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税務調査はSNSもチェック?手順や流れを超インテリ芸人・Gパンパンダに聞こう!

多くの個人事業主やフリーランスの方が、何となく不安に感じている「税務調査」。今回は、税務調査の基本的な手順や流れ、日頃から気をつけておくべきことなど、公認会計士兼税理士の星野さんとMENSA会員の一平さんによる超インテリお笑いコンビ・Gパンパンダのお2人にお話ししていただきました!

Gパンパンダ

Gパンパンダ

ワタナベエンターテインメント所属、公認会計士兼税理士の星野光樹さん(左)と、MENSA会員の一平さん(右)という超インテリお笑いコンビ。筑波大学附属中学校・高校、早稲田大学商学部の同級生。ワタナベコメディスクール24期生。NHK「平成30年度新人お笑い大賞」優勝。星野さんのnoteでは、税に関するお役立ち情報を解説中。

税務調査の基本的な手順や流れとは?

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ライター――税務調査って何?いきなり来るの⁉超インテリ芸人・Gパンパンダに聞こう!は、税務調査の目的や「一般調査」「現況調査」「特別調査」といった種類があること、必要な準備について教えていただきました。今回は税務調査の基本的な手順や流れについて教えてください。

星野星野:ここからお話するのは、税務調査の中でも「一般調査」に関してですが、大まかに聞く流れとしては、まず電話で税務調査の日程を決めて、事業主の自宅や事業所に行きます。そして、納税者と身の上話をします。事業内容、家族構成など、プロフィール的なことを一通り話すケースが多いようです。

一平一平:そのときの受け答えは重要なの?

星野星野:やっぱり、嘘をつかないというのが最重要ポイントだね。向こうも殺し屋とかじゃないから(笑)。一応、どんなビジネスをどんな規模でしているのかなど、本人の情報を頭に入れてから、それに基づいて調査を進めていこうという気持ちがあるんだよ。だからこそ、そこで嘘が入っちゃうと「ん?」と心証が悪くなる可能性は大いにあるね。

一平一平:なるほど。調査官の優しさで事前情報を聞いてくれるんだね。

星野星野:その後、過去の確定申告書などを見ていきます。通帳の入出金明細を見るケースなどもありますね。その入出金が、ちゃんと帳簿に反映されているか照らし合わせていきます。また、帳簿の記録をチェックして、怪しいところがないか、領収書などとも見比べます。こういった作業を1つずつ行っていく……というのが、一般的な税務調査の流れです。

一平一平:調査官から、「○○の部分が怪しいと思っています」って直接教えられることもあるの?

星野星野:あると思いますよ。ただ、最初から頭ごなしにそれを言うのではなく、全部の状況を把握したうえで、「やっぱり○○がおかしいです」と伝えるように、調査官も心がけているんじゃないでしょうか。

一平一平:「この期間の領収書を見せてください」とかも言われるんだよね?

星野星野:人によると思いますが、取引量が少なかったら、1つずつの仕訳を細かくチェックされるパターンもあるだろうね。「接待交際費になっている○月○日のレシートがありますが、これは誰と一緒に行きました?」って聞かれたり。

一平一平:誰と?……えーっと、確か……同じ事務所の後輩芸人と食事に行きました、みたいに答えていけばいいのかな。

星野星野:「確か……」みたいに曖昧な答え方は、ちょっと危ないね。「その後輩が相手だと、証拠を出したり、裏を取ったりすることはできますか?」と詰められるかも。名前を出したら、調査官はちゃんとそれをメモりますし、「わかりません」とか「証明はできません」と答えてしまうと、「それは経費としては認められません」と否認されてしまうでしょう。

一平一平:うっ……。せ、先輩芸人と食事に行った領収書に関しては、相手が誰かもちゃんと覚えてるよ。

星野星野:この領収書も、その領収書も、あの領収書も全部、先輩と一緒に行ったんですか?それらの費用をすべて一平くんが先輩に奢る……なんてこと、あり得るんですか?

一平一平:……架空の話で詰めてこないでよ~。面倒くさい……(げんなり)。

星野星野:こんなふうに、面倒だけど1つずつ確認されるってことなんですよ。一平くんが名前を出した後輩や先輩のところに、調査官が話を聞きに行って、整合性を確認することも調査としてはあり得ますし。くれぐれも最初から嘘をつかないことが重要です!

