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駐車場代の勘定科目と仕訳まとめ【消費税の注意点あり】

駐車場代の勘定科目や仕訳に悩むことはありませんか? 仕訳自体はそんなに難しくないのですが、勘定科目の判断の仕方にばらつきが出たり、消費税が非課税の場合もあるので、少し注意が必要な経費です。どのように使い分ければよいのでしょうか。今回は、駐車場代の勘定科目や仕訳の例について紹介します。

POINT
  • 駐車場代の勘定科目は目的によって使い分ける
  • 駐車場代の消費税は非課税のこともあるので、月極駐車場契約の時には注意
  • 個人事業主の駐車場代は全額が経費にならず「家事按分」が必要かも

駐車場代の勘定科目は「地代家賃」もしくは「旅費交通費」が一般的ですが、目的に応じて勘定科目を使い分ける必要があります。

駐車場代の勘定科目

  • 地代家賃(賃借料):月極駐車場代。事務所の家賃と同じ考え方
  • 旅費交通費:コインパーキング(時間貸し駐車場)代
  • 車両費:車に関する費用がいくらかかったのかまとめて管理したい場合
  • 研修費:研修目的で支払った駐車場代など
  • 福利厚生費:社員の慰安旅行のために支払った駐車場代など
  • 交際費:取引先との接待のために払った駐車場代など
  • 雑費:駐車場代がめったに発生しないので勘定科目を分ける必要がない場合

駐車場代の仕訳は借方に地代家賃などの費用勘定、貸方が現金・預金など。簡単な仕訳です。

駐車場代の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 XXX 預金 XXX

駐車場代は仕訳は難しくありませんが、勘定科目の判断の仕方にばらつきが出たり、消費税が非課税の場合もあったりと、少し注意が必要な費用でもあります。

この記事を読めば、駐車場代の勘定科目の使い分け方と仕訳がわかるようになります。

筆者は上場企業で一般会計を担当していた経験があり、実際に駐車場代の伝票の起票もしていました。

経理担当者としての実務上の注意点も記載しているので、参考にしてみてくださいね。

駐車場代の勘定科目は目的別に使い分ける【地代家賃・旅費交通費とは限らない】

冒頭で述べた通り、駐車場代の勘定科目は「地代家賃」「旅費交通費」が基本ではありますが、実務上は他の勘定科目が使われることもあります。

この章では、駐車場代の勘定科目の使い分け方と仕訳を解説していきます。

駐車場代の勘定科目の選び方【会社内で統一しよう】

駐車場代の勘定科目

  • 地代家賃(賃借料):月極駐車場代。事務所の家賃と同じ考え方
  • 旅費交通費:コインパーキング(時間貸し駐車場)代
  • 車両費:車に関する費用がいくらかかったのかまとめて管理したい場合
  • 研修費:研修目的で支払った駐車場代など
  • 福利厚生費:社員の慰安旅行のために支払った駐車場代など
  • 交際費:取引先との接待のために払った駐車場代など
  • 雑費:駐車場代がめったに発生しないので勘定科目を分ける必要がない場合

