元・テレビ局キャップが教える!個人事業主のための簡単プレスリリース講座

マスコミにプレスリリースを送るのは、有名企業、大手企業だけと思っていませんか。実際に、個人事業主でプレスリリースを送って来られる方は珍しくありません。ただ、専任の広報担当を置いているような会社のものと比べると、内容・体裁ともに厳しいものがほとんどです。誰でも簡単にプレスリリースを書くためのポイント、さらには個人事業主がおさえておくべき点まで、解説していきます。
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目次
- POINT
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- 個人事業主のプレスリリースは珍しくない
- 大切なのはシンプルで飾らないこと
- 個人事業主は信用につながる情報を大切に
珍しくない個人事業主のプレスリリース
わたしが担当していた番組でも、よく個人事業主から、プレスリリースが送られてきました。ですが、書き方が他人に読んでもらえる体裁になっていないものがほとんど。説明文が5ページにわたり、文字でびっしりと埋め尽くされているもの。プレスリリースというより、スーパーや不動産のチラシのような色合いの文字で、派手な宣伝文句が並ぶもの。メディアには毎日、数十通のプレスリリースが届きます。実際にはプレスリリースとして一定の水準にあるものでなければ、中身を読んでもらうことが難しいのです。
大切なのはシンプルで飾らないこと
では、プレスリリースはどのように書けばいいのか。わざわざ高い料金を払って、PR会社などに依頼する必要はまったくありません。プレスリリースの目的は、記者に目にしてもらい、内容を理解してもらうこと。ですので、特殊な書式を完璧に学ぶ必要があるというものではないのです。最低限の作法を守って、作成すればいいわけです。
今は幸いにして、インターネットで、各企業のプレスリリースをみることができます。自分の属する業種に近い有名企業のプレスリリースは、参考になります。
参考にする企業を選ぶときに、注意した方が良い点が2つあります。ひとつは、上場企業の方がいいということ。上場企業には、情報開示の基準が課されています。ですので、プレスリリースの書き方が、手慣れたものが多いのです。もうひとつは、外資系のプレスリリースは参考にしない方がいいということ。外資系のプレスリリースは、日本語を母国語にする者がみると、違和感を覚えるものがほとんどです。外国語を直訳したような文章、あるいは書き方が日本の慣習に馴染まないものが多くあります。
プレスリリースを書くとき、最初に決めるべきはタイトルです。タイトルで、記者に手に取ってもらえるかどうか、8割は決まります。必ず1行で、簡潔に伝えます。
タイトルが決まったら、内容をわかりやすく書いていきます。「わかりやすい」ということは、重要です。記者は記事を書くことのプロです。特定の業界に、精通していない記者も数多くいるのが現実です。技術的な内容や専門用語は、できるだけ使うべきではありません。
次に注意すべきなのは、主観的な表現は避けるということです。犯しがちな過ちですが、「最もおいしい」、「最高の出来栄え」、「ありえない低価格」といったネットショッピングに出てくるような煽り文句は厳禁です。強調しすぎる表現は、読み手を疑心暗鬼にします。宣伝でも「胡散臭い」と思われてしまうのは、大体、このパターンです。もしも「最高」などとうたいたいのであれば、第三者機関の調査レポートなどを引用して、客観的に示す必要があります。
そして、最後に気を付けるべきなのは、必ずA4で1枚にまとめるということです。2枚以上だと、それだけで失格です。1枚で説明できる程度に、まとめていないと、まず読んでもらえません。加えて、プレスリリースはマスコミ社内でコピーされ、回覧されるという事情があります。複数の記者、デスク、編集長と経ていきます。2枚以上だと、コピーや綴じる手間がかかってしまいます。なので、2枚以上になると、よほどのビッグニュースでもない限り、マスコミ社内で放置されがちなのです。
簡潔なタイトルをつける、主観的で煽るような表現は用いない、必ずA4で1枚にまとめる。紹介したプレスリリースの基本は、取引先への企画書などと同じではないでしょうか。広報の専門教育を受けた人でなければ書けないというものでは、決してないのです。
個人は信用につながる情報を大切に
最後に、プレスリリースを書く上で、個人事業主ならではの注意点もあります。それは、相手先(記者)は自分の会社のことを、何も知らないということです。ですので、プレスリリースには簡単な自社紹介を入れておくべきです。自己紹介を含めて、A4で1枚です。
なお、自己紹介で心がけるのは、相手からの信用を得るということです。「しっかりしていそうな会社だから、プレスリリースの内容も本当だろうな」。そのように記者に思ってもらうことが第一歩です。不正確なプレスリリースを基に記事を書けば、記者は命取りになりかねないからです。
個人事業主にとって最も確実な方法は、有名な名前を使うということです。たとえば、有名企業で培った実績を活かして、脱サラした方ですと、自己紹介のなかに入れておくべきでしょう。受賞歴、有名企業からの受注実績、あるいは出身大学など、何でも構いません。何か少しでも、見知らぬ相手からの信用につながる、きっかけを入れておくことをお勧めします。
photo:Thinkstock / Getty Images