収益・費用と損益計算書 会計・簿記の基本−8
損益計算書は、企業が1年間、ものを売ったり買ったりという営業を行なった結果、いくらもうけたか、を明らかにするための表です。会社の収益と費用を把握し、会社の利益を明らかにしていきます。
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目次
収益・費用とは何だろう
たとえば、中古車の販売業であるT商店が、乗用車を100万円で買い入れ、それを130万円で売ったとしましょう。この商売により差し引き30万円もうけました。
このような営業を1年間行ない、合わせていくらもうかったかを表にしたのが損益計算書なのです。
収益と費用
損益計算書は、「収益」と「費用」を集めて表にしたものです。ここで収益というのは、もうけ(利益)のみなもととなるものをいいます。
T商店の例に戻りましょう。仕入れた乗用車を130万円で売り上げましたが、簿記ではこの130万円を「売上」と呼び、収益に含めます。
これに対し「費用」は、もうけ(利益)の計算上、収益から差し引かれるもののことをいいます。上の例でいうと購入金額100万円が費用にあたります。簿記では、この100万円の費用のことを「仕入」と呼びます。
利益と収益
簿記以外では、一般に収益と利益を同じような意味で用いることがあります。これに対し簿記では両者を区別します。
簿記でいう収益とは、利益を生み出すもととなる収入の総額を意味し、その代表例が「売上」です。
これに対し、利益は純額で、収益から費用を差し引いた残りのもうけのことです。
もう一度T商店の例に戻ります。売上130万円が収益で、これから費用100万円を差し引いた残りの30万円が利益というわけです。
一口に利益を計算するといっても、その計算の基礎となる収益や費用にはいろいろなものがあります。次節以降でそれらを具体的にみていくことにしましょう。
収益にはどんなものがあるか
売上が収益の代表格
会社はものを売ったり買ったりという営業を繰り返すことにより存続・成長していきますが、「売上」が収益の代表格です。
収益というのは、
「利益のもととなる収入」
のことをいい、売上代金のほかにもいくつかあげることができます。
収益を理解するために、あなたが中古車販売業であるT商店の店主になったつもりで考えてください。
利益を上げるためには、まず車を売ることを考えるはずです。また、在庫のない車を注文したお客様を同業者に紹介して同業者から手数料を受け取ったりもするでしょう。さらに、手持ちの現金で余分なものは、すぐ銀行に預金するなどして利息を稼ぐようにするでしょう。
このように売上代金だけでなく会社にとって利益を生み出すもととなるものをすべて収益といいます。
収益のグループに属する勘定科目のうち代表的なものは次のとおりです。
費用にはどんなものがあるか
収益を得るための出費
費用とは、収益を得るために支払われた出費のことです。
会社が収益を獲得するためには、当然のことながらいろいろな出費がかかります。
たとえば、売り上げた商品にしてもタダで仕入れたわけではなく、代金を支払って仕入れるわけですし、従業員に支払う給料や電話代、水道光熱費、交通費、接待費等、収益を得るためにはいろいろとお金が出ていきます。このような出費のことを費用というわけです。
ただし、注意しなければならないのは、支出のすべてが費用となるわけではないことです。借金の返済や土地の購入などは、お金は出ていきますが、これは費用ではありません。費用となるかどうかの目安は、とりあえず、収益から差し引くべき出費と考えておいてください。
費用のグループに属する勘定科目のうち、代表的なものは次のとおりです。
知っておきたい基礎知識|会計・簿記|まとめINDEX
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