セラピスト・マッサージ師のための確定申告ガイド

2021/03/31更新

この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

セラピストやマッサージ師の方には、正社員やアルバイトなどの雇用契約で働いている場合もあれば、個人事業主として活動しているケースもあるでしょう。自分でサロンを借りて独立開業したり、自宅をサロンとして開業したり、お店と業務委託契約を結んだり……。個人事業主の場合、自分で確定申告をする必要がありますね。

今回はセラピストやマッサージ師の方が確定申告するとき経費として認められるもの、売上の帳簿付け、注意点などについて解説していきます。

POINT

  • ベッドなど施術用器材、事務処理用のPCやデスクが10万円を超える場合は減価償却に注意する
  • キャンセル料は収入として計上するが、消費税の対象にはならない
  • 事業所得なら青色申告にすると税制上の特典が受けられる

セラピスト・マッサージ師の経費として認められるもの・認められないもの

個人事業主のセラピスト・マッサージ師の方はどういったものが経費となるのでしょうか。さまざまな支払いが事業の経費になるかどうかは、その事業を行うのに必要な経費かどうかで判断します。セラピスト・マッサージ師の方は、次のようなものが経費として認められます。

セラピスト・マッサージ師の経費として認められるもの

  • 1.
    精油やオイルの購入費用
  • 2.
    トイレットペーパー、ストップウォッチ、タオル、施術着、リネン系など店舗で使う消耗品
  • 3.
    ベッドなど施術用器材、事務処理用のPCやデスク
  • 4.
    施術者の手荒れ防止用ハンドクリームなど
  • 5.
    カウンセリングの際もしくは施術後のお茶代、お菓子代
  • 6.
    店舗の雰囲気を演出するための雑貨やカーテンなどのインテリア
  • 7.
    店舗で利用する水道光熱費
  • 8.
    チラシ、会員カード、名刺などの作成・印刷費
  • 9.
    電話代やインターネット代など店舗で使う通信費
  • 10.
    WEB媒体や紙媒体、Googleへの広告掲載
  • 11.
    店舗のホームページ作成料や、ホームページのサーバー・ドメイン利用料など
  • 12.
    技術向上のためのセミナー参加費や学習用教材
  • 13.
    セラピストやマッサージ協会などの会費
  • 14.
    施術場所の賃料など

また、次のようなものは経費として認められないので、注意が必要です。

  • 携帯電話などの通信料のうち家事用部分など
  • 自宅をサロンとして使用している場合の家賃のうち家事用部分など
  • 所得税、個人住民税
  • 国民健康保険、国民年金
  • 医療費
  • 生命保険料、地震保険など各種保険
  • 住宅借入金等の利子

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セラピスト・マッサージ師の経費の仕訳例

次に、セラピスト・マッサージ師の経費の仕訳例を紹介します。

①精油やオイルの購入費用

施術に使用する材料や、店販品などは、「仕入」とします。

(例)施術に使用する精油50,000円を掛け取引で仕入れた
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
仕入 50,000 買掛金 50,000

月まとめ請求などで、代金を後から支払う場合には「買掛金」を使用します。

(例)上記代金50,000円を振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
買掛金 50,000 普通預金 50,000

②トイレットペーパー、ストップウォッチ、タオル、施術着、リネン系など店舗で使う消耗品

店舗などで使用する生活用品、施術時間を計るストップウォッチやタイマー、それらに使う電池などは、「消耗品費」とします。また、施術に使用するタオルや施術着、リネン系のクリーニング代などは「衛生費」を使用するのもよいでしょう。

(例)店舗で使用するトイレットペーパーなどの雑貨を購入し、1,500円を支払った
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 1,500 現金 1,500

③ベッドなど施術用器材、事務処理用のPCやデスク

器具備品などの資産にあげた数字を経費化していくときは、「減価償却費」を使用します。

備品などでも10万円未満の場合は購入時に「消耗品費」として、その年の経費にします。

(例)施術に使用するベッド50,000円を購入し、銀行から振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 50,000 普通預金 50,000

施術用の器材や、パソコン・机などの備品などは数年にわたって使用できるものです。これらは原則として「器具備品」などとして資産にあげ、種類ごとに定められた耐用年数に応じて数年に分けて経費にしていきます。このことを「減価償却(げんかしょうきゃく)」といいます。

(例)顧客管理や会計ソフト利用のためにノートパソコン150,000円を購入し、クレジットカード払いとした。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
器具備品 150,000 未払金 150,000

なお、10万円以上20万円未満であれば、耐用年数にかかわらず、その年に購入したものを一括して3年で均等に経費化する「一括償却」を選択することができます。

さらに、青色申告事業者であれば、30万円未満であれば年間300万円まで一度にその年の経費とできる「少額減価償却資産の特例」という制度もあります。

(例)上記ノートパソコンにつき、青色申告者であるため決算で少額減価償却資産の特例を適用する。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減価償却費 150,000 器具備品 150,000

