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配偶者控除と配偶者特別控除、どちらが得?違いや条件、注意点、必要書類まで税理士が解説

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」……聞いたことはあるけれど、違いがあまりわからないという方もいらっしゃるでしょう。よく「扶養の範囲内でパートをする」という話を耳にしたりしますね。所得税や住民税で控除の恩恵を受けるために収入を抑えるというのがこの話です。

最近では制度が変わり、控除が受けられる枠が以前より増えたり、場合によっては減ってしまったりしました。

今回は配偶者控除と配偶者特別控除の内容や違いについて解説します。

お知らせ

令和3年度の税制改正により、年末調整の各種申告書における押印義務が廃止されました。
2021年分の年末調整のやり方は、「知っておきたい基礎知識|年末調整」をぜひ参考にしてみてください!

POINT
  • 「配偶者控除」とは、納税者本人や配偶者が条件を満たす場合に、一定額を所得から控除する所得控除制度
  • 「配偶者特別控除」は配偶者控除の枠を1円でも超えた場合、一定レベルまでは控除額を維持する制度
  • 配偶者特別控除は配偶者側の所得税や、社会保険料の負担に注意

配偶者控除とは?

「配偶者控除」とは、納税者本人や配偶者が条件を満たす場合に、一定額を所得から控除する所得控除の制度です。

「所得控除」とは、税率をかける対象になる金額(収入から経費を差し引いたもの=所得)から一定額を控除する制度のことです。

配偶者控除を受けられる要件

配偶者控除を受けられる配偶者を「控除対象配偶者」といいますが、その要件は次のすべてを満たす必要があります。

・納税者本人については、合計所得金額が1,000万円以下であること。
合計所得金額とは事業所得や給与所得などをすべて合計した、純損失の繰越控除などを適用する前の金額をいいます。

・配偶者については、次の①~④すべての要件を満たすこと。
①民法の規定による配偶者であること
「配偶者」とは、法律上の婚姻関係にある人、つまり結婚をしている相手方で、夫であれば妻、妻であれば夫のことをいいます。いわゆる内縁関係や同性婚については、現行制度では対象外となっています。

②本人と生計を一にしていること
生計を一にしているとは、基本的には同居している、同じ財布で暮らしていることをいいます。仕事の都合などでやむを得ず別居している場合でも、生活費の仕送りをしているなどの状況があれば大丈夫です。

③年間の合計所得金額が48万円以下であること
配偶者の所得が48万円以下。パートタイマーなど給与収入であれば、年間103万円以下となります。

④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
本人の確定申告で、配偶者について青色事業専従者給与や専従者控除などとは重複で受けることができないということです。つまり、青色事業専従者給与を103万以下に抑えても配偶者控除は受けられません。

配偶者控除の控除額

配偶者控除の控除額は、納税者本人の所得に応じて、段階的に控除額が決まっています。また、配偶者が高齢である場合には控除額に一定の上乗せがあります。

配偶者控除の金額
納税者本人の
合計所得金額
所得税 住民税
一般控除額 老人控除額 一般控除額 老人控除額
900万円以下 38万円 48万円 33万円 38万円
900万円超
950万円以下
26万円 32万円 22万円 26万円
950万円超
1,000万円以下
13万円 16万円 11万円 13万円
1,000万円超 0 0 0 0

※老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。

配偶者特別控除とは?

「配偶者特別控除」とは、納税者本人や配偶者が条件を満たす場合に、一定額を所得から控除する所得控除の制度です。

配偶者控除の枠を1円でも超えてしまうとまったく控除がなくなってしまうため、配偶者特別控除として、一定レベルまでは控除額を維持し、その後段階的にゼロにしていく制度となっています。

共働きが増えている中、配偶者控除の枠にとらわれて収入を抑えてしまう「103万の壁」という言葉がありますが、働き方改革の一環として、平成30年(2018年)からこの配偶者特別控除を拡大する改正がなされました。

配偶者特別控除を受けられる要件

配偶者特別控除を受けられる要件は、次のすべてを満たすことです。

・納税者本人については、合計所得金額が1,000万円以下であること。

・配偶者については、次の①~④すべての要件を満たすこと。
①民法の規定による配偶者であること
②納税者本人と生計を一にしていること
③青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
④年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること
パートタイマーなど給与収入であれば、年間103万円超201万6,000円未満となります。

