確定申告書は郵送提出も可能!送付方法や郵送提出の注意点をチェック
監修者 : 田中卓也(田中卓也税理士事務所)

確定申告書類は、郵送でも提出が可能です。郵送提出なら、わざわざ税務署まで出向く必要はありません。自宅の最寄りの郵便局やポストへ行くだけで、手軽に確定申告を終わらせることができます。
「今回の確定申告は郵送で」という方に向けて、所得税の確定申告書を郵送する方法や注意点について解説します。
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目次
確定申告書を郵送するには?
まずは、所得税の確定申告書を郵送提出する上で知っておかなければいけない郵送先や送り方などについて解説します。
郵送先は管轄の税務署
確定申告書の郵送先は、納税地を管轄している税務署です。ほとんどの場合、自分が住んでいる自治体にある税務署になります。どこの税務署かわからない場合は、国税庁のウェブサイトから調べてみましょう。同じ市区町村内でも管轄の税務署が複数存在する場合があります。はじめて所得税の確定申告をする人は、必ず確認をしておきましょう。
ただし、下記のような場合は、自分が住んでいる自治体以外の税務署に郵送します。
<居住地管轄以外の税務署に確定申告を郵送する場合>
- 自営業者のうち、自宅以外に事務所を構えていて、事務所のある自治体を納税地に指定(※)している:事務所の住所を管轄している税務署に郵送
- 現住所と住民票の自治体が異なる:住民票の住所を管轄する税務署に郵送(現住所のある自治体を納税地に指定(※)している場合は、現住所を管轄する税務署宛てに郵送)
(※)納税地の特例といいますが、この場合には「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」の所得税の納税地の変更部分を、異動・変更前の納税地を所轄する税務署に遅滞なく提出する必要があります。
なお、2021年(令和3年)7月以降、内部事務のセンター化の対象となっている税務署(対象署)に、申告書、申請書等を提出する場合は、郵送でセンターへ送付協力が求められています。
書面により提出する場合は、郵送による提出先となるセンターの所在地は、下記を確認ください。e-Tax(データ)により提出する場合は、従来どおり所轄税務署へ送信します。
- 【参考】
- 国税庁:税務署の内部事務のセンター化について
送付方法は普通郵便かレターパックで
確定申告書は「信書」に該当するため、信書便でなければ送れません。宅配便やゆうパック、ゆうメール、クリックポストなどは利用不可です。普通郵便かレターパックで送りましょう。追跡ができるように、簡易書留などにすると安心です。
送付する際の封筒のサイズには、特別な規定はありません。折りたたんで長形3号などの封筒で送ることも可能です。しかし、添付書類が多い場合、折りたたむと封筒に入らなかったり、取り出しにくかったりすることもあります。特別な理由がなければ、A4サイズの封筒かレターパックで送付することをおすすめします。
封筒には、発送先の住所と差出人住所を記載します。併せて、「所得税確定申告書在中」と赤ペンで書いておくと親切です。レターパックの場合は、品名欄に「所得税確定申告書」と記入します。
同封する必要書類
確定申告書を送る際に同封する書類は、下記のとおりです。
- 所得税の確定申告書
- 青色申告決算書、または収支内訳書(個人事業主のみ)
- マイナンバーの本人確認書類(マイナンバーの番号確認書類としてのマイナンバーカード、マイナンバーの通知カード(※)マイナンバー記載の住民票などの写し、身元確認として、マイナンバーカードや免許証、パスポートなどの写し)本人確認書類がマイナンバーカードの場合は、1つで番号確認書類と身元確認書類を兼ねることができます。
- 添付書類(各種控除証明書など)
- 確定申告書の控え
- 返信送料分の切手を貼付し、返信先を記載した返信用封筒
(※)マイナンバーの「通知カード」は2020年(令和2年)5月25日に廃止されていますが、通知カードに記載された氏名、住所などが住民票に記載されている内容と一致している場合に限り、引き続き番号確認書類として利用できます。
確定申告書の控えと返信用封筒は必須ではありませんが、同封しておくと、税務署から収受日の日付などが押印された控えが返送されます。個人事業主の場合、融資などの際に所得税の確定申告書の控えの提示を求められることがあるので、同封しておくことをおすすめします。
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郵送期限
確定申告書の郵送提出は、申告期限の当日消印有効です。例年であれば、3月15日が期限ですから、それまでに送りましょう。ただし、期限ぎりぎりの投函はおすすめできません。余裕を持って送るようにしてください。
郵送以外の確定申告書の提出方法
確定申告書は、e-Taxでデータ送信したり、税務署や各地で確定申告期に開催される確定申告会場で直接持ち込んで提出をすることもできます。それぞれの方法についてご説明します。
e-Taxで提出する場合
