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「持続化給付金」とは?もらえる条件や申請方法を税理士が緊急解説!

※※持続化給付金の申請期限は、2021年1月15日までです。※※
ただし、2021年1月14日発表により、特段の事情がある方の書類の提出期限が、2021年1月31日から2021年2月15日まで延長されました。該当条件や書類の提出期限延長の申込期限などもあるので、詳細は以下をご確認ください。(2021年1月15日 スモビバ!編集部追記)

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新型コロナウイルスによる経済の停滞を防ぐべく、矢継ぎ早にさまざまな施策が、政府や自治体から発表されています。そんななかでも、経営者や事業主にとって注目すべき支援策が「持続化給付金」です。金額も最大で200万円と金額が大きく、企業や個人事業主への新型コロナウイルスによるマイナスの経済的影響を少しでもやわらげるものとしてとらえられています。

持続化給付金は審査があり、申請してから受給までにある程度の期間がかかります。融資なども活用しつつ、可能な限り先を見据えた資金繰り予測を立てましょう。

今回は、この持続化給付金の申請・提出方法やもらえる条件、金額の計算方法、必要書類などについて、2020年4月30日の記事公開日の段階で、わかっている範囲でその概要をまとめてみました。

※2020年6月26日、経済産業省の持続化給付金ページに6月29日(月)付の申請要領、申請規程、給付規程が更新されました。
2020年6月29日(月)から「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者」「2020年新規創業者」の方が申請可能です。(2020年6月26日 スモビバ!編集部追記)

持続化給付金の申請方法は、後半で解説しています。
お急ぎの方は、「持続化給付金の申請方法」をクリックすると該当箇所にジャンプします。

POINT
  • 持続化給付金は、法人は200万円、個人事業主は100万円を上限に支給が行われる
  • 持続化給付金の申請には、法人も個人事業主も「前年度(分)の確定申告書の控え」が必要である
  • 申請は、原則としてインターネットを通じて行う

少しでも事業を継続させるための「持続化給付金」は返済する必要のないお金

新型コロナウイルスの影響はさまざまな業種に広がっています。イベント関係の事業に始まり、飲食業などの店舗系ビジネス、さらには店舗系ビジネスが停滞することにより、卸売業にまで影響が広がっていき……、というように、連鎖的に需要が収縮しています。このような消費の落ち込みは、ダイレクトに事業者の売上に直結します。

その一方で、家賃をはじめとする固定費の支出は止まりません。このような状況のなか、少しでも事業を継続させるための支えにすべくおこなわれるのが、「持続化給付金」です。

この持続化給付金、法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円の給付が受けられるというものです。「給付」の名のとおり、もちろん返済する必要はありません。

この200万円や100万円という金額が、新型コロナウイルスの影響による売上の減少をどれだけカバーできるのかということは、事業者によってそれぞれだと思います。

固定費が少ない業種、例えばライターや講師業については、それなりの助けにはなるでしょう。その一方で、飲食店など固定費が大きな業種にとっては、とても損失を賄いきれないという事業者さんもいるかもしれません。

しかし、いずれにしても、受給できるのであればもらっておくべきでしょう。受給の手続きもこれからの発表となりますが、それなりにシンプルな方法での申請で、事業者に負担をかけないものであることが予想されます。

「持続化給付金」の支給要件

持続化給付金には、いくつかの支給要件があります。どのような事業者であれば支給が行われるのかということを見てみましょう。

給付対象の主な要件は、商工業に限らず、以下を満たす幅広い業種が対象です。

給付対象の主な要件
1.新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者。
2.2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者
3.法人の場合は、
①資本金の額又は出資の総額が10億円未満、又は、
②上記の定めがない場合、常時使用する従業員の数が2000人以下
である事業者。
※2019年に創業した方や売上が一定期間に偏在している方などには特例があります。
※一度給付を受けた方は、再度給付申請することができません。

支給要件その1

新型コロナウイルスの影響によって、売上が2019年同月比で50%以上減少していること

「新型コロナウイルスの影響」ということになっていますが、このタイミングで売上が減少するということは、直接的にせよ間接的にせよ新型コロナウイルスの影響があるでしょう。まず支給要件として重要なのは、売上が2019年同月比で50%以上減少しているということです。

