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都内飲食業者必見!テイクアウト・宅配・移動販売を始めたなら申請したい助成金

新型コロナウイルスによる外出自粛の要請や移動制限は、飲食店の売上を大きく落ち込ませました。そんな中、「テイクアウト」「宅配」「移動販売」などの新サービスを開始することで、売上の機会を増やそうとしている飲食店も数多くあります。

東京都では、新サービスの開始によって売上を確保しようとしている飲食店を支援する「業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業」を発表しています。どのような内容なのか詳しく見てみましょう。

POINT
  • 業態転換支援事業は、テイクアウト、宅配、移動販売を新規に始める東京都内の事業者向けの助成金
  • 業態転換支援事業の補助額は最大100万円。実際に使用した金額の5分の4が上限
  • 申請には、納税証明書などを添付する必要がある

業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業とは?

新型コロナウイルスは、幅広い業種に影響を及ぼしました。中でも大きな影響を受けたのが、飲食店です。都民の外出自粛や移動制限、消費マインドの低下、該当業種の店舗への営業時間短縮要請などさまざまな逆風にさらされた飲食店。しかし、そんな中でも生き残りをかけて、新サービスの開始などで売上を確保しようとする飲食店も数多くあります。

コロナ禍で外出が大きく制限された代わりに、テイクアウトの需要が生まれました。軽減税率の導入のときにもテイクアウトを活用して軽減税率8%対象のビジネスを拡大しようという動きはありましたが、今回の新型コロナウイルスの影響は、その比ではありません。来客数が急減する中、生き残りをかけた、まさに死活問題です。

そんな中、行政も飲食店の生き残りのためにできるサポートを行っているところがあります。その一つが、東京都が行う「業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業」です。この事業は、新型コロナウイルス感染症により大きく売上が落ち込んでいる都内中小飲食事業者が、新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める場合、経費の一部を助成するというものです。

業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業の対象となる事業者

業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業の対象となる事業者は、東京都内で飲食業を営む中小企業と、個人事業主が対象です。ここでいう中小企業とは、以下の2つのうちいずれかを満たしている会社のことをいいます。

1)資本金の額又は出資の総額が 5,000 万円以下
2)常時使用する従業員の数が 50 人 以下

多くの飲食店は、上記のうちどちらかは満たしているでしょうから、幅広い店舗が対象になるということです。

また、それぞれ申請にあたっては以下の条件があります。

  • 会社であれば、登記事項証明書により、東京都内に本店か支店がある旨確認できること
  • 個人事業主であれば、都内税務署に提出した「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し(税務署受付印のあるもの)によって、東京都内に事業所があることを確認できること

上記の基本要件を満たしたうえで、「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を新たに開始した場合に、それにかかった費用の一部を助成してもらえます。

ただし、実際に使った費用の助成であり、定額で給付金がもらえる制度ではないということ、受給できるのは実際にお金を使った後であるということは認識しておきましょう。

また、2020年(令和2年)4月1日以降に新たなカテゴリーへの取り組みを開始した場合に対象になるので、以前から取り組みを行っていた場合は対象になりません。例えば、2020年(令和2年)3月以前から「テイクアウト」をしていて、2020年(令和2年)4月から新たに「宅配」を行う などの取り組みが対象になります。

ただし、「宅配」については、これまで自前で配達などを行っていたが、新たに宅配代行サービスを利用する、もしくはその逆の取り組みについては、例外として対象になります。

業態転換支援事業の対象経費と助成限度額

業態転換支援事業の場合、助成限度額は100万円、助成率は4/5です。125万円を支出して、その4/5にあたる100万円を受給するというのが最大の受給額ということになります。使ったお金が全額戻ってくるわけではありません。