経理担当者は、月極駐車場代なら地代家賃、コインパーキング代なら旅費交通費、と機械的に仕訳してしまうのではなく、目的によって使い分ける意識が必要です。理由は2つ。

  • 税務上の問題点にならないようにするため
  • 経費をわかりやすく管理するため

税務上の問題点にならないようにするため

駐車場代は税務上の論点になりやすい交際費にあたる可能性があります。

中小企業や個人事業主の場合は交際費の損金算入が認められている(一部上限はあり)ので、そこまで厳密に考えなくとも税務上の問題になることは少ないです。

資本金1億円を超える大企業の場合には注意しましょう。
交際費にあたる駐車場代を「旅費交通費」としてしまうと、税務調査で引っかかってしまうかもしれません。

経費をわかりやすく管理するため

一口に駐車場代といっても目的に応じて勘定科目を使い分けたほうが、何のためにいくら使ったのか、という管理がしやすいです。

例えば、車にかかった費用をまとめて管理したい、ということであれば「ガソリン代」「車の修繕費」「保険料」などと駐車場代をまとめて車両費に計上することもあります。

同じ目的の駐車場代なのに、経理担当者によって勘定科目が違う、といったことがないように、マニュアルを整備しておくと良いでしょう。

前任者がどの勘定科目を使っていたのかを確認するのも大切です。

駐車場代の基本の勘定科目「地代家賃」「旅費交通費」の使い方

駐車場代は基本的には「地代家賃」「旅費交通費」の勘定科目を使います。

考え方や具体的な仕訳の方法を紹介します。

月極駐車場代の勘定科目は「地代家賃」

月極駐車場代は事務所の家賃と同じような意味合いがあるので「地代家賃」で処理をするのが一般的です。

仕訳は以下の通り。

例:月極駐車場代10,000円が預金から引き落とされた。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 10,000 預金 10,000

月極駐車場は一度契約すれば、翌月以降は同じ仕訳を続けていけば良いので、あまり迷うことはないでしょう。

コインパーキングの支払は「旅費交通費」

出張などで利用したコインパーキング(時間貸し駐車場)の費用は「旅費交通費」勘定で処理するのが一般的です。

仕訳にすると次の通りです。

例:出張先でコインパーキング代金500円を支払った。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
旅費交通費 500 現金 500

客先に行くためのコインパーキング代は、このように「旅費交通費」で問題ありません。

ただし、先ほども述べた通りコインパーキング代が「交際費」に当たる可能性もあります。何のために使った駐車場代なのかを意識して勘定科目を選ぶようにしてくださいね。

駐車場代の会計処理・経費精算の注意点4つ

駐車場代の勘定科目と仕訳について紹介してきました。ここからは、駐車場代の会計処理で注意したい以下の4点を解説します。

  • 駐車場代に消費税はかかるのか?【非課税のこともある】
  • 月極駐車場の敷金・礼金・仲介手数料の勘定科目は?
  • 旅費精算をするなら、行先・目的もメモしておく
  • 勘定科目の使い方は統一する

駐車場代に消費税はかかるのか?【非課税のこともある】

月極駐車場代でもコインパーキングでも、駐車場代には基本的に消費税がかかります。

上記で紹介した仕訳は税込経理(消費税を含めた金額で仕訳をする方法)でしたが、企業で一般的に採用されている税抜経理(消費税を分けて仕訳をする方法)だと、以下のような仕訳になります。

例:月極駐車場代11,000円が預金から引き落とされた。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 10,000 預金 11,000
仮払消費税 1,000

ただし、消費税がかからない駐車場代もあるので解説します。

原則として、土地の貸付は非課税、駐車場として整備された土地の貸付は課税の取引になります。

土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象になりません(非課税取引)。しかし、土地の貸付けであっても、貸付期間が1か月に満たない場合は、課税の対象となります。
駐車場など施設の利用に伴って土地が使用される場合は、消費税の課税の対象になります。

国税庁No.6213 駐車場の使用料など

例えば、アスファルト舗装やフェンスなどが整備されている駐車場なら課税ですが、砂利のままで特に整備がされていない駐車場の場合は「土地の貸付」として非課税です。

ただし、貸付期間が1か月に満たない場合は消費税が課税されるので、観光地などで見られるような「1日500円」などの駐車場は未整備でも消費税が課税されます。

1か月以上駐車場を借りる場合で判断が付きにくいときには、契約の際に課税か非課税かを確認しておきましょう。

月極駐車場の敷金・礼金・仲介手数料の勘定科目は?

