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不動産所得がある人の確定申告

会社員だけでなく、個人事業主や起業した経営者のなかには、個人で投資用のマンションなどを賃貸している方も多いのではないでしょうか? もちろん所得を得ている以上は、所得税が課税されます。今回は、不動産を賃貸している場合に発生する不動産所得についてご説明します。

お知らせ

2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!

POINT
  • 不動産所得の計算上、どこまでを収入や経費に入れるのかを理解する
  • 「事業的規模」かどうか判断する
  • 不動産所得の申告義務があるかどうかを把握する

不動産所得とは?

そもそも不動産所得とは何を指すのでしょうか? ひと言で表せば、個人が不動産を貸し付けて得た収入から、経費を引いた金額が不動産所得となります。
収入には、毎月の賃料はもちろんのこと、礼金や更新料など不動産を貸し付けることで受け取る対価が含まれます。
また、経費に含まれるものとしては、減価償却費(土地の貸し付けについては減価償却費はなし)、固定資産税、損害保険料、建物の修繕費のほか、打ち合わせ代、交通費など不動産の貸し付けを行うにあたって発生した支出が該当します。

不動産所得は規模によって計算が変わる

さらに不動産所得は、事業的規模で貸し付けを行っているかどうかで取扱いが変わってくるのが特徴です。事業的規模かどうかということは個別に判断されます。例えば、建物の貸し付けにおいては、「5棟10室基準」というものがあります。戸建であれば5棟以上、アパートやマンションなどについては10室以上を貸し出せば事業的規模と判断できます。具体的に、事業的規模とそれ以外では以下のような違いがあります。

事業的規模以外 事業的規模
青色申告特別控除の限度額 10万円 10万円(※1)or 最大65万円(※2)
青色事業専従者給与 計上できない 計上できる
不動産の取り壊し費用 不動産所得が0円になるまで計上できる 全額計上できる(赤字になってもよい)
家賃などの貸し倒れ 過去の申告をさかのぼってやり直す(5年前まで可能) 全額計上できる(赤字になってもよい)

(※1)「事業的規模」でも複式簿記による記帳、期限内申告など55万円の特別控除の要件を満たしていなければ、10万円が限度額です。

(※2)最大55万円の特別控除の要件を満たしたうえで、e-Taxによる申告(電子申告)もしくは、承認を受けて電子帳簿保存をしている場合は、最大65万円の控除ができます。

経営者や会社員が、投資用不動産を数部屋保有して貸し出すというケースでは、上記基準を満たさない場合も多いでしょう。あくまで副業として行っている規模です。その場合、事業的規模以外のケースでの計算方法に従います。

不動産所得の申告を忘れずに

会社員などの給与所得者でも、不動産所得が発生すれば確定申告しなければなりません。ただし、収入から経費や青色申告特別控除額を引いた不動産所得金額(ほかにも所得があればその合計額)が20万円に達していなければ確定申告は不要です。
また、大きな修繕が発生した場合などには不動産所得が赤字になることもあるかもしれません。この場合、不動産所得自体からは所得税は生じませんが、給与所得などがあれば、確定申告することで、不動産所得の赤字と相殺することができます。相殺することで、給料から源泉徴収されていた所得税が還付されたり、住民税の額が少なくなったりといったメリットがありますので、不動産所得が赤字でも確定申告は忘れずに行いましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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