【新型コロナ関連】若手フリーランス・個人事業主が今すぐ知っておきたいお金の支援制度【給付金や融資は?緊急オンラインインタビュー】

【ミレニアル世代のお金の専門家・横川楓さん緊急インタビュー】
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、仕事が突然キャンセルになったり、発注そのものが激減したりするなど、フリーランスや個人事業主はいま苦境を強いられています。
こうしたなか、社会的にも経済的にも不安定と言われる若手フリーランス/個人事業主はどのようにして生き残っていけばいいのでしょうか?
そこで「困窮時に利用できる窓口や具体的な支援策」「給付金や融資、助成金・貸付金」「制度の利用時の注意点」などについて、ミレニアル世代のお金の専門家・横川楓さんにお話を伺いました。
(※この取材はオンライン会議ツールを使用し、リモートでインタビューしたものです)
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目次
発注の減少など、むしろ来年以降にマイナスの影響が大きくなる業種も
──僕自身、フリーランスのライターとして活動していますが、幸い今のところ仕事上で大きな問題は発生していません。今後、どういった事態を想定していればいいのでしょうか?
横川:帝国データバンクが「新型コロナウイルスの影響による上場企業の業績修正動向調査」を発表しているのですが、それによると上場企業の中で業績予想の下方修正をした会社が約200社以上もあることがわかりました。
横川:フリーランスの方は中小企業から受注するお仕事もあると思いますが、その大もとが大企業という場合も多いですよね。なので、そもそもの大企業から中小企業への発注が減ってしまうと、最終的にそのしわ寄せがフリーランスの方たちにきてしまうと考えられます。
──なるほど。現在でも仕事が急にキャンセルとなってしまった人は多いと聞きます。その多くはコロナ感染拡大を予防するための外出自粛の影響ですよね。仕事の発注そのものが減少する可能性は、むしろこれから、ということですか。
横川:はい。会社は一年の業績によって来年度の予算を決めますよね。だから、企業の今年度の売上が減ることは、来年度以降に影響が出てくると思います。いま身近に影響がなくても、これから仕事の受注が少なくなったり、なくなったりする可能性もあると考えて備えた方がいいと思います。
売上減・収入減に直面したとき、フリーランスが利用するべき窓口や制度
──急激な収入減により、万が一生活の不安に直面したとき、若手フリーランスはどこを頼ればいいのでしょうか?
横川:基本的には、国や自治体といった公的機関に相談してみましょう。具体的には、
① 厚生労働省の「生活困窮者自立支援制度」の全国の都道府県の相談窓口
② 経済産業省の「新型コロナウイルスに関する中小企業金融相談窓口」
に相談をする形になるかと思います。
──それぞれどのような相談ができる場所なんですか?
横川:まずは以下をチェックしてみてください。
①「自立相談支援機関 相談窓口」は、社会困窮者自立支援制度に基づき各自治体に設置されていて、コロナウイルス関連の相談に限らず、平時から利用できる相談窓口です。経済的困難を受けている人を対象に、一人ひとりに応じた解決策を相談員の方が一緒に考えてくれます。
②「新型コロナウイルスに関する中小企業金融経営相談窓口」は、新型コロナウイルスの影響を受けた小規模事業者に対して、経済産業省が作った経営の相談窓口のことです。こちらはフリーランスを含む個人事業主や売上が減少する事業者が対象で、主に資金繰りの相談先だと思っていただければ良いと思います。
──そういった窓口での相談というものに不慣れな方も多いと思いますが、家賃が払えないなど緊急性の高い状況になったり、実際に急激な収入減少といった生活の不安に直面した場合、一番ラフに相談できるのはどこですか?
横川:それなら、生活困窮者の自立支援窓口です。「生活困窮」というと対象者が限られているように感じるかもしれませんが、日々の家計相談など、生活に困窮していなくても利用できる制度なので。また、緊急小口資金という一時的な生活維持のための貸付制度は、フリーランスの方でも受けやすいのではないかと思います。
こちらは全国各地の社会福祉協議会で無利子でお金を借りることができる制度ですが、新型コロナウイルスの特例措置で、通常時よりもハードルが低くなっています。また、4月30日からは社会福祉協議会だけではなく労働金庫での受付も始まり、迅速な貸付が期待されます。
横川:今後について少し不安を抱えているという方であれば、まずはここに相談していただければ、いま自分に必要な制度や団体、および適切な相談先を紹介してくれるため、確実です。
──最近、ニュースで「持続化給付金」という制度が始まると報じられました。これは当面の資金確保に利用できる制度なのででしょうか?
横川:持続化給付金は、フリーランスの方でも100万円の給付を受けることができます。 4月27日現在、まだ申請の受付は開始されていませんが、電子申請も可能で、その場合申請後2週間程度で給付を行う予定のようです。
継続的な給付ではなく、現段階では1回だけの予定ではありますが、収入が減ってしまった方にとってはとても大きな金額だと思います。受付がスタートしたらすぐに申請ができるよう、現時点までの帳簿をしっかりと準備し、本人確認書類、2019年度の確定申告書の控えなども手元にそろえておきましょう。
- 【参考】
- 経済産業省:持続化給付金に関するお知らせ
- 経済産業省:持続化給付金申請要項(個人事業者等向け)2020年6月29日以降用
- 経済産業省:主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等向け2020年6月29日以降
- 経済産業省:持続化給付金申請要項(中小法人等事業者向け)2020年6月29日以降用
※個人事業主の場合、2019年分の所得税の確定申告を青色申告の場合と白色申告の場合で、計算方法、申請書類が異なります。詳細は、上記「持続化給付金申請要領(個人事業主向け)」をご確認ください。
また、2020年6月26日、経済産業省の持続化給付金ページに6月29日(月)付の申請要領、申請規程、給付規程が更新されました。
2020年6月29日(月)から「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者」「2020年新規創業者」の方が申請可能です。(2020年6月26日 スモビバ!編集部追記)
今すぐお金が必要な状態になってからでは、支援制度は間に合わない
──国や自治体からの支援制度を受けるにあたって、収入の減少を証明する必要があると思うのですが、フリーランスだとその証明が難しい気がしています。ポイントなどはありますか?