ライター――税務調査当日に細かく追及されると、緊張してうまく対応できないかもしれません。「こういった心がけをしておくといい」などあれば、教えていただきたいです。

星野星野:嘘をつかないのが大前提ですが、それにプラスして言えるのは、領収書やレシート、帳簿、通帳などをしっかり用意しておくことです。「あれ?この領収書、あるはずなんだけど……!?」という焦りから、その後の受け答えまでボロボロになってしまわないように、例えば日付別や科目別に整理し直しておくなど。

一平一平:普段から整理できている人は、税務調査でも慌てずに済むね。

星野星野:あとは、自分で帳簿やスケジュール帳などを確認し直しておくことでしょうか。悪気がなくても、記入漏れや申告漏れはあり得ますからね。例えば一平くんだと、「あっ!この日のお笑いライブで優勝して、賞金1万円を手渡しでもらってたのに、収入として申告するのを忘れてた!」とかね。そういうのはスケジュール帳などを確認すれば、思い出せることもありますから。

一平一平:……ヤバい。SNSで発信しちゃってるから、動かぬ証拠もあるわ……。

星野星野:もちろん税務調査では、SNSもチェックされます。

一平一平:じゃあ終わりじゃん!もう終わりだ~!!

星野星野:賞金の申告忘れはダメですよ、というのも大前提なんだけど(笑)。今みたいに急に指摘されると「ヤバいヤバい」とギクッとして焦るでしょうが、事前に自分で間違いに気づけておけば対応できますから。

一平一平:いやいや調査官さん、このライブは盛り上げるために賞金を出すふりをしているだけで、実際はもらっていないんですよ~。

星野星野:では、ライブ主催者に確認してみますね。そこで嘘がわかったら大問題ですよ。

一平一平:終わりだ~~~!!!

ライター――嘘をつくとすぐ論破される税務調査風コント、ありがとうございます(笑)。一平さんは今、急に税務調査が来るとなったら、かなり焦ってしまう状況ですか?

一平一平:……ノーコメントでお願いします。

星野星野:この連載を読んだ調査官が一平くんのところに税務調査に来て、ペナルティを食らったら笑えないからやめてくれ(笑)。嘘は絶対バレるんだから、日頃からしっかり記帳などしてくださいよ。

一平一平:うーん。全部記帳できてるか心配になってきちゃった。

星野星野:スケジュール帳を調査官に見せたら、「このライブ、ギャラは出たんですか?いくらですか?」とかも全部確認されちゃうからね。「出てません」って嘘をついてしまうと隠蔽になっちゃうし、「出てます」って言ったら「ちゃんと収入に入れてますか?入れてないならダメですよ」ってなっちゃう。どっちにしろ1年分はくまなく収支をチェックされるので、自分でも確認し直しておくほうが、心の準備としては有効ですよ。

一平一平:明日からしっかり記帳するようにしよ~っと!って、僕が記帳しなくても会計ソフトの連携してるから、振り込まれたギャラは自動で記帳できてるし!現金でもらう場合は、しっかり記帳するようにしよ~っと。

星野星野:あ、そうそう、税務調査では過去5年分、悪質な場合は過去7年分の申告を訴求することが可能ですからね!

一平一平:5~7年分、税務調査というババ抜きに勝ち続けられるかのギャンブルか……想像以上にハード……。

ライター――いざ税務調査に来られて、記憶が曖昧な部分がある場合は、ごまかしたり嘘をついたりするよりも、「覚えていません」「本当にわかりません」と正直に言うほうがいいということでしょうか?

星野星野:そうですね。その場合は調査官と納税者で、お互いに事実確認を試みるわけですが、これはどちらもかなり骨の折れる作業です。とはいえ、「わかりません」と言うことは隠蔽には当たりませんから、本当に覚えていない場合は素直に言うほうがいいですね。

調査官が着目するのは「接待交際費」?事業とのつながりは明確?

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ライター――税務調査で特にチェックされやすい経費というのは、あるのでしょうか?