業態転換支援事業の対象経費を助成の限度額とともに見ていきましょう。

助成対象経費 経費計上限度額
(税抜き)
チラシなど印刷物制作費 30万円まで
PR映像制作費 20万円まで
広告掲載費 20万円まで
宅配用バイクリース料 最長3カ月間
台車・自転車(バイク・自動車は対象外)等の購入 20万円まで
台車・自転車(バイク・自動車は対象外)等のリース・レンタル料 最長3カ月間
Wi-Fiなどの通信料 最長3カ月間
タブレット端末等の購入費 15 万円まで
タブレット端末等のリース・レンタル料 最長3カ月間
梱包・包装資材等の購入費 15 万円まで
テイクアウト商品の受取窓口の設置など店舗内装費 50万円まで
宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料など 最長3カ月間

費目は、どれだけその項目の費用を支出しても、助成対象に入れられる金額の上限が決まっているものです。助成額を上げるには、さまざまな費用を組み合わせる必要があります。1事業者につき交付決定が受けられるのは1回のみです。1回受給した事業者が別の費用を対象にして申請することはできません。どのような経費を対象にするのかということについて事前に計画しておきましょう。

また、多店舗展開している事業者については、申請対象にできるのは1店舗のみという点に注意しておきましょう。ただし、対象となる1店舗について宅配などの取り組みをスタートさせるための投資であれば、すでに別店舗では宅配をやっている場合でも対象にできるので、すでに別店舗で宅配をやっている事業者でも受給は可能です。

業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業の申請方法

業態転換支援事業の申請から交付までは下記の図のような流れです。

業態転換支援事業の申請から交付の流れ

(引用元)業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業「全体の流れ」から

申請の受付期間と交付決定予定日

申請の受付期間と交付決定予定日は以下の通りです。

申請受付期間(消印有効) 交付決定予定日
第1回 2020年4月23日(木)~2020年5月18日(月) 2020年6月1日(月)
第2回 2020年5月19日(火)~2020年6月1日(月) 2020年6月15日(月)
第3回 2020年6月2日(火)~2020年6月15日(月) 2020年6月29日(月)
第4回 2020年6月16日(火)~2020年6月29日(月) 2020年7月13日(月)
第5回 2020年6月30日(火)~2020年7月13日(月) 2020年7月27日(月)
第6回 2020年7月14日(火)~2020年7月27日(月) 2020年8月11日(火)
第7回 2020年7月28日(火)~2020年8月11日(火) 2020年8月24日(月)
第8回 2020年8月12日(水)~2020年8月24日(月) 2020年9月7日(月)
第9回 2020年8月25日(火)~2020年9月7日(月) 2020年9月23日(水)
第10回 2020年9月8日(火)~2020年9月23日(水) 2020年10月5日(月)
第11回 2020年9月24日(木)~2020年10月5日(月) 2020年10月19日(月)
第12回 2020年10月6日(火)~2020年10月19日(月) 2020年11月2日(月)
第13回 2020年10月20日(火)~2020年11月2日(月) 2020年11月10日(月)
第14回 2020年11月3日(火)~2020年11月16日(月) 2020年11月30日(月)
第15回 2020年11月17日(火)~2020年11月25日(水) 2020年12月7日(月)

※ただし、予算終了の場合は、受付期間中であっても終了します。

業態転換支援事業の申請書

業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業の申請書はホームページ「募集要項・申請書等」からダウンロードできます。
次のような様式です。

募集要項・申請書等

業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業「募集要項・申請書等」申請書(PDF版)

申請書のほかに、以下の書類の提出が必要です。

募集要項・申請書等

(引用元)業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業「募集要項・申請書等」申請書(PDF版)

個人事業主と中小企業、それぞれの場合を見ていきましょう。

個人事業主の場合、必要な書類

1)税務署に提出した個人事業主の開業届出書(東京都内に事業所があること)のコピー

2)直近の確定申告にかかる「個人事業税の納税証明書」及び都内区市町村発行の「住民税納税証明書」

事業税や住民税が非課税であれば、税務署発行の「所得税納税証明書(その1)」及び都内区市町村発行の「住民税の非課税証明書」で代用します。

3)2019 年(令和元年)分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書(第 1 表、収支内訳書又は青色申告書)

