女性社長の層が厚くなってきた!コラボラボ・横田響子社長インタビュー

「女性社長.net」の運営、女性経営者300人が集結するイベント・アワード「J300アワード」などを通じて、女性経営者の事業の発展と継続をサポートし、女性の起業家と共に現場を歩んできた株式会社コラボラボの横田響子社長。平成28年(2016年)4月には女性活躍推進法が施行され、人手不足や人口減少に備えて働き方改革の波がさらに広がりを見せるなど、社会が大きく転換しようとしています。昨今の女性起業家を取り巻く環境はどのような変化を見せているのでしょうか?
その現状と展望を横田社長に伺いました。
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女性起業家を支援しようとする社会の本気度が上がってきた
──以前お話を伺った2015年と比べて、女性起業家を取り巻く環境はどのように変化していますか?
2014年~2015年くらいの女性活躍というとまず「管理職を増やそう」となり、組織内の女性にフォーカスが当てられていました。でも、2017年から経済産業省が、女性起業家等支援ネットワーク構築事業を展開し、全国10カ所で女性の起業を支援するように。少額ながら、予算も組まれるようになりました。
また日本政策投資銀行によるビジネスプランコンテストが実施されていて、2018年で7年になるのですが、これは賞金が1千万円ということもあり、初年度は応募が殺到し、現在も一定の応募があるそうです。
従来女性のビジネスコンテストといえば、賞金10~20万円なんていうのも少なくはありませんでしたが、実際起業したらそのくらいすぐになくなってしまいますから。そういう意味で、女性の起業を支援するための社会の本気度が上がってきているかな? という印象もあります。
──女性社長の割合自体は年々増えていますか?
全都道府県で緩やかに増加しています。もともと東京で起業の波があったのが、地方にも広がっている感じはしますね。「地方創生×女性の活躍」というところで政府も力を入れ始めていて、各自治体が優良な起業講座を開催したり、融資制度を設けたりしています。
地方と言えば、コラボラボが2009年に女性経営者300人集客プロジェクト「J300」をスタートしたときは、300人のなかで地方の方は10人ほど。でも逆にその10人がすごく頑張っているけど情報に飢えていると感じたんです。
そこで、2013年から地方の女性起業家さんのところに足を運ぶようになり、今では地方の女性社長と組んで仕事をすることもだいぶ増えてきました。
地方の女性社長が大躍進している
──地方創生がしきりに叫ばれていますが、地方の女性社長の成功例を教えて下さい。
まずは徳島三好市にある古民家カフェ「カフェ&カルチャー クレヨン」。人口2万人の都市に挟まれ、どちらからも車で30分という立地的に決して恵まれた場所ではないですが、1,500円のランチが多い時で2回転するほどの大盛況です。この場所で、子どもの教育コンテンツも提供しています。
私たちはFacebook社の女性支援事業「#起業女子」プロジェクトに協力し、Facebook、Instagramをビジネス活用するための方法を伝授して回っているのですが、まさにSNSを駆使しまくって、知恵を張りめぐらせて、マーケティングして成功している勇気の出る事例ですね。
また、弊社が開催している「J300アワード」でも、ここ2年、大賞を取っているのは静岡県の女性社長なんです。
ひとりは中小企業の海外支援をサポートする「エイグローブ」の小粥おさ美さん。海外ネットワークをハンズオンで売り込みに行けることには定評があり、展示会でアリババの隣に相談ブースを並べると、同じくらい人が並ぶほどです。ご本人は展示会の翻訳を長く手掛けられていて、海外バイヤーのつながりと国内外に幅広いネットワークづくりができている点も素晴らしいですね。
あとは、「菜桜助産所(なおじょさんじょ)」の助産師・堀田久美院長。東京大学の研究員でもあって、エビデンスも持ちながら、産後のお母さんの教育など、さまざまな取り組みを行っています。また、タニタの商品オブザーバーや、エイベックスの産後エクササイズ事業でのアドバイスなど、大手と組んだり、小さいところと集団でコラボレーションしたりしながら、スペシャリティを形にしている点が評価されました。
宝石ジャラジャラは古い!? 女性社長のイメージも激変
──年齢層的にはいかがでしょうか? 学生を取り巻く環境も変化しているようですね。
最近では大学生向けに、3カ月でアプリ1個をリリースしてみるという講座もあります。自分でも手軽に始められるんだなと、おためし起業ができますね。小学生のプログラミング教育も始まるし、在宅でフレキシブルに働くことや副業を認める流れもありますし、若い方のほうがもっと肩ひじ張らずに起業できるのではないでしょうか。
また私もお茶の水女子大で「アントレプレナー育成講座」を受け持っています。起業というよりも事業の立ち上げやマーケティングについての内容で、組織内でも役立つ内容ではありますが、毎回女性社長のゲストを呼びますし、起業経験のある人間が講座を持つことで、リアリティを持って女性社長のロールモデルにも接することになりますよね。
最近ではメディアに露出しているのも、若くて身近な女性社長だったりしていますし、もはや女子学生たちに、「女社長=巨大なエメラルドの宝石をまとった、強そうで近寄りがたい存在」というイメージはないと思います(笑)。
──主婦層の起業で変化は見られましたか?
2013年から職場復帰、再就職、起業などを目指す女性のため明治大学のスマートキャリアプログラムでゲスト講師をしています。とにかく起業プログラム自体が増えていますね。
参加者も、以前はまず再就職したいという方が多く、起業を考えた方は1割程度でしたが、最近では6~7割が起業を考えていて、企業への再就職にこだわっていえる層は1割と割合が逆転し、選択肢としての起業が当たり前になってきました。。
また東京都で起業スタート講座を開催したら、育休中の方がたくさん来て驚いたことがありました。依頼を受けた時期は世の中で開催されている起業イベントがママのプチ起業でした。キャリア層も視野に入れプログラム設計と両輪で実施したら実際は現在キャリアを持っている人が組織で成長して独立するという内容の方がウケたのが新鮮でしたね。