星野星野:これは僕の主観になりますが……「接待交際費」が注目されやすいように感じます。税務調査の立ち会いを経験してみて、飲食費は本当に細かくチェックされるんだな~と思いました。その飲食とビジネスとの関係が証明できないと、経費にするのはかなり厳しい印象です。

一平一平:芸人同士の打ち上げでも、たくさん仕事の話をするけど?

星野星野:う~ん……。調査官の方の考え方にもよると思うんですが、ライブや番組のスタッフさんや、マネージャーさんを交えた飲食費は経費としてOKだけど、芸人同士の飲食費はNGでしょうね。芸人同士で飲んだときの話をもとに、そのメンバーでそのままトークライブを開催した……とかなら、収入につながった実績が示せるのでOKなんですが、収入につながっていない場合はただの飲み会とみなされて、アウトになってしまうわけです。

一平一平:飲食の場を設けた目的と、それに基づいた仕事の実績をしっかり示せないとダメなんだね。僕は自分でトークライブを主催していて、打ち上げの場で次回の打ち合わせ的な話をすることも多いから、その内容を説明できるようにしておけばいいのかな。

星野星野:場所代という意味での「会議費」としては認めてあげたいんだけど、打ち合わせで飲食をする必要はないんじゃない?ということを指摘される場合もあるよ。

一平一平:うぐぐ……。そう言われるとそうかもしれない……。あ、でも、お昼の打ち合わせを円滑に進めるためのランチミーティングはどう?

星野星野:取引内容にもよりますが、その場でランチを食べたいかどうかはあくまでも本人の意思であって、仕事とはまったく関係ないよね。

一平一平:ええっ!?冷たい……!

星野星野:コーヒー1杯だったら、場所代として必要だなと思えるけど、「打ち合わせにわざわざランチを食べられる場所を選ばなくてもいいのでは?」と言われて、否認される可能性もあるんですよ。

一平一平:忙しくて、打ち合わせの時間を使わないとランチを食べる暇がないときだってあるのに……っ!(泣)

星野星野:そのくらい、接待交際費は厳しくチェックされることがある、という事例です。

ライター――仕事の打ち合わせは、ドリンク1杯でめちゃくちゃストイックに行わなきゃいけないんですね。私は以前、小籠包を食べながら打ち合わせをしたことがありますが……。

一平一平:ちょっと!それ、小籠包を食べなきゃいけない必要性があったんですか!?

星野星野:一平くん、ここぞとばかりにうれしそうに追及するのはやめましょう(笑)。小籠包がちゃんと仕事につながると証明できれば、経費として認められる場合もありますからね。

ライター――一平さんは他に、ご自身の経費について何か気になるものはありますか?

一平一平:僕は自分で謎解きの問題を作って、「なぞっぺー」というSNSのアカウントで定期的に発信してるんですが……謎解きグッズの購入費や、勉強のための謎解きイベントへの参加費は、経費として認められるよね?

星野星野:それもどのくらい収入に結びついているか、というところがチェックポイントになるかもしれないね。

一平一平:つまり、今年中に謎解き関係の仕事をゲットしないと、すべて経費にできないってことか……!?調査官め、堅苦しいな~!何とか認めてくださいよ!謎解きも大事な仕事なんです!!

星野星野:「実際はただの趣味だよね」と思われちゃうと、税務調査の論点になりやすいんだよ。趣味がちゃんと収入につながっていればいいんだけど。

ライター――マンガもダメでしょうか?読んで思い浮かんだアイデアを、原稿に活かすことが結構あるんですが。

星野星野:例えば、ライターさんが原稿制作するときに参考にしたジャンルのマンガ作品は、経費として認められるかもしれませんが、それでも「本当に全巻必要なの?」と追及される可能性はありますね。だから、買ったマンガを何でもかんでも経費にしている場合は危ないかもしれません。

ライター――それ以外にも、自宅を事業所としている場合は、家賃の按分比率なども気になるところでしょうか。

星野星野:そうですね。税務調査の際、自宅の何割を仕事のスペースに充てているか、目視で確認されるかと思います。

一平一平:税務調査の前日に、わざとコントの衣装や小道具をちらかしておいて、「どうしても自宅のスペースの5割は必要なんですよ~」と言えばOKかな?

