確定申告の期限は?間に合わない場合の対処法や注意点などを解説

2024/02/16更新

この記事の監修田中卓也(田中卓也税理士事務所)

確定申告書の提出期間は、通常毎年2月16日から3月15日までの1か月間です。しかし、どうしても期限内の申告が間に合わないこともあるかもしれません。確定申告が期限内に間に合わない場合、適切な対処法を知っておかないと、ペナルティなどを受ける場合もあります。

本記事では、確定申告の期間や手続き方法のほか、万が一間に合わなかったときの対処法、ペナルティについて解説します。

確定申告の期間は通常2月16日から3月15日まで

確定申告の期間は、通常2月16日から3月15日までです。この期間中に前年1月1日から12月31日までに生じた所得とそれに対する所得税の額を計算して申告します。

ただし、2月16日または3月15日が土・日や祝日と重なった場合は、翌平日が期限日になるため注意が必要です。なお、期間を過ぎてしまった場合でも可能な限りすみやかに申告を行わなければならないため、申告を忘れないようにしましょう。

確定申告の提出方法と期限は?

確定申告は、期限内の申告と納税が義務付けられています。また、確定申告の提出方法によって、書類の提出期限は異なります。提出方法と書類の提出期限について見ていきましょう。

e-Taxで提出する場合

e-Taxで確定申告書を提出する場合、期限日の23時59分までに送信すれば期限内の提出になります。ただし、e-Taxで電子申告を行うには事前登録と、マイナンバーカードおよびICカードリーダライタやマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンが必要になるため、事前に用意しておかなければなりません。

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税務署窓口に持参して提出する場合

税務署窓口では、平日午後5時までに提出すれば、その場で収受印を押した控えを受け取ることが可能です。また、税務署には時間外収受箱も設置されているため、期限日の夜間に投函すれば、期限内提出とみなされます。

郵送で提出する場合

郵送での提出の場合は、期限日の消印が押されていれば有効になります。そのため、期限日に投函する場合は、窓口で消印を押してもらうと安心です。

ただし、郵便局によって営業時間が異なるため、最寄りの郵便局の営業時間を事前に調べておくことをおすすめします。また、提出期限が迫っている場合は、ポストに投函するのではなく、郵便局の窓口から「特定記録郵便」や「簡易書留」として送る方法であれば、消印が押されているかの確認もできるので便利です。

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確定申告の期日を過ぎた場合のペナルティは?

万が一、確定申告の手続きが期限までに間に合わなかった場合でも、確定申告ができなくなるわけではありません。期限を過ぎた場合は、申告期限を過ぎてからの申告である期限後申告をできるだけ早く行う必要があります。期限日からの日数に応じたペナルティを受ける可能性があるため、速やかに申告を行うことが大切です。ペナルティの種類について見ていきましょう。

無申告加算税が課せられる

無申告加算税は、確定申告を期限までに行わず、納めるべき税金を納付しなかった人に対して課せられる税金です。

そもそも確定申告は、1年間の所得と所得税額を申告し、税金を納付するものです。そのため、期限内に確定申告をせずに税金を納めなかった人は、納めるべき税金に対して無申告加算税が課せられます。無申告加算税の税率は下記のとおりです。

無申告加算税の税率
50万円までの部分 15%
50万円を超え300万円までの部分 20%
300万円を超える部分 30%

無申告加算税は、あくまでも支払うべき税金に対して課せられるもので、納税すべき金額はないが確定申告が遅れてしまった、という場合は該当しません。例えば、予定納税などによって追加で納付すべき所得税額がない個人事業主の場合、確定申告が遅れたとしても無申告加算税が課せられることはありません。

一方、期限後申告であっても下記の要件をすべて満たす場合には無申告加算税は課されません。

期限後申告であっても無申告加算税が課されない場合

  • その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること
  • 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること

なお、一定の場合とは、次のいずれにも該当する場合です。

  • その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していること
  • その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと

延滞税が課せられる

延滞税は、税金の納付が遅れた場合に課せられる税金です。所得税は、本来、確定申告期限までに支払うもので、確定申告の遅れによって納税にも遅れが出た場合、納付した日までの延滞税も同時に納付が必要です。

延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合、納期限の翌日から2か月を経過した日以後は年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。

なお、延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して計算した割合(各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合)に、年1%の割合を加算した割合のことです。2024年の延滞税特例基準割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.4%、納期限の翌日から2か月を経過した日以後は年8.7%とされています。

納税が遅れた場合の本税が1万円未満の場合は端数切り捨てになるほか、延滞税の額が100円未満の場合は切り捨てになるため、納付する必要はありません。また、確定申告が遅れただけで納付すべき税額がない場合も延滞税は課されません。

青色申告特別控除の金額が10万円になる

確定申告の期限に遅れた場合、青色申告特別控除の金額が10万円になります。

青色申告特別控除とは、青色申告で所得税の確定申告を行う個人事業主が利用できる控除で、65万円、55万円、10万円いずれかの金額を所得額から差し引いて税金の計算ができる制度のことです。控除額が大きいほど節税効果も大きくなりますが、利用条件は厳しくなります。

なお、65万円や55万円の青色申告特別控除には「確定申告期限内の申告」という条件があるため、期限後に申告をした場合は適用されません。しかし、10万円の青色申告特別控除の適用は可能なので、確定申告の期限を過ぎてしまった場合でも忘れずに申告を行いましょう。

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法人の場合は青色申告の承認が取り消される

法人の場合は、2期連続で確定申告期限を守らなかった場合、青色申告の承認が取り消されます。一方、個人事業主の場合は、青色申告の承認は取り消されません。

ただし、帳簿を正しく付けていなかったり、悪質な隠蔽を行っていたりしていると判断された場合には、青色申告の承認が取り消されることもあります。

確定申告が期限内に間に合わない場合の対処法

確定申告が期限内に間に合わなかった場合でも、できるだけ早く期限後申告と納税を行いましょう。特に、納税が必要な場合、本来納めるべき税額が多いほど無申告加算税が高額になり、期限を過ぎた期間が長いほど延滞税が高額になっていくため、早めの申告が大切です。

