e-Taxで開業届と青色申告承認申請書を出す方法【導入から作成までの手順】

自宅にいながらインターネット上で確定申告ができる、皆さんご存じの「e-Tax(電子申告・納税システム)」。実はこのe-Tax、確定申告以外にも開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)や青色申告承認書(所得税の青色申告承認申請書)の作成・提出に利用できるんです。e-Taxを導入するときの準備から、作成・電子署名・送信までの手順をまとめてみました。
白色申告での確定申告書の提出はe-Taxで済ませたけど、青色申告承認申請書は、e-Taxでできないと思っていた人もぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう?
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目次
- POINT
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- e-Taxの利用には電子証明書と電子署名の付与が必要
- マイナンバーカード(個人番号カード)とカードリーダライタを準備しておく
- 開業届や青色申告承認申請書をe-Taxで提出するには、e-Taxソフトのインストールが必要
【準備編】まずはe-Tax利用の準備から
e-Taxを初めて利用する場合は、いくつか準備が必要です。まずはe-Taxのホームページにアクセス。以下はe-Taxホームページで下にスクロールしたときに出てくる「e-Taxをご利用になる場合の流れ」に沿って解説していきます。
こちらがe-Taxホームページのトップ画面です。「e-Taxをご利用になる場合の流れ」の4ステップ(図中赤枠内)の1〜4を1つずつクリックしながら準備を行います。
なお、以下の1〜4の手順は、過去に「スモビバ!」サイト内で投稿した記事「確定申告をe-Taxで行う方法」で詳述されています。また平成31年(2019年)から、暫定的に「電子証明書」や「カードリーダー」(後述)が不要となる方法が登場予定です。この件については、関連記事(【e-Tax】電子申告がますますお手軽になるかも!?」)も合わせてご覧ください。しかし、現時点では、e-Taxの利用には「電子証明書」や「カードリーダライタ」が必要ですし、開業届や青色申告承認申請書の提出においても同様です。
【参考】
・国税庁:【平成31年1月開始】e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めています
ここでは概略のみを説明します。
1.利用環境の確認
インターネット環境を整えたうえで、推奨環境を満たすパソコンを用意します。主にはWindowsであり、ブラウザはInternet Explorerを用意します。
2.電子証明書の取得
e-Taxでは、作成する書類に電子証明書と電子署名を付与することでデータ改ざんを防いでいます。e-Taxホームページ「電子証明書の取得」のページから、複数の発行機関のリンク先が一覧されますので、いずれかを選択し、取得しましょう(具体的な取得方法、費用等は各社異なります)。
なお、もっともポピュラーな「公的個人認証サービス」の場合は、取得した電子証明書付きのマイナンバーカード(個人番号カード)から、カードリーダライタで電子証明書を読み取ります。その後に、利用者クライアントソフトをダウンロードして、PCにインストールするして設定すれば、利用が可能になります。
【参考】
・地方公共団体情報システム機構:公的認証サービスポータルサイト
3.開始届出書の提出 および 4.利用者識別番号の取得
この手順では「ルート証明書・中間証明書のインストール」「信頼済みサイトとして登録する(Windowsのみ)」等の作業が必要となります。基本的にはe-Taxサイトの手順に沿えばOKです。
e-Taxソフトをインストールしよう
【準備編】の設定をすることでe-Taxのソフトを利用できるようになりました。ここから「5.各種ソフト等のインストール及び設定(申告書・申請書の作成・送信)」に進みます。
具体的な手順です。
まずは「利用できるソフト一覧」のなかから「e-Taxソフト(ダウンロードページ)」をクリックします。開業届や青色申告承認申請書をe-Taxで提出するには、Web版やスマートフォン対応のSP版ではなく、e-Taxソフトのダウンロードが必要です。
すると【事前準備】として以下の作業がうながされます。