確定申告書に関しては、2020年(令和2年)創業など2019年(令和元年)の確定申告書を提出できない場合は、事業主の直近の源泉徴収票や、所得税納税証明書(その2)でも代用できます。

4)食品関係営業等の許可書(現在取り扱う食品の種類、営業の形態に応じたもの)

中小企業の場合、必要な書類

1)履歴事項全部証明書(東京都内に本店または支店があること)の原本

2)直近の事業年度の「法人事業税及び法人都民税の納税証明書」

「法人事業税及び法人都民税の納税証明書」は都税事務所であればどこでも取得できます。会社の管轄の都税事務所でなくても、自宅近くの都税事務所など取得しやすいところで取得できます。間違って税務署が発行する納税証明書を取得することがないようにしましょう。

ただし、1期目で、まだ決算書を税務署や都税事務所に提出していない場合は納税実績がないので、当然のことながら納税証明書も取得できません。この場合には、代表取締役の直近の「所得税納税証明書(その1)」及び「住民税納税証明書」で代用できます。所得税納税証明書は管轄の税務署、住民税納税証明書は代表取締役の住所の市区町村役場で取得できます。

3)直近1期分の確定申告書類(別表1・損益計算書・貸借対照表)

ただし、1期目で、まだ確定申告が終わっていない場合は、代表取締役の直近の源泉徴収票や、所得税納税証明書(その2)でも代用できます。

4)食品関係営業等の許可書(現在取り扱う食品の種類、営業の形態に応じたもの)

上記のほかに、中小企業、個人事業主ともに、対象経費の計算根拠資料(見積書など)のコピーを提出する必要があります。

書類の提出方法

書類の提出方法としては、申請書・添付書類を簡易書留等の記録が残る方法で、下記送付先へ提出期間内に郵送します。持参・FAX・電子メール等による提出はできません。

<送付先> 〒101-0024
東京都千代田区神田和泉町1-13 住友商事神田和泉町ビル9階
公益財団法人東京都中小企業振興公社 経営戦略課 業態転換担当宛

審査の結果、提出書類に問題がなく、支出内容についても、テイクアウト、宅配、移動販売を新たに始めるための費用だと認められれば、助成金の交付決定が行われます。交付が決定すると、連絡担当者宛てに簡易書留で交付決定通知が送られてきます。交付決定後は、申請内容に基づき業態転換の取組を実施しましょう。交付決定の後、モノやサービスへの支出が終われば、最後に請求書や納品書などを添付して、助成金の支給申請を行います。書類に不備がなければ、助成金が振り込まれるという流れです。

「業態転換支援事業」の注意点

次に、業態転換支援事業の注意点です。

2020年(令和2年)4月1日以降で交付決定前に着手した経費も対象になる

2020年(令和2年)4月1日以降で交付決定前に着手したり、購入してしまった経費も契約・支払いの確認(契約書や発注書、領収書等)ができれば対象となります。この助成金の特徴的なところと言えるでしょう。

受給額の計算は税抜き金額で計算する

また、注意すべきポイントが消費税です。この100万円や125万円という数字には消費税を含めることができません。125万円を支出して満額受給できると思っていたら、消費税込みで125万円だったため満額受給できなかったということにならないようにしましょう。こうした消費税を含められないということは助成金全般でよくあることですが、支出した金額の税抜き金額で受給額を計算するようにしましょう。

経費の支払いは申請者名義か法人名義の口座からの振込払い

経費の支払いは、原則として金融機関の申請者名義または法人名義の口座からの振込払いとなります。法人の場合、個人名義又は個人口座から振込みを行った経費は助成対象外となります。

多くの事業者が、新型コロナウイルスの影響で売上が上がらないなか、業態転換支援事業は、大きな助けとなるでしょう。新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を検討してみてはいかがでしょうか。

photo:Getty Images

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