ただし、納税については一定の要件を満たす場合、猶予制度などが設けられています。一度に納付をすることにより事業の継続や生活が困難になったり、災害で財産を損失した場合など特定の事情があったりして早めの納税が難しいときは、期限後申告や納税を自己判断で遅らせるのではなく、猶予制度や延納制度の利用がおすすめです。

きちんと手続きを行うことで、税務署に正しい期限後申告の予定や納税の意思を示すことができます。

猶予制度

猶予制度は、申告期限内に納税が難しい場合に申請することで、原則として1年以内に限り、分割して納税することができるようになる制度です。猶予制度が認められる可能性があるケースは下記のとおりです。

猶予制度が認められる可能性があるケース

  • 災害や盗難による財産被害を受けた
  • 本人や家族が病気にかかったりケガをしたりした
  • 事業の廃業や休業があった
  • 事業に著しい損失があった
  • 上記に類する事実があった
  • 本来の納期限から1年以上経過後に、修正申告などによって納税すべき金額が確定した

上記のいずれかに該当して、納税が困難だと認められた人が「納税の猶予申請書」を納付すべき国税の徴収を担当する国税局または税務署へ提出し(e-Taxでの申請も可能)、なおかつ原則として不動産や自動車などの担保の提供を行える場合は、猶予制度が適用される場合があります。ただし、猶予を受ける事情によっては、災害などの証明書などが別途必要なこともあります。

なお「猶予を受ける納税額が100万円以下」「猶予期間が3か月以内」「担保にできる財産がない」といった場合は担保が不要です。

また、具体的な猶予期間や猶予の内容は、申請者の財産や収支の状況などによって決まるほか、猶予を受けた税額は原則として猶予期間中に毎月分割納付します。いずれにせよ、詳細は状況を税務署が確認した上で決まるため、納税が困難な場合は早めに税務署へ相談を行うことが大切です。

延納制度

延納制度は、特別な届出や申請をしなくても納税期限の延長をすることができる制度です。納税期限日までに、本来納めなければならない税額の2分の1以上を納税する必要がありますが、残額は後日の納税が認められます。

延納制度を利用したい場合は、確定申告書の第一表「延納の届出」欄に、確定申告期限までに納付できる金額と後日納付する金額を記入して提出することで手続きが完了します。

確定申告書 第一表

なお、延納した金額は、確定申告をした年の5月31日までに納税することが必要ですが、延納している間は年0.9%の割合で利子税がかかるため、できるだけ早く納税しましょう。

つまり、延納制度を利用すると利子税がかかり、利用しないと延滞税がかかりますが、上記のとおり「利子税の割合<延滞税の割合」とされていますので、状況に応じて延納制度の活用も検討することをおすすめします。

確定申告の期限後に修正したい場合の対処法

確定申告の内容が間違っていたときは、訂正して申告する必要があるため、確定申告の期限内に気付いたときは再度確定申告書を提出します。しかし、確定申告の期限後に内容の間違いに気付いたときは、修正申告や更正の請求が必要です。

本来の税額よりも少なく申告してしまった場合

正しい税額よりも少ない金額で所得税の申告をしてしまった場合は、修正申告の手続きを行います。修正申告は「申告書 第一表」と「申告書 第二表」を使いますが、用紙上部に「確定申告書」ではなく「修正申告書」と記入します。また「種類」欄の「修正」に丸を付けてください。

確定申告書 第一表

修正申告をする際は、青色申告決算書収支内訳書も正しい内容で改めて作成した上で、修正後の決算書や収支内訳書をもとに正しい申告書を作成します。

なお、以前は修正申告時に申告書第五表を提出していましたが、2022年分以降は不要です。また、修正申告は税務署等の増額更正が行われるまでにしかできないため注意が必要です。

納税が遅れるほど延滞税が増えるため、修正申告によって新たに納税することになった金額は、修正申告書を提出する日までに納めましょう。

本来の税額よりも多く申告してしまった場合

利用できる控除の見落としといった理由で、本来の税額よりも高い金額で申告と納税をしてしまった場合は更正の請求を行います。更正の請求はあくまでも請求のため、認められるかどうかは請求内容に応じて税務署が判断し、認められた場合は減額更正という手続きが行われ、納めすぎた税金が還付されます。

なお、更正の請求ができるのは原則として法定申告期限から5年以内のため、慌てて申告をする必要はありません。ただ、5年以上経過すると請求できなくなるほか、更正の請求には間違いが生じた理由の申告や根拠を示す書類などの提出が必要です。

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確定申告は期限内に申告できるように準備しよう

確定申告の期限に間に合わないと、青色申告特別控除の控除額が減ってしまったり延滞税などがかかったりするといったデメリットがあるため、確定申告の期限内の申告を心掛けましょう。そのためには、日頃からしっかりと帳簿を付けておくといった準備が大切です。

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この記事の監修田中卓也(田中卓也税理士事務所)

税理士、CFP®
1964年東京都生まれ。中央大学商学部卒。
東京都内の税理士事務所にて13年半の勤務を経て独立・開業。
従来の記帳代行・税務相談・税務申告といった分野のみならず、事業計画の作成・サポートなどの経営相談、よくわかるキャッシュフロー表の立て方、資金繰りの管理、保険の見直し、相続・次号継承対策など、多岐に渡って経営者や個人事業主のサポートに努める。一生活者の視点にたった講演活動や講師、執筆活動にも携わる。

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