【2023年版】確定申告の期間はいつまで?期限内に提出できないときの対処法も解説
監修者 : Gemstone税理士法人

確定申告は、例年、申告する年の翌年2月16日から3月15日までに申告すると決められています。2022年分の確定申告期間は、2023年2月16日(木)から3月15日(水)までとなります。3月15日を過ぎると延滞税が加算されることもありますから、申告期間を守りましょう。
本記事では、確定申告の詳しい期限や、期限を過ぎてしまった場合、もしくは申告内容を間違えてしまった場合の対処法について解説します。
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目次
確定申告はいつからいつまで?
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得と、所得にもとづいて計算した所得税を納付するための手続きのことです。確定申告の期限は、例年2月16日から3月15日までと定められています。ただし、2月16日や3月15日が土日祝日に重なる場合は、翌平日が期日となります。
例えば、2月16日が日曜日、3月15日が土曜日の年であれば、確定申告期間は2月17日の月曜日から3月17日の月曜日までです。
【2022年(令和4年)分の確定申告の申告期間】
- 所得税の確定申告:2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)
会社員などが還付を受ける場合の期限は5年間
会社員の人は、勤務先で年末調整をしていれば、原則として所得税の確定申告をする必要がありません。ただし、住宅ローンを新たに組んだ場合(住宅ローン控除の1年目)や、年間の医療費が一定額を超えた場合などに所得税の確定申告をすると控除が適用され、払いすぎになる所得税を還付してもらえます。このような申告を「還付申告」と呼びます。
還付申告は、確定申告期間以外でも受け付けてもらうことが可能です。申告する年の翌年1月1日から5年間、申告することができます。
消費税の確定申告は期限が違う
本記事では、主に所得税の確定申告について解説していきますが、確定申告には消費税に関するものもあります。消費税の確定申告は期限が異なり、例年、申告する年の翌年1月1日から3月31日までとなっています。
なお、消費税の確定申告の期限も、該当の日にちが土日祝日に該当した場合は翌平日となります。
【提出方法別】確定申告書の提出期限
所得税の確定申告書は、e-Tax、郵送、税務署(または確定申告会場)への持ち込みの3種類の方法で提出できます。どの場合も提出期限は3月15日ですが、いつまでに提出すれば3月15日以内とみなされるかは、それぞれの方法によって異なります。
e-Taxの場合
e-Taxとは、インターネット上で確定申告を行うシステムです。自宅にいながらにして確定申告を完了できるというメリットがあります。
e-Taxの提出期限は、3月15日の23時59分までです。受付は24時間行われているため、当日中にデータ送信が完了すれば、期限内の提出とみなされます。
ただし、あまりギリギリの時間に送ろうとすると、送信エラーになってしまったり、送信に時間がかかって期限を超えたりする可能性もあります。「23時59分まで大丈夫だから」と油断しないようにしましょう。
郵送の場合
郵送提出は、3月15日の消印有効です。消印さえ3月15日であれば、その後の配達に多少時間がかかったとしても、問題ありません。
ただし、3月15日にポスト投函した場合、その時間帯によっては、当日の回収に間に合わない場合があります。3月15日当日に郵送提出する場合は、郵便局の窓口に持って行き、消印を押してもらいましょう。また、窓口差し出しでも、最終取集時刻を過ぎていると消印が翌日のものになることがあります。窓口で「今日の消印を押してください」と依頼すれば押してもらえますから、ひと声かけると安心です。
なお、郵送提出は、必ず信書便で行わなければいけません。宅配便などは利用できないので注意してください。追跡が可能なレターパックの利用がおすすめです。
税務署に持ち込む場合
税務署窓口が開いているのは、原則、平日の8時半から17時です。ただし、確定申告期間中は、日曜日に開庁していたり税務署以外の場所に確定申告会場を開いていたりすることもあります。税務署窓口が開いている時間であれば、窓口の担当者に確定申告書を提出し、その場で押印した控えを受け取れます。
開庁時間以外の提出には、時間外収集箱を利用できます。時間外収集箱は3月15日にも設置されるため、17時を過ぎてしまったとしても、翌朝の回収までに投函すれば期限内とみなされます。
つまり、e-Tax、郵送提出、税務署に持ち込みのうち、最も締め切りが遅いのは、税務署への持ち込みということになります。他の方法での提出に間に合わなかった場合は、朝までの持ち込みを目指しましょう。
ただし、確定申告会場の混雑を避けるため、2022年も引き続き、税務署への持ち込みには入場整理券が必要です。入場整理券は、当日各会場で配布しているものを受け取るか、国税庁の公式LINEアカウントから事前発行をしてもらいます。
- 【参考記事】
- 国税庁:確定申告会場へのご来場を検討されている方へ ~感染リスク軽減のための税務署からのお願い~
税金の納付期限
確定申告の結果、所得税を納税しなければいけなくなった場合の納期限は、申告期限と同じ3月15日です。ただし、口座振替手続きをしているのであれば、約1か月後4月20日前後が振替日となります。確定申告の期限から1か月以上あいだが開くため、銀行口座の残高が不足にならないように気を付けてください。
なお、2023年の場合、個人事業主の2022年分消費税の納期限は2023年3月31日(金)、口座振替にしている場合の振替日は、2023年4月27日(木)です。

確定申告の期限を過ぎてしまったら?
