やってしまった!控除証明書をなくした時の対策まとめ

確定申告をするときに、社会保険料や生命保険料の控除を受けるためには、申告書に控除証明書を添付しなくてはいけません。証明書が必要な控除にはどんなものがあるのか、万一、紛失してしまったらどうすればよいのかについてまとめてみました。
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目次
- POINT
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- 確定申告で控除を受けるには証明書の添付が必要
- 控除証明書は再発行ができる
- 証明書の添付が必要ない控除もあるので注意
確定申告の際、控除を受けるために必要な「控除証明書」とは?
確定申告をする際、納税者が支払った年金や保険料などを控除として申告することで、収める税金の額を少なくすることができます。ただし、控除を受けるためには、確定申告書に支払額の証明書、あるいは明細書や領収書、を添えて提出しなくてはいけません。
証明書や領収書などの添付が必要な控除としては、おもに以下のようなものがあります。
●社会保険料控除
国民健康保険料、国民年金保険料などで受けることができる控除です。日本年金機構が発行する控除証明書の添付が必要となります。
●生命保険料控除
生命保険料、介護保険医療料、および個人年金保険料を支払った人が受けられる控除です。生命保険会社が発行する控除証明書が必要となります。
●小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済法に規定された共済契約、個人型確定拠出年金、心身障害者扶養共済などの掛金の金額で受けることができる控除です。小規模企業共済を運営している独立行政法人中小企業基盤整備機構が発行する掛金払込証明書などが必要となります。
●地震保険料控除
損害保険で、地震等損害部分の保険料を支払った人が受けることができる控除です。損害保険会社が発行する証明書が必要となります。
●勤労学生控除
申告者が勤労学生であり、給与所得が130万円以下である場合に受けることができる控除です。専修学校、各種学校が発行する証明書が必要となります。
●医療費控除
その年の医療費が10万円以上かかった場合(年間総所得金額等が200万円未満の人はその5%分の金額)に受けることができる控除。医療費の明細書の添付が必要となります。領収書は、確定申告が終わってから5年間は保管しておきましょう。提示または提出を求められる場合があります。
医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することができます。 また、2021年(令和3年)分以後の所得税の確定申告書を2022年(令和4年)1月1日以後に提出する場合、以下の書類を添付することで代替できます。
・審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会)の医療費の額などを通知する書類
・医療保険者の医療費の額等を通知する書類に記載すべき事項が記録された電磁的記録を一定の方法により印刷した書面で国税庁長官が定める一定のもの
なお、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」があります。日頃から定期検診を受けるなど健康管理を怠らずにいる人ならば、軽度の病気・ケガで自ら市販薬を購入して治療した場合も、その市販薬購入にかかった費用は控除対象にできる制度です。確定申告時にセルフメディケーション税制の明細書の添付が必要になります。
医療費控除とセルフメディケーション税制は、併用できません。双方の適用が可能な場合は、自身がどちらを選択するのがよいかを確定申告時に判断する必要があります。詳細は以下の記事をご確認ください。
●寄附金控除
国や地方公共団体に対する寄附金、特定の政治献金などがある場合に受けることができる控除。寄附金の受領証や寄付をした法人や信託が適格であることの証明書又は認定証の写しが必要となります。
また、2021年(令和3年)分以後の所得税の確定申告書を2022年(令和4年)1月1日以後に提出する場合、地方公共団体が発行する特定寄附金の証明書に代えて、特定事業者が発行する特定寄附金の証明書を添付することができます。
●雑損控除
災害や横領、盗難などにあって住宅や家財に損害を受けた場合に受けることができる控除。受けた損害のためにやむを得ず支出した金額の領収書の提出が必要となります。
もしも控除証明書をなくしてしまったら、どうすればいい?
控除証明書の多くは、10月から11月に発行して対象者のもとへ届けられます。これらが届いたら、年明けの確定申告の時期までなくさずに保管しておくことが大切です。
ただ、保管期間が意外と長いだけに、控除証明書をついうっかりなくしてしまう場合もあるでしょう。そして、確定申告の時期が来たとき、探しても見つからず途方にくれてしまう…というケースも考えられます。
しかし、心配はいりません。証明書の多くは再発行してもらうことが可能です。再発行をしてもらう場合は、それぞれの窓口での手続が必要となります。
●社会保険料控除
「ねんきんネット」のユーザIDを取得していただいている方は、「ねんきんネット」を利用して再発行申請を行うことができます。または、日本年金機構の専用ダイヤルか近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。手続きには基礎年金番号がわかるものが必要。再発行にかかる期間は一週間ほど。
【参照】年金Q&A (社会保険料の控除証明)控除証明書をなくしてしまったのですが再発行できますか。(日本年金機構)
●生命保険料控除
加入している生命保険会社に問い合わせてみましょう。
●小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済掛金の払込証明書については、独立行政法人中小企業基盤整備機構で再発行を受け付けていますので、HPから問い合わせてみましょう。
【参照】小規模企業共済 書類の再発行 「掛金払込証明書を紛失してしまったのですが、どうしたらよいですか?」(独立行政法人中小企業基盤整備機構)
●地震保険料控除
加入している損害保険会社に問い合わせてみましょう。
●勤労学生控除
証明書を発行してもらった学校に問い合わせてみましょう。
控除証明書の再発行には、場合によっては時間がかかることもあります。確定申告を期間内に終わらせるためにも、紛失に気がついたときは、すみやかに各証明書を発行している窓口に相談することです。
控除のために証明書添付が必要ない場合も
確定申告の際に受けられる控除には、実は証明書が必要ないものもあります。
特に勘違いしやすい例としてあげられるのが、社会保険料控除の対象の一つである国民健康保険です。
同じく社会保険料控除の対象である国民年金が確定申告の際に控除証明書が必要なだけに、「国民健康保険も証明書を提出しなくてはいけないのでは?」とつい思ってしまいがちですが、実は国民健康保険については、証明書の提出義務はありません。納付した額を申告書類に記入するだけで大丈夫なのです。
正しく控除を受けるためには、日頃から控除に関する知識を集めておくことが大切です。まずは、自分がどの控除を受けることができるのかを把握しておくこと。そして、控除証明書の多くが10月~11月に発行されることを心にとめておいて、その時期が来たらまめに郵便受けをチェックし、実際に届いたら大切に保管し、また、万一なくしたらすみやか速やかに各窓口へ再発行を依頼しましょう。
ここまでを理解しておけば、確定申告のシーズンが来たときにあわてることなく対処できるはずです!
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