【個人事業主】うっかり計上もれしやすい経費チェックリスト【確定申告】

2021/03/31更新

この記事の執筆者柳原つつじ

個人事業主が確定申告をする際に事業の内容によって経費にできるものは異なりますが、どうしても自分がよく使う種類の経費にばかり注意がいきがち。経費にできるのに計上し忘れているものがないかどうか、また、漏れているものがないかどうかなど、科目別に確認しておくとよいでしょう。

POINT

  • 消耗品費など額が小さい経費も計上すること
  • 会議費と飲食接待費を混同しないこと
  • なんでも「雑費」にせず、適した勘定科目に振り分けること

忘れずにチェックしたい経費のリスト

1)旅費交通費

取引先への訪問など事業に関係する移動で発生した電車賃、飛行機代、タクシー代は「旅費交通費」として計上します。出張旅費や宿泊料も、ここに含まれます。

忘れがちなのが、高速道路代・有料道路代やパーキング代です。車の移動がある場合はチェックしましょう。ちなみに、取材旅行の場合は「取材費」の科目に振り分けることもできます。

2)消耗品費

パソコン消耗品や文房具などのオフィス備品で、10万円未満のものは、すべて「消耗品費」となります。プリンタのインク代などはバカにならない割には、漏れてしまいがちです。また、灯油やガソリンなども消耗品費になります。忘れずに計上しましょう。

ちなみに、10万円以上の場合は、減価償却を行うことになります。下記をご参照ください。

3)広告宣伝費

事業を始めたら、まず最初に作るのが名刺です。名刺のように不特定多数に対して宣伝するものは、「広告宣伝費」となります。

ほかに例をあげるとDM(ダイレクトメール)が一番わかりやすいかもしれませんね。求人募集の際の広告費や、試供品配布などの費用も、広告宣伝費としましょう。

混同しやすい勘定科目に「販売促進費」があります。明確な線引きがあるわけではありませんが、店頭のPOPやキャンペーンにかかる費用といった、売上促進を目的にしたものは「販売促進費」で処理することが多いようです。

4)新聞図書費

はい、執筆業をしている私がダントツで多いのが、この勘定科目です。雑誌、新聞、書籍などを業務で利用するために購入した場合は「新聞図書費」として計上します。

「新聞図書費」という字面から活字媒体をイメージしやすいのですが、印刷物だけではなく、有料メールマガジンなども該当します。購読しているものがないか、いま一度チェックしましょう。もちろん、マンガであっても、事業のために購入したものならば、新聞図書費として処理して構いません。

5)通信費

通信費は、もはやどんな事業でもかかる費用だといえそうです。固定電話や携帯電話、インターネット、切手代やはがき代などの郵便などにかかる費用が該当します。電話がプライベートと共有の場合は、事業按分を忘れずに行いましょう。

混同しやすいのが「荷造運賃」です。商品や製品の発送に関わる費用は、通信費ではなく、荷造運賃で処理します。例えば、段ボールに商品を入れて発送する場合などは、荷造運賃に振り分けます。通信費ではないので、注意しましょう。

6)接待交際費

忘年会、新年会などを行うところも多いと思います。そうした会食についての費用は「接待交際費」で計上します。来客があったときの食事、喫茶の費用のほか、来訪した際の手土産も、こちらに入れます。

忘れがちなのが、慶弔費です。取引先の冠婚葬祭に要した費用も、接待交際費となるので、心あたりがないか、スケジュール帳を見直してみてください。

7)福利厚生費

従業員のための福利厚生にかかる費用が「福利厚生費」です。労働保険や雇用保険のほか、祝いごとにおける祝儀、または葬儀における香典など慶弔費も、従業員に渡すのであれば、福利厚生費となります。もし、取引先の慶弔費ならば接待交際費、従業員のものならば福利厚生費ということになります。

ちなみに、忘年会、新年会などでビンゴゲームなどを行うことがありますが、そうしたイベントにかかる費用も、福利厚生費です。そのほか、従業員のお菓子、ジュース代、お弁当代など、意外と幅広いのが、この勘定科目です。
注意したいのが、「福利厚生費」は、あくまで「従業員のための費用」なので事業主本人には使用できません。

8)水道光熱費

事業で用いた電気料金、ガス料金、水道料金は「水道光熱費」として計上します。事務所が自宅と別の場合は、まず漏れることはないと思いますが、自宅兼事務所の場合は、按分して事業で使っている分を水道光熱費とします。

チリも積もれば……ですので、面倒くさがらずに、計上するようにしましょう。

9)管理諸費

税理士、社労士顧問料、弁護士、司法書士に依頼したときの費用については「管理諸費」や「支払報酬料」として計上します。そんなに多用はしないだけに、発生する場合は意外と何の勘定科目にするか迷うところです。覚えておきましょう。

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まとめ

以上、計上漏れしやすい経費チェックリストとして、9項目を挙げましたが、いかがでしたでしょうか。

もちろん、このほかにケースバイケースで発生する経費もあります。例えば、自動車を業務で使う人ならば、自動車税を「租税公課」として計上し、自賠責保険などを「損害保険」として計上することになります。いま一度、自分の業務を振り返りましょう。

また、よくわからないものは「雑費」にしてしまうというケースがよくあると思いますが、商工会議所や組合、JAFなどの諸会費が該当する場合があります。商工会議所等に要する費用(支出)が多ければ、諸会費として区分経理するほうが、決算書を読むときに個人事業者(主)にとってもわかりやすいでしょう。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者柳原つつじ

出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。

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