年末調整とは?
毎年12月になると事業者の元に税務署から少し分厚い封筒で「年末調整のしかた」が送られてきます。100ページ以上ある年末調整のマニュアルですが、専門用語が多く素人にとってはなかなか難解な代物です。そこで「誰でも分かる年末調整」を目指して、15回に分けて年末調整を解説していきます。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
毎月の給与や賞与から税金が引かれている
毎月の給与明細を見ると「所得税」という名目で給与に係る税金が控除されています。賞与においても同様に所得税が控除されています。この給与や賞与から控除された所得税は、給与の支払者によって税務署に納税されます。つまり、給与所得者は毎月給与支払者を通して所得税を税務署に納税しているのです。
毎月の納税は暫定的
給与から控除される所得税は、「月額給与額、その月の社会保険料(厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険)、扶養している人の人数」の3項目をもとに源泉徴収税額表に当てはめて求めます。この源泉徴収税額表は、月ごとの給与に係る暫定的な所得税額が記載されています。つまり、給与所得者は毎月暫定的な所得税を税務署に納めているのです。
「月額給与額-その月の社会保険料」が303,000円で「扶養している人の数」が2人の場合、この月に源泉徴収する所得税額は5,250円となります。
年間の所得税を確定して、毎月の納税額との差額を調整する
1月から12月の給与と賞与の合計額から、給与所得控除後(給与・賞与の合計額から給与所得控除額を差し引いた金額)の金額を算出します。給与所得控除後の金額から所得控除(社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除等)を差し引いて給与所得金額を求め、それに対応する所得税の年税額を求めます。
この年税額と毎月の納税額(源泉徴収税額)とを比較して、毎月の納税額より年税額が少なければ税金が還付され、逆に毎月の納税額が年税額より少ない場合は、不足分を追加徴収します。
以上が、年末調整の大まかな流れになりますが、図で表すと次の通りになりますので、まずこの流れをイメージしてください。詳しくは、第11回「源泉徴収簿で行う年末調整1.源泉徴収簿の見方・書き方・フロー」で説明します。
年末調整の大まかな流れ
- 1年間の給与と賞与額を集計して、給与所得控除後の金額を算出します。
- 給与と賞与から引かれていた所得税額を集計します。
- 所得控除を集計します。
- 給与所得控除後の金額から所得控除額をマイナスして給与所得金額を計算します。
- 給与所得金額から所得税の年税額を求めます。この年税額が最終的な所得税額となります。
- 年税額と毎月納税していた源泉徴収税額を比較して、年税額が少なければ毎月払い過ぎていた所得税を還付し、年税額が多ければ毎月の納税額が少なかったわけですから所得税を追加で徴収することになります。
- 経営者が自ら年末調整することはあるのか
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Q. 従業員の年末調整は専門家に頼らずに、経営者が自ら計算して処理することもできるのですか?自分で計算している人は多いのでしょうか?
A. 年末調整は、経営者自身で計算することもできます。ただ、年1回の手続なので、そのために経営者が時間を割くのが事業にとってプラスになるかどうかは疑問です。実際に経営者自身で年末調整をしているケースは少ないと思います。数万円お金を出せば専門家がやってくれるので、専門家に依頼するケースが多いと思います。
ただ、給与計算ソフトの機能がかなりアップしているので、経営者がソフトを利用して年末調整をすれば思ったほど時間がかからないかもしれません。
知っておきたい基礎知識|年末調整|まとめINDEX
- 年末調整とは?
- 年末調整と確定申告の違い
- 年末調整ができる人・できない人
- 年末調整はいつするのか?時期や期間について
- 年末調整のポイントは各種申告書の正確な記入
- 年末調整の扶養控除等申告書とは?目的とマイナンバーとの関係
- 年末調整の扶養控除等(異動)申告書の書き方
- 年末調整の基礎控除・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の書き方
- 年末調整の保険料控除申告書の書き方
- 年末調整の住宅借入金等特別控除申告書の書き方
- 源泉徴収簿で行う年末調整1.源泉徴収簿の見方・書き方・フロー
- 源泉徴収簿で行う年末調整2.毎月の給与と賞与の記入
- 源泉徴収簿で行う年末調整3.各種控除額を記入し所得税額を確定
- 源泉徴収簿で行う年末調整4.過不足額の精算
- 源泉徴収簿で行う年末調整5.納付書の書き方と年末調整のやり直し