所得税の確定申告をすべき人が期限内に申告を行わなかった場合、複数のペナルティを受ける可能性があります。早めに準備を行い、期限内の申告を心掛けましょう。なお、会社員や年金受給者の還付申告については任意で行うものですから、いつ手続きを行ってもペナルティはありません。
続いては、確定申告の期限を過ぎてしまった場合のペナルティについてご説明します。
無申告加算税・延滞税が課せられる
確定申告の期限が過ぎた後に申告した場合、無申告加算税が課せられる可能性があります。税務署から指摘される前に自主的に申告すれば所得税額の5%、指摘された後で申告すると、所得税額50万円までは15%、50万円を超える部分は20%、税金が加算されます。
ただし、期限が過ぎていても、下記の要件をすべて満たす場合、無申告加算税はかかりません。
<確定申告無申告加算税がかからない要件>
- 確定申告期限から1か月以内に自主的に申告する
- 税金をその日のうちに全額納付する
- 過去5年以内に確定申告の期限を過ぎてから申告したことがない
なお、所得税の納税期限は3月15日ですから、確定申告が遅れれば納税も遅れることになります。納税が遅れると、日数に応じて最大14.6%の延滞税がかかる可能性があります。
ただし、本来納めるべき税金が1万円未満の場合と、延滞税の金額が1,000円未満の場合は課税されません。
青色申告特別控除の額が減額される
青色申告を行っている個人事業主が確定申告期限に遅れると、青色申告特別控除の額が10万円になってしまいます。65万円や55万円の控除を受けることはできません。
2年連続で確定申告期限に遅れると青色申告ができなくなる?
ちなみに2期連続で確定申告が遅れると、青色申告の承認を取り消されてしまうと聞いたことがある人もいるでしょう。これは、法人の青色申告の場合です。個人事業主の青色申告の場合は、期限後申告をすると青色申告特別控除は10万円になりますが、期限後申告というだけで、青色申告が取り消されることはありません。
確定申告の内容が間違っていた場合の対処法
所得税の確定申告を行った後で内容に間違いがあったときは、正しい金額に訂正しなければいけません。税務署から指摘されて修正する場合と、みずから修正する場合では、課せられるペナルティが異なります。誤りに気が付いたら、即座に修正を行いましょう。
続いては、確定申告の内容が間違っていた場合の対処法についてご説明します。
期限内なら再提出をする
申告内容の誤りに気が付いたのが確定申告期間中(例年2月16日から3月15日のあいだ)であれば、再度正しい申告書を提出します。再提出する確定申告書の余白に赤で「訂正申告」と記し、最初に提出した確定申告の提出日と申告した所得税の額を明記して提出しましょう。それ以外の手続きは不要です。
ただし、誤りに気付いたのが3月15日以前でも、提出が3月15日を過ぎてしまう場合は、再提出だけで済ませることはできません。申告期間内に再提出ができない場合は、修正申告を行いましょう。また、期限内でも税務署に指摘されてから修正する場合は、過少申告加算税が課せられることがあります。
過少申告加算税は、新たに納付しなければならない税金の10%に相当する金額です。
期限を過ぎている場合は修正申告をする
所得税の確定申告の期限を過ぎてから誤りに気付いた場合や、修正に時間がかかって期限を過ぎてしまった場合は、「修正申告」を行います。
所得税の金額を正しい金額よりも多く申告していたときは、「更正の請求」を行ってください。税務署が内容を確認のうえ、認められれば、払い過ぎていた税金が還付されます。更正の請求ができる期間は、原則として、法定申告期限から5年以内です。更正の請求が提出されると、税務署でその内容を調査し、その請求内容が正当と認められたときは、請求者にその内容が通知されて、納め過ぎの税金が還付されます。
所得税の金額を正しい金額よりも少なく申告していたときは、修正申告が必要です。修正申告をした場合、少なく申告した税金の額や、申告した日にちに応じて、無申告加算税や延滞税が課せられる可能性があります。
修正申告をする際には、申告書第一表と申告書第二表を所轄税務署長に提出します。なお、2022年(令和4年)分から所得税の確定申告書の様式が変わり、2023年1月に申告書第五表(修正申告書・別表)は廃止されました。2021年(令和3年)分以前の所得税及び復興特別所得税の修正申告をする場合には、「申告書第一表」と「申告書第五表(修正申告書・別表)」を提出します。
