どうすればいい?フリーランスの外注問題。支払調書は発行すべきか?

支払調書とは、企業がフリーランスに報酬を支払った後、所得税の前払いしたことを証明するために発行する書類のこと。ただ、フリーランス自体がカメラマンやデザイナーなどに仕事を外注する時に、この「支払調書」の発行を求められることもあります。今回は、この支払調書とは何か?を再確認するとともに、フリーランスも企業同様に発行する義務があるかについて紹介します。
※当記事は支払調書を発行する人向けの記事です。支払調書をもらいたい人向けの記事はこちらをご覧ください。→支払調書が来ない、届かない。確定申告できない!?
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
- POINT
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- 支払調書とは、企業が税金の前払いしたことを証明する書類
- フリーランスは支払調書を発行する義務はない
- 必要なら合計支払額を記載した書類を作成して対応
そもそも支払調書って何?
これがないと確定申告で税金を取り戻せないためフリーランスで仕事をしている人が毎年1〜2月に必死になってかき集めるのが支払調書です。
そもそも企業は、所得税法で源泉徴収が必要だと定められているフリーのデザイナーやライターなどに報酬・料金(※1)などを支払った翌月に、報酬にかかる所得税額および復興特別所得税(100万円以下の場合は10.21%)を税務署に先払いしています。このことを証明するために、支払調書(正式には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」)を作成し、税務書およびフリーランスにも提出しているのです。
(※1)源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
源泉徴収義務のないフリーランスは支払調書を発行しなくてもよい
こうした支払調書の発行義務があるのは、報酬を支払った後に税金を先払いする「源泉徴収義務者」です。この「源泉徴収義務者」は、企業はもちろん、官公庁、教育機関などの法人だけでなく、個人事業主も対象となります。
しかし、以下2点は対象外とされています。
(1) 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
(2)弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人
→上記の(1)(2)から、人を雇わずに個人で事業を行っているフリーランスの場合は源泉徴収義務がなく、したがって支払調書を発行する必要はないことが分かります。ちなみに、起業したばかりの法人や個人事業主が、人を雇って源泉徴収義務者になる場合、「給与支払事務所等の開設届出書」を従業員を雇ってから1ヶ月以内に提出することになっています。ただし、家族や従業員を使わず、一人での個人開業の場合、「個人事業の開業等届出書」を提出すればOKです
どうしても必要だと言われたら、合計支払額だけを記載した書類を提供する
源泉徴収義務者ではないフリーランスの場合は、外注への報酬支払い時に税額である10.21%を差し引かずに、全額入金しているはずです。そのため、外注先からどうしても支払調書に替わるものを出してほしいと依頼されたら、合計支払額とともに源泉徴収税額を0円と記載した書類(書式は支払調書を流用)を発行し、それをもとに確定申告してもらうしかないと思います。そもそも報酬5万円以下の場合は、源泉徴収義務者である企業でも支払調書発行の義務はないようです。
実のところ、支払調書はこれがないと確定申告が適正にできないフリーランスのために企業側がサービスとして発行しているのです。そのため、今後Amazon のように支払調書を発行しない企業(※2)が増えてもおかしくないと思われます。
(※2)【青色申告】支払調書がもらえない!なくてもOK?割れる意見とその理由と対処法
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photo:Thinkstock / Getty Images