どうしたらいい?青色申告を取りやめる場合

「確定申告を青色申告でやる!」と決意して所得税の青色申告承認申請書を出したものの、事業が忙しすぎて青色申告に見合う帳簿づけができなかったため、青色申告をやめて白色申告に戻すときはどうするのでしょうか。
今回は、個人事業主が確定申告で青色申告をやめる場合の方法について解説していきます。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
- POINT
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- 青色申告を取りやめるかどうかは、その年分の確定申告期限まで考えることができる
- 白色申告になっても、青色申告した年分の特典は有効
- 白色申告の記帳義務でも会計ソフトなら青色申告の10万円控除まで持っていけるかも?
青色申告をやめるときの手続き
青色申告をやめて白色申告に戻したいときは、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を税務署に提出します。
提出期限は青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までとなっています。
つまり、年度の途中で青色申告をやめたいと思った時でも、提出期限が翌年3月15日までなので、申告の時期までに青色申告でなんとかできないかと考える猶予はあるわけです。
この点、白色申告から青色申告にしようと思った時は、青色申告をしようとする年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出しますから、違いがありますね。
「青色申告の取りやめ届出書」は以下の国税庁ホームページで次のURLからダウンロードできます。
【参考】
国税庁:[手続名]所得税の青色申告の取りやめ手続
① 青色申告をやめようとする年を記入します
② 青色申告の承認を受けてから、取りやめようとする前年までの年を記入します
③ 青色申告をやめようとする理由を書きますが、「白色申告にするため」など簡単に書いておけばよいです
なお、事業そのものを廃業する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」も税務署に提出しますのでご注意ください。
青色申告で受けた特典はどうなる?
ここで気になるのが、「青色申告をしていた時に受けていた特典はどうなるのか?」ということですね。
青色申告か白色申告かということは、その年ごとの適用になりますから、青色申告を取りやめたとしても、その前の年までにした青色申告は有効です。
例えば、青色申告の特典のひとつに、30万円未満の備品などを購入したときは減価償却をせずに全額をその年の経費とできるというものがあります。
青色申告をした年分でこの制度を使っていた場合に、その後に取りやめの届出をしたからと言って、遡(さかのぼ)って特典がなくなってしまうことはありません。
また、事業が赤字になってしまった場合に3年間赤字を繰り越せる純損失の繰越控除という特典がありますが、これも白色申告にしたからといって、青色申告の年分の繰越ができなくなるということはありません。
ただし、繰越控除は純損失が出た年分から連続して確定申告書を提出することが要件ですので、忘れずに確定申告をしておきましょう。
会計ソフトなら少なくとも10万円控除は狙える
もし会計ソフトを使って青色申告をしようとしていた方であれば、複式簿記の帳簿づけが難しかったとしても、最大10万円の青色申告特別控除を狙える可能性はあります。
最大10万円の青色申告特別控除は簡易帳簿がつけられれば受けられますが、基本的には現金出納帳や売掛帳など、お小遣い帳的な感覚の帳簿ですから、会計ソフトでも比較的ラクに入力することができます。
白色申告でも、収入や経費に関する帳簿づけは平成26年から義務付けられているところです。
ざっくりいうと、単にレシートを集計するというだけでなく、日付順にその記録を取らなければならないということです。そうなると、エクセルなどを使うとしてもやはり入力する手間は出てくるわけですから、会計ソフトの力を借りた方が断然ラクになるといえます。
また、65万円の青色申告の控除の要件は満たさなくても、10万円控除の要件を満たせば、青色申告をやめずに済みます。
こちらは特に手続きは不要ですので検討してみるのもいいかもしれません。
【参考記事】
「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第2回青色申告編
まとめ
いかがでしょうか。
青色申告をすることに疲れてしまって、白色申告にしたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、白色申告でも記帳義務化されたことから、いまのところ白色で帳簿をつけないことに対するペナルティはないものの、いまは周知期間という位置づけです。
そのうちになんらかのペナルティが設けられないとも限りません。
青色申告のままでも、青色申告の特典を使わない限りは税金の金額が変わることはありませんから、簡単な方法でも帳簿づけをあきらめずに青色申告を続けてみてはいかがでしょうか。
なお、青色申告の承認は青色申告が「できる」という承認ですので、書類を特に出さずとも白色申告によることも可能なことを申し添えておきます。
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