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知らないと大変!「定款変更」が必要なケース、不要なケース

会社が成長・発展していくと、新規事業の立ち上げや役員人事の変更、事務所の移転など、さまざまな経営上の変化が起こるものです。そんなとき「ウチの社内事情だから、とくに周知する必要はないだろう」と思いがちですが、実はこれが大きな間違い!ケースによっては、会社の根本的な法律である「定款」の変更や、法務局への登記が必要になることもあるのです。ケース別の事例をみながら、定款変更の必要の有無について見ていくことにしましょう。

POINT
  • 定款の変更には株主総会での議決が必要
  • 登記事項にない項目の変更は、法務局への登記が不要
  • 任意的記載事項は、変更毎に必ずチェックを!

会社ごとにある定款の記載事項

日本では、会社設立時に定款をつくり、法務局で登記申請することが定められています。この定款とは、会社の根本となる法律のようなもので、経営者やオーナーなどの勝手な判断で変更することはできません。定款に記載した事項を変更するには、株主の同意と株主総会で変更承認の議決を取る必要があるのです。また、登記に関する事項であれば、議決したことがわかる議事録を法務局へ提出することになります。

さて、定款に記載されている事項には、次のようなものがあります。

  1. 記載がなければ定款自体が無効になる「絶対的記載事項」
    例)事業目的、商号、本店所在地、発行株式総数
  2. 定款に記載しないと効力が生じない「相対的記載事項」
    例)株式の譲渡制限に関する定め、株式会社設立の費用負担、取締役の任期など
  3. 会社が任意で記載する「任意的記載事項」
    例)事業年度や決算月、役員の人数、役員報酬の決め方、公告方法など

参考:会社設立にあたり決めておくべきこと

上記3は会社の任意で記載するため、会社ごとに違いがあります。あえて任意で記載するのは、「定款=容易に変更できない」という性質を利用したものであり、それだけ重要なものだと示す意味合いもあります。そのため、会社で何かしらの動きや変化が生じた場合は、まず定款を確認し、変更手続が必要かどうかをチェックすることになります。

中小規模の法人なら、経営者本人が全株式を取得している「一人株主」や、家族で株式を所有というケースも多いことでしょう。この場合でも、変更を承認する議決を省略して良いという法律はありませんから、株主間で変更を承認した旨の書面を作成することになります。

定款変更は? 登記は? よくあるケース別事例を紹介

それでは、具体的なケース別に事例を挙げていきたいと思います。

<ケースA>飲食業だが、売上を伸ばすためにホームページ制作事業を始めた

事業目的に「飲食業」と登記している会社が、ホームページの制作を新規事業として始める場合、定款の変更が必要になります。そもそもホームページ制作と飲食業では事業目的が異なるからです。
会社法では、定款に「会社を設立する目的」を記載するよう定められています。飲食業を続けながら、副業的な意味でホームページ制作事業を始めるような場合であっても、これは定款の事業目的の追加にあたるのです。このような場合は、定款の事業目的追加のため株主総会での議決が必要です。また登記の申請も必要になります。
また、必ずしも定款の変更や登記申請が不要なケースもあります。飲食業であれば、「弁当販売や出前のビジネスを始める」「メニューを常温保存できる商品として開発し、販売する」などの新サービスを始めるような場合で、定款に「付帯する事業、関連する事業」等の記載があれば、定款変更や登記申請は不要となります。

<ケースB>本社所在地を「千代田区外神田」から「千代田区内神田」へ移転させた

本社所在地の変更は、移転場所と定款の記載内容で異なります。たとえば、定款に「本社所在地を東京都千代田区に置く」としていれば、同じ区内のため定款の変更は不要で、この場合は登記の変更だけが必要になります。
しかし、定款の本社所在地を「東京都千代田区外神田に置く」としていた場合は、同じ区内ですが住所の移転にあたるため、定款と登記の両方の変更が必要になります。
いずれの場合も申請のためには株主総会の議事録が必要となります。

<ケースC>決算月を1月から3月に変え、事業年度を変更する

事業年度の記載は、任意的記載事項にあたります。そのため、会社ごとに定款への記載の有無がわかれます。もし事業年度を記載しているなら、定款の変更が必要です。
ただし、事業年度は登記事項には該当しないため、法務局への登記申請は不要となります。また事業年度の変更は税務署への届出が必要になるので注意しましょう。

<ケースD>役員の一人が結婚し、名前を変えた

役員の選任、任期満了、新たに役員を補充したとき、辞任、解任、死亡などの事由が生じた場合、登記の変更が必要です。もちろん、役員の住所移転や婚姻等の氏名の変更の場合でも、登記を変更する必要がありますが、このような場合は、定款の変更は必要ありません。

定款変更には、時間も費用もかかる点を認識しよう

いずれにしても、定款を変更するには相当の時間がかかります。もう少し詳しく言うならば、定款変更のために株主総会を開催するには株主へ招集通知を出さなければならず、その期間は会社法で原則2週間。手間を考えると、定款の変更は避けたいところです。また、一人株主や家族で株主を所有するケースなど、株主全員の同意があれば、書面決議により株主総会の開催を省略することができます。

さらに、登記申請時の登録免許税もかなり高額となっています。経営者はこれらを認識し、慎重に判断することが求められるところです。登録免許税については、変更内容によって区分があり、同じ区分であれば複数の申請でも同じ費用で済むこともあります。区分については複雑なものとなっているため、必要に応じて法務局へ問い合わせるようにしましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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