もう少し具体的にいうと、2020年1月から2020年12月のうち、いずれか1月でも売上が2019年の同じ月と比べて50%以上減少しているのであれば支給要件を満たすということになります。売上50%減というと相当な売上の減少です。しかし、緊急事態宣言や自粛の状況の中、とある1ヵ月だけ売上が50%減少したということは十分あり得ます。

重要なのは、2019年の売上と比較するということです。そもそも2019年の売上がない事業者、例えば2020年になってから法人を設立したり、個人事業主として開業したりした事業者や、2019年中はまったく事業活動がなく売上が立たなかったという事業者の場合は、比較する月がないため、支給対象にならないということです(ただし、今後、支給対象の拡大が行われる可能性はあります)。

また、2019年1月から12月までの間に法人を設立した場合や、個人事業主として2019年に新規に開業した……というケースでは、2020年の対象月の月間事業収入が、2019年の月平均の事業収入に比べて50%以上減少している場合、特例の適用を選択することができます。詳しい算出方法などについては下記をご確認ください。

支給要件その2

2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者。

個人事業主の場合には、この2つの要件に当てはまれば、申請できます。

支給要件その3

法人の場合にはもうひとつ、「会社の場合は、資本金10億円未満であること、資本金がない法人については従業員2,000人以下であること」という要件があります。
この要件については、ほとんどの事業者が満たすので気にする必要はないでしょう。

「持続化給付金」の給付額はいくら?計算方法は?

受給額は、最大で、法人は200万円、個人事業主は100万円となっています。しかし、要件さえ満たせばこの金額が全額受給できるというわけではありません。受給額の計算にあたっては、以下の計算式によって計算した金額が上限となります。

2019年の総売上(事業収入)―(選択した前年同月比50%減の2020年の月の売上高×12)(1円未満切り捨て)(※)

(※)2020年5月1日より10万円未満の金額は切り捨てる算定方法でした。しかし、5月8日に給付額の算定方法が変更され、10万円未満(1円未満切り捨て)の金額が給付されるようになりました。
5月中に端数を切り捨てた金額で振込された申請者へは、6月2日より端数分の振込を開始され、端数の金額を記載した2通目の給付通知が登録した住所へ送付されます。詳しくは、中小企業庁:持続化給付金をご確認ください。(2020年5月10日 スモビバ!編集部追記)

この金額が法人は200万円、個人事業主は100万円を下回る場合には、上記の計算式によって計算した金額が給付を受けられる最大額となります。

いきなり計算式を出されてもわかりにくいかもしれませんので、具体的な計算式で考えてみましょう。2019年4月の売上が200万円あった事業者が、2020年4月には、新型コロナウイルスの影響で、売上が90万円まで減少してしまったケースです。

この場合は、4月を比較して、2019年よりも2020年が50%以上減少していますので、受給要件は満たします(※もちろん4月同士を比較する必要はないです。売上の減った任意の月で前年と比較してください)。

そして、2019年の総売上が2,500万円だった場合、上記の数式を当てはめると、

2,500万円-(90万円×12)=1,420万円となります。

この金額は、法人の場合の給付額200万円も個人の場合の給付額100万円も上回っていますので、法人であっても個人事業主であっても上限額での給付を受けることができます。

それでは、前年の売上が毎月30万円で、年間の売上合計が360万円のケースはどうでしょうか? 4月の売上が15万円に落ち込んだ場合、

360万円-(15万円×12万円)=180万円となります。

この場合は、個人事業主であれば給付金の上限100万円を受給できますが、法人の場合は、上限の200万円を下回っているため、180万円しか受給できないということになります。

この2つの例でわかるように、生活できる程度に売上を上げていた事業者であれば、たいていは上限額を受給できるものと思われます。比較対象が「利益」ではなく、「売上」なのも助かります。

