「休職」とは?基本的なルールと必要な手続き
ある日、従業員のAさんが「具合が悪くて心療内科へ行ったら、2週間休職するようにと言われました」と言って診断書を提出してきました。一方で、従業員のBさんから「休日に交通事故にあい、2ヵ月入院することになりました」と連絡がありました。そんなとき、会社としてはどうしたら良いのでしょう。今回は「休職」についてお話します。
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目次
休職とは
そもそも「休職」とは何でしょう。休職とは、労働者を労働させることが適切でない場合に、労働義務を免除することをいいます。ただし、労働基準法などの法的なルールはありません。ですから休職は就業規則や労働協約などで定めるもの、つまり社内のルールということになります。また、必ずしも休職制度を設けなければいけないというわけではありません。
事例のAさんとBさんの場合は、業務とは関係の無い私傷病が原因の休職となります。会社の就業規則に「私傷病休職」の規定があればそれに基づいて対処することになります。
私傷病休職の規定とは
私傷病休職の規定は、どのような内容を定めれば良いのでしょう。一般的には以下のようなことが挙げられます。
- ① どのような事由で休職となるのか
- ② 休職制度を使える対象者は誰なのか
- ③ 休職の命令を会社が下すのか、労働者の請求を会社が承認するのか
- ④ 休職に入る前に欠勤期間を設けるのか
- ⑤ 休職期間の長さはどうするか
- ⑥ 休職期間中の給与はどうするか
- ⑦ 休職期間中の過ごし方
- ⑧ 休職期間が満了した時の復職の可否判定はどうするか
- ⑨ 復職前のリハビリ出勤扱いはするのか
- ⑩ 休職期間が満了しても復職できないときはどうなるか
傷病手当金
上記⑥で給与について触れましたが、会社としてはノーワーク・ノーペイの原則(労働提供がなければ給与の支払義務もなし)どおり、給与の支払いをする必要はありません。しかしAさんが健康保険の被保険者であれば、傷病手当金の支給申請をすることができます。傷病手当金は健康保険の保険者である全国健康保険協会または健康保険組合から支給され、休職中の所得補償となります。
【参考】
・全国健康保険協会HP:病気やケガで会社を休んだとき
【参考記事】
・労働保険・社会保険とは何か?
休職中に有給休暇は取れる?
よくある質問ですが、休職期間中に有給休暇を請求できるのでしょうか。答えは「NO」です。有給休暇はもともと労働義務のある日にしか取得できません。休職期間は労働義務が免除されているので、有給休暇を取得する余地が無いということになります。
まとめ
「休職」とは何か、基本的な部分をお話しました。事例のAさんやBさんのようなことがいつ起こっても慌てないようにあらかじめルールを決めておくことをおすすめします。
知っておきたい基礎知識|雇用と給与|まとめINDEX
- はじめて従業員を雇うときに知っておきたいこと
- 従業員の雇用には、どんな手続きが必要か?
- 従業員を雇用するときに準備する必要書類
- 労働保険・社会保険とは何か?
- 社会保険の手続き
- 労働保険の手続き
- 労働保険の年度更新とは
- 住民税 普通徴収と特別徴収の違いと手続き
- 標準報酬月額とはなにか? 決定のタイミングはいつ?
- 算定基礎届・月額変更届とは?
- 給与の源泉徴収と源泉所得税納付の手続き
- 賞与での社会保険の計算と手続きについて
- 年末調整とはなにか?
- 給与計算・年間スケジュール
- 給与計算のための就業規則・給与規程のポイント
- 給与計算・給与明細書の作成前に準備すること
- 給与計算での支給項目と非課税扱いになる手当
- 給与計算での「社会保険料」の計算
- 給与計算での「雇用保険料」の計算
- 給与計算での源泉所得税の計算方法
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