横川:一番重要になってくるのは日頃の経理だと思います。毎月の売上がどれくらいか、月々に自分がどれくらいのお金を使っているのかなどを、請求書や残高試算表といった形で残していることが重要です。それによって、収入がどれだけ減少したかも判断がつくので。
──1年に1度、確定申告の時期に帳簿をまとめてつけている人は、速攻で帳簿をつけるべきですね。仕事のキャンセルも収入減少の証明に使用できますか?
横川:メールのやりとりでも、証拠として認められると言われていますので安心してください。公的には発表されていませんが、LINEやMessengerなどのメッセージツールでも、判断材料としては十分と言えます。そういった仕事のやりとりを口約束で済ませるのではなく、証拠として自分で持っておくことが重要ですね。
──そのほか、支援制度を受けるにあたっての注意点はありますか?
横川:支給のタイミングには注意が必要です。今は緊急時なので、もしかしたら早く給付できるよう調整が入る可能性もありますが、通常であれば申請の受理から支給まで1、2ヵ月はかかります。とにかく、いま申し込んで明日お金がもらえるような制度ではありません。今すぐにお金が必要なときに頼るのでは遅いので、早め早めの相談をするようにしてください。
──近々でお金が必要なときにはどうすればいいのでしょうか?
横川:給付金などとは別のアプローチにはなりますが、各種支払いの期限を待ってもらうことはできるかもしれません。例えば、携帯電話など通信各社やクレジットカード会社の各社が「コロナウイルスの影響を受けて収入が減った方」に向けてアナウンスを出しています。もし払えなさそうな場合は、必ず早めに相談をするようにしましょう。電気やガスについても各会社が、水道も各自治体が申し出た方は支払期限を延長をすると発表しています。払えないからとただ放置をしてしまうと、延滞金がかかってしまったり、信用情報に傷がついてしまう可能性があるので、相談をすることが何より大切です。
──なるほど。相談してみる価値はありそうですね。
横川:それでもどうしても即時でお金が必要な場合は、もう一つの手段として、売上の入金予定を早めるサービスを利用するという方法もあります。ファクタリングといって、取引先に発行済みの請求書を買い取り、最短で即日入金してくれるサービスです。例えば、GMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営する「FREENANCE(フリーナンス)」では、請求書の買取を行なっており、請求金額を即日払いで受け取ることが可能です。
──通常、請求書をクライアント企業に発行してから入金までに1ヵ月くらいの時間差がありますが、このサービスを利用すれば支払いを待たずにお金を受け取ることができるということですね。
※クラウド見積・納品・請求書サービス「Misoca」の請求書は、FREENANCEと連携しています。(スモビバ!編集部追記)
横川:はい。ただ、コロナウイルスの影響により売上が減少している企業が多いので、慎重に利用した方が良いと思います。また、申し込み後に審査があるので必ず買い取ってもらえるとは限りませんが、どうしてもすぐにお金が必要な場合、早くお金が手に入る手段として検討してみるのもいいかもしれません。
不確定な情報に流されず、一次情報を確認することが重要
──生活を守るための支援制度は今後も随時増えていくと思うのですが、どのようなアンテナの張り方が重要なのでしょうか?
横川:今回のように刻々と状況が変わっていく場合は、TwitterなどのSNSの情報に頼りがちな人が多いと思います。ただ、SNS上には不確定な情報も多いです。多くは「検討中」のものだったりして、いざ詳細が発表されてみると支給されるための条件が厳しかったり、対象者が狭かったりと、自分を助けてくれる制度ではない場合もあります。そこに一喜一憂していると疲れてしまいますよね。
一番大事なのは、不確定な情報に流されずに一次情報にアクセスすること。今回の場合は、厚生労働省や経済産業省のトップページに、新型コロナウイルスに関する情報がまとまっています。
──たしかに、SNS上の情報だけでは真偽を見極めることも難しいですね。確定した情報だけを信じるというスタンスは、精神的にも健全ですね。
横川:情報の取得という意味では、SNSだけに頼るのは避けた方がいいですが、一方でSNSだからこそできることもあります。
もし、本当に仕事が無くなってしまって困っているのなら、その状況をリアルに伝えて「お仕事ないですか?」と助けを求めるのも一つの手段だと思います。今は外出を自粛して自宅にいる方が多いのでSNSを見てもらいやすい状況です。
「いま、親のお店が大変です」「大量のキャンセルが発生して商品が余ってしまった」といったSOSに対して、みんなが協力して助けている光景をよく見ますよね。知らない人だとしても、助けてくれる人はいるはず。自分だけではどうにもできなくなってしまったとき、誰かを頼ることは決して悪いことではありません。
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- 横川楓よこかわ・かえで
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明治大学法学部卒、その後同大学院へ進学、24歳で経営学修士(MBA)を取得。ファイナンシャルプランナー(AFP)や、マイナンバー管理アドバイザー、マネーマネジメント検定等の資格を取得。また、在学中には地下アイドルの経験があり、ライブ活動などを行うなどの異色の経歴を持つ。
著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)など。
・Twitter:横川楓@お金の専門家
撮影:沼田学