自宅を事務所にする際の注意点 〜個人事業主編〜

2024/01/16更新

この記事の執筆者安田博勇

ITの普及とともに、日本でも在宅勤務という働き方が着実に増えています。それに伴い、個人事業主として開業される方のなかには「自宅兼事務所」で事業をスタートさせる人も多くなっているのではないでしょうか。個人事業主として自宅兼事務所で仕事をするときの注意点をまとめてみました。

POINT

  • 賃貸物件の場合は、事務所利用可かどうか確認する
  • 事務所契約を結ぶ場合は、家賃に消費税が課税されることも
  • 家賃・光熱費・引越代金・住宅ローンなどは、公私の使用割合を按分して経費として計上できる

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今住んでいる賃貸物件で開業する場合

固定費を抑えられ、かつ、交通費や時間の節約にもつながる「自宅兼事務所」。パソコンやインターネット環境さえあれば十分に自宅でまかなえるライターやプログラマーのような仕事はもちろん、ネットショップ、移動店舗の運営、はたまたアフィリエイトなど、さまざまな業態での展開が考えられます。

しかし誰でもすぐに始められるからといって油断は禁物。特に、今お住まいの賃貸物件を自宅兼事務所として利用する場合は「家主の承諾」が必要になります。

皆さんも入居時に家主(あるいは不動産業者)と交わした賃貸借契約書をご覧ください。契約書には「使用目的」の欄に「居住のみを目的とする」といった文言が記載されている場合が多いと思います。自宅兼事務所は、そこに新たに「事務所」という目的が加わることとなるため、既存の契約に反すると考えられ、それを遵守しない場合は違約金の支払いや退去を命じられることがあり得ます(分譲型マンション等の場合も管理規約で禁止されていることがあります)。

とはいえ、デスクワークがメインとなる業態の場合は、家主に相談すれば特例として認めてくれるケースもあり得ます。いずれにせよ、今のお住まいを自宅兼事務所として利用する場合は、事前に家主や不動産屋へ相談しておいたほうが無難でしょう。

自宅兼事務所として利用する賃貸物件を新たに探す場合

一方で、自宅兼事務所として利用できる物件を新たに探す場合も、注意が必要です。

不動産屋に行って直接相談するのがベターな方法ですが、手始めに不動産屋の賃貸物件検索サイトを利用する方が多いと思います。その場合は詳細条件として「事務所利用可」を選択することとなりますが、事務所利用可の物件では検索ヒット数はがぜん少なくなり、賃料も多少高く設定されていることが多いものです。

また、事務所利用可の物件のなかでも、「住居契約」ではなく「事務所契約」を結ぶ場合は、基本的に家賃に消費税が課税されます。あらかじめ予算をしっかりと把握しておくなど、準備を怠らぬようにしたほうがよいかもしれません。

開業後の経費はどうなる?

また、賃貸物件を自宅兼事務所として使用するときには、主に家賃・水道光熱費・通信費などを経費として計上できます。新たな物件に引越する場合は、その引越費用、礼金(20万円未満、それ以上は繰延資産として償却)、不動産屋への仲介手数料も経費計上が可能。これらはいずれも公私の使用割合によって按分することとなりますが、敷金は原状回復の後に返却されるお金なので経費にできません。

持ち家の場合、住宅ローンの元本を経費計上することはできませんが、減価償却費、住宅ローンの金利、保険料、固定資産税などは経費になります。全体のうち事業用に使用している割合で按分しましょう。なお、持ち家を自宅兼事務所とする場合、事業で使用している部分の割合が50%以上だと、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の適用を受けることができなくなりますので、注意しましょう。

最後に—-賃貸物件にせよ、持ち家にせよ、近隣住民とのトラブルは避けたいもの。特にアパート・マンションなどで人の出入りが頻繁にあったり、大きな音が発生したりする仕事をする場合は、十分な対策を施すように心がけましょう。

開業費の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

photo:Getty Images

この記事の執筆者安田博勇

1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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