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合同会社とは?株式会社との違いも解説!有限会社はもう作れない?

監修者 : 中野 裕哲(起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士)

株式会社に次いで多い「合同会社」という法人形態。2006年(平成18年)5月の会社法施行以降、徐々に増加傾向が続いており、今では新設法人の3割近くは合同会社といえる状況になってきています。

合同会社とは何か、株式会社との違いや、設立のメリット・デメリットにはどんなことがあるのかまとめてみました。

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  • 合同会社は出資者(所有者)と経営者が同一である
  • 利益分配の自由度が高く、決算公告の義務がないというメリットがある
  • 株式会社に比べ社会的な知名度・認知度・信用度が低いというデメリットがある

合同会社とは?

「合同会社」とは、2006年5月に施行された会社法(新会社法)で設立可能となった法人形態です。比較的新しい制度であるにもかかわらず、今では年間3~4万社が合同会社として設立されています。アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルとすることから「日本版LLC」と呼称されることもあります。

合同会社の大きな特徴は、次の2つです。

1.出資者(所有者)と経営者が同一である
2.出資者全員が有限責任社員である

出資者と経営者が同一

一般的な法人形態である株式会社では、出資者と経営者は別です。一方、合同会社では同一となります。

そもそも会社の設立には「お金を出す人(=出資者)」と「会社を運営する人(=経営者)」が必要です。会社法の「株式会社」では、出資者を「発起人」(会社設立後は「株主」)と呼び、経営者を「代表取締役」や「役員」などと呼びます。

株式会社の場合、株式が公開されていれば公開株を購入することで誰でも株主(出資者)になることができ、株主はその会社における重要事項の決定機関としての役割を担います(所有と経営の分離)。このとき、配当は持株の割合に応じて配分されます。

他方、合同会社の場合、出資者・経営者が存在するのは同じですが、出資を行った者が経営を行うこととなり「出資者=経営者」となります。このとき、出資者を「社員」、経営者を「代表社員」と呼びます。

それにより、合同会社は意思決定機関の設計も柔軟にできます。株式会社のような株主総会はなく、社員総会によって重要事項の決定がなされるのが通例です。また、出資者の利益配分は出資割合に関係なく、社員間の合意によって自由に配分されます。

責任の範囲は、有限責任

合同会社の2つ目の特徴は「出資者全員が有限責任」を負うことです。会社が倒産したときなどに出資者が「出資額を限度」として責任を負うことを「有限責任」といいます。この部分は、株式会社と違いはありません。

ちなみに、合同会社と同じ持分会社である合資会社・合名会社では「無限責任」を負う社員が存在します。合名会社では社員全員が無限責任を負います。合資会社では、無限責任の社員と有限責任の社員が最低1名ずつ必要です。

合同会社と株式会社の違いは何?

法人形態として最もポピュラーな「株式会社」と比べて、合同会社はどう違うのでしょうか。表にまとめました。

  合同会社 株式会社
商号 会社名の前後どちらかに「合同会社」をつける 会社名の前後どちらかに「株式会社」をつける
出資者の名称 社員 株主
会社の代表者 代表社員 代表取締役
意思決定最高機関 社員総会 株主総会
業務執行者 業務執行社員(業務執行社員を選任しない場合は社員全員) 取締役
業務執行者と出資者の関係 社員本人(所有と経営が分離していない)
社員以外からは選任不可
委任契約(所有と経営が分離している)
株主以外からでも選任可
業務執行者の任期 任期なし 通常2年、最大10年
決算公告の義務 なし あり
出資者の利益配分 出資割合に関係なく社員の合意で自由に配分 株式の割合に応じて配分
株式(持分)の譲渡 社員全員の同意が必要 自由(譲渡制限をかけることも可能)
責任範囲 出資の範囲内(有限責任) 出資の範囲内(有限責任)
設立手続 株式会社と比べ、簡便で費用が安い 合同会社と比べ、複雑で費用が高い
資金調達 株式の発行がないため、資金調達方法は制限されやすい 株式の発行等で大規模な資金調達を行いやすい

【注意】有限会社はもう作れない?