確定申告は早めの準備が大切
確定申告をトラブルなく行うためには、早めに準備に取り掛かることが大切です。確定申告の書類作成や、必要な書類の整理には想定以上に時間がかかることもあります。何をしなければいけないのかを理解したうえで、できることから始めましょう。
確定申告に必要な書類
確定申告をする際には、下記の書類を揃える必要があります。足りない物があるときは、必要に応じて再発行手続きなどをとらなければいけません。
<会社員の還付申告の場合>
- 確定申告書(※)
- 控除を受けるために必要な書類(例)医療費控除の明細書を作るための病院の領収書や薬局のレシート、寄附金の証明書など。医療費のレシート原本の提出は不要ですが、明細書を作成するのに使用します。一定期間の保存が必要です。
- 源泉徴収票(原本の提出、保存は不要ですが、記載されている金額を記入する必要があります)
(※)確定申告書の様式は、2023年(令和5年)1月から申告書Aは廃止になり、申告書として1本化されました。
<自営業者の場合>
- 確定申告書
- 青色申告決算書(白色申告の場合は収支内訳書)
- 控除を受けるために必要な書類(生命保険料控除証明書や、納付した国民健康保険料、国民年金の金額がわかる書類など)
特に自営業者は、青色申告決算書を作成するための帳簿をつけなければいけません。未入力のレシートやクレジットカードの明細などが多い人や、売上と入金を毎月こまめに入力していなかった人は、帳簿の作成にかなりの時間がかかってしまう可能性があります。
また、1年分の領収書、請求書、見積書などの整理やファイリングもしなければいけません。さらに、仕訳方法などに迷った場合は、調べるための時間も必要です。税務署に問い合わせることもできますが、さらに時間がかかってしまいます。
e-TaxにはマイナンバーカードやID・パスワードが必要
複式簿記で青色申告をしている人は、申告期限までに申告が完了すれば、最大55万円の特別控除を受けられます。さらに、55万円控除の要件をすべて満たしたうえで、電子帳簿保存(2022年分からは、優良な電子帳簿)もしくは、e-Taxを利用することで最大65万円の青色申告特別控除が適用できます。また、それ以外の人も、インターネットで簡単に確定申告手続きが可能です。
e-Taxを利用するには、マイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードは、申し込みから受け取りまでに1か月程度かかります。自治体によっては2か月近くかかることもありますから、持っていない人は早急に手続きを行いましょう。
また、2022年現在、経過措置としてID・パスワード方式でe-Taxを利用することもできますが、こちらは事前に税務署に行って発行手続きをとらなければいけません。時間の余裕を持って準備をしましょう。
会計ソフトで確定申告をスムースに
何かと時間のかかる確定申告手続きですが、「やよいの白色申告 オンライン」や「やよいの青色申告 オンライン」を活用すれば、スムースに書類作成が可能です。溜め込んだレシートや請求書をどうすればいいかわからないという人も、ガイドに従って日々の取引を入力していくだけで、簡単に確定申告を完了できます。
また、「やよいの白色申告 オンライン」と「やよいの青色申告 オンライン」は、どちらも消費税の確定申告にも対応しています。所得税と消費税、両方の確定申告を1つのソフトで簡単に済ませることができますから、申告業務の効率化にご活用ください。さらにe-Taxにも対応しているので、青色申告の場合は、65万円控除の適用も可能です。
確定申告は早めに終わらせよう
確定申告の期限を過ぎてから申告すると、さまざまなペナルティを受けることになります。また、ギリギリまで先延ばしにしていると、「早くやらなくちゃ」というストレスにもなるでしょう。
早めに済ませておけば、万が一間違っていたときでも、再提出で訂正できます。さらに、「提出直前になって必要書類が足らないことに気が付いた」といったトラブルがあっても安心です。「そろそろ確定申告の季節だな」と思った時点で、準備を始めることをおすすめします。
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