情報発信だけじゃない!ソーシャル「リスニング」が大事な理由とは

TwitterやFacebookといったソーシャルメディアの利用は当たり前の時代となり、個人事業主やスモールビジネスの皆さんも情報発信に活用されていることでしょう。
ソーシャルメディアを情報発信のツールとしてだけでなく、「リスニング(傾聴)」のツールとしても利用できることをご存じでしょうか。顧客の声に耳を傾け、「自分たちのブランドや商品はどう評価されているか?」「顧客は何に興味を持っているのか?」といったことを調べる「ソーシャルリスニング」の概要や活用ポイント、無料で使えるツールなどを紹介します。
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目次
- POINT
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- 「ソーシャルリスニング」とは、ソーシャルメディアのユーザーに耳を傾けること
- ブランドからの離反防止や悪い噂の拡散の防止などに役立つ
- 無料ツールを活用し、顧客との関係性を強化しよう
リスニング(傾聴)とは何か?
「リスニング(傾聴)」とは、「注意を払って、より深く、丁寧に相手の声に耳を傾けること」です。もともとカウンセリングなどにおけるコミュニケーション技法の一つですが、マーケティングの世界では、「インターネット上のユーザーの声に耳を傾けること」と定義できます。
たとえば、TwitterやFacebookをはじめとするソーシャルメディアやブログ、掲示板などにおける発言などから、自分たちのブランドや商品の評価を調べることや、ユーザーが求める潜在的なニーズを探ることなどです。また、リスニングによって顧客の声に耳を傾けるだけでなく、その結果として、顧客の不満を解消したり、満足度を高める「次の施策の実行」につなげることができます。これにより、企業はさらに顧客との関係性を強化し、ブランドのロイヤリティを高めていくことが可能になります。
こうしたソーシャルメディアを中心に行うリスニングのことを「ソーシャルリスニング」といいます。
なぜリスニングが求められているのか?
企業のマーケティング活動において、なぜリスニングが重要視されているのでしょうか。リスニングの活用には大きく分けて、以下の4つのポイントがあります。
(1)ブランドからの離反防止
ブランドと顧客の関係性を強化することは非常に大事ですが、「顧客の本音を聞き出すのは難しい」という現状があります。「ブランドに不満がある顧客の98%は何も言わない」という調査データもあります。これは、顧客にとっての選択肢が豊富にあり、顧客はそのブランドに不満があったとしても、何も言わずに(黙って)ブランドから離反し、すぐに別のブランドに乗り換えてしまうというものです。
こうした現状にリスニングが役立ちます。たとえば、ソーシャルメディア上で、ブランド名や商品名など、特定のキーワードの投稿に耳を傾け、サポート部門から直接アプローチし、顧客の不満の解消を行う「アクティブサポート」につなげることができます。
(2)悪い噂の拡散を防ぐ
リスニングすることで、ネガティブな投稿を見つけ、いわゆる「炎上」を未然に防ぐ効果が期待できます。ブランドや商品に関するネガティブな投稿を見つけたら、状況をすぐに察知して、速やかに投稿を削除したり、謝罪することで、問題が大きくなる前に事態の沈静化を図ります。また社外のメディアで悪意のある書き込みを見つけた場合には削除依頼、誤った情報には訂正依頼をしたりと、それぞれ適切な対処をすることができます。
(3)商品やサービスの改善に活かす
商品やサービスなど特定のキーワードを定点観測することにより、自社が提供しているサービスが顧客にどう受け入れられているかを知ることができます。思わぬ使い方を発見したり、不具合を見つけたりすることで、商品やサービスの改善や、さらなる商品開発などに活用することができます。
(4)プロモーション等の効果測定をする
また、実施した広告プロモーション等に関する定量的な効果測定に活用が可能です。たとえば、「Google トレンド」などを使い、商品やサービス名などの特定のキーワードがどれくらい言及されているか、どの程度検索されているかを調べることで、実施した施策の定量データを得ることができます。
(例:ネット上で特定のキーワードがどの程度言及されているか、時系列の推移がグラフで可視化されます)
また、Twitter上で特定のハッシュタグがどのくらいの人にリーチしたかを測定できる「TweetReach」を使えば、直近の100ツイートまで無料で測定することができます。
(例:キーワードを入力してGOボタンを押すだけで特定のハッシュタグがどれだけリーチしたけ計測できます。メニューは英語だが、キーワードは日本語に対応している)
簡単にソーシャルリスニングをはじめるための3つの無料のツール
では、個人事業主やスモールビジネスが手軽に「ソーシャルリスニング」を行うことが可能な、無料ツールを3つご紹介します。
(1)「HootSuite(フートスイート)」
「HootSuite」は、TwitterやFacebookなどのSNSの投稿や管理が可能なソーシャルメディア運用ツールです。デスクトップアプリやモバイルアプリがありますが、Webブラウザでも利用できます。さまざまな機能がありますが、そのひとつに、特定のキーワードを含む投稿を収集し、タイムライン上に表示することができる機能があります。手軽にソーシャルリスニングを行うのにおすすめです。
(2)「Yahoo!リアルタイム検索」
Yahoo!の検索メニューの一つで、Twitterに投稿されたツイートやFacebookのデータを検索できるサービスです。Twitterに投稿されてから数秒で検索対象になるので、文字どおり、リアルタイムでトレンドをつかむことができます。自社の商品やブランドに関するキーワードを含むツイートが検索できるほか、いま、Twitter全体で話題となっているキーワードが何かを知ることもできます。
(3)「Googleアラート」
「Googleアラート」は、特定のキーワードについて言及するWebページを検索し、指定のメールアドレス宛に、指定した頻度でメール通知してくれるサービスです。関心のあるキーワードを指定し、キーワードがどういうふうに言及されているか、ネガティブかポジティブかなどの動向を、定点観測的に知りたいときに有効です。
まとめ
無料ツールを利用する際の注意点は、「ノイズの排除」です。キーワードによっては、大量の情報がヒットするため、そこから有益な情報をフィルタするのが大変という問題があります。1件1件、目視で確認しながら選り分けるのは相当な労力が必要で、無料ツールではどうしても限界があります。
そうした場合は有料プランの導入も有効な選択肢となります。「Hootsuite」の有料プランを使えば、アーカイブできるツイート数が増えたり、分析レポートを充実させることができますし、「TweetReach」の有料プランであれば特定のキーワードやハッシュタグのレポートを1500件まで取得することができます。ツールも公開されているので、機能や料金プランなどを確認し、無料トライアルで使い勝手を比較するなどして、目的にあったツールを使うとよいでしょう。
そして、リスニングの結果を、それぞれの事業にフィードバックし、PDCAサイクルを回していくことが大事です。個人事業主やスモールビジネスの皆さんも、ソーシャルメディアを有効に活用し、顧客との関係性強化や、ブランドのロイヤリティ向上を進めていきましょう。
photo:Thinkstock / Getty Images