有限会社は、2006年5月に会社法が施行されるまで認められていた法人形態です。しかし、合同会社の誕生に伴い「有限会社」新設は廃止されました。よって、有限会社を新規で設立することはできません。

ただし、2006年5月以前に設立した有限会社はそれまでの有限会社の特性を残した「特例有限会社」として存続し「取締役の任期の期限がない」「決算の公告義務がない」といったメリットを継続して受けられます。なお既存の有限会社は手続きを行うことで株式会社に変更できます。

合同会社のメリット・デメリットを比較

合同会社の設立件数は年々増加しています。登記統計によれば、2020年は33,236社が合同会社として新規に設立されました。これは、2020年に設立された会社全体のうちの約3割。株式会社に次いで設立件数の多い形式が、合同会社なのです。

若い起業家にも人気の合同会社ですが、設立後には以下のような「メリット」「デメリット」が生じるため、合同会社の特徴を十分につかんだうえで選択する必要があります。

合同会社にするメリット

まず、合同会社を設立するメリットを見ていきましょう。

株式会社よりも設立の費用が安い

合同会社の設立にかかる費用は、株式会社と比べて安いというメリットがあります。

株式会社の設立の際には、登録免許税や定款認証の手数料、収入印紙代や会社代表印の作成費用など、トータル約25万円を用意する必要があります。

一方、合同会社では株式会社設立時に必要な「定款認証」の必要がありません。電子定款も活用すれば、6.3万円〜10万円ほどで設立が可能です。

株式会社よりも設立の手続きが簡単

株式会社を設立する場合は公証人に定款を認証してもらう必要がありますが、合同会社では定款認証が必要ありません。そのほかの手順は株式会社の新規設立に準ずるものがほとんどですが、株式会社と比べて設立手続きは簡単です。

節税メリットが受けられる

個人事業主とは異なり、合同会社・株式会社などの法人は累進課税ではありません。また、法人の場合は個人事業主に比べて費用の範囲が広く、やり方次第で費用の部分を大きくできます。そのため、法人化による節税メリットを受けられます。

経営の自由度が高く意思決定がスムーズ

株式会社の運営において、たとえば組織に複数の経営者がいる場合は、取締役会を設置した上で必ず監視役を配置したり、取締役の合議で重要事項を決定したりといった会社法上のルールがあります。

しかし、合同会社にはこうしたルールはなく、定款に則ったかたちで柔軟な組織運営が可能なため、経営の意思決定が素早く行えるというメリットがあります。

利益の分配を自由に決めることができる

株式会社は、株主が所有する株式の数に応じて配当を得る形態です。しかし、合同会社では必ずしも出資額に応じた配分がされなくても良く、社員(=出資者)間の取り決めで利益を分配することができます。

合同会社にするデメリット

合同会社を設立する際に考慮すべきデメリットについても見ていきましょう。

知名度や信用度に欠けることがある

合同会社は、合資会社・合名会社よりは社会的な知名度・認知度があり、社数も増えてきているものの、株式会社に比べると社会的信用度が低いと言えます。人材採用や取引先拡大の際、不利に働く場合があります。

代表者が代表取締役と名乗れない

合同会社の代表者は「代表取締役」を名乗れず「代表社員」と呼ばれます。そのため、合同会社の仕組みをよく知らない方からすれば、どのような役割か伝わらない可能性があります。

上場することができない

株式会社の場合、株式上場することで多くの人から多額の資金を集め、大規模な経営を行うことができます。しかし、合同会社では上場ができません。株式による事業規模の拡大を目指す場合、合同会社の形態はデメリットとなる可能性があります。

社員間の意見の相違が、直接経営に影響してしまう

合同会社の場合、定款で別段の定めがない限り、出資割合にかかわらず議決権は平等です。そのため、経営者(代表社員)間で対立が生じれば、業務執行に問題が生じる場合もあり得ます。

簡単に設立できるのが合同会社の魅力

合同会社は株式会社よりも簡単に設立できるのが最大のポイントです。会社設立を検討中であれば、ご自身が置かれた境遇・設立したい会社の特色等をしっかりと吟味のうえ、検討してください。

photo:Getty Images

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