家賃や光熱費を経費にする「家事按分」のやり方
監修者 : 宮原 裕一(税理士)
自宅兼事務所の家賃や電気代などの「家事関連費」は必要経費として計上できます。ただし、経費になるのは仕事に係る部分だけなので「按分(あんぶん)」する必要があります。
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目次
合理的な基準を決めて「按分」します
家事関連費は、仕事に使っている割合の分を必要経費として計上できます。家事関連費を個人用と仕事用に区別することを「按分」といい、下のような目安をもとに算出します。
必ずこう分ける、という決まりはありませんが、税務署に按分の理由を聞かれたときに納得してもらえるような割合にしておきましょう。
申告ソフトのデスクトップソフト「やよいの青色申告」やクラウドソフト「やよいの青色申告 オンライン」の場合、「家事按分」という機能が付いています。家賃や光熱費など、それぞれどのくらいの割合を事業用に使っているかを登録しておくだけで、自動的に事業用だけの金額を必要経費として割り出してくれます。
おもな家事関連費の按分目安
家賃 | 仕事で使っている床面積の割合 |
---|---|
電気代 | 使用時間または使用したコンセントの割合 |
電話代・インターネット料金 | 使用時間の割合 |
車の減価償却費・ガソリン代など | 走行距離または仕事に使った日数の割合 |
持ち家の住宅ローンは必要経費にならない

賃貸のアパートやマンションの場合、家賃から按分して必要経費に計上できますが、持ち家の住宅ローンの元本は必要経費にはできません。その代わり、家屋の減価償却費や住宅ローンの金利、火災保険料や固定資産税は按分して必要経費に計上できます。
家事関連の具体的な按分例
家賃 | 床面積50㎡、家賃10万円のマンションで、事務所スペースが20㎡の場合 |
---|---|
20㎡÷50㎡=0.4(※家賃の40%を経費にできる) 10万円×0.4=4万円 を地代家賃に計上 |
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電気代 | 電気代が年間15万円で、月平均の消費電力が300kwh。そのうち、仕事用が75kwhの場合 |
75kwh÷300kwh=0.25(※電気代の25%を経費にできる) 15万円×0.25=3万7500円 を水道光熱費(電気料金分)に計上 |
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インターネット料金 | インターネットを仕事に使うのが週5日で年間7万2000円の場合 |
5日÷7日=約0.7(※料金の約70%を経費にできる) 7万2000円×0.7=5万400円 を通信料(インターネット料金分)に計上 |
事務所を借りた場合の敷金・礼金は経費になる?
事務所や店舗を自宅とは別に借りた場合、家賃や光熱費は100%経費になります。しかし、賃貸契約時にかかる敷金、礼金、仲介手数料はそれぞれあつかいが異なります。
敷金 | × | あとで返金されるので経費にはならない |
---|---|---|
礼金 | △ | 20万円未満は「地代家賃」で経費に、20万円以上は「繰延資産」で賃貸期間または5年で償却 |
仲介手数料 | ○ | すべて経費になる。勘定科目は「支払手数料」 |
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