飲食業をはじめるための許認可について

「脱サラして自分でビジネスをやりたい」。そう考えたときに、飲食業を始める人は少なくありません。飲食業は、他のビジネスと比べても新規参入の壁が低く、比較的開業しやすいのが、その理由です。しかし、飲食業を始めるには、いくつかの許認可を得る必要があります。これから飲食業で独立を考えている人のために、解説していきたいと思います。
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目次
- POINT
-
- 保健所には「飲食店営業許可申請」を行う
- 消防署には「防火対象物使用開始届」を行う
- 食品衛生責任者を1人置くこと
保健所に申請すべきもの
飲食店を始めるにあたって、必要な申請は2つあり、保健所と消防署に申請しなければなりません。
まず、保健所に行うのが「飲食店営業許可申請」です。申請には、主に下記のものが必要となります。
- 営業許可申請書
- 間取り図(店や厨房)
- 資格証明書
- 申請料
竣工、もしくはオープンの10日から2週間前までに、店舗を出す地域の保健所に申請を行うことになりますが、できるだけ早く保健所に相談しておくほうがよいでしょう。
完成したあとに、保健所の職員からチェックを受けて、流しや手洗いの数など、設備基準を満たしているかどうかなどが判断されます。ダメ出しされる可能性を考えると、早めに確認しておきたいところです。
私が取材した人のなかには「あえてギリギリに保健所に提出して、ダメ出しをさせない」「担当者によって厳しさが全く違うので、もうやり直しがきかない段階で提出して、許してもらうように説得する」という人もいましたが、当然、おすすめはしません。その方法をとっているのは、いずれも2店舗目、3店舗目を開店する人でした。慣れているからこそ、リスクを踏まえたうえでの裏技と言えそうです。
やはり保健所には、できるだけ早くチェックを受け、担当者と早い段階でコミュニケーションをとるようにしましょう。
消防署に申請すべきもの
次に、消防署に申請するのが「防火対象物使用開始届」です。開業から1カ月以内に、消防署に下記を用意して、申請を行います。
- 防火対象物使用開始届出書
- 案内図(店舗近辺の地図)
- 店舗の平面図、立体図、断面図、建物の仕上げ表など(消防用設備が記入されたもの)
防火対象物使用開始届出書については、施工業者が申請するケースも少なくありません。もし、施工業者に依頼しないのであれば、自分で行うことになります。よく確認しておきましょう。
警察に申請すべきもの
原則的には、保健所と消防署への申請でOKですが、業態によっては警察に届け出を行わなければならないケースも出てきます。
例えば、夜の12時を過ぎて営業する場合には「深夜酒類提供飲食店提供許可」を、女性が接客してお酌も行う場合は「風俗営業許可」をもらえるように、警察に申請しなければなりません。申請書や店舗の見取り図などが必要になりますので、警察署に確認したうえで、提出しましょう。
このように、出店するお店の業種ごとにさまざまな営業許可が必要な場合がありますのであらためて確認しておくと良いでしょう。
【参考】
東京都福祉保健局:営業許可種類一覧
ちなみに、これはどの業種でもそうですが、個人事業を行う場合は、税務署に開業届を提出します。事業の開始等の事実があった日から1カ月以内に提出しましょう。
また、その他にも必要な提出物などないか、税務署以外にも県税事務所や市役所に問い合わせておくと良いでしょう。飲食業の場合、事業税がかかってきますので以下の記事も併せてご確認ください。
【参考記事】
個人事業主にかかる事業税とは
飲食業を行うのに必要な資格
また、飲食店の営業を行うには、「食品衛生責任者」が1人いなければなりません。
その名のとおり、店の衛生面を管理する責任者であり、食品衛生協会の講習を受けることで、資格を得ることができます。1日6時間の講習を受講すればよいので、難しくはありません。
医師や薬剤師、調理師や栄養士といった資格を持っている人は、養成講習を受けなくても食品衛生責任者になれるので、あらかじめ該当するスタッフを確保しておくという方法もあります。
そのほか、建物の収容人数が30人を超え、のべ面積が300㎡未満の店を開業する場合は「乙種防火管理者」の資格が必要となります。1日5時間ほどの講習を2日間受けることで取得できます。
以上、飲食店を開業する際の許可申請について、解説しました。ひとつひとつはそれほど大きく時間がとられるものではありませんが、着実にクリアしながら、余裕を持ってオープン日を迎えましょう!
photo:Getty Images