法人が持続化給付金を受けたい場合のその他の注意点

ちなみに、2019年の売上といいますが、法人については決算期がバラバラなので、単純に2019年1月から12月の売上を合計するわけではありません。この場合、比較する2019年の月が含まれる事業年度の決算をベースにします。例えば1月決算の法人が1月を比較対象月とした場合、2019年1月と2020年1月を比較します。

この場合、2019年1月が含まれるのは2018年2月から2019年1月の事業年度なので、この期の売上を使って受給額を計算するということになります。個人事業主であれば、暦年で確定申告しますので、単純に2019年の確定申告上の売上で判断すれば問題ありません。

さらに、現在法人税や所得税などについて、新型コロナウイルスの影響で提出が間に合わない場合に、申告期限が提出できる状況になるまで延長が行われています。そのため、比較すべき前年の申告が終わっていないというケースも考えられます。この場合は、2事業年度(個人事業主は2018年)の売上、または法人については税理士の署名・押印がされた未申告期間の売上証明書類(様式自由)を添付することで申請が可能となっています。

2019年に新規開業した場合や、季節によって収入が大きく変動する事業者の場合は?

また、新規開業の場合の特例もあります。2019年1月から12月までの間に法人を設立したり個人事業主として開業したりした場合、2020年のいずれか1月の売上が、2019年の月平均の売上に比べて50%以上減少している場合、特例の適用を選択することができます。

このほか、収入が季節によって大きく変動する事業者(農林水産やイベント業など)や、2018年または2019年に発行された罹災証明書を保有している場合についても特例が設けられています。

残念ながら、2020年に起業した人は対象にはなりません(※)。しかし、個人事業主から2020年に法人成りした場合は、対象となります。

そのほか、「確定申告期限の柔軟な取扱いについて」(令和2年4月6日国税庁)に基づき、2019年分の確定申告を完了していない場合、事業承継を行った事業者などいくつかの特例があります。

また、個人事業主の場合、2019年分の確定申告を青色申告で行っている場合と白色申告で行っている場合で、計算方法と申請書類が異なります。
去年の対象月の収入額は、個人事業主の場合、青色申告なら申告内容で、白色申告の場合は年間収入の平均で算出します。
詳細は、以下の申請要項を参照ください。

2019年の売上が極端に少ない事業者については、もしかしたら満額の受給ができないかもしれませんが、申請は行いましょう。補助金などのように採択の審査があるわけでもなく、要件を満たせば受給できるのであれば、申請しない理由がありません。

(※)2020年6月12日、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための臨時特例等に関する法律が成立しました。「持続化給付金」については、2020年1月から3月に創業した方についても、新たに持続化給付金の対象とされました。
2020年6月26日(金)、経済産業省の「持続化給付金」ページにおいて、6月29日(月)付の申請要領、申請規程、給付規程が更新されました。
6月29日(月)から「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者」「2020年新規創業者」の方が申請可能となります。持続化給付金申請要項のリンクなど関連情報を更新しました。(2020年6月26日 スモビバ!編集部追記)

「持続化給付金」の申請に必要な書類

支給申請にあたっては、法人・個人事業主について、それぞれ以下の書類が必要となります(こちらの情報は2020年4月20日時点のものであり、その後追加や変更の可能性があります)。

法人の場合

1) 2019年締めの法人税の確定申告書の控え(e-Taxでの電子申告であれば申告データ、紙での申告であれば税務署の受付印のある申告書コピー)
2) 法人事業概況説明書(確定申告書だけでは月ごとの売上がわからないため)
3) 売上が2019年比で50%以上減少した月の売上を証明する帳簿その他の証明書類
4) 通帳コピーまたはネットバンキングの口座情報画面
5) 履歴事項全部証明書(※2019年中に設立された法人の場合のみ)

また、申請にあたって法人番号も必要になりますので、不明であれば、以下の国税庁のサイトで検索してみましょう。

個人の場合

1)2019年の所得税の確定申告書の控え(e-Taxでの電子申告であれば申告データ、紙での申告であれば税務署の受付印のある申告書コピー)

ただし、赤字などで2019年の確定申告の義務がなかった場合には、2019年分の市町村民税・特別区民税・都道府県民税の申告書類の控え、新型コロナウイルスの影響で2019年の確定申告が未提出の場合は、2018年の確定申告書控えを使用します。この場合は、比較する売上も2018年のものを使用します。