ここでいう「手順①〜③」は先の【準備編】にある「3.開始届出書の提出」「4.利用者識別番号の取得」で完了しているので、そのまま「手順④」に進んでしまってOK。なお「手順⑤」は「源泉徴収票等作成ソフト」等をダウンロードする場合なので、ここでは割愛します。
手順④をクリックすると「e-Taxソフトのダウンロードコーナー」に行けるようになります。ここでは次の3つのSTEPが示されます。
- 【STEP1】e-Taxソフトのダウンロード
- 【STEP2】e-Taxソフト(共通プログラム)のインストール
- 【STEP3】e-Taxソフト(税目プログラム)のインストール
「e-Taxソフト」は「共通プログラム」と「税目プログラム」に分類されておりますが、共通プログラムだけインストールせず、両方ともインストールしましょう。該当する税目プログラム(STEP3)から必要な税目を増やしながら(ソフトを拡張させていくイメージで)使用するといった構造をしています。
具体的な手順
- ①【STEP1】でe-Tax(共通プログラム)の実行ファイル(拡張子exe)をダウンロード。
- ②ウィザードに従いながら、お使いのパソコンに①(共通ソフト)をインストール。
- ③インストールした共通ソフトを起動させると、メッセージウィンドウが表示される。
- ④「追加インストール」をクリック。「共通」「申告」「申請」の3項目が表示される。
- ⑤「+」をクリックすることで、さらにその下の階層が表示される。「開業届」「青色申告承認申請書」はいずれも所得税に関する書類なので、今回は「申請」の「所得税」にチェックを入れ、「インストール」をクリック。
- ⑥共通ソフトの①〜②と同様の手順で、税目ソフトをパソコンにインストール。
e-Taxソフトを使ってみよう
さっそくe-Taxソフトを使ってみましょう。こちらがソフトのトップ画面です。
ソフトの利用に際しては、利用者ファイルの新規作成作業が必要となります。ここで利用者名を入力します。利用者識別番号については【準備編】で取得したものをご使用ください。ウィンドウが出てこないときは左側の「利用者選択」のタブから行ってください。
以降、e-Taxソフトから各種届出書を作成・申請するときの基本操作は、左側のタブから「作成」→「署名」→「送信」の順で作業を行います。
e-Taxソフトから各種届出書を「作成」する場合の手順
- 「作成」タブの「申告・申請等」から「新規作成」をクリック。
- 「申請・届出」にチェック。「税目」欄は「所得税」を選択し「次へ」。
- いくつか表示されるなかから、作成したい届出書を選択し「次へ」。
今回は「個人事業の開業・廃業等届出書」or「所得税の青色申告承認申請」を選択します。
- 「申告・申請者等名」は任意の名前で「OK」。
- 「基本情報」入力フォームでは、提出先税務署等を入力し「OK」。
これでソフト上に、届出書の作成フォームが作成されました。入力するには、4で指定した「任意名」をダブルクリックし、入力フォームから内容記入を行います。作成を終えると、「申請・届出等」が行える状態になります。以下、手順の続きです。
- 「電子署名」のタブから、入力を終えた届出書を選択。画面右下の「署名」をクリック。
- 該当する署名方法(メディア)、認証局、個人番号カードのパスワードを選択・入力。
- 確認画面が表示されるので「OK」。これで電子署名を完了。
- 再び左側の「送信」タブから届出書を選択。
- 「送信」をクリック。
- 識別番号、暗証番号を入力し「OK」。すべての作業が完了。
必要に応じて、送信記録を「保存」しておきましょう。
e-Taxソフトの「メッセージボックス」のタブから送信履歴が確認できるようになります。また上記手順からカードリーダーと個人番号カードが必要となりますからご準備を。
パソコンの設定や機材の準備、ソフトのダウンロードに多少の時間がかかったと思いますが、いったんそれらを終えてしまえば、今後はスムーズに諸々の届出書の作成・署名・送信が行えるようになります。当然、次の確定申告時も作業はかなり楽になるでしょう。これから開業しようとされる方は、e-Taxソフトの利用を検討してみてはいかがでしょうか?
そして、白色申告での確定申告書提出はe-Taxで済ませたけど、青色申告承認申請書は、e-Taxでできないと思っていた人は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう?
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