転ばぬ先の杖?個人事業主におすすめな健康保険

個人事業主の方は国民健康保険に加入する義務がありますが、地方自治体が運営する国民健康保険がすべてではありません。業種によって独自の組合保険があり、条件が合えば、そちらに加盟することもできます。組合保険にどんなメリットがあるか、紹介していきましょう。
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目次
- POINT
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- 保険料は一律で収入に左右されない
- 手厚い保障がうれしい
- 新しい職業でもあきらめずに
保険料が収入によって変化しない
地方自治体の国民健康保険の場合は、前年度の所得によって、保険料が変わってきます。つまり、前年度の所得が多ければ多いほど、翌年の保険料に跳ね返ってくることになります。ただでさえ、月給が不安定になりがちな個人事業主にとって、所得に応じて保険料が変わるのは避けたいところ。そうでなくても、所得が上がれば、翌年の住民税が上がるのですから……。
その点、多くの国民健康保険組合では、保険料が一定です。例えば、関東信越税理士会に登録している税理士が加入できる「関東信越税理士会」では2万3000円、美容業界で全国ただ一つの公法人組合「東京美容国民健康保険組合」では2万1500円と、いずれも一律です。ただし、額は組合によってまちまちで、かつ入会費や年会費が必要な場合もあるので、地方自治体の国民健康保険と比べて負担はどうなるのか、よく吟味してから決めたほうがよいでしょう。
保障が手厚く、仲間ができる
国民健康保険組合は、手厚い保障がある点でもメリットがあります。人間ドックを割引料金で受診できるところもあれば、各種がん検査を無料で受けられるところもあります。また、出産育児一時金や葬祭費の支給額が国保に比べて高いという嬉しいケースも。
さらに、ハイキングやお花見などのイベントが催されているところもあり、参加することで業界内の人脈を広げることもできるでしょう。ほかにも、組合が運営している保養施設を利用できるなど、組合によって特典はさまざま。加入前にチェックしてみましょう。
こんな職業の健康保険組合がある
国民健康保険組合がある業種は、土木・建築、医師、税理士、文芸・美術関連職など多岐にわたります。ユニークなところでは、大阪府などで浴場の業務に携わる人が加入できる「大阪府浴場国民健康保険組合」もあれば、東京都近隣の芸能関係者が加入できる「東京芸能人国民健康保険組合」もあります。また、同じ業種でも地方ごとに組合が設立されていることがあるので、注意しましょう。
ただし、現在、新規で国民健康保険組合を設立することは認められていません。現存する国民健康保険組合の多くは、市町村による国民健康保険がスタートする前からあったものです。つまり、近年に現れた職業については、国民健康保険の代行としての国民健康保険組合が存在しないのが現状です。
それでも、例えば、WEBに関わる仕事だからといって「最近の職種だからダメだ……」と諦めることはありません。「文芸美術国民健康保険組合」は、「日本国内に住所を有し、文芸、美術及び著作活動に従事し、かつ、組合加盟の各団体の会員である者とその家族」が対象です。その組合加盟の団体には「社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)」があり、WEB関連や、スマートフォンアプリ関連の登録者が協会の審査に通っているケースもあります。まずは調べてみることが大切です。
地方自治体が運営する国民健康保険が高くつくのは、個人事業主が共通して持つ悩み。健康保険組合について知っていることは何かないか、身近な同業者に相談してみるのが一番かもしれませんね。
photo:Thinkstock / Getty Images