④施術者の手荒れ防止用ハンドクリームなど

ハンドクリームなどの消耗品は、「消耗品費」とします。

(例)施術者の手荒れ防止用ハンドクリーム1,000円を現金で購入した
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 1,000 現金 1,000

⑤カウンセリングの際もしくは施術後のお茶代、お菓子代

お客さまへお出しするお茶代、お菓子代などは、「サービス費」とします。

(例)お客さま用のお茶など2,000円を現金で購入した
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
サービス費 1,000 現金 1,000
(例)お客さま用のウォーターサーバーレンタル料1,000円とボトル代3,000円の合計4,000円が口座から引き落とされた
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
サービス費 1,000 普通預金 4,000
サービス費 3,000

令和元年(2019年)10月1日以降、消費税率10%への引き上げとともに軽減税率が導入されますが、ウォーターサーバーのレンタル料は標準税率10%、ボトル代は軽減税率8%となります。
ほかにもお茶やお菓子なども飲食料品にあたり、軽減税率の対象で消費税率は8%です。帳簿づけをするときは、軽減税率対象の取引に※をつけるなどして、区分して記帳することが必要になります。

⑥店舗の雰囲気を演出するための雑貨やカーテンなどのインテリア

店舗の雑貨やインテリアは、一組が10万円未満であれば「消耗品費」とします。10万円以上になる場合は③のとおり減価償却の検討をしましょう。

(例)カウンセリングスペースを演出する置き物30,000円をクレジットカードで購入した
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 30,000 未払金 30,000

⑦店舗で利用する水道光熱費

店舗での電気代・ガス代・水道代などは、「水道光熱費」とします。

(例)店舗の電気代10,000円が口座振替で引き落とされた
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
水道高熱費 10,000 普通預金 10,000

⑧チラシ、会員カード、名刺などの作成・印刷費

チラシ、会員カード、名刺などの作成・印刷費は「広告宣伝費」とします。

(例)名刺のデザインを発注し、印刷費とともに45,000円を振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
広告宣伝費 45,000 普通預金 45,000

⑨電話代やインターネット代など店舗で使う通信費

店舗の電話代やインターネット代などは、「通信費」とします。

(例)お客様の予約などで使用する店舗専用のスマートフォンの通話料20,000円が口座振替で引き落とされた
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
通信費 20,000 普通預金 20,000

⑩WEB媒体や紙媒体、Googleへの広告掲載

(例)フリーペーパーへの広告掲載料として50,000円を振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
広告宣伝費 50,000 普通預金 50,000

⑪店舗のホームページ作成料やホームページのサーバー・ドメイン利用料など

(例)店舗のホームページ制作を業者に依頼し、代金300,000円を振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
広告宣伝費 300,000 普通預金 300,000

単純に店舗やサービスの紹介などを目的としたホームページの制作は「広告宣伝費」として経費になりますが、ショッピングカード機能などソフトウェアに該当する部分がある場合は、減価償却を検討する必要があります。

(例)ホームページのレンタルサーバー代25,000円を振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
広告宣伝費 25,000 普通預金 25,000

レンタルサーバー代などは、その目的により「通信費」や「賃借料」などとしてもよいでしょう。

⑫技術向上のためのセミナー参加費や学習用教材

セミナー参加費や学習用教材などは、「図書研究費」とします。このほか、「研修費」や「新聞図書費」など、自分に合ったものを選びましょう。

(例)技術向上のため学習用教材50,000円を預金から振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
図書研究費 50,000 普通預金 50,000

⑬セラピストやマッサージ協会などの会費

セラピスト協会など、各種団体の会費は、「諸会費」とします。

(例)セラピスト協会の年会費10,000円を預金から振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
諸会費 10,000 普通預金 10,000

⑭施術場所の賃料など

固定の店舗などで賃貸借契約をしている場合は、「地代家賃」を使用します。時間貸しの場合は、地代家賃でも構いませんが、「賃借料」などとして固定費の家賃とは区別したほうがよいでしょう。

(例)施術場所として借りている店舗の家賃100,000円を振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 100,000 普通預金 100,000
(例)施術のため、時間貸しのレンタルサロン代6,000円を振り込んだ
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
賃借料 6,000 普通預金 6,000

また、自宅サロンなど、自宅の一室を事業で使用するような場合には、例えば家賃など事業とプライベートとが混在する経費が出てきます。このような経費を「家事関連費」といいます。

専用の店舗を借りずに、自宅の一室で施術を行う場合には、面積や使用時間の割合などを利用して、家事関連費を合理的に事業に係る部分とプライベートの部分とに分けて経費にする必要があります。

