その経費、「修繕費」で大丈夫? 勘定科目「修繕費」を徹底解説

2017/01/27更新

この記事の執筆者田下愛

建物やOA機器などを修繕したときに発生する経費の勘定科目である「修繕費」。ただし、修繕したものなら何でも経費にできるのか? というと、決してそうではないので、ご注意を。今回は「修繕費」について徹底解説したいと思います!

【法人向け】人気のおすすめ会計ソフト(クラウド)【弥生会計オンライン】資料ダウンロード

POINT

  • 修繕費は資産の「原状回復」の費用を計上する勘定科目
  • 改良が加わると「修繕費」ではなく「固定資産」として管理する。
  • 「修繕費」と「消耗品費」は混同しやすいので注意!

修繕費は資産の「原状回復」や「維持管理」のための費用であることがポイント

事業を続けている人にとって、利用している建物や備品のトラブルというのは、もはや日常茶飯事かもしれませんね。「事務所の水道の調子が悪い」「パソコンが壊れて修理に出した」といったことと、常に付き合っていかなくてはいけないものですが、建物や備品の修理のために支払ったお金は、勘定科目「修繕費」として計上することができます。

ただ、「修理」したものがすべて「修繕費」になるのかというとそうではなく、経費にするための注意点があります。

資産の原状回復・維持のための修理であること

「修繕費」として計上できるのは、建物や機械などの資産を同じ状態に戻す、あるいは買ったときの状態を維持するためにかかった経費です。

たとえば、古くなった事務所の壁や窓をリフォームしたり、仕事用のパソコンが壊れたのを修理したり……といった場合が、「修繕費」に該当します。

価値を増加させた場合は「資本的支出」に

名目上は「修理」であっても、原状回復にとどまらず、改良して新たな価値を加えた、より長く使えるようにした……など、修理した対象物の価値を高めた際には、その部分は「修繕費」ではなく、「資本的支出」となります。この「資本的支出」の場合、支払った年に全額を費用とすることはできません。固定資産と同じく、耐用年数の期間にわたって減価償却資産として減価償却する必要があります。

たとえば、事務所の建物を改修する際に新たに避難階段をつけたり、家電機器を修理した際に新たにより性能の高い機能を付けたりした場合が、これに該当します。

無料お役立ち資料【一人でも乗り越えられる会計業務のはじめかた】をダウンロードする

無料お役立ち資料【はじめての会社経営】をダウンロードする

「修繕費」か「資本的支出」か、わからない場合は?

「修理」と「改良」が一緒に行われた場合は、修理の部分は「修繕費」、改良を加えた部分に対応する金額は「資本的支出」となりますが、実際問題として、これは明確な区分ができない場合も多いものです。そのようなときのために、修理、改良の料金をすべて「修繕費」として計上できるように、以下の基準が設けられています。

  • 修理費用が20万円未満である、またはおおむね3年以内の期間を周期として修理・改良をするべきものであること
  • 修理費用が60万円未満である、または、修理費用が資産の前年末の取得価額(※基本的には購入時の価格)のおおむね10%相当額以下であること

このように、かかった費用次第で、修繕費として計上するのか、資産として減価償却をするのか、処理方法が異なっていきますので、事務所の備品でなんらかの修繕をする際は、このことを頭に入れておいたほうがよいでしょう。

「修繕費」と「消耗品費」仕訳の考え方とは?

「修繕費」と混同しやすい勘定科目のひとつに「消耗品費」があります。たとえば、「機械の消耗している部品を新しいものに買い替えた」「蛍光灯が切れたので、電球を新しいものに買い替えた」といったケースは「修理」を伴うといえるため、修繕費なのか、消耗品費なのか迷うところですが、仕訳としては、以下のようなところを目安にするとよいでしょう。

「10万円未満の短期間で消耗する品」の交換だけで改善されたかどうか

「10万円未満の短期間で消耗する物品」ならば、「消耗品費」に該当します。たとえば、「機械の調子が悪くなったが、消耗している部品を買ってきて付け替えたら直った」「蛍光灯がつかなくなったが、電球を買ってきて付け替えたら直った」などの場合は、「消耗品費」として計上することができます。

「原状回復」のための業者のサービスなどを伴うかどうか

消耗品費が少額の物品購入のみを処理する勘定科目であるのに対して、修繕費は、修理に必要な物品の購入費だけでなく、メーカーに修理してもらったり、メンテナンスのために業者に来てもらったりといったことも含め「原状回復のための修繕にかかった費用」を計上する勘定科目です。ですから、「機械の調子が悪くなり、メーカーに修理に出した」「蛍光灯がつかなくなったが、電球を付け替えるだけでなく、業者による工事やメンテナンスが必要だった」などの場合は、かかった費用が少額であっても、買ったときの状態に戻すために業者のサービスを利用しているので、「修繕費」とするのが適切といえるでしょう。

