標準報酬月額とはなにか? 決定のタイミングはいつ?
健康保険と厚生年金保険の話をするときには、必ず標準報酬月額という言葉が出てきます。その決定方法と適用期間などについてお話します。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
社会保険料の基本的な決め方
毎月の給与から控除する社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は、どのように計算するのでしょう。答えは以下の計算式です。
標準報酬月額 × 保険料率 = 保険料
その月に支払う給与額に保険料率を掛けるのではありませんので、ご注意ください。
標準報酬月額とは
では、その標準報酬月額とは何でしょう。
まず、会社が支払う1ヵ月の給与額を報酬月額といいます。ここには基本給のほか、役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当も含まれます。
また、報酬月額を等級表にあてはめたものを標準報酬月額といいます。健康保険の等級は第1等級(5万8千円)から第50等級(139万円)まで区分されています。厚生年金保険の等級は1等級(8万8千円)から31等級(62万円)まで区分されています。
標準報酬月額は、会社が年金事務所や健康保険組合へ届け出た際に決定されます。
【参考】
・協会けんぽ:都道府県毎の保険料額表
・日本年金機構:厚生年金保険料額表
標準報酬月額の決定のタイミング
標準報酬月額の決定のタイミングは、主に3つあります。
① 資格取得時決定
② 定時決定
③ 随時改定
資格取得時決定
会社は、従業員を雇い入れた時に就業規則や労働契約などの内容に基づいた報酬月額を「健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届」に記入し、届け出ます。このときに標準報酬月額を決定します。
【参考】
社会保険の手続き

【画像引用】日本年金機構:従業員を採用したとき
上の記載例ですと、報酬月額が265,000円。これを等級表にあてはめるとどうなるでしょうか。

【画像引用】協会けんぽ:平成29年保険料額表・標準報酬月額等級表
健康保険が20等級、厚生年金保険が16等級で、標準報酬月額は260,000円ということになります。
これを資格取得時決定といい、決定された標準報酬月額はその年の8月まで適用します。ただし、6月1日から12月31日までに資格取得した人は、翌年の8月まで適用します。
定時決定と随時改定
定時決定は算定基礎届、随時改定は月額変更届を届け出たときに標準報酬月額を決定します。この2つについての詳細は「算定基礎届・月額変更届とは?」の記事でお話します。
まとめ
標準報酬月額は、保険料の計算のもとになるだけではなく、従業員が将来受け取る年金額の計算のもとになる大切なものです。届け出は忘れずに、また、正確に行いましょう。
【編集部追記】
平成30年(2018年)3月1日 厚生労働省より「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正について(平成30年保発0301第8号・年管発0301第1号)」という通知が公表されました。
標準報酬月額の随時改定に当たって、現行の随時改定による報酬の月平均額と、年間の報酬の月平均額とが著しく乖離する場合に配慮して、
業務の性質上、季節的に報酬が変動することにより、通常の方法によって随時改定を行うことが著しく不当であると認められる場合について、新たに保険者算定の対象とするものです。
平成30年(2018年)10月1日施行、平成30年(2018年)10月1日以降の随時改定から適用となります。
本内容については、後日スモビバ!で、宮田先生の執筆により解説記事を公開予定です。
【参考】
・厚生労働省:「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正に伴う事務処理について」に関するQ&Aについて〔健康保険法〕
(2018年7月2日 執筆者:宮田先生監修のうえ、『スモビバ!』編集部追記)
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