個人事業主必見! こんな場合は税務署への届け出が必要? 不要?

個人事務所や個人商店などで事業を営んでいる方は、既存の届出事項に変更が生じると、その旨を新たに届出なければなりません。また、一見、届出が必要そうに思えても、実は不要だったりするものも複数あります。そこで今回は、税務署等に対して届出る必要が生じる事項と不要な事項について詳しく解説していきたいと思います。
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目次
- POINT
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- 「移転」した場合は、提出する書類がたくさんあることに注意
- 「家族の給与額」を上げる場合は、税務署に届出る必要がある
- 「屋号や控除額の変更」については、実は届出が不要
住所変更は必ず届出する必要あり!
自宅を引っ越したり、事務所を移転したりした場合は、住所変更に伴って「納税地」も異動することもあるため、必ず税務署に「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」の届出が必要です。
この書類については、移転前の管轄税務署に提出する必要があります。また、事務所を移転した場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出します。この届出は、新しい事務所を設置したり廃止したりした場合も提出が必要になりますので注意しましょう。
【参考記事】
引っ越しした時の確定申告のやり方
住所変更をすると、社会保険にも影響が
事務所が移転した場合は、先ほどの所得税や地方税関連の届出だけではなく、健康保険、年金、労災保険などについても変更の届けが必要となります。日本年金機構に届出が必要となる書類は以下の通りです。
- 健康保険・厚生年金保険事務所関係変更届出書
- 適用事業所所在地・名称変更届
労災保険については、労働基準監督署に対して「労働保険名称、所在地等変更届」を提出する必要があります。なお、これらの適用対象外である場合には届出が不要です。
青色事業専従者の給与変更について
すでに届出ている青色事業専従者の給与額に変更が生じる場合は、遅滞なくその旨を税務署に対して届出なければなりません。でも、なぜ給与が変わったくらいで届出が必要なのでしょうか。
青色事業専従者となる家族に対して支払った給与については「必要経費」に参入することができます。ただ、個人事業主の場合は青色事業専従者の勤務実態や給与額を任意に操作して脱税する恐れもあるため、変更が生じる場合は税務署に対して届出なければならないのです。
税務署は、これにより、勤務実態や業務内容に応じた適正な給与であるかどうかをきちんとチェックをします。
実は不要!? これらの変更は税務署への届出は必要なし!
屋号の変更について
個人事業を開業する際には、税務署に対して「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。「○○事務所」や「○○商店」といった「屋号」を使って事業を行う場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」に屋号を記載します。
屋号が記載された届出書の控えを添付することで、屋号付きの口座を開設することも可能になります。このように屋号には会社名と同じような役割がありますが、あくまで法人ではありません。そのため、仮に「山口商店」という屋号が「山田商店」と変更になったとしても、わざわざその旨を税務署に届出る必要はないのです。
この場合は、毎年の確定申告の際に、その申告書に新しい屋号と変更した日付を記載しておくだけで十分です。
青色申告における控除額
青色申告特別控除には、「簡易簿記」による記帳の10万円控除と「複式簿記」による記帳の65万円控除の2種類があり、最初の青色申告承認申請書を提出する際に、どちらの簿記形式を採用するのかを書いて提出します。
仮に10万円控除で申請したあと、65万円控除に変更したくなったとしても、その旨を税務署に届出る必要はありません。そもそも10万円控除は65万円控除の適用条件を満たさなかった場合に適用となるだけなので、あえて届出を出さなくても適用条件を満たせば問題ありません。
【参考記事】
「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第2回青色申告編
変更が生じる場合は、事前の確認を
このように、一定の事項に変更が生じる場合については、税務署等関係各所への届出が必要となります。知らなかったでは済まされない場合もありますので、既存の届出内容に変更が生じる場合は、あらかじめ届出ている行政庁に変更届が必要かどうか確認をとりましょう。
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