e-Taxでは、確定申告書類やその他の添付書類のデータをインターネットで提出することができます。時間を気にせず自宅などから行えますが、利用にはマイナンバーカードとマイナンバーカードを読み取れる機器類(一部のスマートフォン、ICカードリーダライタ)が必要です。
なお、現在はマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な措置として、ID・パスワードを利用した送信も可能です。ID・パスワード方式を利用する場合は、事前に税務署へ行って、ID・パスワード方式の届出をするか、Webからマイナンバーカードを使ってID・パスワード方式の届出を行います。
なお、2021年(令和3年)分の確定申告からマイナポータルと連携した自動入力対象が毎年拡大されています。興味がある方はマイナポータルとの連携の方法、自動反映、自動計算できる項目が国税庁ホームページ上で発表されていますので、確認してみましょう。
税務署に直接提出する場合
確定申告書は、税務署に直接持ち込むこともできます。その場合、納税地を管轄する税務署の窓口に提出してください。また、地域によっては、確定申告期間中に税務署以外の確定申告会場を設置するところもあります。
確定申告会場では、確定申告書の作成に関する相談なども受けられます。2022年(令和4年)分の確定申告期間においては、確定申告会場の混雑緩和を図る観点から、入場整理券を活用して会場内に案内することとされています。必ず管轄税務署の状況を確認しましょう。
なお、夜間や休日など、税務署が閉庁している時間は、税務署の「時間外収受箱」に投函することで提出が可能です。
確定申告書を郵送する際の注意点
所得税の確定申告書の郵送提出は、国税庁が認めている方法です。ただし、郵送で確定申告書を提出することで、いくつかの問題が起こる可能性もあります。
最後に、確定申告書を郵送する際に注意しておくべきことを解説します。
期限ぎりぎりの提出は控える
確定申告書を提出期限当日にポスト投函することは、極力避けましょう。その日の集荷が終わった後でポストに投函された場合、郵便物は翌日回収になり、消印が翌日のものになってしまうからです。
また、窓口に差し出した場合も、最終取集時刻を過ぎていると当日の消印が押されないことがあります。当日消印が確実に押されたことを確認しておけば安心です。
特に、青色申告をしている個人事業主は、提出期限に遅れると最大65万円(もしくは最大55万円)の青色申告特別控除が受けられなくなり、10万円に減額されるので、十分注意しましょう。
郵便事故のリスクがある
確定申告書は、確実に税務署まで届けてもらう必要のある書類です。万が一、郵便事故が起こってしまうと、無申告になってしまう可能性もあります。
確定申告書を郵送する場合は、配達状況のわからない普通郵便を避け、追跡ができるレターパックや特定記録郵便、簡易書留などを利用するのがおすすめです。
控えを受け取るのに時間がかかる
郵送提出では、確定申告書の控えが手元に戻ってくるまでに時間がかかります。所得の証明や融資など、近々に所得税の確定申告書の控えを使う予定がある場合や、早く控えを受け取りたい場合は、郵送提出は避けましょう。
65万円の青色申告特別控除が受けられない可能性がある
青色申告特別控除とは、青色申告をしている方が利用できる控除制度です。まず、複式簿記で記帳しており、確定申告期限までに関係書類を提出すれば、最大55万円の青色申告特別控除を受けられます。
そして、青色申告特別控除の最大55万円の要件を満たしたうえで、下記の要件のどちらかに当てはまれば、青色申告特別控除の控除額は最大65万円となります(当てはまらなければ控除額は最大55万円)。
<65万円の青色申告特別控除を受ける要件>
- e-Taxで申告している
- 優良な電子帳簿保存で、対象の帳簿を電子帳簿保存している
優良な電子帳簿保存の要件を満たしていれば、郵送でも最大65万円控除を適用できます。つまり、優良な電子帳簿保存の要件を満たしていない方が最大65万円の控除を受けたい場合は、郵送提出ではなくe-Taxを利用しましょう。
※国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」(2021年5月)
確定申告書の提出方法はメリット・デメリットを考えて選択しよう
所得税の確定申告書を郵送で提出すれば、わざわざ税務署まで行く必要がなく、簡単です。しかし、郵送提出には複数の注意点もあります。e-Tax、郵送、税務署へ持ち込みの3つの方法のうち、自分にとって最もメリットが大きい方法を選択しましょう。
会社員などが住宅ローン控除や医療費控除、ふるさと納税などの寄附金控除をするために所得税の確定申告をする場合は、スマートフォンからもe-Taxができるので、そちらをおすすめします。
なお、2023年1月からスマホから収支内訳書や青色申告決算書の申告ができるようになりました。つまり、スマートフォンから2022年分の個人事業主の確定申告ができるということです。しかし、個人事業主が申告書を作成するのに必要な帳簿は作成できないので別途、申告ソフトなどで帳簿を作成して、e-Taxをすることが必要です。
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