(例)自宅兼サロンの家賃120,000円を振り込んだ。なお、サロンで使用している部屋は全体の面積の25%を占めている。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 30,000 普通預金 120,000
事業主貸 90,000
事業で使用する部分の金額は120,000×25%=30,000円です。上記は事業で使う預金として帳簿づけに含めている場合ですが、家賃の支払いがプライベート用の預金からであれば、以下のようになります。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 30,000 事業主借 30,000

事業にかかわる分だけを「事業主借」を使用して仕訳すればよいです。

家事関連費として経費にできる可能性があるのは、家賃、電気代などの水道光熱費、電話やインターネットなどの通信費などが挙げられます。もちろん、家の中にあるものでも、事業専用で購入したものは家事関連費ではありませんから、按分する必要はありません。

セラピスト・マッサージ師の売上項目の経理

セラピスト・マッサージ師の売上項目の経理

基本的に事業に伴って入ってくるお金はすべて収入金額になります。しかし、その内容により帳簿づけが変わってきますので、消費税の取り扱いも踏まえてケース別に説明していきましょう。

施術料金や指名料など

施術料金や指名料などは、本来の事業による売上ですから、施術時の売上として計上します。

(例)1時間コース8,000円を施術し、代金を現金で受け取った
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 8,000 売上 8,000
(例)上記につき、クレジットカード決済の場合、手数料が240円差し引かれる。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売掛金 7,760 売上 8,000
支払手数料 240

入金が後になっても施術時の収入として、売掛金を使用します。手数料240円を差し引かれた残額7,760円を売掛金とします。

(例)上記につき、信販会社から7,760円が振り込まれた。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 7,760 売掛金 7,760

施術料などのサービスの提供は、消費税の対象です。

消費税の計算は、売上で預かった消費税から仕入や諸経費で支払った消費税を差し引いた残りを納めるのが本来です。これに代えて、売上の内容によって業種を区分し、それぞれで定める「みなし仕入率」をかけて計算する「簡易課税」を選択することもできます。

簡易課税の適用を受けている場合の業種区分は、施術料などはサービス業に分類されますから第五種事業(みなし仕入率50%)に該当します。

簡易課税方式の事業区分
事業区分 該当する事業 みなし仕入率
第一種事業 卸売業 90%
第二種事業 小売業 80%
第三種事業 製造業、建設業、農業、林業、漁業など※※ 70%
第四種事業 飲食業などとその他の事業 60%
第五種事業 サービス業など(運輸通信業、金融業、保険業) 50%
第六種事業 不動産業(賃貸・管理・仲介) 40%
  • 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業、第六種事業のいずれにも該当しない事業は第四種事業です。
  • ※※2019年10月1日の消費税率10%導入後は第三種にある農業、林業、漁業のうち軽減税率適用分について第二種に引き上げられ、みなし仕入率80%になります
    (平成30年度税制改正により、消費税の簡易課税制度について見直しがされました。なお、同日前における食用の農林水産物を生産する事業については、従来の第三種事業でみなし仕入れ率70%のままとなります)。

なお、国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」などが健康保険の適用を受けて施術を行う場合は、消費税は非課税となります。この場合に領収書を発行する場合には、保険内、保険外の区分をして消費税の有無を明確にしておきましょう。

また、次項の店販品などで健康食品などの飲食料品を扱う場合には、令和元年(2019年)10月1日以降は標準税率10%の売上と軽減税率8%の売上とを区分して、税率ごとに合計額を記載する「区分記載請求書」の発行が必要になります。

店販品

セラピー商品などのいわゆる店販品を、お客様に販売する場合は、販売時の売上として計上します。

(例)アロマオイル2,000円を販売し、代金を現金で受け取った
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 2,000 売上 2,000

店販品の販売は、消費税の対象です。簡易課税の適用を受けている場合の業種区分は、一般消費者への販売は小売業に分類されますから第二種事業(みなし仕入率80%)に該当します。

なお、個人事業主が店販品を自分のために使用する場合は、「家事消費」といい、事業所得の収入にあげなければなりません。ただし、通常の販売価額にする必要はなく、仕入価額か、通常の販売価額の70%で比較して、どちらか高いほうの金額で大丈夫です。

(例)店販品を自分のために使用した。なお、定価は1,000円で仕入価額は500円である。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
事業主貸 700 家事消費等 700
  • 1.
    仕入価額:500
  • 2.
    販売価額(通常の販売価額の70%で算出):1,000×70%=700
  • 3.
    ①<② ∴700円

家事消費はお金のやり取りをともないませんので、現金などの代わりに「事業主貸」を使用します。

セミナーやワークショップを開催した場合

集客などのためにセミナーやワークショップを開催する場合がありますが、これらも事業に伴う収入として、開催時の売上とします

(例)有料セミナーを開催し、全部で40,000円の受講料を受け取った。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 40,000 売上 40,000

