年末調整とはなにか?
年に1度の大きなイベント、年末調整とはなんでしょう?お金が戻って来るイメージがありますがそれはなぜでしょう? 今回は年末調整の概要を解説します。
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目次
年末調整とは
給与やボーナスから控除(天引き)されている所得税を源泉所得税と言います。
これは、およその税額です。その主な理由は以下のとおりです。
- 源泉徴収税額表は、年間を通じて毎月の給与の額に変動がないものとして作られているから
- 賞与の源泉徴収税率は、1年間に賞与が給与の5ヵ月分支払われるものとして算出されているから
所得税は「1年間でいくら」という「年税額」で決まります。
年の最後に正しい年税額が決まってから、1年間に源泉徴収された税額との過不足を精算するのです。つまり年末調整とは、所得税の精算です。正しい年税額のことを年調年税額と言います。
また、年調年税額を求める際は年の最後にならないとわからない以下のものを考慮して計算します。
- 年の最終日(12月31日)時点の扶養親族等の状況
- 一年間に支払った生命保険料や地震保険料
1年間控除された源泉所得税の合計が年調年税額よりも多かった人は、年末調整で納めすぎた所得税が戻って来ます。その逆に、年調年税額の方が1年間控除された源泉所得税の合計額よりも多かった人は、追加で所得税を納めることになります。
お金が戻ってくるイメージがあるのは、一般的に所得税を納め過ぎたパターンの人が多いからです。
所得税の「所得」とは
では、そもそも所得税の「所得」とは何でしょう。同じ意味にとらえがちな言葉に「収入」がありますが、収入と所得では意味が異なります。収入と所得の関係を計算式で表すと以下のようになります。
収入-経費=所得
例えば、お店を経営している人にとっては売上が収入に該当し、その収入から仕入れなどの必要経費を差し引いた残りを所得と呼びます。また、会社勤めの人の場合は、給与やボーナスの額面の金額(非課税通勤手当は除きます)が収入に該当し、その収入から経費に相当する給与所得控除を差し引いた残りが所得となります。給与所得控除を求める計算式は所得税法で定められています。
【参考】国税庁:給与所得控除とは
上図の「お店を経営している青山さん」は自分で税務署へ行って確定申告をしますが、「会社員の品川さん」は会社で年末調整をしてもらいます。
【参考記事】
年末調整ができる人・できない人
素朴な疑問! 年末調整と確定申告って、なにが違うの?
年調年税額を求めるまでの流れ
年末調整とは、源泉所得税と年調年税額とを比べ過不足を精算することだとお話しました。では、年調年税額はどのように求めるのでしょう。流れをご説明します。
- ① 1月から12月までの1年間の給与と賞与を足します。ただし非課税通勤手当は除きます。
- ② ①から給与所得控除を引いて所得を求めます。
- ③ さらに、②で求めた所得から所得控除額を引いて課税給与所得金額を求めます。所得控除額は給与所得者の扶養控除等(異動)申告書と給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書と給与所得者の保険料控除申告書より求めます(※これらの申告書は早めに従業員に配布し、記入してもらいましょう)。
- ④ ③で求めた課税給与所得金額に税率を乗じて算出所得税額を求めます。税率は③の額によって定められています。
- ⑤ ④で求めた算出所得税額から住宅ローン控除額を引いて年調所得税額を求めます。住宅ローン控除額は住宅借入金等特別控除申告書から求めます。但し、住宅ローンを組んでいる人など該当者のみです(※この申告書は該当する従業員本人が自ら提出しますので会社で配布する必要はありません)。なお、居住を開始した最初の年は本人が確定申告をする必要がありますので会社での年末調整は2年目からになります。
- ⑥ ⑤で求めた年調所得税額に102.1%(復興特別所得税分)を乗じて年調年税額を求めます。
まとめ
年末調整とは従業員の正しい年税額を求めて精算すること。年に1度の重要な業務です。しっかりと基本をおさえてから実務に入りましょう。
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- 年末調整とはなにか?
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