個人事業主の節税対策の切り札「小規模企業共済」とは?

会社員とは異なる個人事業主としての人生。組織に縛られない自由さを手に入れるということは、不安定な将来への不安に打ち勝たなければならないということでもあります。そこで活用したいのが、「小規模企業共済」。節税しながら、廃業時に掛け金に応じた共済金を受けとることができる力強い共済制度です。そのメリットをご紹介しましょう。
※小規模企業共済は、制度の見直しが行われて、2016年(平成28年)4月から、より活用しやすくなりました。
記事「小規模企業共済の変更について」もあわせてご覧ください。(2017年1月 『スモビバ!』編集部追記)
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目次
- POINT
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- 掛け金は全額が所得控除される
- 共済金を受け取るときも節税効果あり
- 掛け金の支払い額、共済金の受け取り方も選べる
「小規模企業共済」って何?
サラリーマンにとっての退職金にあたるものが、個人事業主は当然ありません。だからこそ、個人事業主が事業から引退したときのために、日ごろから積み立てておくのが「小規模企業共済」です。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するもので、制度が発足したのは昭和40年。平成25年3月末現在で在籍件数が約156.5万件にのぼるなど、順調に普及している制度です。
ダブルの節税効果がうれしい
個人事業主の退職後の生活をサポートするこの共済制度は、節税効果が高いことでも知られており、毎月の掛け金は全額所得控除となります。仮に、上限の7万円を毎月の掛け金とした場合は、年間で84万円も所得控除を受けられるのです。
そして、毎月掛けた金額は、廃業時に共済金として受け取ることになります。そのとき、一括で受け取る場合には「退職所得」として、分割で受け取る場合には公的年金等の「雑所得」として扱われます。
つまり、「掛け金を払い込むとき」と「共済金を受け取るとき」の両方で節税効果を得ることができる。それが、この「小規模企業共済」の大きなメリットです。
掛け金は1000円からでもOK
「今でも十分苦しいのに、廃業したときのために積み立てするなんてとても考えられない」。そんな個人事業主の方もいるかと思います。
しかし、掛け金月額は1000円から7万円までの間で、500円単位で自由に選択することができ、あとから増額もOK。事業の成長を見極めながら、無理のない範囲で、将来への備えに充てていくとよいでしょう。
共済金の受け取り方は3種類
事業が廃業したときに受け取ることができる共済金については、受け取り方が3種類から選択できます。それは、「一括受取り」、「分割受取り」、そして「一括受取りと分割受取りの併用」。これは、サラリーマンの退職金にはないメリットです。分割で受け取れば、退職後の生活がより安定することでしょう。
将来の自分のためと思えば、たとえ今が苦しくてもまたビジネスへのモチベーションも上がるはず。節税しながら、上手に将来に備えられる「小規模企業共済」の活用をぜひ検討してみてください。
※加入条件など詳細は中小機構のホームページをご参照ください。加入シミュレーションもできます!
photo:Thinkstock / Getty Images