セミナーやワークショップの収入は、消費税の対象です。簡易課税の適用を受けている場合の業種区分は、セミナー等はサービス業に分類されますから第五種事業(みなし仕入率50%)に該当します。

キャンセル料

お客様から予約日の直前にキャンセルがあった場合、次のような条件でキャンセル料を申し受けることがありますね。

  • ご予約日の3日前以上:キャンセル料は発生致しません
  • ご予約日の2日前:ご予約料金の20%
  • ご予約日の前日:ご予約料金の50%
  • ご予約日当日:ご予約料金の100%

このキャンセル料については、施術は行っていませんが、事業にともなうものですから収入に計上が必要です。

(例)予約日前日にお客さまからのキャンセルがあったため、5,000円のキャンセル料を現金で受け取った
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 5,000 売上 5,000

なお、キャンセル料自体は施術を行わずに収入となっているため、通常の売上とは別に「キャンセル料収入」など、独自に勘定科目を用意してもよいでしょう。

また、キャンセル料は、本来なら予約日に施術して売上になるはずだったものがなくなってしまったことへの損害賠償のようなものですから、消費税の対象にはなりません。

ただし、キャンセル「手数料」のように事務作業の代金と認められるもの(何日前であろうと、一定額を申し受けるようなケース)は、消費税の対象となりますから注意してください。

セラピスト・マッサージ師が確定申告のためにおさえておくべきポイント

セラピスト・マッサージ師が確定申告のためにあらかじめ知っておくといいポイントがあります。

青色申告と白色申告との違い

まずは事業の状況による確定申告の違いについてみてみましょう。確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。所得税の対象となる所得(儲けや稼ぎ)は給与所得など10種類に分類されますが、そのうち事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかの所得があれば、申請して承認を受けたうえで青色申告することができます。青色申告の承認を受けない場合は白色申告になります。

両者の大きな違いは、税制上の特典の有無です。白色申告でも事業について収入金額や必要経費について記帳義務がありますが、青色申告ではより高度な記帳が求められ、その代わりに各種の特典が受けられるのです。

青色申告の特典

次に、青色申告の特典を紹介します。

青色申告特別控除
事業につき、複式簿記などの方法で高度な帳簿づけをして、その帳簿を基に青色申告決算書を作成すると、通常の必要経費のほかに、最大65万円の青色申告特別控除を差し引くことができます。簡易帳簿による場合でも最大10万円の青色申告特別控除を差し引くことができます。
純損失の繰越し
事業所得が赤字となった場合に、他の種類の所得と相殺してもなお赤字が残った場合は、その赤字を「純損失」といいます。青色申告の場合は、翌年以後3年間にわたって繰り越して、翌年以後の黒字と相殺することができます。

セラピスト・マッサージ師の事業所得と雑所得の考え方

青色申告は事業所得について税制上の特典があるということをお伝えしました。それでは、セラピストやマッサージ師が何所得にあたるかというと、事業所得か雑所得に分類されます。もちろん、セラピストなどでも他の事業主に雇用されてスタッフとして働く場合は給与所得となります。

では、その分かれ目は何なのでしょうか。一言でいうと『小遣い稼ぎ』では事業にならないということです。

事業所得は、自分がリスクを背負っているか、営利性はあるのか、事業の継続性はあるのか、客観的に事業を行っていると認められるのかなど、さまざまな要因からその事業性を判定します。

一般的に考えても、自分で店舗を借りてセラピストやマッサージ師の仕事だけをやっている場合と、会社員が自分のスキルを活かして業務委託でスキマ時間に月数万円稼ぐという場合が同じ事業とは思えないですよね。

もちろん、事業所得の判定に明確な基準はありませんから、事業にあたるかどうかはケースバイケースですが、少なくとも開業届を出しているなど形式的な要件は必要でしょう。

さて、事業所得と雑所得とで、確定申告上何が違ってくるかというと、次の点が挙げられます。

雑所得には青色申告の特典がない
青色申告の特典は、事業所得に関して設けられているものですから、雑所得である場合には青色申告特別控除などは適用されません。
赤字でも雑所得内で切り捨てられる
雑所得が赤字になった場合は、雑所得同士での相殺はできますが、雑所得の赤字を他の種類の所得と相殺することは出来ません。

セラピストやマッサージ師の方が、確定申告や日々の記帳で備えておきたいことについて解説してきました。よい環境で仕事をするためにも、しっかり確定申告を行いましょう。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

宮原裕一税理士事務所新規タブで開く」代表税理士。弥生認定インストラクター。
弥生会計を20年使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。経営者のサポートメンバーとして会計事務所を営む一方、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

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