・配偶者側で次の①~③の配偶者特別控除を受けていないこと等。
①配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと
②配偶者が、勤め先へ提出する扶養控除等申告書で源泉控除対象配偶者がいるとして源泉徴収されていないこと(その後の年末調整や確定申告で配偶者特別控除を受けなかった場合等を除く)
③配偶者が、公的年金等の扶養親族等申告書で源泉控除対象配偶者がいるとして源泉徴収されていないこと(その後の年末調整や確定申告で配偶者特別控除を受けなかった場合等を除く)

なんだかややこしいですが、要は夫婦のどちらか一方でしか配偶者特別控除は受けられないということです。

配偶者特別控除の控除額

配偶者特別控除の控除額は、納税者本人の所得と配偶者の所得の両方に応じて、段階的に控除額が決まっています。

配偶者特別控除の金額(カッコは住民税の控除額)
配偶者の合計所得金額 給与収入でいうと 納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下
1,000万円超
48万円超
95万円以下
103万円超
150万円以下
38万円
(33万円)
26万円
(22万円)
13万円
(11万円)
0
(0)
95万円超
100万円以下
150万円超
155万円以下
36万円
(33万円)
24万円
(22万円)
12万円
(11万円)
0
(0)
100万円超
105万円以下
155万円超
160万円以下
31万円
(31万円)
21万円
(21万円)
11万円
(11万円)
0
(0)
105万円超
110万円以下
160万円超
166.8万円未満
26万円
(26万円)
18万円
(18万円)
9万円
(9万円)
0
(0)
110万円超
115万円以下
166.8万円以上
175.2万円未満
21万円
(21万円)
14万円
(14万円)
7万円
(7万円)
0
(0)
115万円超
120万円以下
175.2万円以上
183.2万円未満
16万円
(16万円)
11万円
(11万円)
6万円
(6万円)
0
(0)
120万円超
125万円以下
183.2万円以上
190.4万円未満
11万円
(11万円)
8万円
(8万円)
4万円
(4万円)
0
(0)
125万円超
130万円以下
190.4万円以上
197.2万円未満
6万円
(6万円)
4万円
(4万円)
2万円
(2万円)
0
(0)
130万円超
133万円以下
197.2万円以上
201.6万円未満
3万円
(3万円)
2万円
(2万円)
1万円
(1万円)
0
(0)
133万円超 201.6万円以上 0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)

配偶者控除と配偶者特別控除の減税効果は?

さて、ここまでで配偶者控除と配偶者特別控除の控除額を確かめることができました。実際のところ、この適用を受けることでどのくらいの減税効果があるのでしょうか。さまざまなケースでシミュレーションしてみましょう。なお、配偶者(特別)控除以外の所得控除は基礎控除48万円のみ、住民税の均等割は5千円とします。

配偶者控除、配偶者特別控除の減税効果
ケース1 ケース2 ケース3
納税者本人の所得 500万円 500万円 500万円
配偶者の所得
(パート収入)
0
(0)
65万円
(120万円)
118万円
(180万円)
配偶者控除
(住民税の控除)
38万円
(33万円)
配偶者特別控除
(住民税の控除)
38万円
(33万円)
16万円
(16万円)
①納税者本人の税金
(配偶者控除なし)
94万6,000円 94万6,000円 94万6,000円
②納税者本人の税金
(配偶者控除あり)
83万5,400円 83万5,400円 89万7,300円
③減税効果
①-②
11万600円 11万600円 4万8,700円

<ケース1.納税者本人の所得500万円、配偶者の所得0円>
本人の所得が1,000万円以下、配偶者の所得が48万円以下ですので、配偶者控除を適用します。
(計算方法)本人の所得が900万円以下ですので、配偶者控除の金額は所得税38万円、住民税33万円となります。配偶者控除がない場合は94万6,000円、配偶者控除がある場合は83万5,400円となり、11万600円の減税となります。

<ケース2.納税者本人の所得500万円、配偶者の所得65万円(パート収入120万円)>
納税者本人の所得が1,000万円以下、配偶者の所得が48万円超133万円以下ですので、配偶者特別控除を適用します。
(計算方法)納税者本人の所得900万円以下・配偶者の所得65万円ですので、配偶者特別控除の金額は所得税38万円、住民税33万円となります。配偶者控除がない場合は94万6,000円、配偶者控除がある場合は83万5,400円となり、11万600円の減税となります。配偶者の所得95万円(給与収入150万円)までは配偶者控除と同額の控除なので納税者本人の減税額は変わりません。

