青色事業専従者給与はこれだ

青色申告のメリットとしてよく知られているのは、65万円の特別控除ですが、それだけではありません。青色申告の個人事業主なら、一定の条件を満たしている家族に給与を支払い、それを経費として計上することができるのです。そんな節税効果の高い「青色事業専従者給与」について説明したいと思います。
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目次
- POINT
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- 青色申告の個人事業主なら一定の条件を満たしている家族に給与を支払い、それを経費にできる
- 青色事業専従者になるには3つの条件がある
- 白色申告の専従者控除と違い、「青色事業専従者給与」には上限額がない
専従者の条件は3つ
個人事業主の方には、家族に仕事を手伝ってもらっているという人も少なくないでしょう。私も妻に原稿を読んでもらって、校正をしてもらうことがあります。また、小学生向けの歴史の本も書いているので、息子に「歴史上の人物で誰が好きか、クラスの友達たちに聞いてきてもらえる?」とリサーチをお願いしたりもしています。
青色申告を行っていれば、一緒に個人事業を手伝ってくれている親族に給与を支払い、経費にすることができます。これを「青色事業専従者給与」と呼びますが、専従者として認められるためには、以下の条件を満たしていなければなりません。
- 個人事業主と生計を一つにして暮らしている配偶者や親、祖父母、子ども
- その年の12月31日現在で、年齢が15歳以上(学生は原則不可)
- 年間のうち6ヶ月以上はその事業に従事すること
おっと、年齢が15才以上ですから、小学生の息子は当てはまらないようですね、残念……。
給与額はいくらにするべき?
一方、妻のほうはというと、上記の3つの条件は満たしているようですが、経費に計上するわけですから、当然、給与に見合った仕事をしてもらっていることをきちんと証明できないといけません。
一般的には、帳簿記帳、領収書の整理、請求書発行、支払い、集金などの経理業務や、メール管理、在庫管理、備品管理、書類整理などの総務業務、もしくは、個人事業主のスケジュール管理、調査、配達などのアシスタント業務などを行っていれば、専従者として認められるとされています。
税務署にきちんと説明できるかどうかが大切なので、出勤簿、日報、週報などの勤務実態の記録を残しておくと、ベストだと言えます。私の妻の場合は、校正の頻度や量によるでしょうね。
また、支払う給与も妥当な額でなければなりません。その作業内容で従業員を雇う場合に支払う給料を、市場の相場で算出して見合った額で設定することをおすすめします。また、月額8万8000円以上だと支払いを受ける人に所得税が発生するため、源泉徴収が必要になります。そのあたりも月額を決める際に、頭に置いておきたいところです。
もうひとつ、重要なこととして、配偶者を青色専従者にすると、配偶者控除の38万円は、受けられませんので、注意しましょう。
手続きをするには?
手続きは、複雑ではなく、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出すればOKです。
【参考】
青色事業専従者給与に関する届出書
ただし、提出期限があって、3月15日までです。2017年分の申告からこの制度を活用したい場合は、2017年3月15日までに届出を提出しなければならないということです。
せっかく個人事業主で青色申告を行っているのであれば、上記をふまえたうえで、青色事業専従者給与の制度を活用してみてはいかがでしょうか。また、これから青色申告にするかどうか検討している人は、このようなメリットがあることを覚えておいてください。
ちなみに、白色申告者にも専従者控除が認められていますが、配偶者の場合、最大86万円、それ以外の親族は最大50万円です。専従者控除の場合も、配偶者控除は受けられません。青色申告なら青色事業専従者給与は、届け出額まで経費として計上することができるので、節税効果が高くなります。まだ白色申告の方は、ぜひ青色申告にチャレンジしてみてください。
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