月極駐車場を借りる際に敷金・礼金・仲介手数料が発生することがあります。事務所などを借りるときと同じように、それぞれ以下の勘定科目で処理します。

月極駐車場の敷金・礼金・仲介手数料の勘定科目

  • 敷金:預け金の意味合いがあるので資産計上。勘定科目は「保証金」など
  • 礼金:20万円未満なら「地代家賃」勘定で費用計上。20万円以上なら「長期前払費用」で償却
  • 仲介手数料:全額費用処理。勘定科目は「支払手数料」

礼金は、契約時に慣例としてお礼として支払うものなので、費用に計上しますが金額と契約期間によって勘定科目が異なるので注意。

礼金が20万円未満であれば支払った時点で「地代家賃」などで一括費用計上できますが、20万円以上なら長期前払費用で償却します。

基本的には契約した年数で償却しますが、契約期間が5年を超える場合は5年で償却します。

旅費精算をするなら、行先・目的もメモしておく

駐車場代に限らず、旅費精算は行先・目的もメモしておくべきです。行先・目的をメモするのには3つの目的があります。

旅費精算には行先・目的をメモする必要がある理由

  • 領収書がもらえない場合がある
  • 経費精算の水増しを防ぐ
  • 税務調査の対策

駐車場代や公共交通機関に乗ったときなどは領収書が発行されないことがあります。「何のためにどこに行ったのか」をメモして旅費精算してもらうことで、領収書の代わりとすることができます。

また、従業員が旅費を水増しして精算することの防止にもつながります。

税務調査では旅費交通費は必ずチェックされます。出張としながらも私的な旅行が含まれていなかったか、などが問われるので、取引先の訪問など出張の目的を明らかにしておくことが税務調査対策になります。

上記で述べた通り、特に大企業の場合には交際費になる駐車場代かどうかの判断も重要です。

勘定科目の使い方は統一する

駐車場代に限らず、会計上の決まりとして、一度使い始めた勘定科目は使い続けなくてはいけません。

経理の担当者によって使用する勘定科目がまちまち、では管理もしにくいです。

社内で統一した処理ができるように、マニュアルの整備等を行いましょう。

【個人事業主の場合】駐車場代の勘定科目と注意点

ここまでは法人の駐車場代について述べてきました。この章では個人事業主が駐車場代を支払ったときの会計処理について解説します。

個人事業主は全額損金にできないこともある【家事按分】

駐車場代は法人であれば基本的に全額損金にできますが、個人事業主の場合はプライベートの支出も含まれているとみなされることがあります。

例えば、仕事でもプライベートでも使用する車の月極駐車場代は、仕事で使用する割合だけ費用にすることができる「家事按分」という考え方で処理します。

例:月極駐車場代10,000円が口座から引き落とされた。なお車の事業での使用割合は6割とする

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 6,000 預金 10,000
事業主貸 4,000

プライベートで使用した分は「事業主貸」という勘定科目を使います。法人では使用しない勘定科目です。

個人事業主が駐車場代を払った時の勘定科目は?

個人事業主が駐車場代を払ったときの勘定科目は、基本的に法人と同じ考え方でOKです。「地代家賃」もしくは「旅費交通費」が一般的です。

目的によって、研修費や車両費などに含めても構いません。

仕事で取引先を訪問するなどの目的で支払ったコインパーキング代は「旅費交通費」で費用処理できます。

ただし、プライベートの目的で出かけた先でのコインパーキング代は、費用に計上できないので注意。

コインパーキング代を払ったときには、行先と目的をメモしておきましょう。

駐車場代がめったに発生しないのであれば「雑費」などに含めてもよいでしょう。

駐車場代の勘定科目と仕訳|まとめ

駐車場代の勘定科目は「地代家賃」もしくは「旅費交通費」が一般的に使われますが、目的に応じて使い分ける意識が大切です。

駐車場代の勘定科目

  • 地代家賃(賃借料):月極駐車場代。事務所の家賃と同じ考え方
  • 旅費交通費:コインパーキング(時間貸し駐車場)代
  • 車両費:車に関する費用がいくらかかったのかまとめて管理したい場合
  • 研修費:研修目的で支払った駐車場代など
  • 福利厚生費:社員の慰安旅行のために支払った駐車場代など
  • 交際費:取引先との接待のために払った駐車場代など
  • 雑費:駐車場代がめったに発生しないので勘定科目を分ける必要がない場合

仕訳は借方に地代家賃や旅費交通費などの費用勘定、貸方が現金や預金です。

駐車場代の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 XXX 預金 XXX

駐車場代は目的よって様々な勘定科目が候補になるので、社内で統一した処理ができるように確認しておきましょう。

photo:PIXTA

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