<ケース3.納税者本人の所得500万円、配偶者の所得118万円(パート収入180万円)>
納税者本人の所得が1,000万円以下、配偶者の所得が48万円超133万円以下ですので、配偶者特別控除を適用します。
(計算方法)納税者本人の所得が900万円以下・配偶者の所得118万円ですので、配偶者特別控除の金額は所得税16万円、住民税16万円となります。配偶者控除がない場合は94万6,000円、配偶者控除がある場合は89万7,300円となり、4万8,700円の減税となります。配偶者の所得が118万円で、配偶者特別控除は段階的に減少しますので納税者本人の減税額は少なくなりますが、世帯の収入は増えています。

配偶者特別控除の注意点

配偶者特別控除については、次のことに注意する必要があります。

配偶者側では税金がかかるようになる

配偶者特別控除は、配偶者の所得が48万円(給与収入なら103万円)を超えても95万円(給与収入なら150万円)までは、元の配偶者控除と変わらない控除額が維持される制度です。

しかし、それは納税者本人の税金が増えないということであり、配偶者側では所得が48万円を超えると所得税の課税対象になる部分が出てきます。もちろん稼ぎが増えた以上に税金がかかるということはありませんが、翌年になって配偶者に住民税の通知が来てびっくりしないよう、稼ぎのうちから住民税の納付分をあらかじめ用意しておくようにしましょう。

収入が130万円になると社会保険の扶養から外れる

上記は税金だけの話でしたが、一般的に年間収入130万円以上(60歳以上又は障害者の場合は180万円以上)になってくると、国民年金の第3号被保険者(厚生年金の会社員の扶養)や健康保険の扶養から外れ、配偶者自身で国民年金や国民健康保険などを納める必要が出てきます。

そうすると、少なくとも30万円以上の社会保険の負担が出てきますから、130万円を少し超えるくらいだとガクッと手取りが減ることになります。いわゆる「130万円の壁」といわれるものです。

配偶者がもっと働けるのであれば、手取りの面から、配偶者特別控除の減少を気にするよりも年収180万円以上を目指して頑張った方がよいともいえます。

配偶者控除、配偶者特別控除を受けるための手続き

個人事業主など確定申告をする方の場合、申告書第二表の「配偶者(特別)控除」欄に配偶者の氏名・生年月日・マイナンバー(個人番号)を記載し、配偶者控除と配偶者特別控除のどちらかにチェックを入れます。

200824_kaisetsu_02.jpg

※書式は令和元年分のものです。変わることがあります。

次に、確定申告書第一表の「配偶者の合計所得金額」欄に所得を記載し、「配偶者(特別)控除」欄に控除金額を記載します。配偶者特別控除の場合には区分に「1」と記載します。

200824_kaisetsu_03.jpg

※書式は令和元年分のものです。

なお、サラリーマンなど会社で年末調整をする方の場合は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」を記載して会社に提出します。

所得税、住民税以外の配偶者控除

余談となりますが、配偶者についての控除(軽減)制度は、他の税金でもいくつか用意されています。大きなものを挙げてみましょう。

配偶者の税額軽減(相続税)

相続税は故人が遺した財産についてかかる税金ですね。
これを配偶者が受け継ぐ場合には、以下の理由から配偶者の相続税を大幅に軽減する「配偶者の税額軽減」という制度が設けられています。

・故人の財産形成には配偶者が大きくかかわっているということ
・受け継いだ配偶者の相続もまた将来的に発生するということ

その税額軽減は、財産全体のうち、次のどちらか大きい方の金額が占める割合に対応する税額がまるまる差し引かれるというもので、結果として配偶者が受け継ぐ財産のうち最低でも1億6,000万円までは相続税がかからなくなるのです。

・1億6,000万円
・配偶者の法定相続分相当額(他の相続人が子の場合1/2、親の場合2/3、兄弟姉妹の場合3/4)

配偶者控除(贈与税)

贈与税は個人から贈与を受けた財産についてかかる税金ですね。一定の条件を満たす配偶者が、自分が住むための不動産、またはその資金の贈与を受けた場合には、贈与財産につき通常の基礎控除110万円のほかに、最高2,000万円の配偶者控除を受けることができます。
この特例の要件は、次のとおりです。

・婚姻期間が20年超の夫婦間の贈与であること
・贈与された財産が、自分が住むための不動産またはこれを取得するための金銭であること
・贈与を受けた翌年の3月15日までに、その物件に本人が実際に住んでいて、引き続き住む見込みであること

配偶者控除、配偶者特別控除は以前に比べて計算方法が複雑になっていますので、その適用にあたってはしっかり確認しておく必要があります。控除額が自分の所得と配偶者の所得の両方で決まることを覚えておきましょう。

photo:Getty Images

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