2)売上が2019年比で50%以上減少した月の売上を証明する帳簿その他の証明書類
3)本人確認書類
4) 通帳コピーまたはネットバンキングの口座情報画面
5) 税務署受付印のある個人事業の開業届出書(2019年中に開業した場合のみ)

法人にしても、個人にしても、2019年同月と比較して売上が50%以上減少していることを証明するために、2020年に減少した月の売上高がわかる帳簿書類などの提出も必要です。

この書類については、様式は問わないとなっています。該当する書類としては、弥生会計などの会計ソフトから出力した売上元帳のほか、小売店などでレジを使っていたり、ECサイトなどでサイトから売上情報が出力できたりすれば出力した売上集計表、卸売など事業者間取引であれば売上台帳や請求書コピーなどが該当してくるものと思われます。

新型コロナウイルスにより資金繰りや従業員対応などに追われ、会計処理が行えていないという事業者も多いかもしれません。このようななかで、売上を厳密に証明する書類(例えば税理士などの証明がある試算表など)を提出するのは、事業者にとって過度な負担となります。このため、とにかく1月分の総売上がわかる書類であれば、どのようなものでも受け付けるということで申請を簡素化しているのです。

もちろん、これらの書類も、日頃から売上の管理をする習慣がないと、どんな書類を準備すればよいのかということもわからないかもしれません。日頃から会計記帳を行っていれば、どのような書類があればよいのかということも見当がつくと思います。普段から記帳業務をしておくことの重要性がこのようなところでも役に立ちます。

また、前年の売上の証明書類として、確定申告書の写しも必要です。2019年の確定申告が終わっていなければ、申請もできないということです。個人事業主については、2019年の確定申告については、通常は3月15日が期限のところ、2020年4月16日まで延長されました。

さらに新型コロナウイルスの影響でこの期限でも間に合わなければ、その旨を確定申告書に記載すれば、期限なく延長されることになっています(※)。
しかし、持続化給付金の申請には、2019年分(令和元年分)の所得税の確定申告書が必要です。提出期限は延びているとはいえ、持続化給付金の申請のためにも、「やよいの青色申告 オンライン」などの確定申告ソフトを使って、早めに2019年分(令和元年分)の確定申告書の提出は済ませておきましょう。

ちなみに、個人事業主の場合は事業収入以外に収入(給与所得や雑所得など)がある人もいます。その点、対象となる事業収入とは、「確定申告書第一表における「収入金額等」の事業欄に記載されるもの」、つまり事業所得のベースとなる収入とありますので、事業所得以外は考慮せず判定することになります。

(※)令和元年(2019年)分の確定申告については、令和2年(2020年)4月17日(金)以降も申告が可能となっています。(スモビバ!編集部注)

「持続化給付金」の申請方法

申請方法については、迅速に給付を行うためインターネットを通しての申請が基本と発表されています。

窓口に持参しての申請となると、相当な混雑や混乱が予想されます。新型コロナウイルス対策なのに、窓口に多数の人が押し寄せて感染がおこってしまっては元も子もありません。また、1件1件窓口で対応していては、迅速な給付もできないですし、窓口の担当者も疲弊してしまうでしょう。

ただし、完全予約制となりますが窓口での受付や申請のサポートも行うことも予定されています。

申請の期間

申請の期間は2020年(令和2年)5月1日から2021年(令和3年) 1月15日までとなります。このあたりは、ニュースなどでもアナウンスされるでしょう。申請を受け付けてから2週間程度で、各事業者の金融機関の口座に振り込みの形により給付が行われる予定です。2週間での給付ということは、審査も相当に書面だけの形式的なものであることが予想されます。

それだけに、必要書類については過不足なく、しっかりと事前準備しておいて、受付が開始されたら、すぐに申請できるようにしておくことが重要です。

また、持続化給付金の詳細や更新情報については経済産業省「持続化給付金に関するよくある問い合わせ」や、中小企業庁ホームページをご確認ください。

写真: 塙薫子

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