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ホーム 消費税 15.消費税における個別対応方式の計算方法

15.消費税における個別対応方式の計算方法

13.消費税における仕入控除税額の控除時期と計算方法」では、仕入税額を全額控除する方式での税額控除の方法について説明しました。
本章では、「個別対応方式」の場合の税額控除の方法を説明したいと思います。
ざっくりとおさらいすると、課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上割合が95%未満の事業者であれば、個別対応方式か一括比例配分方式のどちらか有利な方を選択できるのでしたね。

個別対応方式では仕入と売上の対応がキモ!

では、実際に個別対応方式での仕入控除税額の計算方法を見ていきましょう。
そもそも消費税の納付税額は、売上によって預かった消費税額から、仕入れによって支払った消費税額を控除して算定するのでした。
仕入控除税額の計算方法で、どのような方式を選択したとしても、この考え方は変わりません。
以上を踏まえ、個別対応方式では、以下のように計算を進めます。

Step.1 課税仕入が、以下のどれに該当するか区分する

1 課税売上にのみ対応するもの
2 非課税売上のみに対応するもの
3 課税と非課税の両方に共通するもの

Step2. 1.に対応する消費税額全額と、3.に対応する消費税額に課税売上割合を掛けた金額との合計を仕入控除税額とする

それでは、それぞれのステップについて解説していきましょう。

Step1. 課税仕入を区分する

1.のケースは簡単だと思います。例えば国内販売商品にかかる仕入や国内運賃などが該当します。

2.のケースを考えてみましょう。
消費税の納付額は預かった消費税額から支払った消費税額を控除するのですが、売上が非課税売上の場合、支払った消費税額を控除すべき預かった消費税額が存在しません。
例えば、土地の売却は非課税売上ですが、その際に不動産業者に支払った手数料は課税仕入です。
このように、支払った消費税額を控除すべき預かった消費税額が存在しない取引は2.に分類されます。

次に3.のケース。こちらは、課税仕入となるものを仕入れたものの、それが課税売上にも非課税売上にも対応するものです。
例えば、従業員に支払う通勤手当。これは課税売上のみに対応するわけでもなく、非課税売上のみに対応するものでもないですよね。こうした課税仕入が3.に該当します。
つまり、「課税売上のみに対応する」「非課税売上のみに対応する」と明確に言えないものが、このケースに該当します。

Step2. 仕入控除税額を算定する

Step1.で課税仕入を区分したら、次に仕入控除税額を算定します。
消費税の納付額は、預かった消費税額から支払った消費税額を控除するのであり、今は「支払った消費税額」のうち控除する金額を算定しているということを忘れないで下さいね。
具体的には、1.に対応する消費税額全額と、3.に対応する消費税額に課税売上割合を掛けた金額との合計を仕入控除税額とします。
1.については、課税売上に対応する、つまり控除されるべき預かった消費税額が存在する取引ですので、全額控除できます。
3.については、控除すべき預かった消費税額が存在するとは明確に言えない取引です。
したがって、課税売上がどれくらいの割合存在するかを表す課税売上割合を乗じ、理論上これだけは控除して良いだろう(つまり、控除すべき預かった消費税額が存在するだろう)という額を算定し、それが仕入控除税額となります。
なお2.は非課税売上に対応する仕入ですので、控除すべき預かった消費税額が存在しません。したがって、仕入控除税額にも含めません。

対価の返還があった場合

仕入控除税額の算定に個別対応方式を選択し、仕入れにかかる対価の返還等がある場合は以下のように計算します。

Step1. 対価の返還等のあった取引を1.~3.に区分する

Step2. 以下に当てはめて、①と②の合計額を仕入控除税額とする

①課税売上にのみ対応する課税仕入消費税額-課税売上にのみ対応する仕入れにかかる対価の返還等の消費税額(※)
(※課税仕入にかかる税込対価の返還等×6.3/108)

②課税売上と非課税売上に共通する課税仕入消費税額×課税売上割合-課税売上と非課税売上に共通する仕入にかかる対価の返還等の消費税額×課税売上割合

なお、仕入れにかかる対価の返還等にかかる消費税額が、課税仕入等の税額の合計額から控除しきれない場合に、控除しきれない額を課税標準額に対する消費税額に加算するのは、全額控除方式の場合と同様です。

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