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確定申告の領収書 経費にできるものや保管方法などを解説

個人事業主やフリーランスとして働く人にとって、頭を悩ませる問題の一つが「確定申告」です。所得税の確定申告の準備を進めるなかで、どのような領収書なら経費にできるのか、また、山のようにたまった領収書を簡単かつ効率的に保管できる方法はないのか、気になる人もいるでしょう。

今回は、自分で確定申告をしようと考えている人に向けて、領収書のもらい方や保管方法のポイントを紹介します。

POINT
  • 経費になるものと経費にならないものの違いは「事業に関連する」かしないか
  • 領収書が発行されない場合、なくしてしまった場合も対処法はある
  • 領収書の保存期間は青色申告なら7年間、白色申告なら5年間

確定申告における領収書の役割は?経費にできる領収書のポイント

個人事業主やフリーランスとして働いている場合、1年間の収入や経費を自分で計算し、所得税の確定申告をする必要があります。確定申告における領収書の役割は、簡単にいうと「支払いをした証拠」です。

所得税法で定められている確定申告の領収書には、各取引を証する書類として機能することが認められています。なお、領収書に対する細かな規定がないのが大きな特徴です。一体どのようなものが経費になるのか、また経費にならないのか、きちんと内容を把握しておくのが肝心です。経費になるものとならないもの、それぞれの具体的な内容について確認していきましょう。

経費になるもの

基本的に経費として認められているのは、「事業に関連する」ものです。具体的な内容としては、「事務所家賃」「事務用品」「備品」などが挙げられます。例えば、自宅兼事務所でフリーランスとしてパソコンを使って業務を行っている場合、「事務所家賃」や「水道光熱費」などが経費となります。なお、自宅家賃は事業として使っている部分のみの経費となるため要注意です。

さらに、「パソコン」「事務用品」「インターネット通信費」「携帯電話料金」「業務に必要なパソコンのソフト料金」なども事業に直接関連する費用であり、経費として認められます。ただし、注意しなければならないのが、「業務と家事の両方に関わる費用」です。業務上と家事上のどちらにも関わる費用を経費とする場合は、割合や金額などで「業務を遂行するために必要と認められる範囲」を決めるのがポイントです。普段の仕事や生活のスケジュールを整理して、必要経費とするルールを決めましょう。

経費にならないもの

基本的に経費として認められないのは、「事業に直接関連しない」ものです。たとえば、事業として自動車を使用していないのに、自家用車にかかる費用を経費にすることはできません。また、家族の持ち家や配偶者が家賃を支払っている住居を事務所として使用する場合などに、生計を一にする配偶者やそのほかの親族に支払う「地代家賃」なども、必要経費として認められないため要注意です。

ただし、子どもが生計を一にする親から業務のために土地や建物を借りた場合は、その土地・建物に課される固定資産税等の費用が、必要経費として認められる場合があります。さらに、「所得税」「住民税」「罰金」「科料および過料」なども、必要経費とならないため注意しましょう。

領収書が発行されない場合はどうする?

領収書は確定申告にかかせない重要な書類です。しかし、なかには領収書に関連するトラブルが起きてしまうこともあります。具体的な事例としては、「取引先への結婚祝いや香典などの領収書がもらえない」というケースです。

結婚祝いや香典などは、一般的に領収書をもらうことができません。したがって、経費にするためには結婚式の招待状や会葬礼状などを、支払いの証拠として保管しておく必要があります。日付・支払先、金額・内容などを記録しておき、交際費一覧を作成しておくと良いでしょう。

また、「自動券売機などで切符を購入する」場合も要注意です。券売機のなかには領収書発行機能が備わっているものも多くみられ、簡単に領収書を発行してもらうことができます。領収書発行機能がない券売機の場合は、窓口で領収書が欲しいことを伝えると、切符を領収書代わりにもらえるケースもあります。

それから、多く見られるのが「自動販売機で飲み物を購入」「バスの利用」などのケースです。このような場合は「出金伝票」を使用し、金額や用途などをしっかりと記載しておくのが大切です。万が一、もらった領収書を紛失した場合は「発行元へ再発行を依頼」するという対処法があります。領収書をなくしてしまった場合でも、諦めずにまずは発行元へ事情を説明してみましょう。

さまざまな費用を必要経費とするには、領収書の書き方のコツを把握しておくのが肝心です。重要なのは、「仕事のためにお金を使った」のかどうかが、明確にわかる領収書になっているかということです。そのため、領収書は「品代を正確に記載する」のがポイントとして挙げられます。

さらに、飲食費の場合は「参加した人数」や「誰が同席したのか」を記載し、1人当たりの飲食代が妥当な金額かどうかを裏面などにメモしておくことをおすすめします。あとで誰が見ても、「この領収書は経費にすることが妥当である」とわかるようにしておきましょう。

領収書の他に確定申告で必要となる書類

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確定申告をする際は、領収書のほかにもさまざまな書類が必要になります。個人事業主・医療費控除などのケース別に、必要となる書類や領収書の取り扱い方法をしっかりと確認しておきましょう。なお、後述しますが、確定申告では領収書は提出せずに保管しておきます。

