白色申告に必要な提出書類(押さえておくべきポイント)

節税効果の高い青色申告か、記帳が簡便な白色申告か――。個人事業主の方は迷われた経験があるかと思います。特に、前年または前々年の所得合計が300万円を超えない場合、白色申告は記帳を行う義務がなかったので、何となく楽な白色申告を選んできた人もいるかもしれません。ところが、2014年の1月からすべての白色申告者は記帳を行わなければならなくなりました。そこで今回は、白色申告者が押さえておきたいポイントについて、解説したいと思います。
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目次
- POINT
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- 確定申告書と収支内訳書を提出しなければならない
- 帳簿で収支をきちんと記録すること
- 帳簿は7年、領収書は5年保管すること
白色申告に必要なものは3つ
白色申告に必要なものは次の3つになります。
まず「2.確定申告書に添付する各種控除関係の書類」については、マイナンバーカードかマイナンバーが確認できる書類と本人確認書類の提示又は写しの添付、ほかに生命保険や医療保険に入っている場合や、住宅ローンを払っている場合などは控除の対象となるので、控除関係の書類を添付しましょう。サラリーマン経験のある人ならば、会社に提出したことがあるかと思います。こちらは用意するのに、特に問題はないでしょう。
問題は「1.確定申告書B」と「3.収支内訳書」です。フォーマット自体はいずれも国税庁からダウンロードすればよいのですが、これを作成するためには、帳簿への記帳を行わなければなりません。
※各書類は、2019年12月25日時点公開の令和元年分以降用です。様式は変更になる可能性もあります。
収入も支出を記録しよう
「いきなり記帳をしろと言われても、どうすればよいのかわからない……」
記帳の経験がない人は、そんなふうに頭を抱えてしまうかもしれませんが、記録することは主に2つです。「売上などの収入」と「仕入などの必要経費」を記録として残せばよいことになります。
その2つの記録にあたっては「いつ行われたのか(取引の年月日)」、「相手は誰か(売上先・仕入先等の相手方の名称)」、「いくらだったのか(金額)」を記載することになります。また、経費の場合は、それがどんな経費なのか。パソコンや携帯電話の通信の料金ならば「通信費」、電車やバスなどの運賃賃ならば「旅費交通費」という具合に分類して記載します。
ただし、白色申告の場合は、青色申告と異なり、一つ一つの取引ごとに記載せずに、日々の合計金額をまとめて記載するという簡便な方法で記載することも認められています。時間がない人はそういった方法をとるのも一つの手でしょう。
記帳にあたって必要なものは、収入と支出を記録する「帳簿」です。文房具屋にいけば、金銭出納帳が売っているので、それを使用してもいいですし、エクセルでデータ入力をしてプリントアウトしても構いません。
書類を保存しよう
帳簿の記帳のほかに、必要になってくるのが、資料の保存です。作成した帳簿以外に、取引のときに受け取った請求書、領収書などの書類を保存しておかなければなりません。
保存する方法は自由です。請求書などはノートに日付順に貼り付けていってもいいですし、ファイルなどを用いて整理しておく方法、まとめて封筒に入れておく方法などもあります。いろいろやってみて、やりやすい方法を探してみてください。
領収書については、先に述べたとおり、用途に応じて分けて記載するので、保管の時点で分けておいたほうがいいでしょう。私の場合は、支払いが発生するたびに「通信費」「交際費」などといったふうに分類したうえで、それぞれ大きめのクリップで止めるようにしています。
期間が来るまで捨てないこと
初めての人は誤解しやすいのですが、集めた領収書や請求書などは、確定申告時に提出する必要はありません。提出物は最初に述べた3つだけです。ただし、何か税務署から指摘があったときのために、保存しておかなければなりません。
では、いつまで保存すればよいのか? まず、収入金額や必要経費を記載した帳簿、これを「法定帳簿」と呼びますが、これについては7年の保管が必要です。また、請求書、納品書、送り状、領収書などの書類については5年間保管しなければなりません。保管用のBOXなどを用意しておくと、いざというときに困らないでしょう。
以上、白色申告のポイントについて説明いたしましたが、いかがでしょうか。まずは実際にやってみるのが一番だと思いますが、今まで記帳経験のない人は不安もあるでしょう。税務署や、商工会議所・商工会などで記帳指導を行っていることもありますので、調べてみて足を運んでみてはいかがでしょうか。また、「やよいの白色申告 オンライン」を使えば簡単に帳簿や確定申告書など、確定申告の準備もできますよ。
初めての白色申告に一度チャレンジしてみたならば、次はぜひ青色申告へ移行されることをお勧めします。作業は増えますが、どうせ帳簿を作らなければならないのでしたら、大きな差ではありません。節税効果の高い青色申告への前段階として、まずは白色申告をがんばってみてください!
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