とはいえ、実際に「消耗品費」と「修繕費」とを仕訳する場合、どちらの勘定項目に計上しても問題はなく、最終的には事業主の判断次第……だと言えます。ただ「今回は消耗品費」「今回は修繕費」などのように勘定科目をころころ変えてしまうと、経費の管理がしにくくなってしまうので、どう仕訳するか事業主が一定の基準を設けて同じ勘定科目で継続して処理していくことが大切です。

いかがでしたか? ここまで説明してきたように、「修理」を伴う場合であっても、必ずしもすべてが「修繕費」になるわけではなく、「消耗品費」として処理できるもの、資産として減価償却を必要とするものなどがあります。

ですから、事業の際に何か修理が必要なものがあった場合には、修理内容が「10万円未満の短期間で消耗する物品の購入(=消耗品に該当)」であるのか、「原状維持」に該当するのか、改良を伴うが金額が20万円未満または60万円未満であるかどうか……など、かかる費用や修理の内容をきちんと把握しながら、仕訳していくことが大切です。

photo:Thinkstock / Getty Images

無料お役立ち資料【一人でも乗り越えられる会計業務のはじめかた】をダウンロードする

無料お役立ち資料【はじめての会社経営】をダウンロードする

会計ソフトなら、日々の帳簿付けや決算書作成もかんたん

日々の帳簿付けと法人決算をスムースに進める大きなポイントが、使い勝手の良い会計ソフトを選ぶこと。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」です。

「弥生会計 オンライン」は、初めて会計ソフトを導入する方でもかんたんに使える、クラウド会計ソフトです。初年度無料ですべての機能が使用できるので、気軽にお試しいただけます。

簿記・会計の知識がなくても使える機能と画面設計

「弥生会計 オンライン」は、簿記や会計の知識がなくても使える機能と画面設計で、初めて会計ソフトを使う方でも安心です。取引の日付や金額などを入力するだけで、小規模法人に必要な複式簿記帳簿が自動作成できます。

また、日々入力したデータは顧問の税理士・会計事務所(※弥生PAP会員の税理士・会計事務所)とクラウド上で共有できます。受け渡しの手間が省けて効率的です。

銀行明細、クレジットカードなどの取引データを自動で取込できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、銀行明細やクレジットカードなどの取引データの他、レシートや領収書のスキャンデータ、スマートフォンアプリで撮影したデータを自動で取り込み、自動で仕訳することができます。金融機関からダウンロードした取引明細や帳簿、ご自身で作成したCSV形式のファイルを取り込むこともできるため、入力と仕訳の手間を省くことが可能です。また、スマートフォンから直接入力もでき、出先や移動中の時間を効率良く使えます。

日々の取引を自動で集計でき、見やすいレポートで管理できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、入力したデータをもとに日々の取引を自動で集計し、さまざまなレポートを自動で作成することができます。わかりやすいグラフレポートをいつでも確認可能なため、経営成績がひと目で把握できます。

初心者でも安心!カスタマーセンターがしっかりサポート

業界に精通した専門スタッフが、電話、メールでの操作サポートに加え、仕訳や経理業務の相談にもお応えします。製品の操作が不安な方や会計の業務が苦手な方でも、充実のサポートで安心してお使いいただけます。

  • カスタマーセンターによるサポートは、「サポート付きプラン(ベーシックプラン)」が対象です。

【無料】お役立ち資料ダウンロード

一人でも乗り越えられる会計業務のはじめかた

起業したての方におすすめ。
日々の帳簿付けから決算まで、これひとつですぐわかる!
全34ページで充実の内容です。

この記事の執筆者田下愛

フリーランスライター 雑誌、書籍、Webメディアで、ビジネス、政治からサブカルチャーまで幅広いジャンルで執筆、取材に奮闘中。著書に「選挙はエンターテイメントだ!」(HK INTERNATIONAL VISION)新規タブで開くがある。趣味はオーケストラでヴァイオリンを弾くこと。

初心者事業のお悩み解決

日々の業務に役立つ弥生のオリジナルコンテンツや、事業を開始・継続するためのサポートツールを無料でお届けします。

  • お役立ち情報

    正しい基礎知識や法令改正の最新情報を専門家がわかりやすくご紹介します。

  • 無料のお役立ちツール

    会社設立や税理士紹介などを弥生が無料でサポートします。

  • 虎の巻

    個人事業主・法人の基本業務をまとめた、シンプルガイドです。

事業のお悩み解決はこちら