個人事業主が必要な書類

個人事業主が、所得税の確定申告をする際は「青色申告」と「白色申告」のどちらで確定申告をするかによって、必要となる書類が異なります。具体的には、青色申告の場合は「確定申告書」「青色申告決算書」、それから「所得控除や税額控除にかかる領収書や明細書」です。白色申告の場合は、「確定申告書」「収支内訳書」「所得控除や税額控除にかかる領収書や明細書」が必要になります。自分がどちらで確定申告を行うのかを確認し、間違いのないように提出書類をそろえましょう。

医療費控除の際に必要な書類

医療費控除とは1月1日から12月31日までの期間に、自分もしくは生計を一にする配偶者・そのほかの親族のために支払った医療費が、一定額を超えるときに所得控除を受けられるというものです。医療費控除を受ける場合、確定申告提出時には平成29年(2018年)分から医療費の明細を提出し、領収書などは保管することになります。

ただし、医療費控除は領収書の提出が不要な代わりに、「医療費控除の明細書」を作成する必要があるため要注意です。その際、医療保険者から交付を受けた医療費通知があれば、明細書の記載を省略できます。医療費には、治療のためにドラッグストアで購入した医薬品や介護保険制度下での一定の施設・居宅サービス、出産なども含まれます。予防接種やマスク、虫除けなど、いわゆる予防のための費用は対象外です。

通院に使用した交通費などがあれば、その費用も計上できるため、きちんと記載しましょう。なお、健康診断は原則として医療費控除の対象になりませんが、それによって重大な疾病が発見され、治療を受ける場合は医療費に含まれます。

さらに平成29年(2018年)分から始まった医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制の場合は、「セルフメディケーション税制の明細書」を作成します。

領収書の保存期間は?保管方法はどうすべき?

領収書は確定申告の提出が終わったからといって、捨ててはいけません。帳簿や領収書は法律で一定の年数、保存することが義務付けられています。

白色申告者の場合、申告に関する書類、領収書、レシート、請求書、納品書などの保存期間は5年間とされています。(法定帳簿は7年間)。

青色申告者の場合は帳簿、決算書、通帳、請求書、そして領収書やレシートは7年間の保存が必要です。(その他の見積書や納品書は5年間)。

領収書やレシートの保存には、「ノートに貼っておく」「封筒にまとめておく」などの方法がおすすめです。ノートに貼っておく方法は、専用のノートを用意して、領収書やレシートなどを日付順や内容ごとに仕訳し、きれいに貼り付けて保存しておくというものです。ノートに貼っておく方法はあとから情報を確認しやすいのがメリットです。

しかし、その一方でファイリングに時間と手間がかかりやすいのがデメリットといえます。また、テープなどで領収書を貼っておくと、粘着力が弱まったときにはがれ落ちてしまうおそれがあるため要注意です。領収書がはがれ落ちてしまわないように、ノリなどでしっかりと貼っておく必要があります。

封筒にまとめておく方法は、いくつかの専用封筒を用意しておき、月別や費用別などに領収書やレシートをまとめて入れるというもの。封筒に入れるだけなので、簡単に保存できるのがメリットといえます。ただ、枚数が多いとあとで確認したいときに、必要な領収書を探すのに時間がかかりやすいという難点もあります。また、封筒から領収書を出し入れする際に、うっかり紛失してしまうリスクもあります。領収書をゴムでまとめておいたり、たくさんの領収書が入る大きめの封筒を使ったりして工夫をすると、紛失のリスクを低減できます。

ノートに貼っておく・封筒にまとめておくなどの方法は、それぞれメリット・デメリットがあるため、きちんと両方を理解したうえで自分に合った方法を選択するのが大切です。

領収書を電子保存する「スキャナ保存制度」とは?

最近では簡単かつスピーディに領収書を保存する方法として、スキャナ保存の利用も増えています。ただし、スキャナ保存を利用する場合は、「スキャナ保存制度」について内容を把握しておく必要があります。

スキャナ保存制度とは、電子帳簿保存法で定められている、国税関係書類の保存方法の一つを指します。簡単にいうと、領収書などの紙の書類を、「電子データに変換・保存しても良い」というもの。スキャナで読み取りをしてデジタル化したデータは、一定の要件に従って保存すれば、紙の書類を処分しても良いとされています。ただし、あらかじめ所轄税務署長の承認を得る必要があります。

スキャナ保存制度の要件は平成27年度と平成28年度の税制改正によって緩和され、使いやすい制度へと変化しています。具体的には、これまでは「原稿台と一体となっているスキャナ等」を用意する必要がありましたが、税制改正によってデジタルカメラやスマートフォンなどで撮影した電子データも対象となりました。

スキャナ保存するには、電子データの保存によって書類の保存に代える「3カ月前の日までに承認申請書を提出」する必要があります。提出は、必要な書類を添付した申請書を1部作成し、提出先に送付または持参するという流れです。このように、スキャナ保存制度には事前の承認や要件があることで、実際のところは個人事業主にはまだハードルが高く、紙で保管するケースが多くみられますが、今後は徐々に一般的になっていくでしょう。

また、個人事業主やフリーランスの確定申告は、申告ソフトを利用すると簡単に行うことができ、領収書の整理にも大いに役立ちます。申告ソフトのなかでも、「やよいの青色申告 オンライン」は、領収書やレシートのスキャンデータやスマホアプリで撮影したデータを自動仕訳するので、確定申告での入力と仕訳の手間が省けて効率的に確定申告の作業を進めることができるのでおすすめです。

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