納税義務を引き継ぐ場合もあります。

「税金が払えないかもしれない」と思った段階で相談を

税金が支払えないと思ったら、まずは納付する役所に相談しましょう。法人税や所得税などの国税であれば税務署ですし、住民税などは各自治体が窓口です。あとは話し合いベースになりますが、どのようなスケジュールで支払っていくのかを協議します。

税金をまとめて払うことが困難な事情があれば、法定の納期限までに各役所に申請することにより、納期限から1年以内に限り納税の猶予が認められることがあります。「困難な事情」としては、盗難や火災などで損害を受けたことや、事業について著しい損害を受けたことなどが例として挙げられています。まずは窓口で事情を説明して、該当するかどうかを確認するのがよいでしょう。

さらにこの納税の猶予が認められれば、猶予期間内において税金を分割して納付することもできます。分割納付が認められると、そのスケジュールに沿って納付書を郵送してくれることもあります。このように対応しておけば、納税の意思は確認できるので、少なくともこの段階で差押などの滞納処分に移行することはなくなります。

また、金融機関に相談して納税資金などを融資してもらうということも考えられます。ただし、どのような融資にしても理由付けが必要なので、あらかじめ顧問税理士に相談するなどしてから話を進めたほうがよいでしょう。

そして、なぜ税金の滞納が起こっているのかという原因を突き止めることも重要です。そのためにも、税理士とはしっかりと話し合う必要があります。

行政や税務署からの書類は必ずチェックし、うっかりミスにも注意を

税金の滞納については、資金難だけでなく、うっかり未払いにも注意しなければいけません。税額を申告する法人税や所得税、消費税と違って、固定資産税などは自治体が税金を計算して、納付書を送ってきます。行政から郵送されてくる書類には必ず目を通すとともに、納付書が入っていれば、必ず期限までに納付を行うようにしましょう。各種税金の中間納付も同様です。

これまでは税金中心に話をしてきましたが、社会保険料(国民年金保険料や国民健康保険料、健康保険料や厚生年金保険料など)も未納があれば、滞納処分の対象となります。税金関係だけでなく、年金事務所からの書類も必ずチェックしましょう。

どのような税金をいつまでに納付しなければならないのかを顧問税理士に相談するなどしてリスト化しておくのも、対策の一つです。また、会計ソフトを利用して、お金の動きを把握しやすく、常に確認する習慣をつけておくのもよいでしょう。とにかく、催促状が来るようなことがないようにしておくことが重要です。

それでも万が一督促が来てしまったら、とにかく該当の税金の納付状況を確認して、未納であれば、すぐに納付を行いましょう。もし資金難などで納税ができない状況であっても、督促からは目を背けず、役所に相談して、納税の意思があることを伝えたうえで、納税に向けて協議を行うようにしましょう。

photo:Getty Images

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