スモールビジネス(個人事業主、中小企業、起業家)の
業務や経営にまつわる疑問や課題をみんなで解決していく場
検索
メニュー
閉じる
ホーム 白色申告 「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第3回白色申告編

「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第3回白色申告編

監修者 : 宮原 裕一(税理士)

こんにちは。フリーライターの岸田です。平成26年(2014年)分の確定申告から白色申告の記帳義務化が始まっていますね。私は「やよいの青色申告 オンライン」(次回から青色申告にするため、すでにソフトをアップグレード済み)を使って、白色申告の提出書類を作成する予定です。税理士の宮原先生に白色申告の帳簿の付け方を中心に聞いてみました。

「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第1回「領収書編」第2回「青色申告編」はこちら

白色申告の記帳義務化!これまでと何が違うの?

岸田 さて白色といえば、税制改正で平成26年(2014年)分(平成27年3月16日〆切分の確定申告)からすべての白色申告者に記帳と帳簿類の保存が義務付けられました。「記帳の仕方がよく分からない」という声もありますが。

宮原 もともと前々年か前年の事業所得等が300万円を超える方は、白色でも記帳義務があったんですけどね。それに、これまで確定申告をしていた方だったら、何らかの計算はしているはずですよ。これからは単純に領収書の金額を足し算しているだけではダメで「記録を残しておきなさい」ということです。

岸田 要するにExcelか何かに打ち込んだ一覧表を作っておけばいいと。

宮原 ざっくりいうと、売上と仕入、諸経費が時系列に記録されているものがあれば、書式は何でもいいです。

岸田 家計簿みたいなものでいいってことですかね。

宮原 そうですね。最低限、日付と摘要と金額。あとは勘定科目まで書いてあると集計するときに簡単でしょう。

岸田 税務署に提出する収支内訳書(*)には、どっちみち消耗品費や旅費交通費みたいに勘定科目ごとに分けて記入しますもんね。
(*)個人事業主なら覚えておきたい白色申告に必要な記帳の書き方(法定帳簿)の記事も参考に(編集部注)

宮原 青色申告の複式簿記の帳簿とはだいぶレベル感が違うので、それほど悩む必要はないですよ。

岸田 でも「法定帳簿」と「任意帳簿」を保存しろって書いてありますよね。「法定って何?」という感じなんですが。

宮原 法律で定められた、という意味ですね。呼び方が難しいだけで、ホントに収入金額、必要経費がぜんぶ網羅してあるものであればいいんです。

岸田 任意帳簿というのは? ボクの場合、昨年は「やよいの白色申告 オンライン」を使って確定申告をしましたが、帳簿はひとつしかなかったような。

宮原 任意なので、当然あってもなくてもいいんです。任意帳簿というのは、法定帳簿を補助する役割のもので、青色申告でいう売掛帳や買掛帳などの補助簿のことですね。

岸田 なるほど。でも白色は、売掛取引でも入金されたときのみの記帳でいいんですよね。

宮原 納品書や請求書の控えを保存していれば、期中はそれでも問題はないです。ただし、「青色申告編」でも説明しましたけど、年末時点で売っているけど売上に入ってないものを追加で計上、年末時点で仕入れているけど払ってないものを追加で計上、という決算修正的な作業が最後に必要となりますね。

岸田 いわゆる年をまたぐ取引ですね。これがめんどくさいんですけど、「やよいの白色申告 オンライン」で取引を入力していれば、自動処理されるので楽ちんですよ。

宮原 青色申告に移行したいという気持ちがあるのなら、最初から確定申告ソフトを使ってもいいでしょうね。

岸田 次に「記帳義務化でこれまでと提出する書類に違いはありますか」という質問も来ています。

宮原 まったくないです。

岸田 これまで通り、確定申告書Bと収支内訳書だけでいいんですね。

宮原 記帳義務の問題でよく質問されるんですが、帳簿は提出する必要はありません。法定帳簿は7年間保存しておけばいいんです。

92373456-612.jpg

帳簿を付けていないと罰則はあるの?

岸田 記帳義務っていわれると、守らないと罰則があるような気もしますが、どうなんですか。

宮原 今のところ、記帳義務自体には罰則はないです。

岸田 いきなり罰則があったら、相当な人数が処罰されそうですよね(笑)

宮原 現在は周知期間ということですね。ただ、記帳もしてないし領収書もないということになると、拠り所がまったく不明なので推計課税をされる恐れがありますよ。

岸田 推計課税って、税務署の人に納税額を勝手に決められちゃうってことですよね。

宮原 そう。白色でいい加減なことをしていると可能性はありますね。また、青色の場合は帳簿をつけていることが前提なので、推計しないと不明だというときは青色申告自体が取り消される可能性がありますね。

青と白でどれくらい手間が違うの?

岸田 白でも帳簿付けをしなきゃいけないってなると、ボクも含め、この機会にどうせなら青色申告に移行しようと考えている人も多いと思うんですが。

宮原 そうですね。作業的には青色申告の10万控除と比べても、そこまで変わらなくなったでしょう。Excelで付けていくという手間がかけられる方だったら、青色申告にしたほうが控除面で有利ですよね。

岸田 せっかく青にするなら65万円控除にしたいですよね。

宮原 そのほうがいいですよね。

岸田 ちなみに手書きで帳簿を付けてる人っているんですか。

宮原 いますよ。昔からやっている方だと、それが当たり前になっているので。もちろん、これから確定申告を始める人にはハードル高いですけど。

岸田 いまは確定申告ソフトで提出書類まで自動作成できますよね。前はExcelで集計した数字をいちいち手書きしていましたから。

宮原 青色申告10万控除の簡易帳簿をExcelで作成しようとしたら、けっこう大変だと思いますよ。65万円控除になると相当きついでしょうね。

岸田 知り合いに話を聞くと、みんな複式簿記の帳簿は付けたくないって言うんですよ。どこに何を入力すればいいのか分からないと。自動で仕訳してくれるやよいの「かんたん取引入力」みたいな機能はいいですよね。

宮原 私の立場からすると、なるべく覚えてくださいと言うんですけどね(笑)

岸田 でも自分の本業以外のことって覚えたくないですよね。で、できればなるべくお金もかけたくないという(笑)

まとめ

今回は記帳義務化に伴う白色申告の疑問について、回答してもらいました。白色申告と青色申告の手間が変わらなくなってきているので、青色申告を始めるには絶好のタイミングともいえるでしょう。
次回の第4回は、「経費の疑問」について聞いていきます。

第4回経費編第5回家事按分編は、こちら。

▼さらに詳しく確定申告の期間や方法をまとめたガイドを公開中▼
確定申告丸わかりガイド

photo:stpure / PIXTA(ピクスタ)

c_bnr_fltwhite_online-2
閉じる
ページの先頭へ