星野星野:散らかっていも指摘しない調査官もいるでしょうし、「片付ければもっと少ないスペースで済むはず」と考える調査官もいるでしょう。ですが「わざとちらかす」というのは、心証を悪くしかねませんし、やはりおすすめできないですね。
何度も繰り返しになっちゃいますが、基本的にはすべての経費を何となく仕訳するのではなく、嘘なく使い道を説明できるようにしておくことが大切です。

修正?更生?税務調査のエンディングとは

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ライター――税務調査も始まりがあれば終わりもあるということで、最後はいったいどうなるんでしょうか?

星野星野:本当に確定申告の内容が完璧であれば「ありがとうございました」で終わります。

一平一平:ゲームで例えるなら、ハッピーエンドのパターンね。

星野星野:そうです。超優秀な場合ですね。ただ、それはかなりレアなケースともいえます。大抵は、「この収入の申告が漏れてました」「これは経費として認められません」など、何らかの修正が発生して、税金を追加で納める「修正申告」をすることになるでしょう。それとは逆に、万が一、税金を多く払いすぎていた場合には「更正の請求」を行うことになります。

一平一平:税金を払いすぎていたことが、税務調査でわかるパターンってあるの?

星野星野:実際のところは、あまり聞いたことはないので、これもレアケースですね。

一平一平:じゃあ、税務調査のフラグが立った時点で、ほぼバッドエンドへのルートが決まっちゃうじゃん。

星野星野:でも、バッドはバッドでも、人や内容によってスケール感が全然違うんですよ。例えば、1万円の経費が否認されても、ペナルティはあまり大きな金額とはいえないですよね。ただ、取引量や金額が大きい経費が否認されたら、当然ペナルティも大きいわけで、よりいっそう大変なバッドエンドになってしまいます。

一平一平:はあ~。とりあえず接待交際費が否認されまくらないよう、飲み会は誰と一緒だったか、毎回しっかりメモしておかないとなあ。

星野星野:一平くんは以前の記事で、飲み会のたびにメンバーの集合写真を撮っておけば大丈夫って言ってたよね?

一平一平:面倒くさくて、さすがに毎回は撮ってないんだよね……(苦笑)。

星野星野:経費に関する記録やメモは、自分がやりやすい方法で続けていかないとね。

税務調査は怖くない!大切なのは経理における日々の積み重ね

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ライター――それでは最後に、日頃からできる税務調査の対策についても教えてください!

星野星野:収支も経費も、第三者にちゃんと説明できるように管理することです。

一平一平:人様に説明できる生活を送る。これが個人事業主の心構え!

星野星野:税務調査では、1つずつの仕訳について「これは何をしたときのものですか?」と聞かれますからね。それを日頃から意識していれば、嘘半分のような適当な帳簿のつけ方はしなくなるかな、と。1つ嘘をつくと、その嘘が新たな嘘を呼んでしまいますから、とにかく嘘はつかないこと!

一平一平:了解です!メモの量を増やします!嘘をつく気はなくても、収支や経費の内容を忘れちゃうことはあり得るから、それをできる限り防げるように。

星野星野:日記をつけるような感覚に近いかもしれないですね。

一平一平:個人事業主もラクじゃないぜ!SNSは日記感覚でやっているところもあるけど、情報解禁前の仕事はアップできなかったりするしなあ。でも、もともとは国が納税者を信用してくれてるからこその申告納税制度でしょ?だったら納税者側も、信頼に応えるためにしっかりしないとだね。

星野星野:税務署が目を光らせているからこそ、みんなが気を引き締めてしっかり申告と納税を行うという側面もありますから、税務調査をあまり悪いものだとばかり考えないでくださいね。

一平一平:では最後に、個人事業主ジョークを1つ……「ちょうさ(調査)が来たら、ちょうさいてー(超サイテー)」

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星野星野:結局、税務調査のネガティブなイメージがまったく変わってない!

ライター――税務調査は決して怖いものではありませんが、避けられないものでもあるとわかりました。普段から税務調査を想定して、嘘のない正直な帳簿づけなどを行うことを心がけていきたいですね。もし税務調査に関して不安な点がある場合は、税理士の方に相談するのも1つの方法なので、スモビバ!の記事などを参考に、税理士さんを探してみてください!

Photo:沼田学

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